採用ファネルとは?種類やプロセス別のアプローチ方法・用いるメリット
採用において求職者が進むプロセスをモデル化した「採用ファネル」。労働人口減少や求職者の意識・価値観の変化により採用競争が激化する現代、競争を勝ちぬき優秀人材を獲得するための指針として採用ファネルに注目が集まっています。本記事では、採用ファネルについて解説します。
目次
採用ファネルとは?
採用ファネルとは、求職者が企業に対して「認知」から「興味」、「応募」、「選考」、「内定」へと進んでいくプロセスをモデル化したものです。
そもそも「ファネル」とは英語の「funnel」からきており、「漏斗状のもの」という意味があります。これはファネルに表現される各段階で人材の数が変動し、徐々に絞り込まれていく様子を表しているのです。
このファネルを理解することで、企業は各ステージで適切な施策を打ち、より効果的な採用活動を進めることができます。
採用ファネルの種類
採用ファネルには、さまざまな種類があります。それぞれのファネルがどのような特徴を持っているのか、以下の解説を参考に詳しく理解しておきましょう。
パーチェスファネル
パーチェスファネルは、採用活動における求職者の進行プロセスを段階的に示すモデルです。
このプロセスは、「認知」から始まり、企業に対する「興味」を引き、次に「応募」へと進みます。その後、企業は「選考」を行い、最後の段階に当たるのが「内定」です。世間における認知者層全体から最終的な内定者が決まるまでには、各段階で人数が減少していくため、パーチェスファネルは逆三角形の漏斗型になります。
これらの各ステージで、どの程度人材の絞り込みができるのか、それは何の要因によって起こるのかをよく理解するようにしましょう。それにより企業は求職者の関心を高め、適切な対応をすることで、採用活動の成功率を上げることができます。
インフルエンスファネル
インフルエンスファネルは、求職者が入社後に影響を与えるプロセスをモデル化したものです。このファネルでは、入社後に「継続」してもらうプロセスを経て、企業に対する満足度や信頼感から社員が自発的に「紹介・発信」を行う段階に進みます。
社員が自身のネットワークやSNSを通じて企業を紹介することで、新たな求職者の獲得や企業のブランド力向上に繋がる点が特徴です。こういった影響はどんどん広がっていくことが望ましいため、インフルエンスファネルは末広がりになったピラミッド型になります。
既存社員には新入社員のモチベーションを保ち、会社への貢献意識を芽生えさせることで、このファネルの底辺を広げていくことが求められます。
ダブルファネル
ダブルファネルは、採用のプロセスとその後の影響を一連の流れとして捉えたモデルです。パーチェスファネルの「内定」の先にインフルエンスファネルの「継続」をつなげた、砂時計のような形になります。
こうして採用活動から入社後の活動までを一連の流れで捉えることにより、人事全体の課題や目標が見えやすくなるのが特徴です。
採用ファネルが注目される背景
採用ファネルが注目される背景には、現代の採用活動における多様化や競争の激化があります。ここでは、具体的な3つの要因を詳しく見ていきましょう。
労働人口が減少しているため
日本では少子高齢化が進み、労働人口が年々減少しています。これにより、企業は優秀な人材を確保することがますます難しくなっているのが現状です。
従来の採用方法だけでは十分に人材を集められないため、企業は採用ファネルを活用し、より効果的な採用活動を行う必要があります。各段階の特徴やその後の方針をよく理解することで、求職者に適切なアプローチを行い、競争の激しい市場を生き残るためです。
働き方に対する意識が変わったため
近年、働き方に対する意識が大きく変化しています。求職者は給与だけでなく、働く環境やキャリアの成長、ワークライフバランスを重視するようになりました。
この変化により、企業は多様なニーズに応えるために採用方法を柔軟に進化させる必要があります。採用ファネルは、こうした求職者の期待に応じた適切なアプローチを提供するための有効な手法となっています。
採用期間が長期化しているため
経団連の就活ルール撤廃により、企業の採用期間が以前よりも長期化しています。これに伴い、企業はより長期間にわたって求職者と接触し、魅力的なアプローチを続ける必要に迫られました。
採用ファネルは各段階をわかりやすく差別化して捉えることができるため、方針を決めやすいというメリットがあります。これを活用することで、求職者の興味を維持しながら効果的なコミュニケーションを図り、より満足度の高い内定を目指すことが可能です。
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採用プロセス別のアプローチ方法
採用プロセスごとに効果的なアプローチ方法は異なります。ここでは採用から入社後までを一連の流れとして捉えたダブルファネルの考え方を用いて、各段階での有効なアプローチを解説します。
認知
認知段階では、まず企業の存在や魅力を広く知ってもらうことが重要です。
この段階では、SNSやWeb広告、企業のWebサイトを活用して積極的に情報を発信し、求職者の目に留まることを目指します。認知度を高めるためには、視覚的に魅力的なコンテンツや分かりやすいメッセージが効果的です。
また、採用ブランディングを強化することで、企業への興味を引きやすくなります。リクルートサイトや説明会なども有効活用して、自社の特徴を広く知ってもらうように努めましょう。
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興味
興味段階では、求職者が企業に対して関心を持つような具体的な情報を提供することが重要です。企業の理念やビジョン、働く環境やキャリアパスの魅力を紹介することで、求職者の興味を引きつけます。
この段階では、認知段階よりもさらに深く踏み込んで、応募に直接つながる人材を探すことが重要です。ペルソナ設定をきちんと行い、ターゲット層に届くようなアプローチを工夫しましょう。
また、社員のインタビューや具体的な業務内容の紹介動画を活用することで、よりリアルな情報を伝え、求職者が「この企業で働きたい」と思うような環境をつくることも必要です。
応募
応募段階では、求職者がスムーズに応募できる環境を整えることが大切です。応募フォームを簡潔にし、必要な情報だけを求めることで、応募のハードルを下げましょう。
求人ページや説明会では具体的な募集要項や採用プロセスを明確に示すことで、求職者の不安を軽減できます。さらに、早期に応募を促すために、応募締切や特典情報を伝えることも有効なアプローチです。
選考
選考段階では、企業側の透明性と迅速な対応が求職者に良い印象を与えるポイントです。例えば選考プロセスの流れや日程をあらかじめ明確に伝えることで、求職者の不安を軽減できます。
また、面接後のフィードバックを早めに行い、進捗状況をこまめに報告することで、求職者のモチベーションを維持しやすくなります。選考を通じて企業の誠実さやプロフェッショナルさを感じてもらうことが、最終的な決定に大きな影響を与えるでしょう。
内定
内定段階では、求職者に企業の魅力を再確認してもらうことが重要です。内定の通知を丁寧に行い、入社後の具体的なサポート体制やキャリアプランを説明することで、信頼関係を築くことができます。
また、内定者同士の交流や、入社前の研修を実施することで、企業への期待感を高めることができます。内定後もフォローを欠かさず行い、求職者が他社に流れないよう、企業との関係を強固にしましょう。
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入社
入社段階では、スムーズなオンボーディングが新入社員の定着に大きく影響します。入社初日に必要な手続きや業務の流れを分かりやすく説明し、安心してスタートを切れるようにサポートしましょう。
また、メンター制度や定期的なフォローアップを実施し、新入社員が職場環境に早く馴染めるよう支援することも大切です。このように、入社後のサポート体制を整えることで、社員の満足度と企業への帰属意識を高めることができます。
紹介
紹介段階では、社員が自発的に企業を他者に紹介するような仕組みを作ることが重要です。社員による公式SNSの運用などが一般化してきている現代では、社員が企業のことをよく知り、個性的なアピールができるようなモチベーションを育てることが求められます。
またリファラル採用のように、社員が友人や知人に企業を紹介することで、信頼性の高い人材を確保することも可能です。社員が会社に対して満足感や誇りを持つことが、自然な紹介を促します。紹介制度にインセンティブを設けるなど、より多くの紹介を得られる工夫をこらし、企業の採用活動を活性化させましょう。
採用ファネルを用いるメリット
採用ファネルを活用することで、効果的な人材確保や採用活動の効率化が期待できます。以下にあげる具体的な2点を、自社の課題と照らし合わせてみてください。
採用活動の標準化・効率化を実現できる
採用ファネルを用いることで、属人的になりがちな採用活動を可視化し、プロセスごとに標準化することが可能です。
これにより、各段階で必要なリソースを最適に配分でき、無駄を省いた効率的な採用活動が実現します。これまで担当者の裁量に任されがちだった部分をシステム化することで、社員全体で採用活動に参加することも可能です。
特に、大量の応募者を扱う際には、ファネルを使って進捗状況を管理することで、迅速かつ公平な対応ができるため、採用プロセス全体の精度が向上します。
採用活動の問題点を把握しやすくなる
採用ファネルを活用することで、採用活動を各プロセスに分けて詳細に分析することが可能になります。漏斗型のモデルは、全体のバランスを俯瞰することに適しているためです。
どの段階で求職者が離脱しているのか、どのステージに課題があるのかを可視化することで、問題点を早期に発見し、改善策を講じることができます。これにより、採用活動全体の効率を高め、より効果的な採用プロセスを構築することが可能です。
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採用ファネルを活用し採用活動の効果を高めよう
採用ファネルを活用することで、求職者の進捗を可視化し、各段階に応じた最適なアプローチを実施することが可能です。採用プロセス全体をわかりやすいモデルに落とし込むことで、PDCAサイクルの最適化を行い、効果的な採用活動を目指しましょう。
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