RPAとノーコード/ローコードの違いとは?メリット・デメリットや必要なスキル
2016年以降、日本国内において関心が高まり始めたRPA。2020年にはノーコード/ローコードがリリースされ、業務の効率化をさらに加速させています。本記事では、RPAとノーコード/ローコードの違いとは何かをはじめ、メリット・デメリットについても解説します。おすすめのツールも紹介するので、ぜひ導入時に役立ててください。
目次
RPAとノーコード・ローコードの違いとは?
RPAは、データ入力や帳票発行など、主にデスクワークを自動化するためのソフトウェアです。一方ノーコードとローコードは、開発手法を指します。どちらも業務効率化に用いられるツール・仕組みですが、意味や機能は異なります。
ここでは、それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。
RPAとは?
RPA(Robotic Process Automation)とは、一定のルールに基づき、PC上の作業を自動化するためのソフトウェアです。RPAの導入によって、人間の代わりにロボットが作業をおこなう仕組みを構築できます。RPAに搭載されている基本機能は、以下のとおりです。
- 自動入力
- 情報収集
- ソフトやシステムの操作
- 請求書や納品書の自動出力
- メールの自動送信
- 問い合わせ対応
RPAは記憶力と再現性に優れていて、事前に設定した順番通りの操作内容を繰り返し実行するのが特徴です。基本的にコーディングは不要で、プログラミングの知識などは必要ありません。
作業の実行日時を事前に指定しておくと、メール配信やデータ入力などの作業をスケジュール通りに実施できるため、人手不足解消や業務効率改善を実現する方法として、RPAを導入する企業が増えています。
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ノーコードとは?
ノーコードとは、プログラミング言語を一切使用せず、アプリ開発やWebサイト構築がおこなえる開発手法です。コーディング作業をともなわずに開発作業が進められるツールは、ノーコードツールと呼ばれています。
ノーコードツールは、ユーザーインターフェースに優れていて、製品によってはドラッグ&ドロップやクリック操作のみで開発作業が完了します。特別なスキルがなくても作業を進められるため、新たにエンジニアの採用や外注先を探す必要がありません。
開発期間を短縮できるため、スピードを重視するスマートフォンアプリの開発に適した手法です。その反面、実装できる機能は限られていて、多機能性アプリや大規模なシステム開発には向いていません。
また、近年はクラウド型のノーコードツールが増加していて、予算の確保が難しい企業もツール導入を検討できる環境が整いつつあります。
ローコードとは?
ローコードとは、必要最低限のソースコードを記述し、アプリやシステム開発を行う開発手法です。少ないコード数で開発作業が進められるツールをローコードツールと呼びます。
ローコードツールは、一定のプログラミング知識が求められる一方、ノーコードよりも拡張性に優れている点が特徴です。API連携によって必要な機能を随時追加できるため、ノーコードツールよりも開発の自由度は高まります。
ノーコード開発では実装困難な機能を搭載したシステムや、アプリを開発する場合に適した手法といえるでしょう。また、ノーコードツールと同様、ユーザーインターフェースに優れたツールが多く、直感的な操作が可能です。
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ノーコード/ローコードのメリット
ノーコードまたはローコードツールを導入するメリットは、以下の4つが挙げられます。
- 操作が容易にできる
- 開発費用・開発期間の削減を削減できる
- 開発効率を向上させられる
- 拡張性に優れている
操作が容易にできる
ノーコードまたはローコードツールを利用するメリットは、誰もが簡単に操作できる点です。ユーザーインターフェースに優れているツールが多く、ドラッグ&ドロップでアプリの開発を進められます。高度なITスキルや、プログラミング知識は必要ありません。
業務に必要な機能を搭載したアプリをスピーディーに導入でき、業務効率改善を図れます。作成したアプリの操作性に悩まされる心配も少なく、早期の安定運用が望めるでしょう。
開発費用・開発期間を削減できる
ノーコードやローコードツールの導入によって、開発にかかる費用と期間を削減できます。サンプルアプリが搭載されているツールも多く、新たにアプリを開発しなくても、すぐに業務で利用できます。
また、ドラッグ&ドロップで簡単にアプリを作成できるため、アプリ開発のためにエンジニアの採用や外注先を探す必要はありません。作業に着手してから数日間でアプリを完成させることも可能で、アプリ開発にかかる工数を大幅に削減できます。
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開発効率を向上させられる
自社にエンジニアが在籍している場合、ノーコードやローコードツールの導入によって、開発効率を高められます。ノーコードツールを導入した場合、アプリ開発に必要な作業は個々のパーツを組み合わせていくだけです。
ローコードツールを導入した場合も、コードを作成する箇所が大幅に減るため、浮いた時間を別の作業にあてられます。作成したアプリは安全性に優れ、バグや通信障害が起きにくい点も魅力です。また、作業効率の向上により、エンジニアの過重労働を避けられる点もメリットといえるでしょう。
拡張性に優れている
グループウェアやビジネスチャット、SFAなど、多くの外部システムと連携可能なツールも多く存在します。これらの外部システムとの連携により、データ取得や顧客情報の共有などをスムーズに進められ、従業員間のコミュニケーションを活性化させることが可能です。
また、機能拡張のために新たにカスタマイズを行う必要もないため、追加費用の発生を避けられます。
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ノーコード/ローコードのデメリット
ノーコードやローコードツールを利用する場合、以下2点のデメリットが生じることを理解しておきましょう。
- 大規模開発には不向き
- シャドーIT蔓延のリスクがある
大規模開発には不向き
ノーコードやローコードツールは、搭載できる機能に制限があるため、大規模システムの開発には向いていません。プログラミング知識がない方でもすぐに利用できるよう、システム全体が設計されていて、拡張性にも限度があります。
カスタマイズも部分的な範囲に留まるため、標準搭載されている以上の機能を実装するのは難しいでしょう。多くの外部システムと連携可能なツールを選ぶことで、大規模な開発をしなくてもユーザビリティを高められます。
ただし、オリジナル機能を搭載するには、プログラミング言語を使った従来の開発手法を選択しなければなりません。また、ツールによって標準搭載されている機能やサンプルアプリは異なります。導入の際は、自社が求めている機能やアプリがあるかを確認しておきましょう。
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シャドーIT蔓延のリスクがある
ノーコードまたはローコードツールの導入によって、業務用アプリの開発が進めやすくなる反面、作成したアプリを正しく管理する重要性が増します。誰もがアプリを簡単に開発できる状態に陥ると、シャドーITを招くリスクが高まります。
シャドーITとは、従業員がプライベートで利用するモバイル端末やクラウドサービスを企業の許可を取らずに、業務へ持ち込むことです。導入したツールを使って開発したアプリをシステム管理者へ報告せず、無許可で業務で使用している状態は、シャドーITに該当します。
シャドーITが発生すると、マルウェア感染やサイバー攻撃によるアカウントの乗っ取りが発生し、情報漏えいを招く可能性が高まります。仮に機密情報が流出した場合、社会的信用低下やイメージダウンは避けられないでしょう。
シャドーITによる多額の利益損失を避けるためにも、アプリ開発のルール整備やアクセス権限を設けることが重要です。
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ノーコードツールの種類
ここでは、多くの企業に利用されているノーコードツールを3つ紹介します。
yappli
yappliは、株式会社ヤプリが提供するアプリ開発プラットフォームです。多くの企業から高い評価を得ていて、リピート率は99%を誇ります。
フリーレイアウトの活用によって、画像とテキストを組み合わせるとオリジナルレイアウトをスムーズに作成できます。画像には、アニメーションやリンクの設定が可能です。完成したアプリには動画を掲載できるため、商品やサービスの魅力を存分に伝えられるでしょう。
提供元 | 株式会社ヤプリ |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 600社以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
Adalo
Adaloは、Apto Labs, Inc.が運営するアプリ開発プラットフォームです。リストやフォーム、チャートなど、25種類以上のコンポーネントが用意されています。
画像やテキスト、ボタンなどをドラッグ&ドロップで配置でき、オリジナルアプリも簡単に作成可能です。作成したアプリにリンクページやナビゲーションを設定すると、コンバージョン獲得率を高められます。
作成したアプリやユーザーデータはまとめて管理できるため、運用負担の軽減を図れるでしょう。
提供元 | Apto Labs, Inc. |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 無料プラン:$0 ■スターター
■プロフェッショナル
■チーム
■事業内容
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機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
AUTORO
AUTOROは、オートロ株式会社が提供するクラウド型RPAです。ノーコードで設計されていて、プログラミング知識なしでロボットを製作できます。完成したRPAは、ECサイト運営やスカウトメールの配信、広告レポート作成など、さまざまな用途に利用可能です。
記録した業務フローを正確に再現するため、長時間稼働しても業務品質が低下する心配がありません。業務の正確性と効率性を高いレベルで両立できます。また、通信経路や保存したデータはすべて暗号化されるため、セキュリティ面においても安心して利用できるツールといえるでしょう。
提供元 | オートロ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
ローコードツールの種類
ここからは、多くの企業に支持を集めるローコードツールを3つ紹介します。
いずれのツールもアプリ開発プラットフォームです。それぞれの特徴をみていきましょう。
Microsoft Power Apps
Microsoft Power Appsは、日本マイクロソフト株式会社が提供するアプリ開発プラットフォームです。画面上に提示される指示内容に沿って作業を進めていくだけで、AIモデルを開発できます。プログラミングの知識や、特別なITスキルは必要ありません。
完成したAIモデルは、売上予測やキーフレーズ抽出、テキスト認識など、さまざまな用途に利用できます。Microsoft 365やDynamics 365と連携すると、豊富なデータベースを活用できるため、AIモデルの開発期間を大幅に削減可能です。
提供元 | 日本マイクロソフト株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 2,500円/1ユーザー |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
AppSuite
AppSuiteは、株式会社ネオジャパンが提供するアプリ開発プラットフォームです。マウスで直感的に操作が行えて、ユーザビリティに優れているのが特徴です。
発注書や部品在庫管理、アルコール記録など、サンプルアプリが多数用意されていて、導入後すぐに運用ができます。
オリジナルアプリを作成する場合も、ドラッグ&ドロップで簡単に作業を進められます。他の事業所でも同じアプリを利用する場合、サンプルアプリや作成したアプリをコピーすると、簡単にアプリを共通化することが可能です。
提供元 | 株式会社ネオジャパン |
初期費用 |
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料金プラン | クラウド版:440円(税込)/月 スモールライセンス(5~300ユーザー):43,780円(税込)~109万7800円(税込) エンタープライズライセンス(100~無制限ユーザー):45万1000円(税込)~1430万円(税込) |
導入実績 | 484万ユーザー以上(2023年1月時点) |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
Kintone
Kintoneは、サイボウズ株式会社が提供するコストパフォーマンスに優れたアプリ開発プラットフォームです。中小企業から大企業まで多くの企業が利用していて、導入実績は30,000社に到達しています。
案件管理やタイムカード、材料データ管理など、さまざまなサンプルアプリが用意されていて、導入後すぐに運用が可能です。オリジナルアプリはドラッグ&ドロップで必要な項目を選択していくだけで、簡単に作成できます。
提供元 | サイボウズ株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン |
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導入実績 | 30,000社 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
RPAとノーコード/ローコードの違いを理解し最適なものを導入しよう
RPAは「すでにあるアプリや業務の手順を自動化するツール」であるのに対し、ノーコード/ローコードは「業務に必要なアプリを開発する手法やツール」を指します。どちらも、デスクワークを自動化し、人手不足解消や業務効率改善を実現するツールという点では共通しています。
ノーコードまたはローコードツールを活用するメリットは、開発費用を大幅に削減しつつ、自社の業務に最適なシステムを構築できる点です。
拡張性に優れたツールも多く、外部システムとの連携によって必要な機能を随時拡張できます。ただし、実装できる機能には限りがあるため、大規模なシステム開発には適していません。目的や予算、人材の有無を考慮し、自社に必要なツールを見極めてください。
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