経理業務でよくある課題|課題解決の方法や効率化に向けた取り組みを紹介

最終更新日時:2023/07/05

経理アウトソーシング

経理業務の課題

お金の流れを管理する経理は、専門性の高さや人員不足ゆえに改善作業に取り組みにくい職種です。業務効率化を含め、多くの課題を抱えている企業は少なくありません。経理業務で発生しやすい課題の解決方法や、業務効率化に向けた取り組みを紹介します。

経理業務で発生しやすい課題

経理業務は慢性的な人員不足や業務の専門性から、いくつかの課題が発生しやすい領域です。本項でまず、経理業務で発生しやすい課題を整理していきましょう。

業務が属人化しやすい

経理業務では簿記などの専門的な知識を要する領域が数多くあり、知識を持った人しか対応できない業務が多いため、業務の属人化が起きやすくなります。

企業によっては、長期にわたり経理業務を一人の担当者が請け負っていることも珍しくありません。内情がブラックボックス化し、育成や引継ぎが難しいなどの問題も起きています。

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紙媒体でのやり取りがメインで工数が多くなる

経理部門では請求書・納品書・伝票など、未だに紙ベースでのやり取りを行う機会も少なくありません。紙媒体の書類は作成から保管まで人の手による作業工数が多く、業務が複雑化してしまう要因の一つです。

データで行えればパソコンで送信するだけの作業も、紙であれば郵送準備が必要になります。アナログ作業は従業員の負担が大きく、ミスにも繋がりがちです。

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イレギュラーな対応を求められる

企業で起こる経理上の問題に対処しなければいけないのも経理部門の課題です。法改正があれば、その都度対応や勉強が必要になります。

経理の処理自体も、常に同じ内容ばかりではありません。変化に対し臨機応変な処理が求められることから、イレギュラー対応の機会が多い業務領域といえるでしょう。

慎重になることで業務スピードが低下する

企業のお金を扱う性質上、経理担当者は想像以上のプレッシャーを抱えて作業することになります。一つ一つの作業をミスなく行おうと意識するほど、業務スピードは必然的に低下するでしょう。

経理の遅れは業務全体の遅延にも繋がるため、軽視できない問題です。経理部門全体で取り組むべき課題の一つとなっています。

経理業務で課題が発生する主な原因

前項では経理部門で起きやすい課題を紹介しましたが、課題の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。経理業務の課題を発生させている4つの原因を紹介していきます。

作業の間違いが許されない

経理業務では、些細なミスが大きな問題に繋がります。請求書に記載する金額を一桁間違えただけでも深刻な問題となり、取引先を巻き込む大きなトラブルにも発展しかねません。

企業全体においても、金額の記載ミスは信用に関わる大問題でしょう。経理ならではのプレッシャーの大きさゆえに、課題が生じやすいといえます。

経理人材が不足している

経理人材は簿記やパソコンスキルなど、専門的な知識を求められます。該当する知識がなければ行えない業務が多く、未経験からの育成は難しいのが実情です。

経理業務は専門性の高さから、慢性的な人材不足を抱えている領域となっています。人手が足りないことで、作業の進行や労働環境などに課題を抱えているのです。

業務の作業量が多い

お金の流れを全て管理する経理業務は、企業規模が大きくなればなるほど作業量が多くなります。人材不足も重なると、一人当たりの作業量の増加は避けられません。

誰かに負担が偏れば、ミスを誘発したり労働時間の超過が起こったりするなどのさまざまな課題が発生するでしょう。

法改正への対応が求められる

会社法や法人税法など、経理業務は多岐にわたる法改正への対応が必要です。

経理担当はその都度勉強を強いられるうえ、日常的な業務も継続しなくてはなりません。経理業務の課題や難しさを増長する背景には、法改正への対応も挙げられるでしょう。

経理業務での課題を解決して効率化する方法

さまざまな課題のある経理業務ですが、効率化する方法はいくつかあります。経理業務を一気に効率化できる方法を6つ紹介していくので、是非参考にしてみてください。

経理業務を見える化する

経理業務を可視化すれば、業務の属人化やブラックボックス化の予防に有効です。作業フローの洗い出しを行い、マニュアルなどの形に書き出すことで作業の「見える化」を行いましょう。

マニュアルで作業が可視化されれば、業務を共有しやすくなります。業務のチェックを複数人で行うなども有効です。経理業務の見える化で共有環境を構築し、個人に依存した業務体制からの脱却を目指してください。

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社内のフォーマットを一体化する

経理部には、請求書や納品書といった書類が各部署から送られてきます。部署ごとに異なるフォーマットで送っている場合、フォーマットを統一することで業務効率の大幅な改善が可能です。

請求書の種類ごとに別々の処理フローを用いているなら、フォーマット統一により単一フローでの処理が実現できます。作業時間の短縮に大きな効果が期待できるでしょう。

書類のフォーマットは、部門間の連携がとりづらい環境下では見過ごされがちです。経理部門の業務効率を考えると、すぐに取り組んでおきたい課題といえます。

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ペーパーレス化に向けた取り組みを行う

ペーパーレス化を推進すると、経理部門の業務を大幅に効率化できる可能性があります。紙での管理が不要になれば、保存管理に人員を割く必要がありません。紛失などのセキュリティリスクも軽減可能です。紙代や印刷費用の削減にも繋がります。

業務で扱う書類をペーパーレスにすることで、リモートワークなどの働き方改革を後押しする効果も得られるでしょう。

経理業務にツール・システムを導入する

クラウド型の会計システムなど、外部ツールの導入も経理部門の効率化を促す方法です。

経理業務を効率化できるシステムを導入すれば、計算や入金処理などの煩雑な業務を迅速に進められるでしょう。全体の業務スピードアップ、ミスの防止といった効果が期待できます。

キャッシュレス化を進める

小口現金を活用している場合、キャッシュレス化を進めていくことも業務効率化において大切です。両替や現金の補充など、従来発生していた現金を扱う業務をすべて省略できます。キャッシュレス化に伴い業務が減ると、ほかの業務に人員を割くことが可能です。

現金を直接扱う機会を減らすことは、取り扱いミスなどの予防ができるメリットもあるでしょう。業務削減や人的ミス防止策としても、キャッシュレス化は魅力的な手段です。

経理業務をアウトソーシングする

税理士事務所などに経理業務をアウトソーシングすることで、経理担当者の負担を大幅に軽減できます。記帳や給与の計算、年末調整といった業務の外注により、経理担当者はより重要なコア業務に集中可能です。アウトソーシングで業務を分散すれば、業務効率の向上化も期待できるでしょう。

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経理業務の課題改善による効果

経理業務の課題を改善すれば、業務経営にプラスの影響がもたらされます。経理業務における課題改善で得られる4つの効果を紹介しましょう。

重要な業務へリソースを割ける

経理部門の課題を解決すると、予算管理などの重要業務へリソースを割けるようになります。経理はデータ入力や書類の管理など、ノンコア業務に追われることも少なくありません。

さまざまな業務に当てていた時間が短縮され、重要度の高い作業に専念しやすくなるのです。新法の勉強など、担当者自身のスキルアップにも時間を使えるでしょう。経理の課題を解消してリソースの割き方に選択肢が生まれれば、業務改善の大きな効果になります。

経理業務のヒューマンエラーを防止できる

ITツールの導入やペーパーレス化による業務改善を行うと、ヒューマンエラーの防止効果も期待できます。単純な計算ミスによるトラブルは、企業経営にとって命取りです。

人の手で起きていたミスも、ITの力で大幅に減らせます。ミスが大問題になりやすい経理部門では、かなり大きな効果といえるでしょう。

経理業務のコストを削減できる

経理業務の課題改善により、大幅なコストカット効果が見込めます。ペーパーレスによる紙代や印刷費、キャッシュレス化やアウトソーシングによる残業代の削減が一例です。

ツールの導入には導入費用やランニングコストがかかりますが、長いスパンで見ると業務効率化による良い影響の方が大きくなるでしょう。さまざまなコスト削減が期待できるのも、経理の課題解決における魅力といえます。

離職率を下げられる

業務環境の改善や業務自体の効率化を行うことで、社員の働きやすさが向上します。満足度が上がる結果に繋がり、離職率の低下も期待できるでしょう。

特に経理部門は専門性が高く、慢性的な人員不足に悩まされる業務領域です。業務改善を行い、人が離れていかない環境づくりを行うことが重要となります。

経理業務の課題を改善するための5つの手順

実際に経理業務の課題を改善するためには、どのような手順を踏んでいけば良いのでしょうか。経理業務の課題改善、業務効率化に必要な5つのステップについて解説していきます。

1.無駄な作業を洗い出す

現状行っている業務フローを見直し、どの部分に無駄があるのかを洗いだすことから始めましょう。業務効率化を妨げている原因の特定なしに、効果的な対策をたてることはできません。

まずは一つ一つの業務手順を洗い出し、業務に必要となる具体的な行動も書き出すと作業内容を詳細に把握できます。そのうえで、効率化できる部分の見定めを行うことが重要です。

2.業務全体の流れを可視化する

業務全体の流れを可視化できるよう、マニュアルなどへの落とし込みを行っていきましょう。経理部門のように属人化しやすい領域では、業務の「見える化」が軽視されてしまいます。担当者以外も業務の流れを把握できるよう、業務フローを形のあるものにしていくことが2つ目のステップです。

3.課題に対する改善策を練る

課題の特定と業務フローの可視化が終わったら、具体的な改善策の策定に移っていきます。

改善策を練る際に役立つのがECRSの原則です。原則に則って考えていくと、業務課題の改善策を効果的にたてられます。

  • E(Eliminate):排除できるか
  • C(Combine):業務をまとめられるか
  • R(Rearrange):フローの順番は変更可能か
  • S(Simplify):もっとシンプルにできないか

E(Eliminate)に基づいて排除できる業務を見つけると、無駄を省いて作業時間の短縮が期待できます。ミスの防止効果を上げたい場合、R(Rearrange)の視点からフローを適切な順番に組み替えるのが良いでしょう。ECRSの原則を活用すると、漠然と経理業務を見直すよりも飛躍的に効率化が見込めます。

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4.改善策を実行する

改善策が決まれば、経理業務上で実行していきましょう。外部ツールの導入による自動化や業務フローの削除など、策定したプランを実務に反映します。

改善策を講じただけで終わらず、定期的に効果の測定を行うことが重要です。変更したことで良くなった点、悪くなった点を見極めて一層の改善を目指しましょう。

5.フレームワークを活用して見直す

改善策を実行したら、「DCAPサイクル」などのフレームワークを活用してさらなる見直しを行います。DCAPとは、次のサイクルを繰り返すことです。

  • Do:実行する
  • Check:評価する
  • Action:改善する
  • Plan:再度計画する

改善策を実行したら効果測定を行い、経理業務にとって本当に必要かを評価します。不要な部分があれば削ぎ落し、ブラッシュアップしましょう。評価内容に応じて計画を練り直せば、業務改善の効果を最適化していくことが可能です。

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経理業務の課題を改善するために現状を把握して対処しよう

経理業務でよくある課題や、課題解決の方法を紹介しました。専門性が高く、問題がおざなりになってしまいがちな経理業務において、業務の早期見直しは必須です。

原因に対し有効な改善策を講じれば、働きやすさや業務効率を向上させられます。課題改善のための方法や手順を参考に、経理の業務課題の解消に努めてください。

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