組織風土とは?意味や定義、組織文化との違いや具体例を解説!

最終更新日時:2023/11/27

組織・マネジメント

組織風土とは

多様化する労働環境から、企業の変化が求められています。とくに注目されているのが、組織風土という考え方です。当記事では組織風土とは何か、言葉の意味や定義をはじめ、組織文化との違いについても解説します。具体例も合わせて紹介するので、組織風土について理解を深めていきましょう。

この記事の要約

・組織風土とはメンバー間で共通認識されている考え方やルールのこと
・働き方の多様化や転職率の向上、VUCA時代の到来などの要因で組織風土に注目が集まっている
・組織風土を醸成する上ではソフト面・ハード面・メンタル面の3つの要素が重要

組織風土の意味や定義とは?

組織風土とは、組織のメンバー間で共通認識化している独自の考え方・価値観・ルールのことです。考え方・価値観・ルールは職場環境の特性として表れ、社員の価値基準や行動原理に大きな影響を与える要素となります。

組織風土の対象は必ずしも全社的なものではありません。フロントオフィスやバックオフィスなど、業務の性質が異なる部門やチームごとに独自の組織風土が生まれている場合もあります。

良い組織風土の定義

良い組織風土には、以下4つの特徴が挙げられます。

  • 経営者が企業の存在意義や方針をオープンに発信できている状態
  • 組織のコアバリューを社員が理解・共有できている状態
  • 社員が自身の意見や要望を気軽に発言できている状態
  • 現場の声をもとに経営改善を行える状態

これらの要素を満たすことで職場環境が整い、社員一人ひとりが主体的に業務に取り組めるようになるでしょう。

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組織風土と類似している用語

組織風土と類似した用語に「企業風土」「組織文化」「社風」という言葉があります。ここでは、それぞれの違いについて見ていきましょう。

企業風土との違い

企業風土は、企業全体に浸透している思考や行動の様式を指す言葉です。組織風土との違いは、対象範囲と社員の自覚にあります。

組織風土は特定の部署やチームなどについて言及する際にも使用されるのに対し、企業風土は企業全体・全従業員を対象としています。

組織文化との違い

組織文化は、組織内で共有されている価値観や行動規範です。組織風土と組織文化は同じ組織内を対象とした言葉ですが、変化のしやすさに違いがあります。

組織風土は、組織内での過去の思想・行動などが蓄積して受け継がれていくものであり、組織内で固着している可能性が高く、外的影響を受けにくいのが特徴です。

一方の組織文化は、組織が目標を達成するために必要な思考・行動の基準であり、市場や競合などの影響に応じて変わることがあります。

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社風との違い

社風は、組織風土や組織文化をベースとして形成される企業の印象や雰囲気です。

組織風土は性格と表されることがありますが、社風は人柄と表されます。そのため、組織風土と比べて抽象的な印象が強く、「風通しが良い」や「伝統を重んじる」などのアバウトな表現が使われることが多い傾向にあります。

組織風土に注目が集まる理由

ここからは、組織風土がなぜ注目されているのかについて詳しく解説します。

VUCA時代が到来しているため

VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、将来予測が困難な状況を表しています。

先の見えない時代のなかで企業が持続的に成長するためには、組織のパフォーマンスやイノベーションが不可欠です。そのため、社員のモチベーションにも大きな影響を与える組織風土を整え、柔軟で適応力の高い組織を作り出す必要があると考えられています。

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転職率が高まっているため

転職率が高まっているのも、組織風土が注目される理由のひとつです。厚生労働省の「令和4年 雇用動向調査結果」の結果概要によると、2022年の転職入職率は9.7%まで上昇しています。なかでも正社員(無期雇用)は入職者よりも離職者のほうが多い状況です。

転職率が高いということは、社員自身が組織に適合していない、あるいは他の組織に魅力を感じていると考えられます。つまり、組織風土が社員のニーズや期待に応えられていないともいえるでしょう。人材を定着させるためにも、社員のエンゲージメントが高まるような組織風土を醸成する必要があるのです。

[出典:厚生労働省「令和4年 雇用動向調査結果 結果の概要」]

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働き方が多様化しているため

近年はテクノロジーの進歩や企業のグローバル化により、働き方が多様化しています。働き方が多様化すると、組織のメンバーが多様な価値観やバックグラウンドを持つことになります。

そのため組織風土を理解し、適切にマネジメントすることが重要です。組織風土が良好であれば、多様なメンバーが協力し合い、売り上げを伸ばしていけるでしょう。

逆に、組織風土が不適切な場合、メンバー間のコミュニケーションや信頼が低下し、業務効率や品質が低下することにつながります。

働き方が多様化している現代では、組織風土を改善することが組織の競争力を高めるための重要な戦略といえるでしょう。

組織風土の醸成に必要な要素

組織風土を醸成するためには、ソフト面・ハード面・メンタル面の3つの要素について理解しておくことが大切です。ここでは、それぞれの要素が具体的にどのようなものを指すのかを解説していきます。

ソフト面の要素

ソフト面は企業が明示できない要素で、社員の価値観や人間関係によってつくられるものです。具体例としては以下の要素が挙げられます。

  • 経営スタイル
  • モチベーション
  • チームワーク
  • エンゲージメント
  • 信頼関係
  • 上下関係
  • 勢力関係
  • 判断基準
  • 責任の所在
  • 個人の価値観や行動様式

ハード面の要素

ハード面は企業が明示できる要素で、制度やルールなどの視覚化されたものです。具体例としては以下の要素が挙げられます。

  • 経営理念
  • 経営計画
  • ビジョン
  • 行動指針
  • 組織構造
  • 就業規則
  • 人事制度
  • 評価制度
  • 業務プロセス
  • コンプライアンス

メンタル面の要素

メンタル面は社員の心理的安全性に影響を与える要素で、組織内の空気感や雰囲気などの認識に関するものです。具体例としては以下の要素が挙げられます。

  • 本音を気軽に発信できているか
  • 年次や役職に関係なく平等に尊重されるか
  • コミュニケーションは円滑に行われているか
  • 社員同士が助け合える・支え合える雰囲気があるか
  • 上司から部下に過度な圧力がかかっていないか
  • 社員の声を聞き入れる環境が整備されているか
  • チャレンジや失敗が許容される環境か

組織風土の醸成がもたらす効果

ソフト面・ハード面・メンタル面で構成される組織風土が良い状態で機能すると、具体的にどのような効果が生まれるのでしょうか。組織風土の醸成がもたらす好転的な影響として、主に2つの効果が挙げられます。

企業の方向性を社員と共有できる

ハード面である戦略や目標などを明示することで、企業の方向性を社員と共有できるようになります。これにより、社員は企業が何を目指しているのかを理解し、それに沿った判断・行動ができるようになるのです。

また、社員が組織の経営理念やビジョンに共感することで、組織に対して強い結びつきを感じ、協力的に働く傾向が高まります。この状態が継続すると企業の業績アップにつながり、モチベーションの高い人材が育ちやすくなるでしょう。

働きやすい職場環境を整えられる

良い組織風土が醸成されると、より働きやすい職場環境が整っていきます。具体的には適切な目標設定や評価制度、報酬や福利厚生などが提供されることで、社員が自分の能力や意欲を発揮できるようになるのです。

また、組織風土によって社員同士の信頼関係や協力関係が生まれていき、オープンかつフラットなコミュニケーションが行われるようになります。その結果、社員のエンゲージメントが高まり、企業のパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。

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組織風土を醸成する際のポイント

組織風土をより良い状態へと改革するには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。ここでは、組織風土を醸成する際に知っておきたいポイントについて見ていきましょう。

醸成の成果が出るまでは時間がかかる

組織風土は伝統や慣習など、長年にわたって積み重ねられたものが根付いているため、短期間で劇的に変化させることは難しいでしょう。とくにソフト面やメンタル面の課題は目に見えない要素であり、洗い出すだけでも時間がかかります。

ハード面・ソフト面・メンタル面のすべての要素で適切なバランスを取ることは容易ではありません。また、バランスが崩れた状態で着手しても、根本的に改善することは難しいでしょう。

そのため、じっくりと時間をかけながら組織風土を洗い出すことが大切です。

業績悪化や企業崩壊の恐れもある

組織風土は企業の業績や競争力に大きな影響を与えるものです。そのため、誤った方向に組織風土が醸成されると、業績悪化や企業崩壊につながる可能性があります。

たとえば、社員のワークライフバランスを充実させるために「週に1日ノー残業デーを取り入れる」といったルールを設けたとしましょう。しかし、これまでと業務量が変わらなければ社員が定時に退社することはできません。

根本的な課題に目を向けず、表面的な部分だけ変えようとしても、社員は不信感を募らせるだけです。このようなことが繰り返されれば、社員が離職を考えるきっかけにもなるでしょう。組織を支える人材がいなくなってしまえば、企業を存続させることが難しくなることもあるため注意が必要です。

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あらゆる部分の変更を試みる

組織風土は、ハード面・ソフト面・メンタル面の相互作用によって形成されています。そのため、あらゆる部分の変更を試みることが大切です。

コミュニケーションの円滑化を実現したい場合、人間関係の把握や接点の醸成だけでなく、上下関係・勢力関係の見直しや、人事制度・評価制度の改善が必要になってくるでしょう。

組織風土を変えていくには、戦略から組織の体制・制度、業務プロセスなどの各所を整備していくことが重要です。

社員や現場の声に耳を傾ける

組織風土のソフト面やメンタル面を正確に把握するためには、社員や現場の声に耳を傾けることが重要です。これを実行しない場合、想像と現実のギャップが生まれてしまい、本質的な改革にならない可能性があります。

また、立場が違えば感じている不安・不満も変わってくるため、特定のレイヤーの声だけを収集するのではなく、あらゆる社員や現場の意見をもとに行動計画を立てることが大切です。ただし、すべての声を反映させることは難しいため、早急に対処が必要そうな要望から取り入れていくとよいでしょう。

組織風土の醸成による成功事例

組織風土の醸成について、他社がどのような取り組みを行っているのか気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、組織風土の醸成における成功事例として、4社の具体的な取り組みを紹介します。

株式会社村田製作所の事例

世界トップクラスの電子部品メーカーである株式会社村田製作所は、ITバブル崩壊をきっかけに業績が低迷していました。この問題の根底にあったのが「殿様商売体質」や「硬直的・保守的・否定的な価値観」などの組織風土です。

自由な風土を取り戻すために、組織風土改革委員会を立ち上げたものの、経営層と現場の意識に乖離があり、期待した変化は生まれませんでした。

このような状況でしたが、経営層が自身の反省や気づきを赤裸々に語りながら対話を繰り返し、約10年の年月をかけて自由な組織風土を醸成することに成功しています。この自由な組織風土は、自己都合退職率1.7%、平均勤続年数14.1年という人材定着の数字にも表れています。

キリンビール株式会社の事例

酒造会社としてビール市場をけん引していたキリンビール株式会社は、2001年に市場トップの座を奪われたことをきっかけに、組織風土の改革に乗り出しています。これは「新キリン宣言」と呼ばれ、お客様本位・品質本位の観点からこれまでの行動指針を刷新するものでした。

2004年にはV10推進プロジェクトを立ち上げ、お客様本位・品質本位を部門横断で議論する機会を設けました。これにより、同社は2009年に国内市場シェア1位を奪取しています。結果として全社員一丸となってブランドを育てていく組織風土が根付き、業績でも市場を上回る成果を出しています。

トヨタ自動車株式会社の事例

世界的な自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社は、意思決定のスピードアップと管理職層の実務戦力化を目的に、専門性を重視した人材育成を行ってきました。

しかし、グローバル化による急激な事業拡大やバブル崩壊などにより業績が低迷し、同社の「教え/教えられる風土」が弱まっていたのです。そこで同社は、2014年に大規模な教育改革を打ち出し「教え/教えられる風土」への回帰を目指しました。

  • 先輩が指導しやすい少人数でのグループ分け
  • 入社4・5年目〜10年目程度の先輩社員によるほぼマンツーンマンでの相談対応
  • Master(親方)養成プログラムや業務職新人事制度の採用

上記の取り組みに加えて、同社は社員の意識改革も実践しています。とくに上司と部下のコミュニケーションスタイルの違いから、当時はコミュニケーションのギャップが深刻化していました。

この問題の対策として、同社は若手に期待したい能力や資質の定義づけを行いつつ、上司の「今どきの若者は」というマインドの変化を促しました。

これらの取り組みを経て、同社は教える側・教えられる側の両方の意識を変え、育成スピードを改善したことで組織全体のパフォーマンス向上につなげています。

株式会社朝日プリンテック

朝日新聞を印刷する株式会社朝日プリンテックは、分社・統廃合による価値観の違いや新聞印刷業界の将来に懸念を抱いていたそうです。そこで同社は、研修制度検討チームを発足し、社員の主体性やチャレンジ精神を醸成するための組織風土づくりをスタートさせました。

  • セルフリーダーシップの重要性と具体的な行動を浸透させるための全社研修
  • 分社・統廃合後の会社理念・戦略・目標の一本化
  • リーダーシップ強化研修「ZIPANGU」と仕事力強化研修「グランドナビゲーション」の採用
  • 全社的な従業員意識調査「ワークハピネスサーベイ」の実施

これらの取り組みを通じて、危機感の共有とビジョンの共感を実現し、社員一人ひとりがリーダーシップをもって行動する組織風土を醸成することに成功しています。

組織風土について理解を深めて組織の改革を成功させよう

組織風土は、組織が長期的に積み重ねた伝統や慣習をもとに、ソフト面・ハード面・メンタル面が相互作用することで成り立っています。社員の価値基準や行動原理を変えるきっかけとして注目を浴びており、良い組織風土を醸成することで業績の好転も期待できます。

ただし、組織風土は一朝一夕で変わるものではないため、長期的な行動計画と定期的な改善が欠かせません。ソフト面・ハード面・メンタル面のバランスを意識しながら、組織により良い変化を生み出していきましょう。

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