組織崩壊はなぜ起きる?崩壊の前兆や立て直すための方法を解説

最終更新日時:2024/04/16

組織・マネジメント

組織崩壊

組織の崩壊は、事業停滞や業績悪化を引き起こすため、避けなくてはなりません。ただし、崩壊前は何かしらの兆しが表れると言われており、適切な対処を行えば立て直すことが可能です。本記事では、組織崩壊の前兆や組織を立て直すための対策方法について解説します。

この記事の要約

・組織崩壊とは、企業が組織としての機能を失ってしまい、目標や目的を達成できなくなる状態のこと
・組織崩壊は突然起きることではなく、複数の要因が絡み合って時間をかけて起こる
・組織崩壊が起こりやすい企業の特徴としては、従業員・リーダーの責任感が低い、労働環境や社内の風通しが悪いなどの特徴がある

組織崩壊とは?

組織崩壊とは、企業や団体などが組織としての機能を失い、目標を達成できなくなった状態を指します。組織の一部または全体が適切に働かなくなると、結果的に業績や生産性が低下し、組織全体の信頼や価値が著しく損なわれる可能性もあるでしょう。

一般的に、組織崩壊は突然起こるものではなく、複数の要因が組み合わさって時間をかけて進行する傾向にあります。

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組織崩壊が起こる組織の前兆

組織崩壊が起こる組織では、必ず何らかの前兆が現れます。組織のリーダーやマネージャーは、これらの前兆を見つけて対処することで、組織崩壊を防ぐことが可能です。ここでは、組織崩壊が起きる職場の典型的な前兆について詳しく説明します。

優秀な社員の退職が増える

組織崩壊が起こりかけている職場では、優秀な社員の退職が増えることがあります。

現場で働いている社員は、職場が崩壊しつつあることを感じ取っているものです。そのまま問題点が改善されなければ、将来性を感じることができず離職を考える社員も出てくるでしょう。

とくに、すぐにでも転職できてしまうような能力の高い社員は、会社にしがみつく必要がないため、早めにその職場から離れようと転職を考える傾向にあります。

このように優秀な人材の退職が続けば、仕事の正確性やスピードが低下し、会社の業績にも影響を与えることが考えられます。

コミュニケーション機会が少なくなっている

明らかに組織内のコミュニケーションが少なくなっていると感じられる場合も注意が必要です。

このような状態が続くと、職場の雰囲気や人間関係の悪化につながるだけでなく、社員間の連携が取れなくなり、仕事の生産性に関わります。また、指揮系統の乱れが生じたり、組織としてのチームワークが損なわれる可能性もあるでしょう。

その結果、職場の秩序が失われ、不正行為など大きな問題が発生した際の対応が難しくなることも考えられます。これらの問題が解決されない場合、最終的に組織崩壊が起こっても不思議ではありません。

顧客や取引先からの支持が得られなくなる

組織崩壊が起こりかけている企業は、顧客や取引先からの支持が得られなくなることがあります。たとえば、退職者が増えているような職場では、人手不足に陥ってしまい顧客に対して満足のいくサービスを提供できなくなるといったことが考えられるでしょう。

また、コミュニケーションの低下によって情報伝達がスムーズにいかない場合も、顧客や取引先とのトラブルやクレームに発展することがあります。

このような事態が続くと会社への信頼が失われてしまい、顧客離れにつながる可能性も否定できません。

良くも悪くも影響力のある社員が入社する

会社という組織では、ときに突出して優秀な人材や振る舞いに問題を抱えた人間が入社してくることもあるでしょう。このような人材が入ってきたからといって、必ずしも組織崩壊が起こるとは限りませんが、警戒するべき要素ではあります。

なぜ、このような影響力のある社員の入社が組織崩壊につながるのでしょうか。それは、優秀な社員ばかり評価されることにほかの社員が嫉妬したり、周囲のモチベーションが低下してしまうことが考えられるためです。

一見、突出した優秀な社員は組織にいい影響をもたらしそうですが、社員同士の対立を招くことにつながる点には注意が必要です。

組織崩壊が起こりやすい組織の特徴

組織崩壊が進行しやすい組織には、いくつかの特徴が見られます。ここでは、その特徴について詳しく見ていきましょう。

社員の責任感が低い

社員の責任感が低い職場は組織崩壊のリスクが高くなります。社員の責任感の低さの原因としては、業務における権限の範囲が明確でないことが挙げられます。なにかトラブルが発生した際に、社員同士で責任を擦り付け合うような状況では、責任感を持った人材は生まれないでしょう。

責任感に欠けた社員がいると、対処すべき問題を放置して大きなトラブルへと発展してしまうことがあります。また、そのような状況を見て重要な業務に就くことに対して消極的になるという、負の連鎖が起こることもあるでしょう。その結果、組織全体のパフォーマンスが低下し、組織が崩壊することにつながります。

スキル・責任感が低いリーダーがいる

スキルや責任感が低いリーダーがいる職場は、組織崩壊のリスクが高まります

リーダーの役割のひとつとして、組織の目的を掲げて明確な意思表示をすることが求められます。そこで適切な判断ができなければ、チームの目標が定まらず、メンバーは不安を感じてしまうでしょう。

また、誰かがミスをしたときに責任を押し付けるようなリーダーでは、メンバーからの信頼を得ることができません。この状態が続くと、そのような人材をリーダーとして選んでいる組織全体への不信感につながることもあります。

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社内の風通し・雰囲気が悪い

社内の風通しや雰囲気が悪い職場も注意が必要です。社内の雰囲気が悪くなる原因はさまざまですが、主に社員同士のコミュニケーション不足や、職場内の人間関係の悪化などが挙げられるでしょう。

社内の風通しや雰囲気の悪さは、すぐに表面化するわけではありません。そのため、職場の雰囲気が悪いと感じたら組織体制の悪化が進んでいることも考えられます。

このような環境では社員の成長が見込めないだけでなく、離職者が増えて人材不足に陥る可能性もあるでしょう。

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残業が多いなどの労働環境が悪い

あまりにも残業時間が多すぎるなど、労働環境が悪い場合も組織崩壊が起こりやすくなります。

毎日のように長時間の残業が続く労働環境では、業務効率や社員のモチベーション低下につながります。また、疲労とストレスの蓄積によって健康が損なわれたり、精神的な不調をきたす社員も出てくるでしょう。

このような状態を放置してしまうと、休職や離職をする社員が増えてしまうかもしれません。その結果、ますます一人当たりの仕事量や残業時間が増えるという悪循環に陥ってしまいます。

マニュアルに対して過剰に依存している

組織が過度にマニュアルに依存することも問題となります。業務をスムーズに行うためには、マニュアルを活用することも重要ではあるものの、マニュアルばかりに頼ってしまうと柔軟性が失われ、変化に対応する能力が低下します。

新しい問題や状況に適応するためには、柔軟な思考と行動が必要です。マニュアルに依存しすぎることで、社員の自発的な行動を制限することにつながり、モチベーションを低下させる可能性もあります。その結果、組織崩壊が進行してしまうこともあるでしょう。

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組織崩壊がもたらす影響やリスク

組織崩壊は、その組織と関わるすべての人々に大きな影響を与えます。その影響は即座に現れるものもあれば、時間を経てから明らかになるものもあるでしょう。ここでは、組織崩壊がもたらす典型的な影響について詳しく説明します。

業績の悪化

組織崩壊は、企業の業績に大きく影響を及ぼします。社員の離職が続いて人手不足になると、これまでのように仕事が回らなくなってしまうことが考えられます。

その結果、顧客が満足するサービスの提供が難しくなったり、取引先とのトラブルが発生することもあるでしょう。

このような事態になれば会社への信頼は失われ、業績悪化を招きかねません。最悪の場合、倒産に陥ることも考えられます。

ブランドイメージの低下

内部に何らかの問題を抱えている場合、企業のブランドイメージにも影響するため注意が必要です。とくに昨今では、WebサイトやSNSを通じて職場の評判が広まることがよくあります。

就職や転職を考えている人は、その会社の評価をネットで調べることが多く、ネガティブな口コミが投稿されていれば採用に悪影響を及ぼすことがあるでしょう。

不祥事が発生するリスクの増加

組織の内部に何らかの問題を抱えていると、不祥事が起こるリスクが増加します。とくに、社内の風通しの悪さやモチベーションの低下が見られる組織では注意が必要です。

さまざまな問題があっても誰にも相談できないような職場では、品質や生産性の低下による不正やトラブルなどの不祥事が起こりやすくなるでしょう。

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組織崩壊を立て直すための方法

組織崩壊が進行した組織を立て直すためには、さまざまな施策を行う必要があります。ここでは、組織再建のための基本的なアプローチについてみていきましょう。

指揮系統を整理する

組織が崩壊する原因のひとつとして、指揮系統の乱れが挙げられます。そのため、組織再建の最初の一歩では、組織図を作るなどして指揮系統を整理し、メンバーそれぞれの役割を明確にすることが重要です。

すべての業務に担当者を決めることで、社員の責任感やモチベーションの向上につながるでしょう。

働きやすい職場環境を整える

職場環境の改善は、社員の満足度や生産性を向上させる重要な要素です。労働時間、勤務条件、職場の設備など、社員が働きやすい環境を作ることを心がけましょう。それにより、社員の離職率を低下させ、組織の安定化を図ることが可能です。

コミュニケーションを活性化させる

社内のコミュニケーションを活性化させることも大切です。具体的には、コミュニケーションの基本とも言える挨拶を徹底したり、チャットツールを利用したりして、立場に関係なく気軽にコミュニケーションを取れるような環境を整えましょう。

こうして心理的安全性が高まれば、社員同士の情報交換が円滑に行われるようになり、問題が起きた場合でも早い段階で対応が可能になります。

モチベーションが高まる制度を設ける

組織再建のためには、社員のモチベーションを高め、積極的に業務に取り組むよう促すことが重要です。効果的な施策としては、給与などの待遇についての見直しや、特別休暇などの福利厚生制度を充実させることなどが挙げられます。

また、新規事業や新しい制度のアイデアを募集するといったコンペ形式の社内イベントを開催するのもおすすめです。

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人事評価制度を見直す

人事評価は社員のモチベーションに大きく影響するものです。そのため、社員にとってわかりにくかったり、公平でないと感じられる評価制度は見直す必要があります。シンプルでわかりやすく、成果を公平に評価される制度であれば、社員の納得感は高まり、組織への信頼感も向上するでしょう。

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組織崩壊を防ぐには兆候を早期発見して立て直しをするのが重要

組織崩壊は、ある日突然起こるものではありません。その前兆を早期に把握し、適切な対策を講じることで防ぐことが可能です。本記事を通じて、組織崩壊について理解を深め、職場環境を見直していきましょう。

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