RPAが中小企業で進まない理由|事例からわかる取り組むべき理由

最終更新日時:2023/03/17

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中小企業のRPAが進まない理由

近年では、大企業だけでなく中小企業でも導入が進んでいるRPA。しかし大企業と比べると、中小企業ではまだまだRPAの導入が進んでいません。そこで本記事では、RPAが中小企業で進まない理由について、必要な理由から導入の際のポイントまで徹底解説していきます。

中小企業にRPAの導入が必要な理由

RPAは、中小企業こそ導入が必要だといわれています。なぜ中小企業にRPAの導入が必要なのか、主な理由を3つピックアップして紹介します。

  • 労働人口の減少
  • 横ばい傾向が続く生産性
  • 蓄積されないナレッジ

1つ目の理由は、労働人口の減少です。東京商工会議所が2022年に公表したデータによると、全国の中小企業の約6割が「人手が不足している」と回答しています。また前年の同調査と比較すると「人手が不足している」という回答は15.0ポイントも増加しています。他にも環境の変化で中小企業の業績も悪くなっており、より人手不足が顕著になっているので、課題解決のためにRPAに注目が集まっています。

横ばい傾向が続く生産性

2つ目の理由は、横ばい傾向が続く生産性です。中小企業庁が2021年に発表した「中小企業白書」によると、社員一人当たりの付加価値額(労働生産性)は長らく横ばいの傾向にあります。

中小企業は社内の人数が少ない・高いITリテラシーを保有している人材が少ない・社内のナレッジの共有体制が整っていないなどの理由から大企業と比べると生産性は低い傾向があります。少ない人数で業務を回していく中小企業こそ、生産性を高めるためにもRPAの導入が必要だと考えられます。

蓄積されないナレッジ

3つ目の理由は、社内にナレッジが蓄積されないことです。中小企業は少ない社員で業務をするので、業務の兼任が多いことから属人化しやすいと言われています。したがって退職者が出るとナレッジが継承されないため、担当者が変わる度に業務が滞ってしまいます。

ナレッジが蓄積されていない状況は属人化だけではなく、業務効率が向上しないなどの原因にもつながるため、生産性のアップにはつながりません。生産性をアップさせるためにも、RPAなどを活用して改善していく必要があるのです。

RPAの導入で得られる6つの効果!効果測定方法や主な導入事例

中小企業におけるRPA導入の現状

紹介したとおり中小企業にRPAの導入は必要ですが、実際はあまり導入が進んでいません。株式会社MM総研が2020年に発表した「RPA国内利用動向調査2020」によると、RPAを導入した中堅・中小企業は全体の25%でした。一方で大企業は51%が導入しているところからも、中小企業のRPA浸透度はまだまだ低いといえます。

中小企業のRPA導入が進まない理由

RPAが必要な中小企業で導入が進んでいない理由は主に3つあります。

  • 導入コストが高い
  • 専門の人材がいない
  • 得られる効果が低い

導入コストが高い

まず、RPAは導入コストが高く一般的にRPAを全社的に導入すると、年間数十万円〜数千万円のコストがかかります。また導入費用だけでなく、毎月のランニングコストもかかります。

導入を検討している段階で全体的な費用を把握しておかないと、予算オーバーしてしまったり、圧迫するなど非効率な運用になってしまうリスクがあるので注意してください。また、中長期的な利用に向けては機能を追加する際のオプション料金が発生するケースもあるのでその点もチェックしておきましょう。

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専門の人材がいない

在籍する社員の総数が少ない中小企業は、専門の人材がいないことも導入が進まない大きな理由です。大企業には専門のエンジニアが常駐していることがほとんどです。

しかし、中小企業で専門の人材を常駐させることは難しいでしょう。いざというときに対処できる人材がいないため、RPAの導入に踏み切れない企業も少なくありません。

得られる効果が低い

RPAの導入で得られる効果が低いことも理由の1つです。RPAが代行する業務数を中小企業と大企業で比較すると、中小企業の業務数はとても限られてしまいます。多額のコストをかけても大きな費用対効果が得られないため、RPAを導入する中小企業はなかなか増えないのが現状です。

導入してからのミスマッチが生まれないようにするためにも、どのような目的でRPAを導入するのかという点は明確にしておきましょう。目的を定めて期待する効果をクリアにしておけば、想定していたような結果を得られないというリスクは低くなります。

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中小企業がRPAを導入するメリット・効果

中小企業がRPAを導入すると、具体的にどのようなメリットや効果が得られるのでしょうか。ここでは代表的なメリットを3つ解説します。

  • 生産性の向上
  • 人件費の削減

生産性の向上

RPAで業務が自動化できると、手作業でおこなう時に発生するヒューマンエラーを削減できます。人間でしかできない業務を社員がおこなうことで生産性が大幅に向上し、成果物のクオリティが維持できるでしょう。

また、ルーティン作業が多い定型業務をRPAが代行することで、社員はクリエイティブな作業や戦略策定などの業務に時間を使用できます。また収益に直結する業務を優先して社員がおこなえるため、業績アップの可能性も高まります。

人件費の削減

RPAが単純作業をおこなってくれるので人の採用や雇用をする必要がありません。もちろんメンテナンスや初期設定などは必要ですが、一度登録すれば同じ業務を継続してくれるので雇用するよりも安く済みます。

業務上のミスも少なくなり作業工数・クオリティの担保にもつながるのも魅力です。

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中小企業がRPAを導入した実際の事例

実際にRPAを導入している事例は多数あります。その中でも、主な2つの事例を紹介します。

実際の事例を確認して、どのような部分で活かせるか確認してください。

請求書の処理業務自動化

請求書の処理業務をRPAで自動化できます。RPAを導入する前は、取引先から送付される請求書をExcelでデータ化し財務システムに登録、紙の請求書と照合して内容の確認をするという業務を手作業でおこなっていました。しかしRPAを導入して請求書の処理作業を自動化すると、ヒューマンエラーと人件費の削減に成功しました。

受発注処理でのRPA導入

受発注処理にもRPAを活用できます。取引先や顧客から発送された受発注の書類を自動化することで、社員の業務負荷を削減し帳票ごとの表記のばらつきも解決します。RPAを導入し受発注処理をすることで、新たな人材を雇用する必要がなく既存の社員はコア業務に注力できるようになりました。

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中小企業がRPAを導入する際のポイント

メリットがたくさんあるRPAですが、中小企業が導入する際に注意すべきポイントがあります。ここでは、とくに気をつけてほしいポイントを4つ紹介します。

業務フローを可視化する

まず、業務フローを可視化が必要です。業務フローを考えるタイミングでRPAの業務を見える化しなければ、導入後に無駄な手作業が残ってしまう可能性があります。RPAの効果を最大化するためにも、担当者一人ひとりの業務フローをヒアリングし、誰のフローに採用するかよく考えましょう。

コストが安いRPAを導入する

コストが安いRPAを導入することも大切です。中小企業は大企業と比較するとRPAにかけられる費用が少ないです。

したがって予算よりも高いRPAを導入すると、経費を圧迫しシステを継続的に維持できません。費用対効果を確認や特徴をリスト化し、もっともコストパフォーマンスがよいRPAを選ぶようにしましょう。

小規模からスタートする

RPAを導入する際は、小規模からスモールスタートで始めましょう。小規模で利用をスタートすることで、フローの改善や目標の明確化がスムーズに進みます。たとえばRPAを活用したい業務をおこなっている1部署や1チームからのスタートがおすすめです。使用感や導入による問題点を把握し、改善を繰り返してから全社での導入を進めてください。

サポートが手厚いベンダーを選ぶ

RPAツールを選ぶ際は、サポートが手厚いベンダーを選びましょう。RPAの導入をはじめたばかりの時は、問題が発生したり対応に時間がかかったりします。中小企業の多くは社内に専門家がいないため、ベンダーのサポート充実度は非常に重要です。

  • 自社の業務時間に対応してくれるか
  • 電話、メール、チャットなど複数のチャネルが用意されているか

など、ベンダーが迅速に対応してくれるか確認してください。

中小企業におけるRPA導入のリスクや対策とは?

中小企業がRPAを導入すると、メリットだけでなくリスクも発生します。ここでは実際のリスクとリスクを防ぐための対策を2つ紹介します。

システム障害などの非常事態

1つ目のリスクは、システム障害などの非常事態が発生することです。RPAに問題が発生すると業務が止まってしまう恐れがあり、サーバー側の障害や故障は自社では避けられません。したがって非常事態が発生した時のマニュアル作成や、こまめなデータのバックアップが必要です。

情報漏洩などのセキュリティ問題

2つ目のリスクは、情報漏洩などセキュリティ問題です。RPAはシステムにIDやパスワードなど重要な情報が含まれており、不正アクセスで情報が漏洩することも考えられます。

セキュリティの対策は、使用権限を明確にし簡単にアクセスできないようにすることです。また外部から不正アクセスを防止するために、通信データや機密情報の暗号化がおすすめです。

RPAツールの失敗しないおすすめの選び方

RPAツール選びで失敗しないためには、どのようなポイントに注意すべきでしょうか。ここでは、おすすめの選び方を4つ紹介します。

導入形態

RPAツールの導入形態は、クラウド型とオンプレミス型があります。インターネット回線を使ってクラウドにシステムをインストールするクラウド型は、費用を抑えることができます。しかし、業務の範囲がWebブラウザ上での作業に限定されてしまいます。

一方でオンプレミス型は、自社のサーバーやパソコンにインストールします。費用はクラウド型と比べると高価になりますが、自動化できる範囲が広くカスタマイズ性も高いです。

種類

次に、ツールの種類を確認しましょう。オンプレミス型RPAの場合、デスクトップ型とサーバー型があります。デスクトップ型とは、パソコンにインストールするタイプです。

パソコン1台からスモールスタートが可能なので、小規模な企業におすすめです。またサーバー型は、自社のサーバーに接続するタイプです。企業の規模が大きく、将来的にRPAツールを全社で導入しようと考えている企業に適しています。

操作性・メンテナンスのしやすさ

操作性やメンテナンスのしやすさもチェックしてください。ポイントは、エンジニアが社内に常駐していなくてもメンテナンスができるかどうかです。また初めてRPAツールを利用する人でも抵抗感なく使用できるほど操作性がよいかも確認しましょう。

サポート体制

サポート体制もRPAツールを選ぶ上で重要なポイントです。問題が発生した際に、すぐにサポートが受けられるRPAツールを選びましょう。事前にサポートデスクの対応力や連絡手段の多さを調査し、いつでもすぐに問題が解決できるRPAツールを選んでください。

RPA導入で失敗する原因とは?事例からわかる絶対に失敗しないコツ

中小企業にこそRPAの導入が不可欠

RPAは、人手不足や生産性の低さに悩んでいる中小企業こそ導入すべきツールです。RPAを導入することで、生産性の向上や人件費の削減などの効果が期待できます。本記事で紹介した内容を参考にして、ぜひ自社でRPAを導入する際の参考にしてみてください。

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