RPAとAIの違いとは?組み合わせによるDX化の例や主な活用方法

最終更新日時:2023/02/13

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業務の効率化を図るため、RPAやAIを取り入れる企業が増えています。DX化の推進においても重要な要素です。最大限活用するためには、それぞれの特徴を押さえておく必要があります。本記事ではRPAとAIの違いを、活用方法と合わせて解説します。

RPAとは

RPAは業務効率化ツールのひとつで、ソフトウェアロボットを使い定型作業を自動化できます。例えばデータ入力・データの収集・分析・ファイルの複製などは、単純作業であるものの業務負担が大きいです。RPAはこのような作業を自動化して業務を効率化できます。

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RPA導入で得られる効果

RPAの導入で得られる効果は主に3つです。

  • 従業員の負担が減る
  • コストを削減できる
  • 業務のミスを防げる

それぞれについて具体的に解説します。

従業員の負担が減る

RPAを導入すると従業員の負担を減らすことができます。RPAは、判断が不要な単純作業の自動化が得意です。同じことを淡々と繰り返す単純作業は仕事の楽しさを感じにくく、精神的にも肉体的にも負担がかかります。

RPAで単純作業を自動化して従業員の負担を減らせば、クリエイティブな仕事にかける時間を増やしたり、残業時間を削減したりすることが可能です。結果として、従業員の満足度向上につながるでしょう。

コストを削減できる

RPAの導入は、コストの削減にもつながります。今まで人の手で行っていた単純作業をRPAに任せれば、人件費を削減することが可能です。

また、業務負担の軽減や残業時間の削減によって従業員の満足度が上がれば、離職率の低下にも期待ができます。離職率が低下すれば、採用活動や新人教育へのコスト負担も抑えられるでしょう。

業務のミスを防げる

RPAは登録した作業手順を忠実に守るため、24時間365日稼働しても正確に作業することが可能です。手作業で起こりうるミスの発生リスクを限りなくゼロにできるのはメリットといえるでしょう。

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RPAが注目されている理由

RPAが注目されている理由は、主に2点あります。それぞれ具体的に解説します。

働き方改革が推進されているため

RPAが注目されている理由の一つに「働き方改革の推進」があります。残業時間の削減やテレワークの促進をしながら労働力を維持しつつ生産性を向上させる方法として、RPAによる業務効率化が注目されています。

2017年時点ですでに国内企業の14.1%が導入を進めている状況です。業務ミスを減らしつつ効率化を図れるRPAに、多くの企業が注目しています。

労働人口が減少しているため

少子高齢化に伴い、毎年のように労働人口が減少しています。業務量が変わらないまま労働人口が減ると、一人当たりの業務負担が大きくなる可能性が高いです。

しかしRPAによる業務の自動化・効率化の積極的な導入で、業務が効率化できるので業務負担を軽減できます。そのため、人材不足への対応を検討する企業がRPAに注目しています。

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AI(Artificial Intelligence)とは?

RPAと似たものにAIがあります。ここからは、AIの概要について解説します。

機械学習を行うコンピューター

AIとはとは人工知能のことで、記憶・思考・認識・学習など人間の脳が行っていることを再現したコンピューターを指します。人間よりも多くの情報を処理したり記憶したりできるのが特徴です。機械学習によってルールや規則性、背景などを高い精度で予測できます。

AIの導入によるRPAへの効果

AIの導入によるRPAへの効果は、主に5つ挙げられます。

  • 生産性の向上を見込める
  • 労働力不足を解消できる
  • 人件費を減らせる
  • データの分析や予測を行える
  • 人為的ミスが防げる

生産性の向上を見込める

AIは人間と違い業務の質を一定に保つことが可能です。また、業務遂行の正確性も高いので、ミスの減少につながります。個人のスキルによって業務の質に差が出たりミスが起きにくいため、生産性の向上が見込めます。

労働力不足を解消できる

AIは、人間よりも多くの業務をスピーディーにこなせます。そのため、一部の業務をAIに任せれば、少ない人数で作業を行えるので労働力不足の解消にもつながります。またリスクが高い仕事もAIに任せられるため、怪我人がでて労働力が減少することを防ぐことができます。

人件費を減らせる

AIはさまざまな業務を行うことが可能です。積極的にAIを導入すれば人の手で行う作業が減るため、多くの人材を雇う必要がなくなります。結果として、人件費の削減につながり新人教育にかかる費用も減らせる可能性があります。

データの分析や予測を行える

AIは、データの分析や予測が得意です。人間よりも高い精度で分析・予測を行えるため、商品の在庫数を適切に管理できたり、業務上の問題点を効率よく抽出できたりします。データの分析・予測はさまざまな仕事に応用できるため、企業にあらゆる利益をもたらすでしょう。

人為的ミスが防げる

人為的ミスが防げる点も、AI導入で得られる効果の一つです。目視では見逃してしまうデータ入力のミスも、AIが異常と判断して検知してくれます。また作業機械の解析をして老朽化が進んでいないか、故障のリスクはないかを確認することも可能なので事故を未然に防ぐことにもつながります。

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RPAとAIの違いとは

上記で説明したとおり、RPAとAIは似ているので具体的な違いがわからない方も多いでしょう。ここでは、RPAとAIを具体的に解説します。

情報の処理方法

RPAは、決められた手順の通りに作業を行うことが得意なのでルーティンワークを正確にこなせます。つまり、作業ミスを考えることなく正確に決まった手順で業務を行ってくれます。

一方でAIは大量のデータを分析した結果をもとに、適切な処理パターンを見つけることが可能です。今後はAIで分析・処理方法を判断し、実際の処理をRPAに指示して任せるといった方法が主流になると考えられています。

このようにRPAは情報をもとに決まった作業を淡々とこなすもの、AIは情報を分析・処理パターンを学習し、人間の代わりに指示を出せるものという違いがあります。

RPAとAIは組み合わせが可能

RPAとAIは組み合わせて使用することが可能です。ここでは、RPAとAIを組み合わせるメリットについて解説します。

業務の自動化と学習

RPAとAIはどちらも人間の働き方に影響を与えるため、両方を組み合わせると業務を完全に自動化できます。

RPAは定型業務の自動化が可能なので業務の効率化につながりますが、具体的な指示は人間が行う必要があります。そのため完全な自動化は難しいです。しかしAIでRPAを制御できるようになると、人間の代わりに思考しRPAに指示することで多くの業務を自動化できます。

3種類のクラスに分けられる

RPAは、自動化レベルによって3種類のクラスに分けられます。それぞれのクラスの特徴や行える業務について解説します。

Class1:RPA

単純作業・定型作業の自動化に適したRPAで従来型のRPAを指します。データ入力や情報取得、検証作業を行えます。

Class2:EPA

EPA(Enhanced Process Automation)は、RPAとAIを連携させたものです。自然言語・音声・画像の解析・マシーンラーニング技術の搭載などによって、非構造化データの読み取りを行えます。また知識ベースの活用も行えるのが特徴です。

Class3:CA

CA(Cognitive Automation)もRPAとAIを連携させたもので、EPAよりも高度な処理を行えます。AIが指示を出しRPAが作業をする形です。CAが実現すれば、業務プロセスを完全に自動化できます。

AIを活用したRPAによるDX化の事例

AIを活用したRPAによるDX化の事例を5つ紹介します。

地方自治体の事例

ある地方自治体では、RPAの復旧のために紙ベースの書類のデータ化を検討しました。その際に、文字の認識率が高いAI-OCRの検証を行うことにしています。AI-OCRシステムで各帳票の文字を読み取り、RPAシステムで処理する流れです。実用化に向けて現在も検証が行われています。

銀行の事例

さまざまなサービスや顧客情報を取り扱う銀行では、書類の量が多く業務が煩雑化していることが問題視されていました。書類の書式が異なったり表記揺れが多かったりと問題点が多いため、機械での自動化は難しいと考えていました。

しかし、AI-OCRの導入によって入力処理のRPA化に成功しています。非定型な口座振替依頼書の処理も、RPAとAIを連携したシステムの利用によって問題なくできます。システムの導入により、事務作業の効率化につながりました。

人材サービス企業の事例

人材サービス企業では、マニュアル化されている業務をRPAに任せることを目的にRPAの導入を検討しました。

自動化を検討中の業務は社内システムへのログインが必要だったため、画像認証を可能とするAIを開発し社内システム内でのRPA稼働を実現しています。さらに、今まで外注していた採用業務に関するデータのレポートの出力も、自動で行えるようになりました。外注費や人件費の削減、業務の効率化につながっています。

情報機器販売会社の事例

ある情報機器販売会社では、もともと導入していたERPをうまく活用できていませんでした。Excelと併用していたことを問題に感じ、RPAの導入を検討しています。導入後はブラウザ外のアプリケーションの操作など、さまざまな業務をRPAで自動化し業務の効率化に成功しています。

保険会社の事例

ある保険会社では、人材不足が問題になっていました。人材不足に対応するべく、顧客からの保険金請求に関する問い合わせ対応のために、RPAとAIチャットボットを導入しています。AIが顧客との対話の中で必要な情報を聞き出しRPAが情報を自動登録することで、保険金請求の手続きを自動化でき業務負担の軽減とコスト削減につながっています。

RPAとAIを組み合わせられるツール

RPAとAIを組み合わせると、さまざまな業務を効率化したり、作業の精度を上げたりすることが可能です。RPAとAIを組み合わせて活用することを検討している企業もあるでしょう。ここではRPAとAIを組み合わせられるツールを3つ紹介します。

DAiKO OCR with AI inside

DAiKO OCR with AI insideは、手書きの書類や帳票をデータ化できるAI-OCRツールです。識字率が96%以上と高いため、スムーズに書類をデータ化できるのが特徴です。帳票処理を行う作業時間の削減に効果が期待できます。

提供元大興電子通信株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プランプラン1(小型):30,000円/月

プラン2(中型):100,000円/月
プラン3(大型):200,000円/月

機能・特徴手書き書類・帳票のデータ化、遠隔サポート(帳票設定支援、故障受付・対応、操作説明)、訪問サポート(業務ヒアリング、シナリオ設定支援)
URL公式サイト

Automation 360

Automation 360はRPAツールで、AIを利用したさまざまな機能を利用できるのが特徴です。AARIと呼ばれるデジタルアシスタントが、非定型な業務の自動化を助けてくれます。使いやすく自動化の設定を簡単に行える点が特徴です。

提供元Automation Anywhere Inc.
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
導入実績世界4,000社以上(2021年12月時点)
機能・特徴ブラウザベースの開発環境、レコーダー機能、開発機能の拡張、業務ユーザーとの連携
URL公式サイト

UiPathプラットフォーム

UiPathプラットフォームは、UiPath株式会社が提供するRPAツールです。ロボット作成による業務プロセスの自動化や、作成済みロボットの管理を行えます。またAIを取り入れてRPAと連携することが可能です。UiPathのモデルを利用するか自社で機械学習を行うかを選べます。

提供元UiPath株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プランFree:無料

Pro:$420/月
Enterprise:要問い合わせ

導入実績世界3,700社超、国内1,500社超(※2023年02月時点)
機能・特徴ローコード開発、UI・APIによる自動化、NLP・AI/ML連携、分析・テスト等
URL公式サイト

具体例を参考にRPAとAIの違いを理解しよう

RPAとAIは混同されやすいですが、まったく異なります。RPAは単純作業や定型業務の自動化を得意としていますが、人間の指示がない限り動けないため完全な自動化は難しいでしょう。

一方でAIは大量のデータを分析して学習し、行動予測を立てることが可能です。AIが次の行動を予測し、RPAに指示する仕組みを作れば、人の手をかけずに業務を自動化できるでしょう。ツールを導入する際には、RPAとAIの違いを理解して検討することをおすすめします。

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