RPAで起こりうる属人化のリスク!解消する方法や要因

最終更新日時:2023/08/08

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RPAでの属人化リスク

業務の自動化を行うRPAは業務効率化を目的に導入されますが、属人化を起こす可能性があります。なぜ、RPAでは属人化が起きてしまうのでしょうか。本記事では、RPA導入により起こりうる属人化の要因や、解決方法について解説します。

RPAの属人化によるリスク

RPAはルーティンワークを自動化できる便利なツールです。ただし、RPA導入によってさまざまなリスクも生じます。RPAを導入する前に、以下4つのリスクに関して把握しておきましょう。

  • 担当者の不在に影響される
  • トラブル時の復旧に時間がかかる
  • ブラックボックス化する危険性がある
  • 業務プロセスの変更で混乱を招く

事前に運用体制を確立しておかないと、RPAの担当者が不在になった場合に悪影響を及ぼします。属人化が発生し、業務のブラックボックス化や復旧作業への工数増大を招くのです。

担当者の不在に影響される

RPAの導入によって懸念されるリスクは、RPAの運用担当者への依存度が高まる点です。依存度が高いほど、担当者不在による業務への影響が大きくなります。RPAが処理する業務内容に関して、一人の担当者がすべて管理している状況となるためです。

担当者が休職するとRPAによる作業が止まり、仕事の遅延につながります。人事異動や退職によって不在となった場合、設定内容や業務フローが事前に共有されていないと、業務効率が大幅に低下するでしょう。

人的リソースが限られる中小企業は、RPA業務の属人化による悪影響が大きくなります。業務の属人化によって発生するリスクを避けるため、RPAを管理する担当者を複数人配置しましょう。

トラブル時の復旧に時間がかかる

RPAに誤作動や不具合が発生したとき、属人化が起きていると復旧作業に手間取ります。トラブルの詳細を正常に把握できないために作業に深刻な損害を与えてしまうでしょう。

RPAが復旧するまでは手作業で業務を処理しなければならず、業務負担が増大します。誤作動以前のRPAによる処理が正確であったか、確認する作業も必要です。仮に誤発注や請求額の計算ミスが起きていた場合、顧客との信頼関係が大幅に悪化します。単独でRPA作業を担当させないほか、復旧マニュアルの整備が求められるでしょう。

ブラックボックス化する危険性がある

RPAの導入によって業務負担を軽減できる反面、業務のブラックボックス化が起こる可能性が高まります。ブラックボックス化とは、特定の業務内容をどのように進めているか、外部から確認できない状態のことです。

RPAにはデータ入力や請求書作成、給与計算など、さまざまな分野のルーティンワークを任せられます。ブラックボックス化した状態だと、処理の流れや方法についてはRPAの設定をした担当者にしかわかりません。

ほかの従業員は設定内容や運用方法が把握できず、担当者の不在時に不具合が起きても対応できないのです。トラブルが起きているかの判断ができなかったり、気付くのが遅れたりもします。

ブラックボックス化を防ぐためにも、業務マニュアルを作成しておくことが重要です。担当者不在の影響を最小化するため、担当者が培ってきたナレッジや知識を共有する場を設けましょう。

業務プロセスの変更で混乱を招く

業務工程を変える場合、RPAのプログラム変更も必要となります。担当者以外が設定を行うと、プログラム変更による誤作動が起きやすくなるのです。

RPAへの作業命令自体は、知識者でなくても設定できるケースがあります。問題は設定済みのプログラムを変えたいときで、下手に動かせば業務の停止を招くこともあるのです。属人化によりRPAに関する知識が共有できていないと、業務プロセス変更に伴うプログラムの書き換えにも対応できません。

プログラムの設定変更が柔軟に行えるよう、RPAの属人化を予防する必要があります。

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RPA導入により属人化が起こる要因

業務の効率性と正確性を両立できるRPAですが、属人化が起こる可能性もはらんでいます。どのような要因によって、業務の属人化が発生するのか解説していきます。

運用体制が整っていない

RPAの運用体制が整備されていないと、業務の属人化が起こる恐れが高まります。誤作動が発生時の対処ルールがない、仕様変更で操作がわからなくなったままといった、ずさんな体制は避けるべきです。

RPAに関する知識を周知させるほか、担当者不在時の対応を用意するなどして環境を整備しましょう。担当者の異動が発生した場合は速やかに後任を決め、引き継ぎを徹底します。後任者のスキルに業務進捗が左右されないよう、マニュアルを完備しておくのが有効です。

RPAの運用担当者を複数人用意できるよう、教育体制や情報共有の仕組みを作る必要もあります。属人化を招くような運用体制は避け、RPA業務がバランスよくまわる仕組みを構築してください。

業務を標準化できていない

従業員が業務プロセスの標準化に消極的な場合も、RPA業務の属人化が発生する原因です。業務プロセスの標準化は、業務効率改善や成果物の品質向上など、さまざまなメリットをもたらします。

「周囲の人から尊敬されたい」「職場でのポジションを確立したい」などの心理が働けば、業務の標準化に反対したとしても不思議ではありません。従業員の仕事への姿勢や責任感の強さを高く評価した上で、適切に指導することが重要です。

属人化の解消は企業にとって不可欠ですが、担当者個人にとっては仕事を独占できる状態を有益だと感じてしまうのでしょう。担当者が培ってきたRPAの技術を待遇に反映するといった、理解を得るための配慮も必要となります。特定の従業員へ依存する事態を避けるためにも、業務の標準化に取り組んでください。

RPAできることとは?具体例やできないこと・適した業務を解説!

属人化を避けたい業務

業務の属人化が生じると自社に多大なデメリットがありますが、なかでも注意したい業務は以下の4つです。

  • 顧客対応業務
  • 説明案内業務
  • セキュリティ関連業務
  • バックオフィスに関する業務

顧客との信頼関係悪化や機密情報漏えいを避けるためにも、属人化の解消に努めましょう。

顧客対応業務

メールやWebサイトの入力フォームからくる問い合わせへの返答など、顧客への対応業務はプロセスの可視化が重要です。属人化により顧客対応の把握ができないと新規顧客獲得率の低下を招き、利益損失にも直結する深刻な問題となります。

スマートフォンの普及や市場競争の激化によって、新規顧客獲得にかかるコストや難易度は年々高まっています。自社商品へ関心の高い見込み顧客を一人でも多く獲得するには、良質な顧客対応が重要です。

顧客対応業務を標準化すれば、商談の進捗状況や案件の受注確率などを一目で可視化できます。優先すべき顧客が明確化し、獲得に向けた具体策を素早く実行できるでしょう。

人事・総務のRPA活用方法!活用例や業務効率UPの秘訣

説明案内業務

自社商品やサービスに関する説明業務も、属人化を避けたい仕事です。属人化が発生すると、従業員のスキルや実務経験に大きく依存する形となり、顧客対応の品質にバラつきが生じやすくなります。

実務経験豊富な従業員に業務が集中し、作業状況の不透明化につながるでしょう。説明案内に長けた社員がいなければ対応できない、といった事態にもなりかねません。業務の偏りは優れた人材育成にも支障をきたし、スムーズな説明案内ができる社員の減少を招きます。。

業務マニュアルの作成や教育体制を整備し、従業員のスキルアップや顧客対応の均一化を図ることが重要です。

セキュリティ関連業務

自社商品やサービスに関するセキュリティインシデントへの対応も重要な業務です。属人化が起これば、初動対応に遅れをとります。自社ネットワークへの侵入経路や影響範囲の特定が遅れると、計り知れないダメージとなるでしょう。

仮にサーバーダウンによって機密情報が漏えいした場合、イメージダウンや多額の利益損失は避けられません。対応マニュアルの作成や情報セキュリティ研修の受講を命じ、組織全体で機密情報を保護する意識を高めておく必要があります。

セキュリティ関連業務は、責任が大きいほど属人化しやすい恐れがあります。作業の分担などでバランスをとり、個人に負担が集まりすぎないよう注意しましょう。安全策についての知識を標準化し、複数人が業務を遂行できる体制を敷いてください。

バックオフィスに関する業務

バックオフィス業務とは企業運営を後方から支える、直接利益を生まない業務のことです。給与計算や勤怠管理で属人化が起こると、支払い漏れや法令違反のリスクが高まります。

経理の業務プロセスがブラックボックス化すると、横領の可能性も生じるため注意してください。社内外でのトラブルを避けるためにも、業務プロセスの見直しや各種システムの導入で業務を標準化しましょう。業務改善やシステム化で担当できる社員が増えれば、バックオフィス業務の属人化を予防できます。

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RPA導入による属人化を防ぐ方法

RPA導入による業務の属人化を防ぐには、準備や導入後の効果測定が重要になります。ここからは属人化を防ぐ方法について紹介していきます。

業務フローを洗い出す

業務標準化に向け、業務フローの可視化を行います。業務内容や業務プロセスの可視化によって、工程に無駄がないかを正確に把握するのが目的です。複雑なプロセスの見直しや不要な工程を排除しておくと、業務フローの再構築が進めやすくなります。

業務フローを洗い出せば、RPAに任せる作業とそうでない作業の分類も容易です。RPAが担う業務について周知させたり、担当者を均一に配置したりできます。属人化を避けてRPAのメリットを最大限にするために、業務フローの洗い出しは必須なのです。

仕組みを単純化する

RPA業務はできるだけシンプルに、単純な仕組みを採用しましょう。複雑でわかりにくい作業内容だと理解が広まらず、属人化を引き起こします。業務の単純化で誰もが担当しやすくなれば、RPA導入による属人化リスクを下げられるでしょう。

仕組みの単純化を行うには、業務プロセスの洗い出しによる工程の見直しが有効です。不要な工程をそぎ落とすことができ、必要作業に絞ったシンプルなフローに近づけます。RPAのマニュアルを作る場合にも、単純な仕組みにこだわることで作成の手間を省けるでしょう。

マニュアルを整備する

業務の流れややり方を記載した業務マニュアルを作成しておきましょう。業務マニュアルに記載したとおりの内容をRPAに指示するだけでよく、業務を標準化できます。属人化にありがちなマイルールの発生を防ぎ、知識の共有化に寄与するのです。

業務マニュアルを見ながら作業することで、早期に仕事を覚えられます。初めてでも内容を理解しやすいよう、図や表、イラストを効果的に織り交ぜることが重要です。複雑な業務プロセスの場合は、作業手順を動画にまとめておくのも有効でしょう。

作成した業務マニュアルは、新入社員向けの教育資料としても活用できます。マニュアルを作るという工程で情報共有が進むことも、RPA導入による属人化リスクの低減に役立つでしょう。RPAの仕様変更やアップデートにあわせて、マニュアルの改修も随時行ってください。

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定期的に改善に取り組む

業務の属人化防止に向け、RPA業務の改善について話し合う場を設けることが重要です。定期的に話し合いの場を持つことで、業務を進めやすい体制を整備できます。自分一人では気付かなかった視点からの意見が聞ける点もプラスです。

RPAによる属人化は、業務の見直しや再構築を怠ることで悪化します。システム担当者に任せっきりにせず、チームメンバーそれぞれが改善策を提案しましょう。時間が空いたらではなく、日時を決めて取り組んでください。

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RPA導入前に属人化のリスクを把握しておこう

RPA導入によって業務の属人化が起きると、RPA担当者不在時の影響が大きくなります。誤作動やシステム変更に対応できない、ブラックボックス化による事業悪化などの悪影響を及ぼすのです。

RPA導入後の属人化トラブルを避けるためにも、業務プロセスの見直しや運用体制の整備を行う必要があります。特に属人化による影響が大きい業務に気をつけ、予防に努めましょう。

RPAの利便性を享受するためにも、属人化が起こらないような使い方・仕組みを理解しておいてください。

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