マネージャーとは?必要なスキルや役割・種類を解説

2023/10/10 2023/10/11

組織・マネジメント

マネージャーとは

組織を運営する上で欠かせない存在の「マネージャー」。しかし、同じ「マネージャー」のポジションでも、組織から求められる役割はさまざまです。では、「マネージャー」とは厳密にどのような人を指す言葉なのでしょうか。本記事では、マネージャーの役割や種類、リーダーとの違いや必要なスキル等を解説します。

マネージャーとは?

マネージャーとは、組織の目標達成に向けて人材やプロジェクトの管理を行うポジションまたは役職名のことです。

具体的には、部下育成・評価、プロジェクト全体の進行管理、チーム全体の目標設定および管理などを主な業務とするほか、適切な労働環境を維持するための人材配置の見直しや勤怠管理などを行う場合もあります。

マネージャーは、業務を円滑にし、目標を達成するためのヒトやモノといったリソースの管理を行う組織に欠かせないポジションであり、個人のみならずチームとしての生産性や業務品質の向上を目指したリソースの最適化が期待されるポジションなのです。

マネージャーとリーダーの違いとは?

リーダーは先導者や指導者といった意味を持ち、組織を統率して目標に向かって先導する人のことを意味します。リーダーは、全社的なビジョンを掲げ、自ら先陣を切って行動しながら組織全体の舵取りを行います。

一方のマネージャーは、リーダーが掲げたビジョンや目標を、部署単位の目標や具体的に必要な業務へと落とし込み、チームをマネジメントしながら、目標達成へと導く役割を担います。

ただし、ビジネスシーンにおいて、リーダーは先導者として経営者を表すこともあれば、現場でメンバーを導く存在としての役割を指す言葉として使われる場合もあります。シチュエーションによって意味合いが異なる点に注意しましょう。

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マネージャーの役割・仕事内容

続いて、マネージャーの役割・仕事内容についてもみていきましょう。

目標・目指すべき方向性を定める

チームの目標や目指すべき方向性を定めるのは、マネージャーの重要な仕事です。

マネージャーは、経営方針や全社の事業計画に従って、チームの成果を最大化できる目標と達成計画を立てます。

また、チームとして進むべき方向性を明確にした目標や方向性を設定する際は、できる限り、ビジネスモデルやシステムの変更による影響を受けにくい普遍的なものにする必要があります。さらにイメージしやすいシンプルな言葉で提示することでチーム内での意識共有がしやすくなるでしょう。

人材の育成や能力開発をする

人材の育成や能力開発を行うこともマネージャーの仕事です。

部下の教育においては、目の前の業務指導だけでなく、仕事への主体性を育んだり、部下自身の声に耳を傾け、目指すキャリアパスも考慮した経験の機会を与えたりするなどの先を見据えたマネジメントも求められます。

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人材の配置を最適化する

チーム内での人材の配置や一人ひとりの業務内容は、主にマネージャーが決定します。

人材配置では、メンバーが持つスキルのほか、希望やポテンシャルなどを踏まえて、最大限能力を発揮できるチーム構成にすることが重要です。

業務内容は、メンバーの日々のモチベーションにも大きく影響します。また、業務だけではなく人間関係の相性もあるため、日頃からメンバーをよく観察し、バランスの取れた人材配置を行えるようにしましょう。

メンバーのモチベーションを管理する

メンバーのモチベーション管理もマネージャーの重要な仕事です。メンバーが意欲をもって業務にあたることで、組織の成果を高めることができます。

社員が高いモチベーションを維持し続けるためには、マネージャーによるサポートが効果的です。メンバーとコミュニケーションを積極的にとり、現状の良い点や課題をフィードバックしながら目指すべき方向を提示したり、意見を元に環境の改善をしたりするようにしましょう。また、業務内容に不満やストレスを抱える場合は、配置転換を行うことも大切です。

適切な評価・フィードバックをする

部下の成長を促す上で、適切な評価・フィードバックは欠かせません。目標に対する進捗状況や現時点で評価できるポイント、改善すべきポイントなどを共有することで、自分の成長を実感できるほか、次にとるべき行動が明確になります。

また、適切な評価・フィードバックにより部下が「マネージャーは自分をしっかり見てくれている」と感じられることで、より信頼関係が深まるとともに、モチベーションを維持することにもつながります。

マネージャーの種類

ひと口にマネージャといっても、マネージャーにはさまざまな種類があります。ここでは、マネージャーの種類について解説します。

1.プレイングマネージャー

プレイングマネージャーとは、マネジメント業務を行いながら現場業務も行うマネージャーのことです。プレーヤーとマネージャーという両方の役割を担う必要があるため、業務に対するバランス感覚が求められます。

2つの役割をこなすプレイングマネージャーは、より現場に近いところでマネジメントができる反面、業務過多になりがちな特徴もあります。オーバーワークが生じないよう、現場環境の整備や組織としてフォローを行うことも重要です。

2.ファーストラインマネージャー

ファーストラインマネージャーとは、直接現場の部下の管理を行うマネージャーのことです。ラインマネージャーには、一般的に課長・係長といった役職が該当します。

ファーストラインマネージャーは現場での指示・指導、日々の業務上の意思決定などが主な仕事とされており、プレイングマネージャーであることも少なくありません。

3.セカンドラインマネージャー

セカンドラインマネージャーとは、組織全体の管理・運営を行うマネージャーのことです。具体的には、部長や局長といったファーストラインマネージャーよりも上位の管理職が該当します。

セカンドラインマネージャーは、組織の目標設定や人材配分、職場環境の構築など、組織全体のマネジメントを行います。現場社員から経営陣まで幅広いポジションの人たちと接する立場であるため、広い視野が求められます。

4.プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーとは、1つのプロジェクト全体の管理・運営を行うマネージャーのことです。主に、プロジェクト単位での業務が多いITやWeb業界のほか、クリエイティブ関連の制作現場などで、このポジションが採用されています。プロジェクトを円滑に進めるために、スケジュールや品質、コストなどを管理するのが仕事です。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの進行に直接関わる責任者のため、現場業務に精通したうえでの的確な意思決定能力が求められるでしょう。

5.ミドルマネージャー

ミドルマネージャーとは、中間管理職にあたるマネージャーのことです。組織の方針や目標を設定する経営陣と現場で業務にあたる社員の橋渡しを行います。

ミドルマネージャーは会社の目標を実際の業務計画に落とし込み、現場社員の教育やマネジメントをするのが仕事です。ファーストラインマネージャーとセカンドラインマネージャーを総称して、ミドルマネージャーと呼ぶこともあります。

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6.ゼネラルマネージャー

ゼネラルマネージャーは企業のなかでも上位の管理職であり、経営戦略など組織における重要事項への決定権を持つマネージャーのことです。海外では役員クラスであることが多いですが、日本では部長・局長クラスを指す傾向があります。

ゼネラルマネージャーは、ほかのマネージャーよりも経営陣に近い立場にあるため、経営的視点を持つことが重要です。また、現場業務を円滑に進めるための管理も行う必要があるので、多角的な視点と多くの知見が求められます。

7.エリアマネージャー

エリアマネージャーとは、主に、小売業やサービス業など複数の店舗を抱える業種で採用される、担当エリア内の店舗を管理するマネージャーのことです。

エリアマネージャーは、担当店舗の売上や商品在庫管理などの運営管理を行いつつ、それぞれの店舗の目標達成を目指します。

本社と店舗間の橋渡し役も担いながら、時にはスタッフの育成を目的として現場業務に携わることもあるなど、幅広い業務遂行能力が求められるポジションです。

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マネージャーに必要なスキル

マネージャーに求められるスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、マネージャーに必要なスキルについて解説します。

目標を設定するスキル

目標は、高すぎても低すぎても個人やチームのモチベーションが低下してしまうため、マネージャーには、チームの成果を最大化できる「適切なライン」を見極めた目標を設定する能力が求められます。

また、目標は具体的な数値に落とし込むようにします。設定した目標はメンバー間で共有し、達成に向けてチーム一丸となって取り組めるようにしましょう。

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判断・決断するスキル

チームにとって重要な意思決定は、マネージャーが担うことになります。

判断・決断が遅れたり、適切でなかったりすると、業務が停滞したり、業務の見直しや方向転換が頻繁に発生したりして生産性が低下するだけでなく、メンバーのモチベーションも失われてしまいます。マネージャーの判断・決断能力はチームの成果に大きく関わるのです。

業務をより円滑にするスキル

マネージャーには、チームと個人の業務をより円滑に遂行するスキルも求められます。具体的には、時間の使い方を管理して生産性を高めるタイムマネジメントや、チーム内での対立を積極的に解決することで組織の成長を促すコンフリクトマネジメントといったスキルが必要になるでしょう。

また、部下の指導・管理を行うためには、現場経験から得た業務スキルや知見も役に立ちます。

人材を管理・育成するスキル

人材を管理・育成するスキルは、マネージャー業務のベースとなる能力といえます。

人材の適切な管理・育成は、組織の成果に直結するだけでなく、健全な労働環境の維持やモチベーションの向上による生産性向上、定職率のアップなど、多くのポジティブなインパクトを組織に与えます。

人材を管理・育成するためには、リーダーシップだけでなく、傾聴力や論理的な表現力など、高いコミュニケーション能力が必要です。

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危機管理・リスク管理をするスキル

マネージャーは、業務上のトラブルやメンバーの傷病などによる休職など、予測の難しい事態にも対応できる危機管理・リスク管理スキルも身につけておかなければなりません。

発生しうる危機を事前に予測し、対策を準備しておくリスク管理はもちろん、万が一発生してしまったトラブルにも、被害や影響を最小限に抑える柔軟な発想力や危機管理能力も大切です。

コミュニケーションをとるスキル

メンバーと信頼関係を構築し、適切なマネジメントを行うためにはコミュニケーションスキルも欠かせません。マネージャーは定期的に1on1や面談を行い、部下の状態を把握することが大切です。

コミュニケーションを適切にとることで、部下のモチベーションの低下や悩みを即座に把握できます。対人関係のストレスや業務のミスマッチにも早めに気付けるので、メンバーの働きやすい環境を整えられるでしょう。

ロジカルシンキング

マネージャーにはロジカルシンキングのスキルも求められます。ロジカルシンキングとは、物事の因果関係を論理的に考え、明確な根拠に基づいて決断を下すための思考法です。

チームの意思決定や部下の評価に際し、情に流されたり感覚に頼りすぎた判断をしてしまったりすると、冷静な決断ができず、重大なミスが生じたり、チームに不信感を与えてしまったりする恐れがあるでしょう。

マネージャー業務を遂行する上では、ロジカルシンキングが重要になるのです。

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人の本質を見抜くスキル

人材配置を考える際には、メンバーのスキルや経験だけでなく、人柄や特性、マインドといったパーソナリティも考慮しつつ、適性や本質を見極める必要があります。

目の前の課題の解消だけでなく、これから必要になる人材など、一歩先に視点を置いた「適材適所」により、人材育成も見据えた人材配置を行い、成果の最大化を目指さなければなりません。

マネジメントスキルとは?身につけ方や高める方法を解説

マネージャーの育成方法

高度かつ多様なスキルが求められるマネージャーですが、自社でマネージャーを育成する効果的な方法はあるのでしょうか?

ここからは、マネージャーの育成方法について解説します。

マネージャー研修を実施する

マネージャーを育成する最も一般的な方法が、マネージャー研修の実施です。

マネージャ研修で学ぶ領域は、主に「部下育成スキル」「チーム形成・強化スキル」「経営知識・スキル」の3つに大別することができます。

研修といっても、OJTやセミナー、勉強会などさまざまな形式があるため、学ぶべき3つの領域に着目しながら、実務ベースで実践力を身につけるOJT、ノウハウを体系的に学ぶ外部セミナーやeラーニングなどを使い分けると良いでしょう。

また、セミナーやeラーニングなどの座学では伸ばせない実践スキルは、社内の勉強会などによるディスカッションやロールプレイングの機会を設けることで補うことが可能です。

マネジメント研修の内容とは?目的や実施方法・おすすめのサービスを紹介

マネージャー同士の交流の場を設ける

他部署のマネージャー同士で意見交換や情報交換ができる交流の場を設けることも大切です。交流の場を設けることで、自分では気付けなかった視点を発見できたり、他部署への理解・連携を深められたりします。

交流の場は月に1〜2回程度、30分前後の時間を設けられれば十分です。経験豊富なマネージャーの話や成功体験を共有することで、社内のマネージャーのスキルの底上げができます。

経営陣とのコミュニケーションの場を設定する

経営陣とマネージャーがコミュニケーションを取れる場を設けることも有効です。

経営陣の考えを直接知ることで適切な現場管理・運用が可能になります。また、現場の声を経営陣に届けられるので、現場の状況を踏まえた経営判断が可能になるでしょう。

定期的に経営陣とマネージャーが話せる情報共有の場を設けたり、率直な意見を話せる機会を設定することが重要です。

モチベーション研修とは?目的や研修内容・メリットを解説

組織の将来を担う優秀なマネージャーを育成しよう

マネージャーは経営陣と現場の橋渡しを行う、組織を運営する上で欠かせない存在です。

マネージャーにはさまざまな種類がありますが、共通するのが組織の目標達成に向けたチームや部下の管理が主な業務である点です。

そのため、目標達成を担うマネージャーは、組織全体の事業戦略を推進するうえでのキーマンとなる存在であるとも考えられます。今回ご紹介したマネージャーに求められるスキルや育成方法を参考に、優秀なマネージャーを育成しましょう。

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ビズクロ編集部
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