リスティング広告におけるロジックツリーの活用方法|改善できる課題や注意点
課題の解決策を論理的に探すためのフレームワークである「ロジックツリー」。リスティング広告の運用においても課題の分析・解決策の立案に役立ちます。本記事では、リスティング広告におけるロジックツリーの活用方法について、改善できる課題や扱う際の注意点を解説します。
目次
リスティング広告におけるロジックツリーとは?
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果ページに表示されるテキスト形式の広告のことです。ユーザーが検索したキーワードに応じて表示されるため、検索連動型広告とも呼ばれています。
また、ロジックツリーとは、特定の課題を構成する要素をツリー状に分解し、原因や改善策を論理的に探すためのフレームワークのことです。ロジックツリーを活用することで、課題の全体像を見下ろしながら細かく原因を洗い出せます。
なお、ロジックツリーはリスティング広告の運用改善策を探る際にも有効です。具体的には、コンバージョンの数や単価などの改善を考える際に重宝されています。
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ロジックツリーで改善できるリスティング広告の課題
ロジックツリーの性質は、リスティング広告の改善に大きく役立ちます。具体的に改善できる課題について、以下に解説します。
CV(コンバージョン数)
CV(コンバージョン数)とは、広告を通じてサイトに訪れたユーザーが、広告主が成果として設定したアクション(購入や会員登録など)を行った数のことです。
CVは以下の計算式で求めることができます。
- CV = CT(クリック数) × CVR(コンバージョン率)
また、CVの構成要素である CT(クリック数)とCVR(コンバージョン率)は、以下の計算式で求められます。
- CT = IMP(インプレッション数) × CTR(クリック率)
- CVR = IMP(インプレッション数) × CTR (クリック率) × CVR(コンバージョン率)
つまり、コンバージョン数が想定より少ない場合には、インプレッション数・クリック率・コンバージョン率のいずれかに課題があると言えます。
CPA(コンバージョン単価)
CPA(コンバージョン単価)とは、コンバージョン1件あたりに発生する費用のことです。CPAの算出方法には以下の2つがあります。
- CPA = 広告費用 ÷ CV(コンバージョン数)
- CPA = CPC(クリック単価) ÷ CVR(コンバージョン率)
したがって、コンバージョン単価が高すぎる場合には、広告費用・コンバージョン数・クリック単価・コンバージョン率のいずれかに課題があると言えます。
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リスティング広告の課題の改善手順を表したロジックツリー
ロジックツリーとは、大きな課題を小さな改善案に細分化するためのフローチャートであるため、複雑な課題解決にアプローチするために適しています。
リスティング広告の課題の改善手順を表したロジックツリーは、以下の通りです。
改善は以下の手順で進めます。
- ロジックツリーの分析結果を見ながら、解決すべき課題の的を絞る
画像の例では「コンバージョン数の増加」もしくは「コンバージョン単価の低下」のうち、どちらを解決するのかを定めます。
- 改善する指標を選ぶ
課題を構成する指標のうち、どれに着手するのかを選びます。
- 選んだ指標を改善するための施策を決める
設定項目の変更や広告文の修正など、必要な施策を洗い出したうえ、細かい実践方法を決めます。
リスティング広告のコンバージョン数(CV)を増やす方法
リスティング広告のコンバージョン数(CV)を増やす方法について、以下に解説します。広告を運用するための基礎知識として役立ててください。
クリック数(CT)を増やす
まずは、クリック数(CT)を増やすことです。
クリック数とは、ユーザーが表示されたリスティング広告をクリックした回数のことを指します。もしクリック数が少ない場合には、以下の理由が考えられるでしょう。
- インプレッションの総数が少ない
- クリック率が低い
したがって、クリック数を増やすためには、インプレッション数・クリック率のいずれか、あるいは両方を増加させることが大切です。
次に、それぞれの指標を増やす方法を解説します。
インプレッション数を増やす
インプレッション数とは、ユーザーに広告が表示された回数のことです。
インプレッション数を増やすために有効な施策について、優先度の高い順に以下の表にまとめます。
施策 | 内容 |
キーワードの追加 | コンバージョンにつながりそうなキーワードを追加する |
入札価格の引き上げ | コンバージョンにつながる見込みの高いキーワードの入札価格を上げる |
広告文の改善 | レスポンシブ検索広告への見出し追加や、内容の修正をする |
配信エリアの追加 | コンバージョンにつながる範囲で配信エリアを広げる |
配信時間・曜日の追加 | 広告を配信する時間や曜日を追加する |
配信デバイスの追加 | 現状配信していないデバイスでの配信を追加する |
掲載媒体の追加 | Google広告・Yahoo!広告のどちらか一方ではなく、両方で配信する |
予算の引き上げ | キャンペーンの日予算を上げ、掲載順位を上げる |
キーワードの追加は新規キーワードの追加に加えて、拡張性の高いマッチタイプを使用するといった方法もあります。完全一致・フレーズ一致のマッチタイプのみで運用している場合には、部分一致も活用することでインプレッション数の増加を期待できるでしょう。
また、入札価格を引き上げると広告掲載順位も上がりやすくなり、ユーザーに広告が表示されやすくなります。さらに、配信エリア・配信時間・曜日・配信デバイス・掲載媒体などを追加することで、より広いユーザーへのリーチを見込めます。
さらに、広告文を改善することで、レスポンシブ検索広告の有効性を高めることも重要です。なぜなら、検索語句と広告文の一致率が上昇すると、より多くの検索語句に対して表示されるメカニズムになっているためです。
上記の施策を行っても成果が出ない場合には、キャンペーン日予算の引き上げも検討しましょう。ただし、費用対効果も考慮しながら慎重に進めることが大切です。
▷リスティング広告のマッチタイプとは?種類や優先順位・使い分け方を紹介
クリック率(CTR)を上げる
クリック率(CTR)とは、ユーザーに表示された広告が、実際にクリックされた割合のことです。
クリック率を上げるために有効な施策を、以下の表にまとめます。
施策 | 内容 |
入札価格の引き上げ | 入札価格を上げ、掲載順位を高くする |
広告文の改善 | 広告文をユーザーのニーズやキーワードに沿った内容に改善する |
リスティング広告は上位表示されるほどクリックされやすいため、入札価格を上げて広告の掲載順位を高くすることは、コストを度外視すれば常に有効な対策となるでしょう。
ただし、広告が上位に表示されていてもクリック率が低い場合には、広告文を改善する必要があります。ユーザーのニーズを刺激し、キーワードと関連性の高い文面にてアピールすることが大切です。
▷リスティング広告のクリック率(CTR)を上げるには?平均や改善する方法を紹介
コンバージョン率(CVR)を上げる
コンバージョン率(CVR)とは、広告を通じてサイトに訪れたユーザーのうち、広告主が成果として期待するアクションを行った人の割合を指します。
コンバージョン率を上げるために有効な施策は、以下の通りです。
施策 | 内容 |
キーワードの追加・停止 | コンバージョンにつながりそうなキーワードを追加、もしくはコンバージョンにつながらないキーワードを停止する |
除外キーワードの追加 | 検索意図の異なる語句を除外する |
広告文・リンク先LPの改善 | ユーザーのニーズ・キーワードに沿った内容に調整する |
入札戦略の変更 | 手動入札・自動入札を切り替える |
配信エリアの絞り込み | コンバージョンにつながる配信エリアのみに絞る |
配信時間・曜日の見直し | コンバージョンにつながらない時間・曜日の配信を弱める |
キーワードの見直しは、コンバージョン率を高める上で重要な施策です。定期的にコンバージョンにつながるキーワードを追加し、つながらないキーワードは停止するなどの調整を加えましょう。また、検索意図の異なる語句を除外することも大切です。
広告文・リンク先LPの見直しについては、ユーザーのニーズやキーワードに沿った内容に訂正することで、コンバージョン率の上昇が期待できます。
また、手動入札から自動入札に切り替えることも有効な手段です。自動入札では検索語句・所在地・使用ブラウザやOSなどに応じて入札価格の調整が行われるため、広告が表示されるユーザーの質に大きな変化が生まれるケースがあるでしょう。
さらに、配信エリアや配信時間・曜日の見直しとして、コンバージョンにつながらないエリア・時間帯を順次カットすることでも成果を期待できます。
▷リスティング広告のコンバージョン率の平均とは?低い原因や改善する方法
リスティング広告のコンバージョン単価(CPA)を下げる方法
リスティング広告のコンバージョン単価(CPA)を下げるには、どのような方法があるのでしょうか?具体的な施策について、以下に解説します。
コンバージョン率(CVR)を上げる
リスティング広告のコンバージョン単価(CVR)を下げるには、コンバージョン率を上げることが最も有効です。
なお、コンバージョン率を上げる施策については、前述しているため説明を省略します。
クリック単価(CPC)を下げる
クリック単価(CPC)とは、クリック1件あたりにかかる広告費用のことです。クリック単価を下げるために有効な施策を、以下の表にまとめます。
施策 | 内容 |
入札単価の引き下げ | キーワードの入札単価を下げる |
品質スコアを高める | 推定クリック率・広告の関連性・LPの利便性を高めるように、広告文・遷移先LPを改善する |
クリック単価の高いキーワードの停止 | クリック単価が高騰しているキーワードを停止する |
配信エリアの絞り込み | クリック単価の高いエリアの配信停止・入札抑制をする |
入札単価の引き下げはクリック単価を直接的に下げる代わりに、広告における機会損失を招くリスクがあることを覚えておきましょう。
ただし、広告の掲載順位は「入札単価 × 品質スコア」で決定されるため、品質スコアを高めれば入札単価を下げても安定した上位表示が可能となります。しかし、品質スコアはあくまで目安であるため、改善がそのまま評価につながるとは限らない点を理解しておきましょう。
リスティング広告の改善にロジックツリーを活用する際の注意点
リスティング広告の改善にロジックツリーを活用する際の注意点は、大きく分けて2点あります。
1点目は、ロジックツリーを細分化しすぎないことです。細かく作成しすぎると同じような項目が並んでしまい分かりにくくなってしまうため、慣れるまでは1〜2階層程度のシンプルなツリーから始めてみましょう。
2点目は、洗い出した改善策を一度に全て実行しないことです。一度に改善してしまうと、どの改善策が有効だったかを検証できなくなるため、効果の高そうな策から順番に進めていくことが肝心です。
リスティング広告の改善にロジックツリーを活用しよう
リスティング広告を改善するにあたり、ロジックツリーは極めて有益なフレームワークです。なぜなら、リスティング広告は各段階での成績を定量化することができるため、その内訳を整理するにはロジックツリーの性質がマッチしているためです。ロジックツリーを活用し、リスティング広告の改善に役立ててください。
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