人材育成プログラムとは?作り方や参考にすべき事例・注意点を紹介

最終更新日時:2023/07/26

組織・マネジメント

人材育成プログラム

人手や人材の不足が深刻化する中、社内人材の育成の重要性に注目が高まっています。人材育成には時間がかかるため、人材育成プログラムを作成して計画的に進めることが大切です。この記事では人材育成プログラムとは何か、作り方、事例と注意点を解説します。

人材育成プログラムとは?

人材育成プログラムとは、企業が従業員を育てるための長期的な計画です。具体的な方針や社員の育成目標、求める人材像を定義し、そのための施策やスケジュールを立てます。

人材育成は3つの観点から企業にとって欠かせません。まず、離職率を下げるためにも取り組むべき施策です。従業員が自身の力を発揮でき、成長を実感できる環境を提供することで、退職者を抑制できるでしょう。

組織力や生産性の向上という点から人材育成は重要です。人材の能力を高めることで個々の得意分野が明確になり、業務分担が効率的に行われます。また、企業の存続・成長に欠かせないリーダーの育成においても重要な役割を果たします。

これらの観点を満たす、効果的な人材育成には十分な時間と労力が必要です。人材育成プランの作成は計画的な人材育成を進めるうえで必要不可欠な取り組みなのです。

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人材育成プログラムの作り方

人材育成プログラムは以下の流れで作成します。

  1. 人材育成プログラム作成の目的を明らかにする
  2. 理想の人材像を決める
  3. スキルマップを作成する
  4. 人材育成のゴールを決める
  5. 人材育成手法を決める
  6. 必要に応じて修正・改善をする

それぞれ詳しく解説します。

1.人材育成プログラム作成の目的を明らかにする

人材育成プログラムを作る際、重要なのは「なぜ作成するのか」という目的を明確にすることです。

このとき自社の組織の状態や経営戦略を反映したから目的を定めましょう。たとえば、「今後の事業拡大のために、チームを引っ張っていけるリーダーを育成したい」などです。

人材育成プログラムの作成目的が不明確では、施策を失敗しかねないので注意が必要です。

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2.理想の人材像を決める

人材育成プログラム作成の目的を明確化したら、それを果たすための理想の人材像を決めましょう。理想の人物像の条件として、経営戦略や企業理念、今後の方針に合っている必要があります。

その他の条件をイメージする方法には、現在優秀だと評価されている従業員の持っている要素を分析するとよいでしょう。現在評価が高いということは、企業にとって理想に近い要素を持つ人物と考えられます。

どんなスキルをもった、どんな性質の人物が必要なのか、できるだけ具体的にイメージすることが大切です。

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3.スキルマップを作成する

理想の人材像を決めたら、スキルマップを作成しましょう。

スキルマップは従業員の能力をスキルレベルで表したものです。たとえば、「接客態度」「商品に関する知識力」「企画力」「クレーム対応能力」などがスキルマップの項目になります。業種によりスキルマップの項目は異なるため、自社に適したものを設定しましょう。

スキルマップを作成すれば従業員全体のスキルを可視化できるので、組織として底上げしたいスキルが明確になります。理想の人物像と照らし合わせて、必要な人材育成の方向性もつかめるでしょう。

4.人材育成の目標を決める

目的(ゴール)を達成するために必要な目標を具体的に設定します。個別の従業員の職種や年次に合わせて、目指すスキルの種類と習得の期限を決めましょう。期限は1ヶ月・四半期・半年・1年などの区切りで設定することをおすすめします。

また、努力すれば達成可能な目標を設置することにより、従業員のモチベーションを維持できるでしょう。

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5.人材育成手法を決める

目標達成に向けて必要な手段となる人材育成手法を決めましょう。人材育成手法には主に以下のようなものがあります。

  • OJT
  • Off-JT
  • SD
  • eラーニング

OJT

OJTは実際の仕事をとおして教育や指導を受ける手法です。コストもかからず、実地に即した育成を受けられるため、人材の即戦力化に期待できます。

反面、教育する側の業務状況に左右され、忙しいと後回しにされてしまい、育成が進まないデメリットがあります。

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Off-JT

Off-JTは研修により人材を育成する方法で、集合研修や講義、グループワークなどが該当します。

講師が全体に対しておこなうため、多くの対象者に効率的な教育ができます。ただし、Off-JTで得たスキルを身につけるには実践が大切です。OJTと組み合わせるとより効果的です。

SD

SD(自己啓発)は、個人が自発的におこなう学習のことです。個別で学習できるため取り入れやすく、業務時間外に進められる点がメリットですが、モチベーションの維持と従業員の負担が課題です。人材育成として進めるには金銭的な援助など会社による支援が必要でしょう。

eラーニング

eラーニングは、インターネットを用いて学習する方法です。メリットとして、時間や場所を問わずに学習できる自由度の高さや、研修コストが少なく済む点があげられます。

従業員のITリテラシーの度合いや、主体性に効果が左右される点がデメリットです。平等に学習機会を用意したい場合に向いている手法です。

6.必要に応じて修正・改善をする

人材育成プログラムの運用を始めたら、計画の進捗に合わせて適宜修正や改善をおこないましょう。当初の予定通り人材育成プログラムを実施するのではなく、臨機応変な対応がより良い結果につながります。

短期間の場合は実施・評価後に、中長期的なプログラムでは中間報告などをおこない、修正・改善するとよいでしょう。

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人材育成プログラムの事例

人材育成プログラムをどのように計画しているのか、具体的な事例を紹介します。自社が育成を目指す人材にあわせて参考にしてみてください。

新入社員の育成

ヤマハ株式会社では、企業理念体系を整理して、2014年に「ヤマハフィロソフィー」を制定しました。これに合わせて研修プログラムの見直しに取り組んでおり、2019年度は特に新入社員研修の大幅な改正をおこなっています。

以前の新入社員研修は目的が曖昧であり、新入社員に伝わりにくいという課題がありました。

そこで、育成ゴールから各年次の目標を明確にし、それを達成するために必要な能力要件を定めました。さらに、能力要件と研修プログラムを結びつけることで、能力開発のストーリーを描き、一貫性のある研修を実施しています。

管理職・マネージャーの育成

共栄火災海上保険株式会社では、マネジメント体制において部下の育成や職場の運営に課題を抱えていました。そこで2014年から、マネジメント・プロセスを学ぶ3年間の研修プログラムを全マネージャーに導入しました。

2017年以降は新任マネージャーを対象とした7つの研修からなる人材育成プログラムに切り替えています。

  • 赴任前新任部支店長研修
  • 赴任前新任マネージャー研修
  • 新任マネージャー研修
  • 新任PM職研修
  • 新任7等級代理職研修
  • 新任6等級代理職研修
  • マネジメント研修

たとえば、新任マネージャー研修は、戦略・業務・人材・組織の4つの機能からなるマネジメント体系を学ぶ、2日間の日程の研修です。特に人材マネジメントに重点を置き、グループディスカッションを交えながらケーススタディを学びます。

一方、新任7等級代理職研修は、管理職候補者を対象とし、新任マネージャー研修のエッセンスを学ぶ4時間の研修です。これにより、現在のマネージャーと共通の言語ができ、相互理解が進むことを目指しています。

同社では、マネジメント機能の向上によってより良い職場となるよう今後もマネージャーに向けてさまざまな育成施策を打ち立てていく方針です。

経営人材の育成

株式会社商船三井グループには、近年、事業が複雑化し、海外展開が拡大する中で、次の経営幹部が不足しているという課題がありました。

グローバルな経営人材を育成するために、2014年に社内スクール「One MOLグローバル経営塾=One MOL Global Management College(MGMC)」を開発・スタートさせました。

このプログラムの目的は、異文化環境におけるマネジメント力の向上、次世代の「グローバル経営幹部」と「グループ全体を俯瞰できるリーダー」の育成です。

プログラムは3つのステージに分かれており、約1カ月半おきに5日程度の研修を日本で開催します。研修では、イノベーティブな思考法、組織運営、リーダーシップなどを学び、アクションラーニング(ALP)を通じて実践的な課題解決能力を身につけます。最終的には受講生に経営陣への提言させることで、実践的なスキルとビジョンをもったグローバルリーダーを養成するというプログラムです。

受講生の成長を促す環境づくりに注力し、グローバルな視点とリーダーシップを備えた経営幹部の育成につなげています。

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人材育成プログラム活用時の注意点

人材育成プログラムの作成・活用する際には、気をつけたい点があります。

人材育成プログラムを作成した際、必ず経営者層と人事で最終的な確認をおこないましょう。経営者層と人事で求める人材に対してズレがあると、人材育成プログラムをおこなう意味がなくなるためです。

人材育成プログラムに対する共通認識が統一されていれば、プログラムの進行がスムーズになります。

また、あまり短いスパンで人材育成プログラムの修正や改善をおこなうと、評価を受ける従業員の不信感を抱かせることがあります。

人材育成プログラムは少なくとも1年は計画通りに進めることで、効果の検証をやりやすくなるでしょう。

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プログラムを作成し人材育成に役立てよう

人材育成プログラムは、企業にとって重要な施策である「人材育成」を円滑に進めるために立てる長期的な計画です。人材育成は、生産性の向上や離職率の低減といった企業運営の状況改善にもつながる施策であることから、ポイントを押さえて計画する必要があります。

人材育成プログラムを作成するうえで重要なポイントは、具体的で適切な目的と目標を設定し、計画に落とし込むことです。また、作成した後は効果測定をし、改善に努めることでプログラムをよりブラッシュアップできるでしょう。

本記事で取り上げた作り方や事例、注意点を、人材育成プログラム作成に役立ててください。

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