人手不足倒産はなぜ起きる?増加する原因や避けるための方法を解説

2023/07/10 2023/07/10

組織・マネジメント

人手不足倒産とは

昨今深刻化している、「人手不足による倒産」。幅広い業界・業種で問題になっていますが、人手不足倒産がおきる原因とは何でしょうか。本記事では、人手不足倒産はなぜ起きるのか?人手不足倒産が増加する原因や増加している業界、倒産を避けるための方法等を詳しく解説します。

人手不足による企業倒産の現状

人手不足倒産とは、企業が事業を行うために必要な人手を確保できず、事業が破綻して、倒産してしまうことです。

株式会社帝国データバンクによると2023年4月における人手不足倒産の件数は、2013年に集計を開始してから最多の30件でした。

[出典:株式会社帝国データバンク「倒産集計一覧 2023年 4月報」]

2023年5月、新型コロナウイルスの感染症の感染症法上の位置付けが「5類感染症」になったことを受け、今後は各業界において、あらゆる経済活動が急激に回復していくことが予想されています。そのため、人手不足のリスクはさらに高まり、人手不足倒産が増える可能性は高いと考えられています。

人手不足倒産が増加している業界

企業全体の動向を見ると、人手不足倒産が増加傾向にありますが、業界ごとに見ると深刻さが異なります。ここでは、特に人手不足倒産が増加している業界について紹介します。

運輸・郵便業界

運輸・郵便業界における人手不足の原因は、以下のとおりです。

  • 給与や福利厚生が良くない
  • 長時間で不規則な労働である
  • 荷物運搬などの力仕事がある
  • 人材の高齢化が進んでいる
  • 業界に3K(きつい・汚い・危険)のイメージがある
  • デジタル化が遅れ生産性が低い

これらに加えて、ECサイトの普及やコロナ禍におけるステイホームの影響などから宅配の物流量が増加していることも人手不足に拍車をかけた原因とされています。

医療・看護・福祉業界

医療・看護・福祉業界における人手不足の原因は、夜勤などがあり勤務が不規則であること、緊急時対応・長時間勤務により業務がハードであることなどです。

超少子高齢化社会の進行により介護需要は、今後もますます高まると予想されており人手不足はさらに深刻化すると考えられています。

建設業界

建設業界における人手不足の原因は、以下のとおりです。

  • 人材の高齢化
  • 業界に対する3K(きつい・汚い・危険)のイメージ
  • 長時間労働
  • 資材の運搬などの力仕事
  • 労働内容に見合わない低い給与水準

人手不足でありながらも、建設需要は拡大しているため、さらに従事者の負担は大きくなっており、離職率も高まっています。

宿泊・飲食サービス業界

宿泊・飲食サービス業界は離職率が高く、人材が定着しにくいと言われています。その原因は、長時間労働で不規則なシフトや、少ない休日などの勤務体系でありながら、低賃金であることです。特に、深夜勤務、年末年始勤務などがある点も敬遠されています。

また、アフターコロナにより、宿泊や飲食の需要が復活してきたことも、人手不足を加速化させています。

人手不足倒産の種類

人手不足倒産には、主に4つの種類があると言われています。従業員退職型、後継者難型、求人難型、人件費高騰型それぞれについて解説します。

従業員退職型

従業員退職型の人手不足倒産とは、従業員が退職することによって人手不足になり、引き起こされる倒産のことです。退職の理由は、定年、結婚、育児、介護、労働条件への不満などさまざまなものがあります。

従業員が退職しても、新しい人材を採用できればよいのですが、企業の採用枠に対して求職者数が少ない「超売り手市場」と言われる現状では、新規採用も容易ではなく、倒産してしまう企業が少なくありません。

特に、事業の中核を担う社員や幹部が退職すると、経営に大きなダメージが与えられてしまいます。

また、従業員退職型は、退職が連鎖しがちであるといった特徴もあります。退職者の担当していた業務を、残された従業員が担うことになると、負担が増幅し、さらなる離職を招く可能性があるのです。

後継者難型

後継者難型の人手不足倒産とは、経営者が引退する際に、後継者が見つからないことによって引き起こされる倒産のことです。

経営者が高齢になったり、入院したり、亡くなったりした際に、事業を引き継いで経営に携われる人材が育っていなければ事業継続は困難になります。

後継者が見つからない理由はいくつかあります。第1に、親族内継承が減少し親族外から優秀な人材を探す傾向があることです。第2に、少子化により労働者が減っていることも挙げられます。第3に、事業継承を早期から進めていないことです。

後継者難型の人手不足倒産は、経営者によるワンマン経営の企業、負債が多く後継リスクの高い企業などに発生しやすいと言われています。

求人難型

求人難型の人手不足倒産とは、人手不足を解消しようとして募集したものの、人材が集まらずに引き起こされる倒産のことです。

全国的に人手不足が常態化しているなかでは、求職者側が優位な状況が続いており、特に離職率の高い業界が採用活動を行った場合には、求職者からの応募すら獲得するのが困難であると言われています。

また、即戦力となるような優秀な人材を求めている場合にも、なかなか採用が進まないケースもあります。まずは人材を採用して、自社で育成する体制を整えなければ、求人難からは抜け出せません。

人件費高騰型

人件費高騰型の人手不足倒産とは、人件費が高騰し、収益が悪化して引き起こされる倒産のことです。

先の通り、近年は、人手不足により、働き手の売り手市場となっています。最低賃金が年々上昇しているほか、採用側の需要が、労働力の供給を上回っている背景もまた、人件費高騰の要因のひとつとなっているのです。

人件費を下げることは困難であるため、利益の減少に歯止めをかけるためには、デジタル化を進めるなど何らかの方法で生産性を向上させなければなりません。

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人手不足倒産が増加する原因

なぜ、人手不足倒産が増加しているのでしょうか。対策を講じるためには、原因を把握しておかなければなりません。人手不足倒産が増えている3つの原因を解説します。

労働人口が減少しているため

少子化が進行しているため、日本の人口そのものが減少しています。また、高齢化も進んでおり労働者数も減っています。

今後もますます超高齢化社会になっていくこと、それだけでなく、労働人口の中で大きな割合を占めていた団塊世代の現役引退が進んでいることなどから、労働人口の減少はさらに深刻化するとされています。

働き方が多様化しているため

かつてはひとつの企業に勤めつづける「終身雇用」が一般的でしたが、最近では、フリーランスや起業など自由な働き方を求める人が増えてきています。

また、社員が自らのキャリアを含めたライフプランのために、離職したり転職したりするのも当たり前の時代になりました。同時に、新卒を採用するのが主流だった企業側も、他社・他業種での経験を持つ転職者を積極的に受け入れるケースが増えてきています。

働き方の多様化や、雇用そのものに対する意識の変化などから、人材の流動化も進んでいるため、長期的に安定した人材を確保することが難しくなっているのです。

人材の定着・育成に関する対策をとっていないため

人材採用に力を入れて人材を獲得したとしても、定着しなければ、再び採用活動を行わなければならず、その場合、採用や新人教育にかかるコストが二重に発生することになります。

それだけではなく、新入社員の教育を担う従業員においては、一定期間、育成のために時間と労力を費やすことになり、そのような業務負担を原因として、さらに退職者が出てしまうケースもあるでしょう。

また、新入社員だけでなく、既存の社員に対しても、公平な評価制度や、社員自身が希望するキャリアにそったスキルアップの機会提供などにより、働きがいや自己成長を実感できる環境を用意することで定着を促す必要があります。

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人手不足倒産を避けるための方法

企業が人手不足倒産を避けるためには、どのような対策を講じればいいのでしょうか。人手不足倒産を避けるための方法を紹介しますので、しっかりと理解して実行しましょう。

労働環境を整える

人手不足倒産を避けるためには、従業員の労働環境を整えることが重要です。具体的には、福利厚生の充実、有給休暇の取得率向上への取り組み、業務のフォロー体制の構築、社内コミュニケーションの活性化、ハラスメント防止対策、フレックスタイム制やリモートワークの導入などが考えられます。

また、経営者が従業員の声に耳を傾ける姿勢も必要です。経営者は現場の様子を把握して経営に活かせるでしょう。また、従業員としては経営者が直接話を聞いてくれることによって、企業組織の一員である自覚が高まります。

人材アセスメントとは?導入するメリットや流れ・具体的な手法を解説!

採用力を向上する

採用方法の多様化は、採用力を向上させるための効果的な手段のひとつです。

具体的には、自社の採用要件に合った人材を確保するために、企業が主体的に人材を探してスカウトする「ダイレクトリクルーティング」という方法のほか、自社の従業員から知人を紹介してもらう「リファラル採用」などが注目されています。

特に「リファラル採用」はマッチング率の高い人材を、採用コストを抑えて獲得できることなどから導入する企業が急増している採用方法です。

女性・高齢者・外国人労働者を雇用する

人手不足倒産を回避するために、女性、高齢者、外国人労働者を積極的に雇用することも有効な手段です。

柔軟な働き方の推進によって、ライフステージの変化の影響を受けやすい女性においても長く働ける環境を整えること、また、健康寿命が延びたことにより、元気に活躍できるシニア世代も増えています。このような多様な人材の雇用は、人手不足解消に寄与するだけではなく、企業のダイバーシティマネジメントの実現にもつながるでしょう。

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働きやすい環境をつくり人手不足倒産を回避しよう

人手不足倒産の増加は、業界に特有の事情などから、特に運輸・郵便業界、医療・看護・福祉業界、建設業界、宿泊・飲食サービス業界において顕著であると言われています。

人手不足倒産が増加する主な原因には、労働人口の減少、働き方の多様化、人材の流動化などが挙げられているため、労働環境の改善、新たな採用方法の導入、多様な人材の雇用は、いずれも人手不足を解消する有効な手段となるでしょう。

人手不足が深刻な課題となってしまう前に、従業員が働きやすい環境づくりを推進するとともに、改めて組織における人材マネジメントを見直し、人手不足倒産を未然に回避することが大切です。

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