マネジメントとは?意味や目的・必要なスキル、仕事内容を簡単に解説

最終更新日時:2024/04/04

組織・マネジメント

マネジメントとは

企業や組織の発展には欠かせないスキルのマネジメント。しかし、マネジメントとは具体的にどのような業務で、どのようなスキルが必要なのかわからない方も多いでしょう。そこで本記事では、マネジメントについて意味や必要なスキルなどを徹底解説していきます。

マネジメントとは?一言で言うと?

マネジメントを一言で言うと、組織が成果を上げるために経営資源を活用して目標達成を目指すことであり、「管理」や「経営」の意味を持ちます。組織の経営資源を最大限活用するものの、リスク管理も並行して行います。組織運営や部下の指導を任されている人材を、一般的にはマネージャーと呼びます。

ドラッカーのマネジメントの概念

マネジメントの概念は、アメリカの経営学者P.F.ドラッカーが刊行した著書である「マネジメント」の中で提唱された用語です。

ドラッカーは、マネジメントを「組織に成果をあげさせるための道具・機能・機関」、マネージャーを「組織の成果に責任を持つ人」と定義しました。これらのドラッカーの提唱が様々なシーンに浸透し、マネジメントの定義が社会的に一般化されたのです。

ドラッカーのマネジメントとは?意味や要約をわかりやすく紹介

マネージャーとは?リーダーとの違い

マネージャーとは、目標達成に向けて組織運営を手掛ける管理者のことです。組織全体が正しい方向に進むよう、意思決定や部下への指導を行います。部下のマネジメントは成果を得るために重要で、マネージャーが活用する1つの手段です。

一方でリーダーは、組織やチームの進むべき方向性を示す役割を担います。メンバーの積極性や自律性を促すため、業務遂行に必要な権限を一人ひとりに与えます。またリーダーはメンバーのモチベーションを高めるためにも、強い統率力が必要です。

マネージャーは管理職が担うケースが一般的ですが、リーダーは必ずしも役職の有無は関係ありません。またリーダーは組織運営において、特定のプロジェクトを実行するための人員選出や配置を行います。ですが、選出されたメンバーの指導や管理はマネージャーがおこないます。

以下で、マネージャーとリーダーの違いを表でまとめているので確認してください。

 マネージャーリーダー
定義
  • 組織として掲げる目標達成を目指す上での責任者
  • 組織やチームメンバーへ、進むべき方向性を示す役割
役割
  • 成果の最大限獲得
  • 組織運営
  • リーダーが選出した部下への指導
  • メンバーの積極性や自律性の向上
  • 各メンバーへ業務遂行に必要な権限を付与
  • 特定の案件に臨むメンバーの選出や人員配置

マネジメントとリーダーシップの違い

組織が成果を上げるために経営資源を活用して目標達成を目指すことを指すマネジメントに対して、リーダーシップは、特定の目標を達成するため組織として進むべき方向性を明確化する能力を指します。統率力や指導力など、同じ組織で働く従業員を目標に向かって牽引する姿勢が求められます。

統率力や指導力に優れた方をリーダーと呼びますが、必ずしも役職の有無は重要ではありません。また一人ひとりが能力を最大限発揮しやすい環境を整備するのも、リーダーの重要な役割です。

マネジメントとリーダーシップの違いは下記の通りです。

 マネジメントリーダーシップ
定義成果の最大化を目指しつつ、経営資源を管理成果を最大限獲得するため、進むべき方向性を明確化
役割
  • 目標の設定
  • 目標達成に向けて組織を運営
  • 部下への指導や教育
  • 目標に対するフィードバック
  • 目標設定
  • 目標達成に向けて行動する姿勢
  • 能力を発揮しやすい環境の整備
求められる能力
  • マネジメントスキル
  • コミュニケーション能力
  • 経営知識
  • 分析力
  • 判断力
  • 指導力
  • 統率力
  • 提案力
  • コミュニケーション能力
  • 課題解決力

マネジメント業務の具体例

マネジメントは、人材育成や組織力強化に大きな影響を及ぼします。マネージャーは、以下の5つの業務内容を手順に基づき実施します。

  • 目標の設定
  • 動機付け
  • 組織化
  • 指導・育成
  • 評価・フィードバック

目標の設定

マネージャーは組織全体やチームの目標を共有した上で、部下一人ひとりの目標も設定します。マネージャーは部下の能力や適性を理解した上で、どの能力を高めていくのか見極めます。重要な経営資源である部下の成長やキャリアにも関わってくるため、目標の設定は非常に重要です。

マネージャーが参考にすべき目標設定のポイント|具体例やフレームワーク

動機付け

動機付けとは、仕事に対するモチベーションの維持です。組織全体の生産性や品質を高めるには、仕事へのモチベーション維持が欠かせません。意欲的に仕事へ取り組んでもらうためにも、部下が能力を発揮しやすい環境の整備が必要です。そのため、部下の仕事への姿勢や成果を評価して積極性を引き出します。

またコミュニケーションの機会を増やし、報告や相談をしやすい環境を整備することで部下は仕事を進めやすくなります。

組織化

組織化とは、目標達成に向けて必要な仕事や意思決定を分類することです。仕事は業務内容で分類し、業務を遂行する人の人選と組織体制の整備を実施します。進捗状況や仕事の割り振りを管理する責任者も置き、迅速かつ正確な意思決定を行います。

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指導・育成

部下が意欲的に仕事ができるように、自分で問題点を意識して改善できるようにします。効果的な人材育成を実現するには、部下の業務内容や進捗状況を正確に把握しなければなりません。

状況を理解した上で悩みを聞き出し、適切な対処方法の提案やアドバイスをします。アドバイスをする際には、自身の考えを押し付けず自主的に成長できる環境づくりが必要です。

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評価・フィードバック

目標達成の状況や仕事の成果・取り組み方など、部下の働きを定期的に評価する場を設けましょう。部下の仕事ぶりを評価することで、モチベーションアップや信頼関係の構築につながります。

また、改善点の指摘や課題解決に必要な行動の提示も重要です。適切なフィードバックを行うことで、部下は進むべき方向性や自身の役割を正確に把握できます。

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マネジメントに必要な能力やスキル

マネージャーには主に4つのスキルが求められています。

  • 意思決定能力
  • コミュニケーションスキル
  • 分析スキル
  • 管理能力

現時点ですべてのスキルがなくても問題ありません。ただしマネジメント能力を高めるには、どのような能力が必要かを知っておくべきです。自分が不足している能力やスキルは、実務経験の中で磨いていきましょう。

意思決定能力

マネージャーは、状況に応じて意思決定を下す能力が求められます。なぜなら、重要な局面で意思決定を求められる機会が多いからです。関係者が多くなるほど多くの意見が出るため、客観的に状況を把握し自分の考えを持って意思決定をしなければなりません。

優柔不断な姿勢は部下に不安や不信感を与えるためおすすめできません。その場で結論が出せない場合には、意思決定の期限を延期するといった冷静な判断力も求められます。

コミュニケーションスキル

多くの方とスムーズに意思疎通するには、優れたコミュニケーションスキルが必要です。組織全体の方針を理解しつつ、現場で働く従業員へ方向性を正確に伝えなければなりません。

また部下が相談や報告をしやすい環境を作るには、相手の考えを理解する姿勢が求められます。状況や課題を理解せず自身の考えを主張しては、部下からの信頼は得られません。相手の考えを尊重しつつ、話を聞く姿勢が大切です。

分析スキル

企業経営に関する最低限の知識は習得しておきましょう。ビジネスを取り巻く環境は急速なスピードで変化しており、変化に応じた柔軟な対応が求められています。客観的な視点に基づき、現状を冷静に分析する力が必要です。

組織の成果をあげるには、自社の経営資源や経営課題を把握しておかなければなりません。また技術やノウハウ・競合他社の状況など、自社の資産とリスクを評価する視点も必要です。PDCAを回しながら、データを中長期で分析できるスキルが求められます。

管理能力

組織を率いるマネジメントにおいて、管理能力も必要なスキルです。「目標達成に向けた組織運営」や「品質向上のために仕事の基準を高いレベルに設定しているか」など、経営資源とタスク管理が求められます。

部下一人ひとりのパフォーマンスを最大化するには、適性に応じた人員配置が重要です。必要に応じて業務体制の変更や配置転換を行い、部下が仕事をしやすい環境を整えましょう。

マネジメントの具体的手法・役割別の種類

組織の階層別にマネジメント手法は3つに分類できます

  • トップマネジメント
  • ミドルマネジメント
  • ローアーマネジメント

組織力を向上するために、マネジメント手法の特徴を理解しましょう。

トップマネジメント

トップマネジメントとは、会長や社長・取締役などの経営層を対象にしたマネジメント手法です。経営方針や将来に向けてのビジョンを掲げ、組織の方向性を明確にします。経営戦略や事業方針を決定する役割も担っているため、組織への影響力も大きくなるでしょう。

また一つの意思決定が企業経営に大きな影響を与えるため、意思決定の責任も大きくなります。そのため、判断がブレない優れたリーダーシップや決断力が求められます。

ミドルマネジメント

ミドルマネジメントは、部長や課長・工場長などの中間管理職を対象にしたマネジメント手法です。経営層が下した方針や決断内容を正確に理解し、部下に伝えます。経営層と現場従業員をつなぎ、組織をスムーズに動かす重要な役割です。

立場の異なる方と意思疎通を図る機会が多いため、コミュニケーション能力や調整能力・指導力など、さまざまな能力が求められます。

ミドルマネジメント(中間管理職)とは?役割や課題・求められるスキル

ローアーマネジメント

ローアーマネジメントとは、係長や主任・グループリーダーなど現場をまとめる役職を対象としたマネジメント手法です。経営者層や中間管理職からの指示を正確に理解し、現場の活動に反映させます。現場の従業員をまとめる指導力や統率力が求められ、上層部の考えるビジョンの具現化を目指します。

マネジメントの種類一覧|必要なスキルや役割・課題を解決するポイントを解説!

マネジメント能力をさらに高める3つの方法

マネージャーのマネジメント能力を高めるには、主に3つのスキルを磨く必要があります。

  • アカウンタビリティスキル
  • アセスメントスキル
  • コーチングスキル

いずれのスキルも人材育成や組織力強化に大きく影響するため、しっかりと理解しておきましょう。

アカウンタビリティスキル

アカウンタビリティは、「説明責任」「説明義務」の意味を持つ単語で、アカウンタビリティスキルとは、指示内容や現在の状況を相手に具体的に分かりやすく伝えるスキルです。伝えたい情報を相手が正確に理解するまで、繰り返し説明することが求められます。

とくにトラブルや緊急の対応が必要な場合は、正確でわかりやすい指示を送れるかが非常に重要です。指示内容があいまいだと対応が遅れ、事態の収拾に多くの時間がかかる可能性があるからです。アカウンタビリティスキルは、相手に分かりやすく説明できる能力が身につきます。

アセスメントスキル

アセスメントスキルとは、部下の能力や勤務態度・行動傾向など部下のスキルや性格を把握するスキルです。部下の能力を最大限引き出すために必要で、アセスメントスキルがないとパフォーマンスの向上や効果的な人材育成は不可能です。すべての能力が高い人材はほとんどいません。チーム全体で個々の短所を補い、長所を発揮しやすい環境を整備することが求められます。

たとえば、コミュニケーションが苦手でも資料作成が得意な従業員がいたと仮定します。このような場合には、コミュニケーション能力に優れた方と役割を分担すれば個々の長所を活かすことが可能です。部下の適性を把握するには、仕事に取り組む姿勢や普段の行動の観察が重要です。

また1on1ミーティングを行い部下のヒアリングすると、考え方をより深く理解できます。

コーチングスキル

コーチングスキルとは、部下の能力やモチベーションを最大限引き出し自発的な成長につなげるコミュニケーションスキルです。コーチングは主に3つの考えに基づき、実践していきます。

  • 答えは一人ひとりの心の中にある
  • 人間の可能性は無限にある
  • 相手(部下)が答えを見つけるためのサポートに徹する

この3つの考えを意識しつつ、対話や質問・提案を交えて課題解決や目標達成を目指します。コーチングスキルは、マネジメントで最も重要なスキルです。部下の成長は組織力の強化に直結するため、マネージャーにはコーチングスキルが求められています。

新たにマネージャーを選任する場合も、一定水準以上のコーチングスキルを備えた人材を選びましょう。コーチングスキルがない人材にマネージャーを任せると、組織の停滞や従業員のモチベーションが低下する可能性があります。

人材育成に必要なスキル7つのスキル|重要なポイントと課題を解説

マネジメントをする上でよくある課題

社内にいる従業員ごとに適正や性格、年齢などが異なり、風土や職種も企業によって異なるため、マネジメントをする上では様々な課題が出てきます。

ここからはマネジメントをする上でよくある課題について紹介していきます。

部下とのコミュニケーションがうまくできない

部下とのコミュニケーションに難を抱えており、うまくマネジメントができないという課題も多くあります。マネジメントする部下によってスキルや性格、適正などが異なるためです。

また、年齢やバックボーンも異なるので、年上の部下や全く異なる経歴の部下などもマネジメントの対象となるため、接し方も考えなければなりません。

コミュニケーションの向上は急に良くなることではないため、1on1の実施やコミュニケーションツールなどを活用して徐々に改善していく必要があるでしょう。

部下をマネジメントする秘訣!必要なスキルや方法・注意点

マネージャーへの負担が大きい

マネジメントするマネージャーの業務量が膨大になってしまい、うまくマネジメントが機能しないというのも課題の一つです。

マネジメントに埋もれてしまい実務に回す時間がない、うまく指示ができずに結局自身でこなしてしまうなどをはじめ、成果を出さなければならないというプレッシャーも抱えてしまうケースもあります。

マネージャー自身で解決できる範囲には限界があるため、会社側でもフォローを実施するなど、負担が大きくなりすぎないようにする働きかけが大切になるでしょう。

人材不足・人手不足の原因とは?解決策や解消した事例を紹介!

マネジメントの意味や目的を押さえておこう

マネジメントは、組織の掲げる目標達成のための管理手法です。多くの成果を獲得するには、従業員の能力を最大限に引き出すことが求められます。マネージャーは個人の目標設定や動機付け・定期的なフィードバックなど、仕事への積極性を高める指導が必要です。

またマネジメントスキルを高めるには、コーチングやアカウンタビリティ・アセスメントスキルの向上が欠かせません。部下の考えや価値観を尊重しつつ、答えを見つけるまで必要なサポートをする姿勢が求められます。

本記事で紹介したマネジメントの目的や役割・業務内容を参考にして、部下との信頼関係を構築していきましょう。

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ビズクロ編集部
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