営業部門の業務をRPA導入で効率化する方法!失敗しない秘訣と活用事例
事務作業の効率化に役立つRPA。経理部門や人事・総務部門での活用が目立ちますが、営業部門でも導入する企業が徐々に増えています。本記事では、営業部門にRPAを導入するメリットや失敗しない秘訣を、営業事務の活用事例とあわせて解説します。
目次
営業部門の業務
営業の業務内容は会社や業種によって多少異なりますが、おおよその業務内容は大きく分けて3つあります。
ルート営業
ルート営業とは、一定の地域を担当して既存顧客を訪問する営業スタイルです。ルート営業の主な業務は、既存顧客への新規商品の提案や既存顧客との信頼関係を構築するためにアフターフォローを行なうことです。
顧客との信頼関係を構築することで、顧客のニーズに合わせた提案やアドバイスもできるようになり、売上拡大にも期待ができます。
新規開拓営業
新規開拓営業とは、自社の商品やサービスをまだ利用していない顧客にアプローチし、新規顧客を獲得する営業スタイルです。新規開拓営業の業務は一から顧客との信頼関係の構築が必要なため、難易度の高い営業であり、チャレンジ精神や好奇心・根気強さをもって業務に取り組まなければなりません。
顧客へのアプローチ方法は、主に飛び込み営業やテレアポなどです。新規開拓営業は、新しい市場や顧客ニーズの開拓に取り組めることや、競合他社よりも先に新しい顧客を獲得が見込めることから更なる売上増加にもつなげられます。
内勤営業
内勤営業(インサイドセールス)とは、自社内での営業活動を担当するスタッフです。内勤営業の主な業務は、電話やメールなどでのアポイントや定期的な顧客フォローやアフターサポートなど顧客関係の構築です。
近年では在宅ワークの普及により、オンラインを活用した営業方法として内勤営業が注目されています。
▷RPAの導入費用はいくらかかる?費用相場や抑える秘訣・失敗しない選び方
営業部門の課題
営業では業務の中で様々な課題があり、多くの営業マンが課題を感じつつ業務を進めています。ここでは、営業の課題について具具体的に紹介していきます。
それぞれ詳しく解説します。
営業活動以外の業務が多い
営業部門は、営業活動以外に契約書の作成や顧客情報の管理・報告書の作成など、事務作業も並行して行います。そのため、営業担当であるにも関わらず営業活動に専念できないことが課題となっている企業も少なくありません。
営業担当が営業活動以外の事務作業に追われている場合、見込み客の開拓に時間が割けなくなります。結果として、新規顧客獲得の機会を逃してしまう可能性が高まるでしょう。さらに既存顧客の問い合わせにも迅速な対応ができなくなり、顧客との信頼関係がなくなってしまうリスクもあります。
営業部門が営業活動以外の業務を多く抱えている企業は、別の社員を配置し営業部門をフォローするなどの対策を講じ、業務を効率化をすることが望ましいです。
アシスタントの不足
営業部門の課題として、アシスタントの不足が問題の企業も多くあります。特に中小企業やスタートアップ企業など社員が少ない企業は、営業体制が整っておらず個人で部門を横断して業務を行っている企業も多いです。
アシスタントの不足で営業活動以外の業務を担当すると、業務の効率性や顧客満足度が低下を引き起こしかねません。また人手不足による残業過多で、退職するリスクが高まるなど悪循環に陥ってしまう可能性もあります。
営業部門にアシスタントが足りないと感じている企業は、業務を外部委託したりRPAにより自動化したりして業務の効率化を検討してください。
▷RPA導入で失敗する原因とは?事例からわかる絶対に失敗しないコツ
RPAを営業部門に導入するメリット
RPAを営業部門に導入するメリットは主に5つです。
- 営業事務の負担軽減
- 営業活動に費やす時間の確保
- 対応スピード・質の向上
- 人件費の削減
- 作業の正確性向上
それぞれのメリットを、詳しく解説します。
営業事務の負担軽減
RPAを導入すれば、営業事務の負担軽減が可能です。
RPAは、定型業務など繰り返しの作業を自動化する技術で、ExcelやERPなどの業務システムと組み合わせて活用される場合が多いです。営業事務は見積書の作成や契約書の作成などをRPAで自動化することで、営業担当が行う手作業の負担を大幅に軽減できます。
営業事務の負担を軽減することで、残業時間の削減にもつながるでしょう。
営業活動に費やす時間の確保
RPAを導入すれば、営業活動に費やす時間の確保ができます。
RPAで業務作業を自動化することで、単純作業はほとんど発生しません。そのため営業担当は、より多くの時間を顧客対応や新規顧客開拓に活用できるため、営業成績を上げるための時間を確保できます。
また、自動化された作業でヒューマンエラーが減少するため、顧客満足度が向上しより効率的な営業活動が行えるでしょう。
対応スピード・質の向上
RPAを導入すれば、顧客への対応スピードや質の向上が可能です。
顧客からの問い合わせを全て営業部門が担当すると、処理の時間が大幅にかかってしまいます。しかしRPAを導入すれば、チャットボットや自動音声などで自動的対応ができ、より迅速な顧客対応ができます。
またRPAは24時間365日対応できるため、顧客からの問い合わせにもスムーズな対応ができ業務品質の向上にもつながるでしょう。
▷RPAとbot・AIの違いとは?それぞれの意味や活用例・連携のポイントを解説!
人件費の削減
RPAの導入で業務プロセスを自動化すれば、人件費の削減にもつながります。RPAを導入しなければ、膨大なデータ入力作業や書類整理の作業などを社員が行う必要があります。
またRPAで自動化された業務は正確性が高くミスが少ないため、人件費だけでなく業務過多による残業時間の削減にもつながるでしょう。人件費を削減すれば、重要な経営資源を営業活動や商品開発などの生産的な業務に活用できます。
作業の正確性向上
RPAの導入で業務プロセスが自動化されるため、作業の正確性が向上します。RPAがなければ全て人が作業するため、ミスが発生したり正確な業務処理に時間がかかったりして業務の品質が低下する可能性があります。
しかしRPAを導入すれば、定型業務を自動化できるため正確性が高くミスの少ない業務処理が可能です。また業務の品質が向上するため、顧客からの信頼も高まるため営業成績の向上につながるでしょう。
▷RPAできることとは?具体例やできないこと・適した業務を解説!
営業事務におけるRPAの活用事例
ここまでRPAのメリットを解説しましたが、実際にどのような活用ができるのでしょうか。営業事務でのRPA活用事例は主に8つです。ここでは、それぞれの活用事例を具体的に解説します。
データの入力
RPAは自動で大量のデータ入力が可能です。
たとえば、資料請求や商品購入の申込時に顧客が入力した情報をExcelに自動入力すれば、営業事務にかかる時間を大幅に短縮できます。他にも顧客からもらった名刺をデータで一元管理して共有する場合、パソコンで転記しなければなりません。しかしRPAを活用すれば、名刺を転記せずに自動入力が可能です。
データ入力を自動化すれば、入力時間が削減されるため効率的に営業活動が行えるでしょう。
営業資料の作成
営業担当者が作成する営業資料には、契約書や商談資料があります。営業資料作成には、商品情報や価格情報などの情報収集・デザイン作成・修正作業など多くの作業が必要です。RPAを活用することで、営業資料の作成作業を自動化が可能です。
たとえば営業資料に必要な情報を取得して、レポートの作成やパワーポイントの資料作成を自動で行えます。営業資料の作成を自動化することで、営業担当者は営業活動の時間を創出できるため、より生産性の向上につながります。
営業日報の作成
営業日報作成は、営業担当者が日々作成する業務です。営業日報のような繰り返しの作業にも、RPAを活用できます。たとえば、営業担当者が行った顧客訪問情報・商談内容・アクションプランなどを自動で収集し、日報フォーマットに自動入力が可能です。
また、RPAはモバイル端末に対応しているツールもあり、外出先でも営業日報を確認して現在の顧客対応状況の把握にも役立ちます。優秀な社員の営業日報を参考にすれば、ナレッジの共有にも繋がるため、営業部門全体のスキルアップの向上にも活用できます。
伝票の発行
営業事務が行う、見積書や請求書・宛名シールの発行などもRPAで自動化が可能です。たとえば、注文情報から必要な情報を抽出することで、自動で伝票の発行ができます。
RPAを導入すれば伝票発行で起こる人的なミスを防げるため、作業時間を大幅な短縮や生産性の向上につながります。また発注や振込業務もRPAを活用すればペーパーレス化できるため、保管場所や紙にかかる費用の削減が可能です。
データの収集・分析
営業活動の中で、市場動向や競合情報などのデータ収集や分析を行うことがあります。RPAのスクレイピング機能を活用すれば、膨大なデータを自動で収集や分析ができます。
たとえば、Webサイトから必要な競合商品の情報や自社商品のレビューなどを自動で収集することで、分析に活用が可能です。また毎月発生する売上データや顧客情報を自動で集計や分析することで、営業活動の改善点を明確にできます。
▷RPAとスクレイピングの違いとは?それぞれの特徴と活用例を紹介
SFAとの連携
営業支援ツールのSFA(Sales Force Automation)とRPAを連携すれば、より効率的な活用が可能です。たとえばSFAの顧客情報をダウンロードしExcelデータを自動で取り込めば、見込み客へのアプローチ方法をかんたんに考察できます。またSFAで蓄積された顧客情報や商談情報をRPAが自動処理すれば、営業の効率化も期待できます。
デジタル化がさらに進みSFAと連携した効率的な業務推進に、RPAはより重要になるでしょう。
▷【2023年最新】おすすめSFA(営業支援システム)12選!比較ポイントも解説
在庫の確認
RPAの導入で、在庫数の確認や更新作業を自動化できます。たとえば入出庫のデータを自動で抽出し、在庫の状況をリアルタイムに確認できます。
また在庫数や受注状況などの管理が自動で行われるため、在庫の切れを防ぎスムーズな物流が可能です。さらに商品の受注があった場合に在庫数を自動で更新し、次の受注に備えることで在庫管理にかかる時間や人的リソースの削減にもつながるでしょう。
メールの自動送付
営業事務には、顧客に向けたメールの送信が必要なケースが多くあります。メールにもRPAを活用することで、自動送付が行えます。たとえば、見積書の送信や商品の案内・お礼のメールなど、さまざまなケースでの自動送信が可能です。
さらに送信先のデータを自動で抽出できるため、工数を大幅に削減できます。
▷RPAでメール送信を効率化する方法!注意すべきリスクとは?
営業事務におけるRPA導入に失敗しない秘訣
営業事務におけるRPA導入に失敗しない秘訣は、主に7つです。
- 導入の目的を明確にする
- RPAによって自動化できる業務を洗い出す
- ITリテラシーにあったツールを選択する
- 既存システムとの連携ができるか確認する
- 管理体制の構築しておく
- RPA人材の育成・確保をしておく
- スモールスタートを心がける
失敗例を確認して、自社で導入する際の参考にしてください。
導入の目的を明確にする
RPAの導入目的を明確にしましょう。人的ミスの削減・業務時間の短縮・コスト削減など導入目的を明確にすることで、適切なツール選択や導入効果の検証が容易になります。
業務効率や生産性の向上などを目的にすれば、残業時間の削減にも繋がるため人件費の削減や社員の満足度向上にも寄与できます。
▷RPAとは?意味や導入する手順・メリットをわかりやすく解説!
RPAによって自動化できる業務を洗い出す
RPAで自動化できる業務の洗い出しもポイントです。ルーティンワークやデータ入力・帳票作成・メールの送受信などが、RPAを活用した自動化の対象になります。業務の適正化や最適化に取り組みながら、自動化する業務を選定してください。
ITリテラシーにあったツールを選択する
RPAツールはさまざまな企業が提供しているため、導入前にITリテラシーにあったツールの選択が大切です。
ツールの操作性や利便性・保守サポート体制・価格なども比較検討することで、実際に操作する営業担当者のITリテラシーにあわせたツールを選択できるでしょう。
既存システムとの連携ができるか確認する
RPAツールと既存システムが連携できるかも確認してください。既存システムとの親和性が高いツールを選択することで、システム全体の稼働率が向上します。特にSFAやCRMなどと連携できるツールを選ぶことで、さらなる営業の効率にも繋がるでしょう。
管理体制の構築しておく
RPAの導入で業務がブラックボックス化・属人化しないように、運用や管理に関する体制を構築してください。RPAツールの監視や不具合の修正・アップデートなどの運用管理に加え、運用責任者を置いて定期的な評価や改善を行うことで、システムの安定運用を確保できます。
▷【2023年最新】おすすめのRPAツール比較20選|機能や失敗しない選び方
RPA人材の育成・確保をしておく
RPA導入後の運用には、RPAの操作・ロボットに精通した社員を複数人確保してください。長期間の運用を見据えて、RPA専任の人材確保と育成が必要です。
またRPAツールを導入することで、業務内容の変化や社員のスキルアップにも繋がります。定期的なトレーニングやスキルアップの支援を行うなど、RPA人材の育成に取り組みましょう。
スモールスタートを心がける
RPAの導入にあたっては、スモールスタートを心がけてください。すべての業務を一度に自動化すると、RPA導入の負荷が大きくなり失敗する可能性が高まります。
簡単な業務から導入し、効果を確認しながら段階的に拡大していくことで、導入効果を最大限に引き出せるでしょう。
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RPAを導入し営業活動に注力しよう
本記事では、RPAを営業部門に導入するメリットや活用方法、失敗しない導入の秘訣を解説しました。
RPAの導入で営業活動以外の業務効率化に役立ち、売上拡大やコスト削減などに繋がります。自社に適したRPAを導入して、業務の効率化を進めていきましょう。
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