プログラムマネジメントとは?事例やメリット・プロジェクト管理との違いを簡単に解説
複数のプロジェクトを管理する、「プログラムマネジメント」。プロジェクト管理の知識はあってもプログラムマネジメントとなると、どのような管理手法なのか、疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。本記事では、プログラムマネジメントとは何かを簡単に解説します。
目次
プログラムマネジメントとは?
プログラムマネジメントは、複数のプロジェクトを一元的に統括し、組織の目標に対して最大の価値や利益をもたらすようにする管理手法およびプロセスを指します。
個々のプロジェクトを成功させるためのプロジェクト管理も重要です。しかし、プログラムマネジメントでは、複数のプロジェクトを1つの流れとして捉え、全体を最適化することで、最終的な組織目標の効率的な達成を追求します。
「木」を見る管理を行うプロジェクト管理に対し、プログラムマネジメントでは「森」全体を見る視点を持つのが特徴です。そのため、プログラムマネジメントは、大規模なプロジェクト、あるいは、複雑なプロジェクトほど、進行管理やビジョンの共有などにおいて重要な役割を果たします。
プログラムマネジメントとプロジェクト管理の違い
プログラムマネジメントとプロジェクト管理は、しばしば混同されがちです。しかし、本質と目的は異なります。
プログラムマネジメントは、複数のプロジェクトを依存関係を考慮しながら統合的に取りまとめます。リソースを効率的に共有し、リスクや課題を共有しながら、個々のプロジェクトが単独で達成できる以上の価値や利益を得ることを目的として行うものです。
一方のプロジェクト管理は、定義された目的を達成するための特定のタスクや活動を効率的に実行するプロセスを指します。
「複数のプロジェクトが連携して戦略的な成果を出す」ことを目的とするプログラムマネジメントに対し、プロジェクト管理は「個々のプロジェクトを成功させる」ことが目的である点に大きな違いがあるのです。
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プログラムマネージャーの役割
プログラムマネージャーは、複数のプロジェクトを戦略的に統合し、効果的に管理するためのキーパーソンとなります。主な役割は、各プロジェクト間の相互依存性の理解、リソースの最適な割り当てと調整、リスクの低減に向けた実行の3点です。
プログラム全体のビジョンや目的を明確にし、達成に向けた方針や戦略の策定も重要な任務です。さらに、ステークホルダーとのコミュニケーションを円滑に進め、パートナーシップを築く能力も求められるでしょう。
プログラムマネージャーは、複数のプロジェクトをうまく連携させ、組織の戦略的な目的を達成するための中心的な役割を果たします。
プロジェクトマネージャーとの違い
プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーは、役割の規模と焦点において大きな違いを持ちます。
プロジェクトマネージャーは、単一プロジェクトの目的達成を目指す管理を担うものです。具体的には、期限・予算・品質を守れるように、タスクのスケジューリングやリソースの割り当て、進捗の監視などの業務が中心となるでしょう。
プログラムマネージャーは「複数プロジェクトによる統合的な成功」を、プロジェクトマネージャーは「1つのプロジェクトの成功」を追求する役割のため、両者は管理する範囲や視点が異なります。
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プログラムマネジメントのメリット
目標達成のための戦略的なアプローチであるプログラムマネジメントですが、多くの企業が取り組むようになった背景には、明確なメリットがあります。
いくつかのメリットを詳しくみていきましょう。
プロジェクトをビジネス戦略につなげられる
プログラムマネジメントの大きなメリットのひとつは、個々のプロジェクトを組織の全体的なビジネス戦略と関連付けて管理できる点です。
プロジェクト管理では、プロジェクトの目的や成果が局所的に留まることが多いでしょう。しかし、プログラムマネジメントでは、複数のプロジェクトの活動や成果を統合したうえで、組織の長期的なビジョンや目的にどのように貢献するかを明確に把握できます。
リソースの有効利用やリスク管理、ステークホルダーとの関係構築もより戦略的なものとなることから、組織全体の競争力の向上にもつながるでしょう。
プロジェクトの関係性を可視化できる
プログラムマネジメントでは、複数のプロジェクト間の依存関係の可視化が重要なプロセスとなるため、プロジェクトの関係性を明確に把握することができます。
個々のプロジェクトは、それぞれ異なる目的や成果を持ちますが、その過程においては、共有すべきリソースや作業工程などが含まれることも少なくありません。
プログラムマネジメントにより、プロジェクトの相互依存性や作業の詳細などが明らかになることで、重複する作業の排除や、リソースの有効な配置、タイムラインの最適化など、効率的な取り組みができるようになります。
リソースの割り当てを最適化できる
人員、資金、時間や技術などのリソースを、全体で管理し、リソースの過剰投入や不足を防ぐことでコストの削減や生産性の向上が期待できます。また、影響度の高いプロジェクトに集中的にリソースを配置することも可能です。
組織全体のリソース使用効率を高めることで、より多くの価値を少ないリソースで実現できる体制の構築は、組織の競争力強化にもつながるでしょう。
各プロジェクトのリスクに対する共通認識を持てる
プログラムマネジメントの採用は、組織内での各プロジェクトのリスクに対する共通の認識を築く上でも非常に有効です。
プロジェクト関係者全員が、主に発生し得るリスクとその対策、優先度の、3点において共通認識を持つことで、リスク管理の認識のズレを防ぎ、効率的かつ一貫したリスク対策ができるようになります。
また、リスクの優先度も明確になることから、リスク発生時の意思決定が迅速になるのも特徴です。これは、特に緊急を要するリスク対応において、より高い効果を発揮するでしょう。
プログラムマネジメントの課題とは?
プログラムマネジメントは多くのメリットを持つ一方で、注意すべき課題もあります。
まず、複数のプロジェクトを統合的に管理するため、リソース配分、コミュニケーション、プロジェクト間の調整や、変更が生じた際の調整は、より複雑になります。
プロジェクトマネジメントの経験・知識はもちろんのこと、各プロジェクトの組織目標への影響度を理解したうえでプロジェクトをコントロールする戦略的思考をはじめ、リーダーシップや高いコミュニケーション能力などを要します。
これらの課題を乗り越えるためには、プログラムマネジメントの手法やプロセスを理解しているだけでなく、自社の組織文化や事業状況、競合他社との関係性など、幅広い情報と知識に精通していなければなりません。
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プログラムマネジメントを実践し、プロジェクト成果を最大化しよう
プログラムマネジメントは、複数のプロジェクトを統合的に考え、戦略的な視点から「成果の最大化」を図るための管理です。
リソースの最適化、リスク対策の効率化など多くのメリットをもたらすプログラムマネジメントですが、実際の導入や実施には課題も伴います。成功させるには、マネジメント自体の知識やスキルだけでなく、組織へのコミットメントも重要になるでしょう。
ここでご紹介した課題に気をつけながら、プロジェクトを戦略的に、そして効果的に推進し、さらなる事業成長へと導きましょう。
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