RPA開発の方法・費用相場|失敗しないための注意点と開発手順

最終更新日時:2023/02/13

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日本でも業務効率化のために導入する企業が増加しているRPA。そんな中、コストを抑えるために自社内でのRPA開発を検討している企業も少なくありません。そこで本記事では、RPAを自社内で開発する方法と、開発手順や費用相場などを詳しく解説していきます。

RPAとは

RPAとはロボティック・プロセス・オートメーション(Robbotic Process Automation)の略称で、手作業で行われてきた情報処理やデータ入力、検索や分析などの作業をソフトウェアロボットに行わせるツールを指します。

手作業に比べて、より効率的に実行できるため、AIやビッグデータにも劣らない自立化ツールとも言われています。ここでは、RPAの特徴や、RPAが今注目されている背景について解説します。

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RPAの特徴

RPAは、事務職や営業職が行うデスクワークの自動化や効率化をするツールです。「繰り返し」や「条件分岐」といった定型フローがあることが最大の特徴で、組み合わせることで業務プロセスを構築します。

請求書の作成や月次決算書、給与計算などの日々発生する定型業務や、人事や経理の事務業務や管理業務、経費処理など、事務作業の手順が定型化できるシンプルなものに特に有効的ですが、それ以外の業務には適用できないという特徴もあります。

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RPAが注目されている背景

RPAが注目されている背景には、深刻な人手不足があります。少子高齢化に伴い労働人口が減少しており、IT人材の人手不足も予想されています。経済産業省の報告では、IT人材の需要はますます広がり、2030年には最大で約79万人の人手不足になる可能性があると試算されています。

IT人材の不足が予想される中、簡単なロボットならプログラミング知識がなくても作ることができるRPAは、エンジニア不足を補うことができるツールとして期待されています。

さらに、RPAによって作業が効率化できれば、少ない労働力で生産性を維持することも可能です。現在、企業が推進している「働き方改革」においても、業務の効率化に有効なRPAに注目が高まっています。

RPA開発を自社で行うメリット

総務省の報告書によると、国内企業の39.5%がすでにRPAを導入、もしくは導入を検討していると報告されており、2025年には事務的業務の約3分の1がRPAに置き換わる可能性があります。

社会背景を踏まえた上でも今後の需要が高まると予想されるRPAですが、ここではRPA開発を外注するのではなく、自社で開発を行った場合のメリットについて解説します。

開発する際のコストを抑えられる

RPA開発を自社で行なう場合、最大のメリットは開発コストを低く抑えられることです。外注してRPA開発を行なった場合、外部ベンダーが常駐する費用なども発生するため、初期コストが高くなることが予想されます。

自動化したい業務を迅速に開発できる

迅速にプロジェクトを進めることができるのも、自社でRPA開発を行うメリットです。

RPA開発を外注した場合、外注先の選定から、外部ベンダーとの打ち合わせなど多くの過程を踏まえる必要があります。そのため、自社開発に比べて時間がかかることが予想されます。

エラーが発生したときに対応しやすい

自社でRPA開発を行っていれば、軽妙な作業工程のシステム変更や修正にもすぐに対応できます。

RPA開発を外注先に依頼した場合、もちろん発注コストがかかってきます。さらに、ベンダーが常駐していない場合、作業する人の日程調整なども必要になり、最悪の場合、自動化がストップしてしまう可能性もあります。

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RPA開発を自社内で行うデメリット

RPAを自社開発することで、コストを低く抑えられ、プロジェクト推進が迅速に行えるというメリットがあります。しかし、自社開発だからこそのデメリットもあります。ここでは、RPAを自社開発した場合のデメリットについて解説します。

トラブル時に解決するまで時間がかかる

RPAを自社で開発する場合、担当者に知識がなければRPA専門のベンダーと比較すると対応力に差が出てしまいます。

担当者がトラブルに対応可能な人材だったとしても、退職などで交代を余儀なくされる可能性もあるでしょう。さらに、担当者を自社内で教育する場合には、コストと時間がかかることも予想されます。

どんなトラブルにも迅速な対応が必要であれば、専門のベンダーにメンテナンスやトラブル解決を委託する方が、時間もコストも抑えられます。

セキュリティ面で不安が生じることもある

RPAツールを活用する場合、セキュリティに関する問題への対応も必要になります。想定されるRPAツールのセキュリティリスクは、主に下記の場合があります。

  • データへの勝手なアクセス
  • サイバー攻撃による乗っ取り
  • 内部の不正行為による誤使用
  • 設定ミスから生じる事故
  • ロボットの誤作動
  • 異常停止

RPAでは、システムやアプリケーションのIDやパスワードを埋め込むことが多いです。そのため、セキュリティ面の区分けを結合してしまうと、本来の権限を越えた実行環境が形成される恐れがあります。

さらに、IDやパスワードの漏洩で第三者による端末の乗っ取りが生じる危険性も否めません。セキュリティ面までしっかりサポートするなら、専門的な知識のある外部ベンダーにサポートしてもらうのが安心でしょう。

RPA開発を自社内で行う2つの方法

RPA開発を自社で行う場合に使用するツールには、「簡易型」「開発型」の2つがあります。

どちらを選択するかは、効率化したい業務のロボット作成の複雑さや、会社の規模などから考えると良いでしょう。ここからは、「簡易型」と「開発型」の特徴について解説します。

1.簡易型(画面操作記録型)

簡易型とは、人の動作を記録するRPAツールで、別名で画面操作記録型とも呼ばれています。シンプルな作業の自動化を行うので、プログラミングの知識がなくても組み込みが可能です。簡単な事務作業などの小規模な業務を自動化するなら、簡易型の開発手法が適しています。

2.開発型(コーディング型)

開発型とは、RPAツールのライブラリに装備されている「基本機能」を組み合わせるだけでなく、シナリオというロボットの動作をプログラミングによって細かくカスタマイズして設定するツールです。

プログラミングの知識が必要なので、開発する場合は外部ベンダーなどのサポートが必要になります。複雑で高度な業務の自動化や、会社全体でRPA運用を行う場合に開発型はおすすめです。

使われているプログラミング言語

RPA開発を自社で行う場合、業務担当者が特に覚えておいたほうがよい言語は、VBAやHTML、CSSです。また、システム間の連携の主要言語である、Java ScripやC+といった開発言語のスキルがあると役立ちます。

さらに複雑な開発が必要になる場合は、エンジニアがRPA開発に利用するC++やPythonなどの知識が必要です。

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RPAの具体的な開発手順

RPAの導入を実際に行なう場合、具体的にどのような手順で行えばいいのでしょうか。ここからは、RPAの開発手順について順を追って解説します。

開発目的の明確化

RPAの導入が決まったら、RPAの開発目的を明確にしましょう。目的を明確にすることで、RPA開発の難度などが想定でき、自社で開発するのか、外部ベンダーに依頼するのかという開発手法を選択する指針にもなります。

対象の業務の決定

RPA開発の目的が明確化されたら、RPAで導入する業務を決めます。RPAは、簡単な手順で同じ作業を繰り返す定型業務や大量のデータを処理する業務、複数のアプリケーションを使って行うような業務の効率化に適しています。RPAの特徴を考慮して、社内の開発予算なども加味しながら決めていきましょう。

業務の洗い出し

RPAを導入する作業が決まったら、業務フローを可視化します。まずは、自動化したい業務内容を全て洗い出し、作業手順を明確にして整理しましょう。ここで、作業手順の見直しをするなど業務の効率化を再確認しておくと、よりスムーズにRPAの自動化が行えます。

運用環境の整備

RPAを導入する業務の洗い出しが完了したら、作業用パソコンのアップデートや担当者の選任など、RPA導入後の運用環境を整備しましょう。

例えば、RPA導入後に作業用のパソコンのアップデートを行うと、RPAが指定された作業を正しく行えない可能性があります。また、各部署に担当者を選任して事前に業務の割り振りなどを行っておくことで、RPA導入後も迅速に作業の移行が行えます。

RPAの開発

ここまでの手順を踏んだら、次にRPAの開発に進みます。業務の洗い出しを行い、自社に必要なRPAツールが明確になっているので、開発の難易度やコストなどを加味し、自社開発するのか外部ベンダーへ依頼するか判断します。

自社で開発する場合にも外部ベンダーに依頼する場合も、メリットとデメリットがあります。自社の状況と照らし合わせ、今後の運用スタイルなども考慮した上で判断しましょう。

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動作テスト

RPAの開発が完了したら適切に作動するかテストを行ないます。

「単体テスト」で、一つの作業ごとに正常に動作が行われているか確認します。単体テストで問題がなければ、一連の作業が実行できるか「結合テスト」を行います。

一連の作業を行えることが確認できたら、次は実際に使用するデータを使って「本番データテスト」を行います。ここでエラーが生じた場合は、シナリオを修正します。

最後に、大量のデータ処理や長時間の耐久性があるかの「耐久テスト」を行います。耐久テストで処理スピードに問題がないかどうか確認しておきます。念のため、通常データの3倍ほどのデータ量でテストしておくとよいでしょう。

運用・保守

RPAを開発して導入した後は、定期的なメンテナンスや効果測定を行います。せっかく導入したRPAを効率よく活用するためにも、運用計画をあらかじめ用意しておくようにしましょう。

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RPA開発にかかる費用相場

RPAの導入を決定しRPA開発を行うには、初期費用とランニングコストがかかります。

初期費用にはライセンス費用と開発費用が含まれ、自社でRPA開発を行うか外部ベンダーに依頼するかによって、金額が変わってきます。ここでは、RPA開発にどれくらいの費用がかかるかや、費用相場をそれぞれ解説していきます。

ライセンス費用

初期費用にあたるライセンス費用とは、RPAツールの購入価格を指します。年額制になっていることが多く、数十万〜数百万かかると考えておきましょう。

開発費用

開発費用は、簡易型なのか開発型なのかによっても価格が変わります。より複雑なシステム構築を行う開発型の場合は、簡易型より多くの費用が発生する場合が多いです。

さらに、開発を自社で行うか外部ベンダーに依頼するかによっても価格は変わります。それぞれの費用発生の内容や相場について確認しましょう。

内製費用

RPA開発を自社で内製する場合、自社の担当エンジニアを1名活用するなら、エンジニアの人件費が開発費用になります。

外注費用

RPA開発を外部ベンダーに依頼する場合は、エンジニアに常駐してもらうか委託するかによって費用が変動します。一般的にはエンジニアを常駐させると1ヶ月60〜150万円ほどかかると考えておいてください。委託する場合は、RPAロボット1体につき30万前後が相場です。

運用費用

RPAを保守・運用するためには、ハードウェアのパーツ交換やアップグレードなどの費用が必要になります。さらに、ライセンスの更新にも費用がかかります。また、RPAツールにエラーなどが発生した場合は、その都度修正をする費用もかかってきます。

一方で運用管理を外部ベンダーなどに発注する場合は、依頼費用などのコストがさらに加わるので、自社で運用・保守を行うより高額になってしまいます。

ただし、外部ベンダーに発注することで、専門知識を持ったベンダーが修正対応をしっかり行ってくれるなどのメリットもあります。どちらが会社の状況に適しているか、しっかり考慮しながら予算を決定しましょう。

RPAの導入までにかかる時間

RPAの導入までにかかる時間は、全社に展開するまで約半年から1年といわれていますが、企業によって異なります。

自動化したい業務の規模はもちろんですが、業務の洗い出しや決定などのプロセスに費やす時間によっても変わります。また、自社開発する場合は、担当者のスキルによってもかかる時間は変わってくるでしょう。

RPA開発で失敗しないための注意点

RPAはシンプルな作業を自動化することで、人の手で行っていた仕事を効率化できるツールですが、正しく稼働させるためには、正確な管理をしていくことが必要となります。ここでは、RPA開発を行ううえで、失敗しないための注意点について解説します。

提示内容を明確にする

RPA開発で失敗しないために重要なのが、作業内容を明確にしておくことです。効率化する作業の提示内容が、RPAで実行可能かどうかを明確にすることで、開発や管理がスムーズに行えます。

作業内容が不明確のままRPA開発を行ってしまうと、新たなプロセスを作成する作業が発生し、コストも時間も予想以上にかかってしまうことがあります。

導入目標を定める

RPA開発で失敗しないためには、導入目的を定めておくことも不可欠です。作業を自動化するだけでなく、何を実現したいのかを明確にしておくことで、導入後の作業状況を客観的に評価することができます。

RPA開発を行う際は費用対効果の計算が必須

RPAを導入すると、手作業で行われてきた情報処理やデータ入力などの繰り返し作業が効率化できます。しかし、目的もなくRPAの導入を進めると、RPA開発に時間やコストが想定以上にかかってしまうこともあります。

RPA導入が決定したら、導入の目的を明確にして、RPA開発にかかる費用対効果の計算をしっかり行いましょう。

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