経理アウトソーシングとは?メリット・デメリットと外注先を選ぶコツ
経理業務の一部または全部を外部企業に委託できるとして注目されている経理アウトソーシングは、専門知識を持つ人材が多数在籍しており、即戦力の働きが期待できます。 「経理アウトソーシング」を利用するうえで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、経理アウトソーシングのメリットやデメリット、外注先を選ぶコツなどについて解説します。
目次
経理アウトソーシングとは?
「経理アウトソーシング」とは、経理業務の一部または全部を外部に委託することをいいます。経理アウトソーシングサービスを提供する企業には、豊富な実務経験や優れたスキルを持つ人材が多数在籍しています。
新たに人材を採用せずに、さまざまな経理業務を委託することができるため、業務の効率化やコスト削減などにつながるとして、現在注目が高まっています。
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経理アウトソーシングの種類
経理アウトソーシングには、派遣型・リモート型の2種類に分類できます。
派遣型
「派遣型」は、外注先に在籍する人材を自社へ派遣してもらうタイプです。派遣型のメリットは、コミュニケーションが取りやすい点です。対面で会話しながら進捗状況や成果物を直接確認できるため、早期に担当者と信頼関係を築けます。
また、外部に情報を公開する必要もないため、情報漏洩のリスクを削減できる点も魅力です。半面、業務量や進捗状況を問わず、担当者を一定時間拘束するため、リモート型と比べると、費用が高くなりやすい傾向にあります。
ただし、外注先の担当者への依存度が高くなると、不在時への対応や引継ぎが難しくなり、業務の属人化が発生しやすくなる点には注意が必要です。
リモート型
「リモート型」とはオンライン上でデータを共有し、外注先の担当者にリモートで業務を進めてもらうタイプです。コロナやリモートワークの普及に伴い、リモート型のアウトソーシングは増加しています。
リモート型のメリットは、業務の対応漏れが発生しにくくなる点です。リアルタイムで進捗状況を共有できるため、一目で進捗状況を把握できます。この業務プロセスの可視化によって、業務の属人化や不正行為の発生も避けられるでしょう。
ただし、サービスを利用する前には事前準備が必要です。外注先の担当者はオフィスに出社せず、ビジネスチャットなどでのやりとりが基本となります。外注先の担当者が混乱しないよう、依頼する業務内容や業務マニュアルは事前にまとめておき、指示も具体的かつ明確に行わなければならないでしょう。
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経理アウトソーシングの主な外注先
それでは、実際に経理アウトソーシングを利用する場合には、どこに依頼すればよいのでしょうか。経理業務を委託できる外注先は以下の3つです。
- アウトソーシングサービス会社
- 会計事務所や税理士事務所
- クラウドソーシング経由のワーカー
それぞれのメリットとデメリットを理解し、外注先を選定することが重要です。これから詳しく見ていきましょう。
アウトソーシングサービス会社
「アウトソーシングサービス会社」とは、アウトソーシングサービスを専門に提供する企業を指します。経理以外の業務も委託できる点がメリットで、労務管理や営業事務、採用など、バックオフィス業務全般を委託できるため、経理業務以外にも委託したい業務がある場合には、検討するとよいでしょう。
また、優れたスキルを持つ人材が多数在籍しており、決算書の作成や確定申告書の補助業務など、専門的な知識が求められる業務も依頼できます。「税理士」や「会計士」が在籍していれば、申告業務も委託できるでしょう。なお、税理士事務所や会計事務所と比べ、費用を抑えられる点も魅力です。
ただし、近年では「オンラインアシスタント」と呼ばれるリモート型のサービスを提供する企業も多いため、この場合にはビジネスチャットの導入やそれに伴う業務プロセスの見直しなど、利用開始前に事前準備が必要となります。
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会計事務所や税理士事務所
会計事務所や税理士事務所にも、経理業務の代行を依頼できます。どちらも豊富な専門知識を持っているため、記帳や仕訳だけでなく、申告業務まで安心して任せられます。
節税対策や資金調達、その他補助金や助成金のアドバイスを受けられる点も魅力です。そのため、比較的小規模な企業や個人事業主にとっては、頼りになるパートナーになってもらえる場合も多いでしょう。
ただし、少人数の事務所も多いため、繁忙期や急激な業務の追加については対応が困難となる点はデメリットです。
また、他の外注とと比べて費用が全体的に高くなるので、費用を重視する場合には向かないでしょう。
クラウドソーシング経由のワーカー
最近、クラウドソーシング経由で経理業務を委託するケースも多くなってきています。具体的には、仕事の「依頼者」と「受注者」をつなぐ「クラウドソーシング」のサイトなどで依頼者が仕事を受注してくれるワーカーを探すというものです。
ワーカーがフリーランスであれば、広告宣伝費や管理費用などの諸経費が抑えられるため、費用も他の外注先と比較すると安く済む点が最大のメリットです。
また、クラウドソーシングには会計事務所や税理士事務所で勤務した後、フリーランスで働く者など、優秀なワーカーが多数登録しています。自身の目で優秀なワーカーを選べるのは魅力ですが、一方で期待通りのパフォーマンスが得られない可能性もあるため、選ぶ際には注意が必要でしょう。
ただし、必要なタイミングで必要な仕事を少量から経理業務を委託できるため、スポットで依頼したい場合に利用するのがおすすめです。
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経理アウトソーシングに注目が集まる理由
このように、経理アウトソーシングが注目されている理由としては、主に以下の2つが挙げられます。
- 少子高齢化などによる人材不足解消のため
- 効率的な経営が重要視されているため
それぞれ詳しく解説します。
少子高齢化などによる人材不足解消のため
人材不足の解消を目的に、経理アウトソーシングを利用する企業が現在増えています。経理業務は金銭を扱う重要な業務のため、誰にでも任せられる業務ではありません。
しかし、少子高齢化や安定志向の高まり、フリーランスへの転向などによって、市場での即戦力人材の獲得は難しい状況です。そこで、経理アウトソーシングを利用すれば、自社で採用活動や教育・育成を行うことなく優秀なスキルや豊富な実務経験を持つ人材に経理業務を依頼できます。
効率的な経営が重要視されているため
市場競争の激化や顧客の購買行動の変化によって、新規顧客獲得にかかるコストは年々増大しています。
そのため、現在、売上につながるコア業務へのリソース集中がより求められ、企業経営を安定させるために、ノンコア業務にかかるコスト削減が重要視されています。
経理アウトソーシングを利用すれば、優秀な人材が在籍する外注先に多くのノンコア業務を依頼できるため、業務のやり方を細かく教える必要がなく、正確かつスピーディーに業務を遂行することができます。
また、サービスを利用し続ける限り、一定の業務品質が保たれるため、属人化も防止できる上に、新たに人材を雇用する必要もなく、効率的に業務を行うことが可能です。
コスト面についても、委託した期間だけ料金が発生するため、毎月支払う人件費などの費用も削減できます。業務量や稼働時間に応じて料金プランを選択できるサービスも多く、無駄な費用の支出も避けられ、コスト面についても効率化できるでしょう。
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経理アウトソーシングで委託できる業務一覧
いろいろな経理業務を委託できる経理アウトソーシングですが、具体的にどういう業務を委託できるのでしょうか。経理アウトソーシングを利用すると、主に以下の業務を外注先に委託できます。
- 記帳代行
- 給与計算、年末調整、社会保険料の納付
- 経費精算、現金出納管理
- 請求書発行、売掛金管理、売上計上
- 支払業務、買掛金管理、費用計上
- 入金確認
- 決算業務
- 申告業務
外注先によっては、他のバックオフィス業務も依頼できたり、経理業務の中でも特定業務しか対応できない場合もあるため、外注先の対応業務を確認することはとても重要です。
経理アウトソーシングにかかる費用相場
経理アウトソーシングの費用相場は、委託する業務内容によって当然変動します。例として、以下3つの業務を委託した場合の費用相場を順に紹介します。
- 記帳業務を委託した場合
- 給与計算を委託した場合
- 決算業務を委託した場合
記帳業務を委託した場合
記帳代行は仕訳する伝票の数によって、料金が変動するのが特徴です。料金は1仕訳あたり50〜150円が相場です。例えば、1ヶ月で処理する仕訳数が100の場合、月額費用は5,000〜15,000円となります。
取引数が多い大企業の場合、数万円が毎月発生することになるでしょう。
▷経理代行と記帳代行の違いとは?メリット・デメリットや料金相場を解説
給与計算を委託した場合
給与計算は従業員数×単価で算出します。1人あたり1,000〜2,000円が相場で、年末調整も含めて依頼する場合は、1人あたり2,500〜4,000円が相場となります。
たとえば、従業員数が100人だったとしましょう。給与計算のみを依頼した場合、毎月10〜20万円を外注先へ支払います。年末調整を含めて依頼する場合は、毎月25〜40万円の費用がかかります。
決算業務を委託した場合
決算業務は外注先に依頼する業務内容によって費用が変動します。決算書の作成や法人税の申告を依頼した場合、5〜20万円が相場となります。税理士や会計士に依頼した場合、15〜25万円が相場です。
また、年末調整の手続きに必要な各種書類の作成も依頼した場合、追加で10〜20万円の費用がかかります。
経理アウトソーシングを導入するメリット
経理アウトソーシングを導入すると、人材不足の解消や経営の効率化につながりますが、経理アウトソーシングの導入によって得られるメリットとしては、主に以下の5つがあります。
- コア業務に専念できる
- 採用するよりもコストを削減できる
- 属人化の防止につながる
- 不正の防止につながる
- 法改正に素早く対応できる
一つひとつ確認していきましょう。
コア業務に専念できる
経理アウトソーシングを導入するメリットは、コア業務へ集中できる点です。経理業務の場合、決算業務や予算管理、経営戦略立案などがコア業務に該当します。
一方、ノンコア業務とは企業運営に欠かせない業務である一方、直接利益を生み出さない業務でであり、経理業務においては、請求書作成や経費精算、給与計算などが該当します。
自社の従業員以外が作業をおこなっても、企業運営に影響しないため、ノンコア業務を外注先へ依頼すれば、担当者の業務負担を軽減できます。そしてその軽減できた時間を予算管理や経営状況の分析などのコア業務に活用できるようになり、経営課題をより正確に把握できるようになるでしょう。
採用するよりもコストを削減できる
経理アウトソーシングサービスを提供する企業には、優れたスキルを持つ優秀な人材が多数在籍しています。そのため、スキルや経験の乏しい自社の社員よりも効率的かつスピーディに業務を行うことができ、かつ高品質な成果物も期待できます。
また、サービスを利用している限り、安定した品質が期待できるだけでなく、新たに人材を雇用する必要もないため、採用にかかる費用や人件費を削減できます。また、業務の流れや進め方も熟知しているため、教育コストも削減できるという点もメリットです。
属人化の防止につながる
経理業務は専門的な知識を求められるケースが多く、誰にでもできる業務ではありません。
また、金銭を扱うため、信頼できる社員へ依存する傾向が強くなります。業務負担軽減に向け新規採用を検討したとしても、少子高齢化や安定志向の高まりなどが原因で、即戦力となる人材の獲得は簡単ではありません。
また、経理アウトソーシングを導入すれば、優秀な人材に業務を委託できるため、特定の従業員へ過度に依存する事態を避けられます。業務プロセスの再構築や会計ソフト導入など、業務標準化に向けた提案も受けられたり、経理体制も見える化できるため、業務の属人化も解消できます。
経理社員の退職や休暇などが生じた場合にも、スムーズに引き継ぎでき、業務を遅滞することなく進められるでしょう。
▷経理業務が属人化しやすい原因とは?解消する方法やおすすめのソフト
不正の防止につながる
人的リソースが限られる企業の場合、経営状況やお金に関するデータを把握している人材はごく少数です。他の従業員はデータの内容を確認できないため、資金の管理権限が集中・属人化しすぎると横領などの不正やミスが起こる可能性が高まります。
その点、経理アウトソーシングを導入すると、自社のお金の流れを外注先の担当者と共有する形になります。不自然なお金の流れややり取りをすぐに発見できる体制を構築でき、不正への抑止力を高められ、ミスもすぐに発見し対応できます。
したがって、経理アウトソーシングは、会社を効率的かつ健全に運営する仕組みである「内部統制」にも役立つと言えるでしょう。
法改正に素早く対応できる
経理アウトソーシングを導入すると、法改正があった場合にも的確かつ迅速な対応が期待できます。経理アウトソーシングサービスを提供する企業は、法令違反を起こさないよう、常に最新の税制や社会保険に関する情報を収集・確認しています。
経理業務を自社だけで行う場合、担当者は通常業務をこなしながら、最新の法改正や動向などを常にチェックして情報収集し、法令違反にならないよう業務を遂行しなければなりません。時には、外部研修や勉強会に参加するなどして、改正点を正確に理解する必要もあるでしょう。
また、変更内容によっては、業務プロセスの変更やシステムの入れ替えやアップデートも必要となります。限られた時間内で対応しなければならない事項が多いため、例え対応できたとしてもケアレスミスの増加や体調不良のリスクも高まります。
しかし、経理アウトソーシングを利用すれば、法改正に適切に対応できることはもちろん、それに伴う業務負担をも軽減できます。これも大きなメリットと言えるでしょう。
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経理アウトソーシングを導入するデメリット
ここまで経理アウトソーシングを利用した場合のメリットについて紹介してきました。しかし、経理アウトソーシングはメリットばかりではありません。利用する前には、以下4つのデメリットが生じることも認識しておきましょう。
- 社内にノウハウを蓄積しにくく、業務のブラックボックス化を招く
- 人材が育たない
- セキュリティリスクが生まれる
- 事前準備が必要になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
社内にノウハウを蓄積しにくく、業務のブラックボックス化を招く
経理アウトソーシングを導入するデメリットは、第一に社内にノウハウを蓄積しにくくなり、業務がブラックボックス化するという点です。経理アウトソーシングを利用すると経理業務を外部に委託するため、どうしても自社の対応業務が減ってしまいます。
経理アウトソーシングへの依存度が高くなると、社内にノウハウを蓄積できないどころか、業務内容から処理方法、業務フローすら把握できなくなります。そして、万が一問題が生じた際にも自社で対応できなくなるでしょう。
ブラックボックス化を避けるためにも、担当者と定期的にコミュニケーションを図り、業務内容や業務の進捗状況を共有し把握することが重要です。また、業務マニュアルを作成して可視化することも有効でしょう。
人材が育たない
人材が育たなくなる点も経理アウトソーシングを導入するデメリットです。サービスを利用している限り、経理担当者は実務経験を積む機会が減り、業務遂行に必要なスキルやノウハウを全てを身に付けられません。
そのため、人材育成が思うように進まず、内製化に戻しても対応できないという状況になりかねません。業務効率化と人材育成を両立するためにも、依頼する業務内容を明確化し、業務フローのマニュアル化やノウハウを共有するなどの仕組みを作っておくことが重要でしょう。
セキュリティリスクが生まれる
経理アウトソーシングを導入すると、取引先や自社の経営状況などの機密情報や個人情報を外部に開示するため、情報漏えいなどのセキュリティリスクがどうしても生まれてしまいます。仮に取引先の情報や個人情報が流出した場合には、社会的信用の低下や企業イメージのダウンは避けられません。
取引先や顧客からの信頼を回復するには多くの時間が必要となり、多額の利益損失に悩まされるでしょう。情報漏えいを避けるためにも、Pマークを取得していたり、データの暗号化やモニタリング監視など、セキュリティ対策が万全で信頼できる企業を選ぶことが必要でしょう。
事前準備が必要になる
経理アウトソーシングを導入する前には、依頼する業務内容の明確化、業務プロセスの確認、課題の抽出など、さまざまな事前準備が必要です。外注先によっては、業務マニュアルや業務フローの作成も求められる場合もあります。
また、業務の進捗状況を報告する頻度や方法など、運用ルールに関しても事前に決めておかなければならず、サービスを開始するまでには、外注先と何度も打ち合わせを重ねる必要があるでしょう。
また、リモート型のサービスを利用する場合、連絡手段はビジネスチャットやweb会議になります。自社で利用していない場合、新たにツールを導入し、使用方法を覚える必要も出てくるでしょう。
▷経理アウトソーシングで失敗する原因・事例|失敗しないための秘訣を紹介
経理アウトソーシングの外注先の選び方
経理アウトソーシングサービスを提供する企業も利用する企業も年々増加しており、利用しやすい環境が整いつつあります。しかし、はじめて経理アウトソーシングを導入する場合、どのように選べばよいのかわからない方もいるでしょう。
経理アウトソーシングの外注先を選定する際には、以下4つの点を確認・検討して選ぶとよいでしょう。
- 依頼する業務範囲
- セキュリティ対策の内容
- コミュニケーションの取りやすさ
- 専門知識やスキルのレベル
順に詳しく解説します。
委託する業務範囲
外注先を選定する前に、まずは委託する業務内容を明確化することが重要です。委託する業務量が多いと業務負担は軽減できる一方、外注費用は高くなります。また、経理担当者が実務経験を積む機会も減るため、スキルや知識も習得しづらくなります。
そのため、まずは経理業務でどのような課題を抱えているか、可視化する作業が必要です。そして課題を把握した上で優先順位を付け、優先度の高い業務から限定して依頼しましょう。また、外注先がその業務に対応しているか、費用も含めて比較するようにして、費用の高騰を避けつつ業務の効率や改善を図るのが大切です。
なお、将来的に内製化を検討している場合、コンサルティング力に優れた企業を外注先として選ぶのも一つの選択肢です。業務のDX化や業務プロセスの見直しなど、業務の標準化に向けて提案を受けられるでしょう。
セキュリティ対策の内容
セキュリティ対策が充実した外注先を選ぶことも大切です。経理業務は機密情報や個人情報を多数扱うため、細心の注意が求められます。担当者のセキュリティに対する意識が低い場合や、セキュリティ対策が脆弱な場合、誤送信や操作ミス、不正アクセスなどによって重要な情報が漏えいする可能性が高まります。
情報漏えいを避けるためにも、担当者に情報セキュリティ研修がなされているか、データの暗号化やログデータの収集、ウイルス対策ソフトの導入の有無など、セキュリティ対策についても必ず確認しましょう。
特に、ISMSやISOなどを取得している企業を選ぶのは有効な方法です。どちらも国際規格のため取得していれば、第三者機関から情報セキュリティや機密情報の取扱いに関して評価されていると判断できます。また、秘密保持契約の締結が可能かどうかを確認することも重要です。
コミュニケーションの取りやすさ
コミュニケーションの取りやすさも重要なポイントです。特にリモート型の場合、ビジネスチャットなどテキストコミュニケーションでのやりとりが多くなります。対面での会話と比べると関係が薄くなりがちなため、密にコミュニケーションを取ることができる外注先を選ぶことも大切です。
また、「わかりやすい文章か」「レスポンスの速さ」など、チャットでスムーズにコミュニケーションをとれるかどうかも必ず確認しましょう。それには、無料トライアルを利用し、外注先の担当者のコミュニケーションスキルや実務能力を確認するのも有効です。コストをかけずに、自社との相性を確認できるでしょう。
専門知識やスキルのレベル
経理アウトソーシングを導入する場合、ノンコア業務を委託するのが一般的です。しかし、中には、専門知識や専門スキルが必要な業務を委託したい場合もあります。
たとえば、内製化に向けた準備を進めたい場合、業務フローの設計や会計ソフトの導入が必要となるため、コンサルティング能力や会計システムについてノウハウや知識がある外注先を選ぶ必要があるでしょう。
資金繰りに悩んでいる場合は、税務に精通した税理士が在籍する税理士事務所か、税理士が在籍するアウトソーシングサービスを選択する必要があります。税理士なら、補助金や助成金、節税対策や資金調達に関するアドバイスまで受けられるでしょう。
このように、依頼したい業務が特にノンコア業務でない場合には、必ず依頼したい業務に関する専門知識や専門スキルを有しているかどうかは必ず確認することが重要です。さらに、実績や有資格者・専門家の人数についても調べておくとなお確実でしょう。
▷経理担当者におすすめの本15選|初心者〜実務経験者向けまで幅広く紹介
経理業務におすすめのアウトソーシングサービス
経理アウトソーシングの選び方がわかったところで、ここでは多くの企業に利用されている経理アウトソーシングサービスを5つご紹介します。
Chatworkアシスタント
「Chatworkアシスタント」は、リモート型のサービスで、契約期間別に料金プランが用意されており、契約時間内なら複数業務を自由に組み合わせて選択できるのが特徴です。また、月10時間という短時間から依頼が可能で、ノンコア業務を中心にバックオフィス業務全般を依頼できます。最短で即日から開始でき、マニュアルが不要な点も魅力です。
複数のノンコア業務を依頼し柔軟に対応してもらいたい場合、急ぎで依頼したい場合、スポットで依頼したい場合などに活用するとよいでしょう。
提供元 | 株式会社Kubell |
料金プラン |
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特徴・主な対応業務 | ■特徴
■主な対応業務
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URL | 公式サイト |
フジ子さん
「フジ子さん」もリモート型のサービスで、料金プランも1ヶ月ごとに変更できる上、翌月解約も可能という柔軟な料金プランが特徴です。
有料プランへの移行後は、経理業務から、秘書・総務業務、人事、Webサイト運用など、ノンコア業務から専門的な業務までPCで出来る業務全般を依頼できます。また、月最低20時間から依頼可能な点や、セキュリティ対策が徹底されている点も魅力です。
強固なセキュリティ体制であることを重視している場合や、月毎に依頼業務の業務量や業務内容が変動する場合、色々な業務を依頼したい場合には活用するとよいでしょう。なお、1週間の無料トライアルもあります。
提供元 | BPOテクノロジー株式会社 |
料金プラン |
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導入実績 | 1,000社以上 |
特徴・主な対応業務 | ■特徴
■主な対応業務
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URL | 公式サイト |
CASTER BIZ
「CASTER BIZ」は、リモートとオフラインの両方対応可能なサービスで、1%という厳しい採用倍率で採用された優秀な人材が在籍しているのが特徴です。経理業務だけでなく、事務や秘書など幅広いバックオフィス業務も依頼できます。
月30時間から依頼が可能ですが、ニーズに合わせて実働時間を追加できたり、前借り・繰越制度があり、柔軟にカスタマイズできる点も魅力です。オフライン業務も依頼したい場合や、月毎に業務量に変動がある場合などに活用するとよいでしょう。なお、「助成金・補助金サポートプラン」という面白いプランもあります。
提供元 | 株式会社キャスター |
料金プラン |
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特徴・主な対応業務 | ■特徴
■主な対応業務
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URL | 公式サイト |
Remoba経理
「Remoba経理」は、リモート型のサービスで、経理業務をまるごと引き受けてくれるのが特徴です。具体的には、専属コンサルタントとオンラインのプロワーカーが経理部として業務を遂行するため、経営判断や戦略策定などのコア業務に人的リソースを集中できます。
また、クラウド上でデータを管理するため、業務の進捗状況やデータをリアルタイムで可視化し、確認・共有できるため、業務の効率化が図れる点も魅力です。ただし、クラウド型の会計ソフトが必要となるため注意しましょう。
経理業務全般の効率化やシステム導入を図りたい場合や、属人化・ブラックボックス化を防止したい場合、経理業務のノウハウがなく、経理業務全般を委託したい場合などに活用するのがおすすめです。
提供元 | 株式会社Enigol |
料金プラン |
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特徴・主な対応業務 | ■特徴
■主な対応業務 経理業務全般対応可能。 |
URL | 公式サイト |
NOC経理アウトソーシング
「NOCアウトソーシング」 は、30年も事業を継続しており、解約率も1%と、多くの企業から高い評価を得ている信頼できるサービスです。
自社の課題に応じてサービスをアレンジでき、企業規模や商習慣に合わせたシステムの選定・導入支援や、財務視点でのサポートやコンサルティングまで受けられます。
また、公認会計士などの専門家が在籍しており、現場の管理も20年以上の経理実務経験者が行うなど、プロフェッショナルチームが業務を行うため、安心して仕事を任せられる点も魅力です。
提供元 | NOCアウトソーシング & コンサルティング株式会社 |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 1,000社以上 |
特徴・主な対応業務 |
■主な対応業務
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URL | 公式サイト |
経理アウトソーシングで経理業務を効率化しよう
経理アウトソーシングを利用することにより、人材不足の解消だけではなく、人的リソースをコア業務に集中できたり、コストも削減できます。また、属人化や不正の防止などにもつながるため、経理アウトソーシングを利用することで、多くのメリットが得られます。
ただし、はじめて経理アウトソーシングを利用する場合、どのようにサービスを選ぶべきか、どういうサービスがあるのか、わからない方もいるでしょう。
今回の記事で紹介した選び方やおすすめのサービスを参考に、自社に合ったサービスを選定してください。そして、経理業務をより効率化していきましょう。
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