中途採用が難しい原因とは?失敗例や成功に向けて改善すべきポイントを解説
売り手市場の影響によって、採用競争が激化している現代。新卒採用だけでなく、中途採用市場においても採用活動が難航している企業が増えているようです。本記事では、中途採用が難しい原因とは何か、中途採用の失敗例や成功に向けて企業が改善すべきポイントを詳しく解説します。
目次
採用難はなぜ起きる?中途採用が難しい原因
良質な人材を確保するのは企業にとって大きな課題です。中途採用においては、さまざまな理由から難航することが多くあります。採用難の背景にある原因を詳しく見ていきましょう。
中途採用志望者は転職先を慎重に選定するため
中途採用志望者は、自身のキャリアを見据え、長期的な視点で転職先を検討しています。業務の面白そうな面だけでなく、業界の将来性や課題、社内の人間関係、退職者の口コミなども詳しく調べています。
社会人として仕事の厳しさやストレスを経験してきたからこそ、新卒のときよりも慎重に採用活動を行っているため、簡単に入社してもらえるとは限らないのです。
採用の見極めが難しいため
社会人未経験の新卒採用候補者と異なり、中途採用候補者はスキルや経験、働き方の志向がさまざまです。
多様な背景を持つ人材のなかから、自社にマッチする人材を選出することは簡単ではありません。応募書類や短い面接から適性を見極めるためには、面接官としての高いスキルも求められます。
即戦力人材の数が少ないため
高いスキルと経験を持った人材は、企業からスカウトされたり、人材紹介会社の案件で転職先が決まるケースが多いものです。
したがって、自ら中途採用の求人には応募しない傾向にあります。即戦力人材は企業から引く手あまたであるため、そもそも応募者を獲得することが容易ではありません。
有効求人倍率が上昇しているため
令和5年12月の一般職業紹介状況では、有効求人倍率が1.27倍と高水準で推移しています。求職者に有利な売り手市場が続いており、人材の獲得競争は一層激しさを増している状況です。
今後も労働者人口の減少傾向により、ますます中途採用は難しくなると言えるでしょう。
[出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について」]
▷採用ミスマッチが起きる原因とは?早期離職を防ぐポイントと事例について
時間・人的リソースが限られているから
中途採用は欠員補充が主な目的のため、計画的に求人を行うことが難しいものです。
人事担当者の業務負荷も高く、中途採用に専念できる時間と人的リソースが不足している企業も少なくありません。時間をかけて中途採用活動を行えず、採用難に陥っているのが実情です。
企業の知名度が影響するため
中小企業は大手に比べ企業の知名度が低いため、求職者の目に止まりづらく、優秀な人材を引きつけるのが難しくなります。認知度や露出を増やすためのアピール活動も大規模にはできず、中途採用が難航する一因となるでしょう。
▷中途採用に適した募集時期・採用時期について|状況に合わせた採用戦略も解説
中途採用にありがちな失敗例
中途採用においては、さまざまな失敗例が見受けられます。人材確保の妨げになるこれらの事例にはどのようなものがあるかを確認し、自社に適した対策を立てましょう。
応募が少なく母集団の形成ができない
求人の内容や採用活動に問題があると、応募者が十分に集まりません。その結果、選考対象となる母集団を形成できず、人材確保に至らないケースがあります。
応募が少ない原因を探り、求人の露出量を増やす、掲載するターゲットを見直すといった効果的な採用手法の検討や、求人内容の再考が必要不可欠です。
選考期間が長い
過剰な面接回数や合否連絡の遅れなどで選考期間が長期化すると負担が増えることから、熱心な求職者であっても入社意欲が失われ、転職自体を見送ってしまいかねません。
また並行して複数社を受けるのが一般的なため、先に内定が出た他社に流れてしまうリスクも高まります。スピーディーに選考を進めることは非常に重要です。
早期離職の対策をしていない
中途採用では、採用をゴールと考えてしまい、経験者であるという認識もはたらき入社後のフォローが不十分になりがちです。丁寧な研修や上長によるケアなどをしなければ、早期離職のリスクにもつながります。採用活動にかけるコストも時間も無駄になってしまうため、離職を防ぐ対策は欠かせません。
▷中途採用した人材が期待外れになる原因|能力を引き出す育成方法や活躍する人材の採用方法
採用基準を明確化できていない
新卒採用と異なり、中途採用における応募者の経歴は多様です。あらかじめ求める人物像や必要なスキル、経験年数など、応募資格を明確化できていないと、ミスマッチした人材が集まってしまう恐れがあります。
事前に採用基準を設定し、その基準に沿った求人票の作成が重要です。
▷採用基準とは?決め方や人材を見極める上でのポイント・3つの要素を解説
競合他社との差別化を図れていない
求人情報での待遇面や働き方の説明などにおいて競合他社との差別化を図れていないと、求職者の関心を引きつけることができません。
他社の掲載情報を確認し比較したうえで、自社の魅力を具体的に発信し、優位性をアピールする工夫が求められます。
中途採用の成功に向けて改善すべきポイント
中途採用で優秀な人材を確保するには、さまざまな点での工夫と改善が求められます。採用活動の課題を洗い出し、具体的な対策を講じることが重要です。ここからは、中途採用の成功に向けて鍵となる9つのポイントを紹介します。
採用における3つの基準を明確にする
人材のミスマッチを防ぐために、事前に「知識・スキル」「思考・行動の特性」「人格」の3つの採用基準をはっきりと定めましょう。
基準を明確化する方法としては、採用したい人物像を確認したうえで、必要な評価項目を設定し、あいまいな評価を避けるために評価の尺度を数値や段階として定めます。採用基準を明確にすることで、適切な人材を見つけやすくなるでしょう。
自社に合った採用方法を選ぶ
従来の求人媒体だけでなく、積極的に新しい採用手法も検討しましょう。例えば、以下の手法があります。
- 人材紹介会社の活用
- リクルーティングイベントへの出展
- リファラル採用(自社の社員の人脈を活用した採用)
- ダイレクトリクルーティング(直接候補者にアプローチする手法)
- アルムナイ採用(自社の退職者を再雇用)
自社の状況に合わせて、効果的な手段を選択することが大切です。採用活動がマンネリ化しないよう、新しい取り組みにもチャレンジしていきましょう。
▷アルムナイ制度とは?メリット・デメリットや導入企業の事例を解説!
▷リファラル採用ツール5選を比較!メリットや選び方・主な機能を紹介
採用ターゲットに合った情報を公開する
求人情報においては、写真や動画を活用し、会社の魅力を視覚的に発信することをおすすめします。また、仕事の面白さだけでなく、厳しさや向き・不向きの素直な情報公開も重要です。
採用ターゲットに合わせた情報をより具体的に伝えることで、ミスマッチを防ぐことができます。
求人に記載する情報量を増やす
求人に記載する情報量が少ないと、会社のことを十分に理解してもらえません。情報はなるべく網羅的に掲載することが肝心です。業務内容や制度のほか、以下の内容を紹介することをおすすめします。
- よい面と厳しい面の両方を記載
- 向いている人・向いていない人を記載
- テキストだけではなく写真や動画を使用
- 社員インタビューを掲載
求人記載項目数や情報量を増やすことで、より正確な求職者イメージが持てるようになり、ミスマッチを防げるでしょう。
福利厚生の充実や待遇の見直しを図る
転職サイト「Re就活」において転職希望者を対象に行われたアンケートによると、新卒時と比べて企業選びで重視するようになったこととして、「福利厚生や待遇について」が上位に入っていることが分かりました。
業務内容や将来性はもちろん、充実した福利厚生は転職先を決める一つの条件となります。また、競合他社と遜色のない待遇も重要です。自社の福利厚生や待遇について一度見直しを図るとよいでしょう。
[出典:株式会社学情「PR TIMES 2022年7月13日」]
応募から入社までをスピーディーに進める
選考が長期化すると、求職者の意欲が失われたり他社へ流れてしまったりと内定辞退のリスクも高まります。応募から内定、入社まで、プロセス全体をスピーディーに進められる体制を整えましょう。
口コミを活用する
求職者は会社の実態について口コミを重視する傾向があります。口コミが少ない・悪いなど不安を抱かせる要素があれば、応募の伸び悩みや辞退というリスクにつながるため、従業員に投稿の依頼をするなどの対策が必要です。
明らかな虚偽の投稿、誹謗中傷はそのままにせず、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら対応しましょう。ネガティブな意見については、真摯に受け止めて改善策を講じるなど、健全な組織づくりに努めることが求められます。
採用広報活動の幅を広げる
中途採用の応募者は特に自ら情報収集を積極的に行う傾向があるため、アプローチしてもらえる範囲を広げておくとより効果的でしょう。
広く自社の魅力を届けるためには、従来の求人媒体のみならず、自社の採用専用サイトの開設や、SNSでの情報発信の強化が有効です。幅広い層へのリーチを図れる採用広報活動が求められます。
採用業務を削減・効率化する
多岐にわたる採用業務は、人事担当者の負担となっています。外部の人材紹介や採用代行サービスを利用したり、AIやRPAなどを活用したりして業務の削減・効率化を図ることで、本来の業務に注力できる環境を整えましょう。
中途採用に成功した企業事例
中途採用は容易ではありませんが、適切な施策を講じることで、確実に人材確保につなげることが可能です。ここでは中途採用に成功した具体的な企業事例を紹介します。
株式会社ニイミ
小売・外食業の株式会社ニイミは、中途採用市場の中でも採用難易度が高いとされる店長職への応募が集まらないことが課題でした。そこで同社は、過去の応募者の傾向を見直し、飲食業へのネガティブな印象がネックになっていることを把握し、対象を異業種経験者へと転換しました。
加えて、働き方の改善に取り組み処遇面の魅力を高めることにも尽力し、求人広告だけでなくダイレクト・ソーシングも取り入れ、志向性がマッチする求職者の採用へ至ることができました。
SOMPOホールディングス株式会社
大手損害保険グループのSOMPOホールディングスでは、新たな事業領域で対応できるハイクラス人材の獲得が課題でした。
そこで、人事部から各部門へ採用権限を委譲し、各部門と採用候補者が直接的にコミュニケーションがとれる体制を構築。「損保」のイメージを払拭し、事業を多角化している最新の姿を知ってもらうことにつながりました。双方が部門ごとのニーズや人材要件を正しく理解し、十分に意見交換をしたうえで、求める人材を採用できています。
三弘紙業株式会社
三弘紙業株式会社は、中途採用に関する社内のノウハウ不足が課題でした。そこで、専門の人材紹介会社と提携し、アドバイスを仰ぎながら、きめ細かい採用活動を展開しました。
その結果、求人広告の内容や面接の質が向上。若手を中心とした多くの人材の確保に成功しました。
自社の魅力を積極的にアピールし中途採用を成功させよう
中途採用は人材確保の有力な手段ですが、企業が抱える課題も多く、簡単ではありません。しかし、採用基準の明確化や情報発信の強化、選考プロセスの改善など、着実に対策を実行していけば、必ず成果につながります。
優秀な人材を引きつけるためには、求める人物像や仕事内容を正確に伝え、自社の魅力をアピールすることが何より大切です。自社の強みを生かした戦略的な採用活動を展開し、中途採用を成功に導きましょう。
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