中小企業でRPAの導入が進まない理由|導入率や事例・中小企業向けのRPAを紹介

2023/03/17 2024/06/27

RPA

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中小企業のRPAが進まない理由

多くの企業で導入が進むRPA。しかし、大企業と比べると中小企業ではまだまだRPAの導入が進んでいません。そこで本記事では、中小企業にRPAが必要な理由や導入するメリット、企業の導入事例などを紹介します。

中小企業にRPAの導入が必要な理由

RPAは、中小企業こそ導入が必要だといわれています。なぜ中小企業にRPAの導入が必要なのか、主な理由を3つ紹介します。

人手不足が深刻化している

少子高齢化が進む日本では、労働人口が減少しており、多くの企業で人手不足が深刻化しています。なかでも、採用コストや人件費の捻出が難しい中小企業にとっては、とくに不利な状況といえるでしょう。

人手不足が慢性化すれば、一人あたりに割り振られる業務量が多くなり、負担に感じた社員が退職してしまうことも考えられます。このような悪循環を防ぐためにも、RPAによる業務の自動化が必要とされているのです。

大企業よりも生産性が低い

経済産業省が発表した2022年版の中小企業白書によると、企業規模が大きくなるにつれて労働生産性も高くなっており、大企業と比べると中小企業は生産性が低いといえます。

人手不足が深刻化する中で労働生産性を高めるには、働き方を根本的に見直すことが必要です。RPAは、さまざまな定型業務を自動化できるため、人間はより重要な仕事に専念できるようになるでしょう。その結果、少ない労働でより多くの付加価値を生み出すことができ、生産性の向上につながります。

[出典:経済産業省「2022年版 中小企業白書・小規模企業白書」]

業務が属人化しやすい

属人化とは、特定の従業員に業務のノウハウが集中してしまうことです。人材に限りがある中小企業では、業務が属人化しやすい傾向があります。

たとえば、特定の従業員だけが業務プロセスや進捗状況を把握しているような状態では、その担当者が退職した場合に引継ぎが難しくなり、業務に支障をきたすこともあるでしょう。

RPAを導入してマニュアルを作成することで、ロボットが定められたルールに沿って作業を進められるようになるため、作業内容や品質のばらつきが生じにくくなり、属人化を防ぐことが可能になります。

RPAの導入で得られる6つの効果!効果測定方法や主な導入事例

中小企業におけるRPAの導入率

RPAは中小企業が抱えるさまざまな課題解決につながる一方で、まだまだ導入が進んでいるとは言えない状況です。株式会社MM総研が2022年に発表した「RPA国内利用動向調査 2022」によると、年商50億円以上の企業の導入率は45%、年商50億円未満の企業の導入率は12%となっており、規模の小さい企業では導入が進んでいないことがわかります。

[出典:MM総研「RPA国内利用動向調査 2022」]

中小企業でRPAの導入が進まない理由

なぜ、中小企業ではRPAの導入が進んでいないのでしょうか。ここでは、主な3つの理由について詳しく見ていきましょう。

導入コストが高い

導入が進まない理由のひとつに、コストが高いことが挙げられるでしょう。RPAを全社的に導入するとなると、年間数十万円〜数千万円のコストがかかります。また、利用するサービスによっては、毎月のランニングコストも必要です。

多くの中小企業は、資金面にそれほど余裕がありません。せっかく多額のコストをかけても、RPAの導入がうまくいかないときもあるため、躊躇してしまう企業も多いのが現状です。

RPAの導入費用はいくらかかる?費用相場や抑える秘訣・失敗しない選び方

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専門の人材がいない

在籍する社員の総数が少ない中小企業は、専門の人材がいないことも導入が進まない大きな理由です。大企業には専門のエンジニアが常駐していることがほとんどで、なかにはRPAを自社開発できるほどのスキルを持った人材がいる場合もあります。

一方中小企業では、ITに関する知識やスキルを持った人材がいない場合、新たに確保するのは難しいでしょう。そのため、RPAの導入に足を踏み出せない企業も少なくありません。

費用対効果が低い

RPAの導入による費用対効果が低いことも理由の1つです。大企業は業務の数も種類も多いため、自動化に適した業務を見つけやすく、成果が得られやすいでしょう。

一方中小企業の業務数は限られているため、大企業と比べると自動化できる業務は多くありません。そのため多額のコストをかけても大きな費用対効果が得られないケースも多く、RPAを導入する中小企業がなかなか増えないのが現状です。

RPAに向いている業務・向いていない業務|選別方法や理由を解説!

中小企業がRPAを導入するメリット・効果

中小企業がRPAを導入すると、具体的にどのようなメリットや効果が得られるのでしょうか。ここでは代表的なメリットを3つ紹介します。

生産性の向上

RPAで業務を自動化すれば、人間がおこなうよりも早く正確に処理できるため、効率的に業務を進められます。その結果、作業ミスによる損失を防ぐことにもつながるでしょう。

また、自動化によって空いたリソースを企画の立案や製品・サービスの設計といったクリエイティブな業務にあてることも可能です。単純作業をRPAに任せることで、人間はより付加価値の高い業務に集中できるようになるため、生産性の向上が実現できます。

人手不足の解消

RPAを導入することで、人手不足を解消できるのもメリットです。RPAが人間の代わりに単純作業をおこなってくれるので、その分の人材が不要となり人手不足の解消につながります。また、労働時間も削減できるため、社員の負担が軽減され満足度も高まるはずです。

コストの削減

RPAの導入によって、コスト削減も期待できます。RPAはデータ入力や書類の転記作業など、さまざまな業務を自動化できるツールです。このような単純作業にかかっていた時間を減らすことができれば、残業代の削減につながります。また、自動化によって人的リソースに余裕が生まれることで、新たに人材を採用する必要もなくなるため、採用コストも削減できるでしょう。

【2024年最新】おすすめのRPAツール比較20選|機能や失敗しない選び方

【中小企業向け】おすすめのRPA

ここからは、中小企業におすすめのRPAを3つ紹介します。

RoboTANGO

RoboTANGOは、パソコン上でおこなわれる定型業務を自動化できるツールです。業務を録画して覚えさせるのが特徴で、専門的な知識や技術がなくとも簡単に運用できます。また、1つのライセンスを複数のパソコンで共有できるため、チームや部門内はもちろん、離れた拠点や他部署間での使用にも適しています。サポート体制も充実していて、はじめてRPAの導入を検討している企業でも安心です。

提供元スターティアレイズ株式会社
初期費用
  • 基本プラン:10万円(税込)
  • リモレクライトプラン:15万円(税込)
料金プラン
  • 基本プラン:50,000円(税込)/月/1ライセンス
  • リモレクライトプラン:80,000円(税込)/月/1ライセンス

※無料トライアルあり

導入実績中小企業へのRPA導入実績600社以上(※2023年9月末時点)
機能・特徴データの入力・転記、データの集計、データの加工・整形、データの収集、レポートの作成、システムへの登録・処理、ファイル操作など
URL公式サイト

\資料請求は完全無料!/

RoboTANGOの資料請求はこちら>>

アシロボ

アシロボは、中小企業でも導入しやすいRPAツールで、月額5万円と低価格で利用できます。業務フロー図の作成は不要なため、事前準備に時間はかからず、パズルを組むような感覚で誰でも簡単に業務を自動化できます。また、導入前のサポートや操作説明会、導入後のアフターフォローなど、追加費用無しでさまざまなサポートを受けられるのも魅力です。

提供元ディヴォートソリューション株式会社
初期費用20万円

※1法人1回限り(追加契約時0円)

料金プラン50,000円/月〜(1契約パソコン2台分)
機能・特徴
  • 無制限でシナリオ作成可能
  • 動作手順をパネルで並べてシナリオを設計
  • シナリオ作成支援用のサンプルダウンロード可能
  • 1秒単位でのログ取得が可能
  • 3段階の権限設定によるシナリオ改編制御
  • オフライン環境下での利用が可能
導入実績契約数800
URL公式サイト

BizRobo!

BizRobo!は、業界や企業の規模を問わず幅広い企業に選ばれているRPAツールです。視覚的に操作できるインターフェースになっていて、プログラミングの知識がなくても簡単にロボットを作成できます。1つのライセンスでパソコンの台数制限なく利用できるため、リモートワークを採用している企業にもおすすめです。

提供元オープン株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン

要問い合わせ

※無料トライアルあり

導入実績累計導入社数2,800社(※2024年4月時点)
機能・特徴1ライセンスでインストール無制限、ブラウザから簡単にロボットを実行、機械学習機能を用いて安定して稼働、充実したサポートなど
URL公式サイト

中小企業のRPA導入事例

ここでは、中小企業の導入事例を紹介します。RPAの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

株式会社マエダハウジング

株式会社マエダハウジングは、住宅リフォームなどを手がける企業で、約140名の社員が従事しています。同社は「お客様の満足」「社員の幸福」「地域への貢献」を同時に実現するという経営理念を掲げており、その実現のためには生産性の実現が欠かせないと考えていたそうです。

もともと施工や勤怠などの管理にWebサービスを導入して効率化を図っていた同社は、これらのデータを自動連携するための手段としてRPAを導入しました。現在は17業務にRPAを活用し、本社の事務部門だけで年間900時間の削減に成功しています。

[出典:株式会社オープン「株式会社マエダハウジング」]

株式会社ミモト

株式会社ミモトは、ディーゼルエンジン部品など、さまざまな機械部品の精密加工を行う企業です。同社はベテランの従業員が多く、業務の属人化が問題になっていました。また、自分以外が行っている作業を把握できていないために、同じ作業を複数人でおこなってしまったこともあったそうです。

そこで同社は、属人化の解消と重複業務を削減するため、RPAを導入することを決めました。導入後は、基幹システムに蓄積された生産計画用のデータや電子日報、不良部品のデータなどのダウンロードにRPAを活用しています。その結果、ひと月あたり最大1,800分の作業時間を短縮できたそうです。

[出典:スターティアレイズ株式会社「株式会社ミモト」]

株式会社アイズコーポレーション

株式会社アイズコーポレーションは、インテリア商品のEC事業を手がける企業です。同社では、外部倉庫で保管している商品の各モールへの出荷報告と、購入者への発送案内が遅れてしまうという悩みを抱えていました。商品のなかには「当日出荷・翌日配送」と記載されているものもあり、注文があったその日に出荷報告ができないと、モール上では遅延とみなされてしまいます。

そこで同社は、RPAの導入を進め、まずは在庫連動のマスタ更新と呼ばれる簡単なルーティン業務から自動化しました。その後も、さまざまな業務にRPAを活用して、課題だった出荷報告の自動化を実現しています。また、出荷報告のために夜遅くまで残業するということがなくなり、担当者の働き方も改善されたそうです。

[出典:株式会社FCEプロセス&テクノロジー「株式会社アイズコーポレーション」]

中小企業におけるRPA導入のリスク

中小企業がRPAを導入することは、メリットばかりではありません。ここでは、中小企業におけるRPA導入のリスクを解説します。

システム障害などの非常事態

1つ目のリスクは、システム障害などの非常事態が発生することです。RPAの実行環境に問題が発生すると、業務が止まってしまう恐れがあります。

サーバー側の障害や故障は自社では避けられないため、非常事態が発生した時のマニュアル作成や、こまめなデータのバックアップなど、早期に復旧できる体制を整えておきましょう。

情報漏洩などのセキュリティ問題

2つ目のリスクは、情報漏洩などのセキュリティ問題です。RPAはシステムにIDやパスワードなど重要な情報が含まれており、不正アクセスで情報が漏洩することも考えられます。

セキュリティの対策としては、使用権限を明確にし簡単にアクセスできないようにすることが大切です。また万が一外部から不正アクセスされた場合に、被害を最小限に抑えるためにも、通信データや機密情報の暗号化を施すことをおすすめします。

中小企業におけるRPAの失敗しない選び方

RPAツール選びで失敗しないためには、どのようなポイントに注意すべきでしょうか。ここでは、RPAの失敗しない選び方を紹介します。

導入形態

RPAツールの導入形態は、クラウド型とオンプレミス型があります。インターネット回線を使ってクラウド上にシステムをインストールするクラウド型は、比較的費用を抑えて利用することが可能です。ただし、業務の範囲がWebブラウザ上での作業に限定されてしまいます。

一方でオンプレミス型は、自社のサーバーにシステムを構築するため、自動化できる範囲が広くカスタマイズ性も高いのが特徴です。さらに、デスクトップ型とサーバー型の2つに分けられ、それぞれ導入したい範囲によって使い分けられます。

それぞれの違いは以下の通りです。

  • デスクトップ型:パソコンにインストールして利用するため、1台単位での運用が可能
  • サーバー型:自社のサーバー内でロボットを稼働させ、横断的な業務管理がおこなえる

スモールスタートで始めたい場合は、デスクトップ型を選ぶとよいでしょう。

【無料あり】クラウド型RPAを比較|オンプレミス型との違いやメリット・デメリット

コスト

費用は導入するツールや活用範囲によっても異なりますが、初期費用は10万円~100万円、月額費用は5万円~10万円が相場となっています。また、サポートが必要な場合はさらに費用が発生する場合もあるでしょう。

RPAの導入を失敗に終わらせないためにも、あらかじめランニングコストを計算し、費用対効果が高いツールを選ぶことが大切です。コストを抑えて導入したい場合は、低価格で利用できるツールから試してみることをおすすめします。

RPAの費用対効果は良い?悪い?測定方法や効率化を進める秘訣

操作性

操作のしやすさも重要なポイントです。人手不足が深刻化している中小企業では、ITに関する専門知識を持った人材を確保することは難しいこともあるでしょう。そのため、専門知識が不要で直感的に操作できるものなど、はじめてRPAを操作する社員でも使いこなせるものを選ぶ必要があります。

サポート体制

サポート体制が充実しているかについても、RPAツールを選ぶ上では欠かせません。具体的には、RPAの導入時に必要なシナリオ作成のサポートや、操作方法に関するセミナーなどをおこなっているツールを選ぶとよいでしょう。

また、導入後に問題が発生した際に、すぐにサポートが受けられるRPAツールを選ぶと安心です。事前にサポートデスクの対応力や連絡手段の多さを調査し、サポート体制が整っているかも確認してみてください。

RPAできることとは?具体例やできないこと・適した業務を解説!

中小企業にこそRPAの導入が不可欠

RPAは、人手不足や生産性の低さに悩んでいる中小企業こそ導入すべきツールです。RPAを導入することで、生産性の向上や人件費の削減などの効果が期待できます。本記事で紹介した内容を参考に、ぜひRPAの導入を検討してみてください。

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