スタートアップ企業の採用が難しい理由|採用を成功させるポイントや採用基準を解説

2024/02/09 2024/02/09

採用管理システム

スタートアップの採用

日本においても増加傾向にある「スタートアップ企業」。従来の企業とは異なり、慣習やしがらみにとらわれず成長速度の速い企業を指しますが、採用活動は難航する傾向にあるようです。本記事では、スタートアップ企業の採用が難しい理由や成功させるためのポイントを詳しく解説します。

この記事の要約

・スタートアップ企業は、知名度が低く採用コストやリソースの不足などの要因があり、他の企業と比べて採用が難しい傾向がある
・ダイレクトリクルーティングやスクラム採用、リファラル採用など、攻めの採用手法を取り入れることがスタートアップ企業の採用を成功させるポイント

スタートアップ企業の採用が難しい理由

一般的な企業と比べて、スタートアップ企業は採用に苦戦しているといわれています。ここでは、スタートアップ企業の採用が難しい理由について紹介します。

知名度が低い

新設されたばかりのスタートアップは、市場での認知度がまだ低く、多くの求職者にとっては未知の存在です。

求職者がスタートアップの存在を知る機会も限られており、採用活動において知名度の低さが大きなハードルとなります。とくに、大企業などと比較すると労働条件が劣ることも多く、優秀な人材の注目を引くことは困難といえるでしょう。

採用コストやリソースが不足している

資金面で制約があるスタートアップは、採用にかかる費用や人的リソースが限られています。

採用には広告費やツールの導入、面接運営など多額のコストがかかりますが、資金繰りに苦労しているスタートアップではこれらを十分に確保するのが難しいのです。また、採用活動を担う人員も限られているため、効果的な採用戦略を展開することは容易ではありません。

即戦力人材は「取り合い」状態

スタートアップは人材育成にかけるコストや時間が限られているため、即戦力となる人材を求めます。しかし、即戦力となる人材は、大企業や条件がよい企業からもオファーがあり、人材の獲得競争は激化しています。

また、一般的にこのような人材が希望するのは安定した職場環境や手厚い福利厚生のある企業です。スタートアップは資金力が少なく、待遇の面で差を付けることが難しいため、不利な立場にあるといえるでしょう。

スタートアップ企業が採用活動で陥りやすい失敗

スタートアップ企業の採用活動では、人材紹介や求人広告に関する失敗が多く見られます。ここでは、よくある失敗について詳しく見ていきましょう。

人材紹介でのよくある失敗

人材紹介は求人票に記載されている情報をもとに求職者とのマッチングを行うものです。そのため、給与や福利厚生といった待遇以外の魅力を伝えたいスタートアップ企業には適さないでしょう。

人材紹介を利用して採用活動を行った企業では、ミスマッチによる早期退職が頻発してしまい、採用コストが余計にかかってしまったという事例もあります。人材紹介は初期費用がかからないのが利点ではありますが、スタートアップが利用する場合は注意が必要です。

求人広告でのよくある失敗

求人広告もよく利用される手法のひとつです。ただし、自社の求人を上位に表示したい場合には追加料金が発生することがあります。採用に多くのコストをかけられる企業が有利になる仕組みのため、費用を投資する余裕のないスタートアップ企業には向かないといえるでしょう。

また、求人広告では文字数や写真の枚数に制限があり、他社との差別化を図ることが難しいといえます。給与面だけを見て応募してくる人が増えてしまえば、せっかく多額の費用をかけても求めている人材に出会えないということになりかねません。

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スタートアップ企業が採用を成功させるポイント

ここからは、スタートアップ企業が採用を成功させるためのポイントについて紹介します。

企業認知度向上に向けた広報活動に力を入れる

企業の認知度を高めるためには、積極的な広報活動が欠かせません。スタートアップは、公式サイトやSNSを利用して、自社の魅力や強みをアピールする必要があります。

採用広報を行う際は、大企業などと同じように給与や福利厚生をアピールするのではなく、会社としてのミッションやビジネスモデル、働いている社員の声など自社にしかない魅力を発信することが大切です。継続的に情報発信を行い、企業の魅力が認知されれば、優秀な人材が自然と興味を持ち採用の機会が増えるでしょう。

自社独自の強みを発信する

スタートアップは、自社が持つ独自の強みやユニークな文化を明確に打ち出すことで、他社との差別化を図ることができます。採用活動を行う上で競合となる他社と比較し、自社の強みとなる部分をアピールすることが重要です。

革新的な製品や柔軟な働き方、独特のチーム文化など、大企業や有名企業にはない魅力を発信していきましょう。とくに、スタートアップ独自のチャレンジ精神や成長への貢献を求める人材は、こうした情報を重視する傾向にあります。そのため、同じ価値観を共有する人材からの応募につながりやすくなるでしょう。

注目の福利厚生「ストックオプション」とは?

ストックオプションは、社員が将来的に企業の株を特定の価格で購入できる権利です。この制度はとくにスタートアップで活用されていて、将来的な企業の成長と成功に直接貢献する機会を提供します。

社員は、自分の働きが会社の価値向上に直結していると感じるため、モチベーションの向上や長期的なコミットメントが期待できます。また、初期段階で高額な給与を支払うことが難しいスタートアップにとっては、優秀な人材を引きつける有効な手段となるでしょう。

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他社を意識した採用戦略を取り入れる

他社との競争を意識した採用戦略は、スタートアップにとって重要です。業界の動向を把握し、求職者が他社に興味を持つ理由を理解する必要があります。競合他社が提示している給与や職場環境、キャリアパスなどを分析し、自社の採用戦略に取り入れましょう。

攻めの採用手法を取り入れる

知名度の低いスタートアップ企業では、求職者からの応募を待っているだけでは理想の人材に出会えません。そのため、積極的に企業側から求職者にアプローチをかける必要があります。具体的には、以下のような手法が挙げられるでしょう。

  • ダイレクトリクルーティング
  • リファラル採用
  • ヘッドハンティング

これらの手法を活用することで、自社のビジョンに共感する人材を見つけることができます。詳しい方法については、別の見出しで解説します。

カジュアル面談を取り入れる

カジュアル面談は、選考前に候補者との対話を行う方法で、互いの理解を深めるために効果的です。会社側が一方的に質問する面接とは異なり、リラックスした雰囲気の中でお互いに質問を行います。

候補者も企業文化やチームの雰囲気を肌で感じることができるため、相互のフィット感を確認する絶好の機会となります。これにより、ミスマッチや内定辞退の防止につながるでしょう。

採用基準を設ける

採用を成功させるためには、明確な採用基準が不可欠です。これには、必要なスキルセットや職務経験、そして企業文化に合う性格や価値観について定義することが含まれます。具体的な基準を設定することで、採用プロセスの一貫性を保つことができ、適切な候補者の選定が容易になります。

また、採用基準を決める際はできる限り具体的に設定することが重要です。「アプリエンジニアの経験3年以上」や「基本情報技術者の資格保有者」など、客観的に判断しやすい指標を設けるとよいでしょう。

スタートアップ企業におすすめの採用手法

ここでは、スタートアップ企業にとくにおすすめの採用手法を5つ紹介します。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業側が優秀な人材を見つけ出し、直接アプローチする手法です。求職者の経歴やスキルが企業のニーズに合致しているかを事前に分析し、その上で個別に連絡を行います。

ターゲットを絞って採用活動が行えるため、とくにリソースが限られるスタートアップ企業におすすめです。また、自社を知らない求職者に直接アプローチすることで、知名度が低い企業でも効率的に採用活動を行えます。

リファラル採用

リファラル採用は、自社の社員の知人や友人などを紹介してもらう方法です。自社の社員が候補者を選ぶため、企業文化に合う可能性が高く、早期退職を防げるというメリットがあります。

また、外部のサービスを利用しないことで採用コストを抑えられるのも魅力です。採用に予算をかけられないスタートアップ企業でも導入しやすい手法といえるでしょう。

スクラム採用

スクラム採用は、採用担当者だけでなく社員が一丸となって採用活動を行う手法です。母集団形成から選考、内定後のフォローまで全社員が関与します。スタートアップでは、採用担当者が数名しかいないということもあるでしょう。

このような状態では、採用担当者の負担が大きくなりがちです。スクラム採用は従来の経営陣や採用担当者だけで行う採用活動とは異なり、さまざまな採用チャネルを活用しながら取り組むことが可能です。また、業務内容を熟知した現場社員に協力してもらうことで、採用担当者の負担を軽減しながら候補者の評価を正確に行えます。

【事例あり】スクラム採用とは?メリット・デメリットや実現に向けたポイント

ヘッドハンティング

ヘッドハンティングは、特定の専門分野や業界で活躍する優秀な人材を直接探し出してスカウトする手法です。業界に精通したヘッドハンティング会社が、企業のニーズに合致する優秀な候補者をピンポイントで見つけ出します。

ヘッドハンティングされる人材は求職者でないため、競合となる他社が存在せず、採用の成功率が高いのが特徴です。そのため、起業したばかりのスタートアップにもおすすめの手法といえます。

インターン

インターン制度は、学生や若手専門家に実務経験を提供すると同時に、企業が新しい才能を発掘する機会を得る方法です。特定のプロジェクトや業務に参加することで、実際の職場環境での経験を積むことが可能です。

参加者にとっては自社の文化や業務内容を理解する機会となり、企業にとっては採用前に候補者の適性を評価する貴重な手段となります。これにより、ミスマッチから起こる早期退職を防ぐというメリットもあります。また、自分で考えて行動できる人材を育成できるため、スピードが求められる市場でビジネスを行うスタートアップ企業に最適な手法です。

スタートアップ企業が重視すべき採用基準

スタートアップ企業が重視すべき採用基準は主に3つが挙げられます。ここでは、それぞれについて詳しく解説します。

成長志向

スタートアップにおける採用では、成長志向の強い人材を見極めることが重要です。成長志向とは、目標達成のために全力で取り組むのはもちろんのこと、継続的にスキルアップを図りながら企業の成長に貢献する意欲があることを意味します。

成長志向のある候補者は、新しい課題に立ち向かい、学習と自己改善に時間を投資する意欲があります。これらの特性は、常に進化しながら市場の変化に迅速に対応する必要があるスタートアップの環境において、非常に価値のある資質といえるでしょう。

ビジョン・経営理念への共感

採用する人材が企業のビジョンや経営理念に共感し、それに基づいて行動できるかという点も重要な基準です。とくにスタートアップでは、すべての社員が共通の認識を持って取り組むことが企業の成長につながるため、候補者がビジョンや経営理念に共感できることが求められます。

このような人材を採用できれば、ミスマッチを防げるだけでなく、生産性の向上も期待できるでしょう。

意思決定・実行力

スピード感を重視するスタートアップでは、迅速な意思決定と実行力が求められます。そのため、社員は適切な判断を下しながら、すばやく行動に移せる能力が必要です。即戦力として経験者を採用するときはもちろん、未経験者を採用する場合でも、面接時などに臨機応変に対応できる資質があるかを見極めるとよいでしょう。

スタートアップ企業の採用担当者に必要なスキル

ここからは、スタートアップ企業の採用を担当する社員が身につけておくべきスキルを紹介します。

コミュニケーションスキル

採用担当者には、優れたコミュニケーションスキルが欠かせません。明確で説得力のあるコミュニケーションはもちろん、求職者のニーズや懸念を理解し、適切に対応する能力も求められます。

とくにスタートアップは候補者の数が限られるため、一人ひとりとの関係を深められるようなコミュニケーションを取る必要があります。このような優れたコミュニケーションスキルがあれば、候補者と信頼関係を築きながら採用プロセスを円滑に進めることができるでしょう。

調整・交渉スキル

スタートアップは採用にかける予算や人員が限られています。採用を行う際には経営者や現場の社員の協力が必要となるため、複数の関係者との間で調整し、有益な結果に導くための交渉スキルが求められます。

たとえば面接を担当する人材が不足していれば、ほかの部署に応援を求める必要があるでしょう。このような場合に社員と調整・交渉できるスキルがあれば、効率よく採用活動を進められます。

判断スキル

採用担当者には、限られた情報と短い時間の中で正確な判断を下す能力が求められます。とくに少ない人員で多くの候補者を見る必要があるスタートアップ企業では、重要なスキルといえるでしょう。候補者の経験やスキルだけでなく、企業文化への適合性を総合的に評価し、最適な人材を選定する必要があります。

また、候補者とじっくりと話す時間が限られているなかでも、採用の各プロセスで迅速な意思決定を行うことが重要です。優れた判断スキルを持つ採用担当者であれば、企業にとって価値の高い人材を確保でき、採用のミスマッチや採用にかかるコストを最小限に抑えることができます。

採用マーケティングスキル

採用マーケティングスキルとは、採用活動にマーケティングの考え方を取り入れることを指します。

大企業などと比較して認知度が低いスタートアップでは、あらゆる候補者に対して自社の魅力を発信し、積極的にアプローチしていくことが求められます。マーケティングのフレームワークを活用することで、企業の認知度や志望度を高めることが可能です。

ポイントをおさえスタートアップ企業の採用活動を成功させよう

スタートアップ企業が採用活動を成功させるためには、採用基準を明確にするとともに、自社のビジョンや魅力を積極的に発信していく必要があります。

また、ストックオプションのようなスタートアップならではの福利厚生を提供することで、優秀な人材の興味を引くことも可能です。本記事で紹介した手法や採用担当者に必要なスキルを参考にしながら、スタートアップ企業の採用力を高めていきましょう。

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