RPAの導入で得られる効果とは?測定方法や導入事例を解説

2023/02/28 2024/07/09

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RPAで得られる6つの効果

近年では、働き方改革の実現を目的に導入する企業も増加しているRPA。RPAを導入することで生産性向上などが期待できますが、果たしてほかにはどのような導入効果が得られるのでしょうか。本記事では、RPA導入で得られる効果や効果が得られた導入事例を紹介します。

RPAとは?

RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、ロボットが事務作業をはじめとする定型業務を自動化してくれる仕組みやツールを指します。RPAにおけるロボットとは、人型ロボットのようなものではなく、システムに組み込まれたソフトウェアです。

定型業務のプロセスをシナリオ化しRPAに記憶させれば、あとはRPAが自動で実行してくれるため、手作業の手間や負担を削減できます。さらに、RPAは手作業より高速かつ正確に業務を進められ、働き方改革や業務効率化に役立つことから注目を集めています。

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RPAの導入で得られる効果

RPAを導入することで、定型業務の効率化や業務プロセスの可視化など、さまざまなメリットが得られます。

ここからは、RPAの導入で得られる効果を7つ紹介します。

定型業務を効率化できる

定型業務をすべて手作業で行うには、多大なる時間と労力が割かれているのが一般的です。

しかし、RPAを導入すれば手間のかかる業務を自動化し、業務を大幅に効率化できます。削減できた業務時間は、営業・マーケティング活動や戦略立案などのコア業務にあてられるでしょう。

また、定型業務は手作業で行うより、RPAに任せた方がより高速な業務処理が可能です。このように、RPA導入によってコア業務に割ける時間が増えたり、業務スピードが改善したりすることで、生産性の向上も期待できます。

業務プロセスを可視化できる

RPAを導入するには、まずどの業務を自動化するのかを決めるため、業務プロセスの洗い出しを行います。業務プロセスの洗い出しでは大まかな業務プロセスをはじめ、各プロセスがどのような流れで処理されているのかという点まで、詳細に洗い出す必要があります。

その際に、不要なプロセスや負担の偏りを発見することもあるでしょう。また、この時点で業務プロセスに効率化できる部分が見つかれば、RPAの導入以前に業務効率化を実現できるかもしれません。

このように、RPA導入にあたっては業務プロセスの洗い出しを行うため、業務内容が可視化され業務プロセスの改善やRPAの最適化につなげられます。

人材不足の解消につながる

現在、少子高齢化に伴う労働人口の減少により、人材不足に悩まされる企業は少なくありません。しかし、RPA導入によってあらゆる業務の自動化が実現すれば、業務に割り当てる人員を減らせるため、人材不足の解消につながります。

例えば、事務作業を行うために本来は10名の従業員が必要であっても、RPAで一部の業務を自動化し、5名の従業員だけでも回せるようになれば業務が滞ることはありません。

このように、RPAにより手作業で行う業務を削減することで、人材不足をカバーできるでしょう。

働き方改革を推進できる

RPAによる業務の自動化で、従業員一人ひとりの負担が軽減されます。業務時間が短縮されれば長時間労働や残業が減少し、プライベートとの両立もしやすくなるでしょう。

また、RPAは労働時間に制限がなく、いつでも業務を処理できます。そのため、どうしても休日や夜間に処理しなければならないような業務でも、RPAに任せれば従業員が出社する必要がありません。

このように、RPAの導入は労働時間の短縮や出勤日数の削減に効果的で、労働環境の改善・ワークライフバランスの実現といった働き方改革の推進につながります。

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ヒューマンエラーの防止につながる

定型業務では同じ作業を繰り返すことから、疲れや集中力の低下により入力ミスなどのヒューマンエラーが起こりがちです。例えば、請求書の金額を一桁間違えて入力してしまえば、売上額に大幅な差異が発生するという問題につながりかねません。

しかし、RPAではロボットがシナリオに従って処理を行うため、ミスが起こることはありません。ヒューマンエラーの防止につながるうえに、ダブルチェックの必要もなくなるのです。

このように、RPA導入はヒューマンエラーを防止するとともに、さらなる業務効率化も期待できるでしょう。

生産的な業務に専念できる

RPAの導入によって、コア業務などの生産的な業務に専念できるようになります。

コア業務とは、売上や利益を生み出すための直接的な業務を指し、具体的には営業・マーケティング活動や戦略立案などがあげられます。

RPA導入によって情報の取得・入力といった定型業務を自動化できれば、定型業務に割いていた人材や時間を削減でき、その人材や時間を生産的なコア業務にあてることが可能です。

また、定型業務のような繰り返し作業は、「同じ作業ばかりしている」と従業員のモチベーションを低下させる場合もあります。しかし、RPA導入により創造的な仕事がメインとなるコア業務に集中できるようになれば、従業員のモチベーション維持・向上にもつながるでしょう。

このように、RPA導入はコア業務のためのリソース創出につながり、コア業務に集中することによる従業員のモチベーション維持・向上も期待できるのです。

人件費の削減につながる

RPAで定型業務を自動化することで、業務の遂行に人手がかからなくなるため人件費の削減につながります。自動化できる業務が多いほど、より人件費の削減につながるでしょう。

特に繁忙期がある業務では、繁忙期に合わせて人材を新たに確保したり、閑散期に人材を調整したりする必要もなく、余計なコストや負担を削減できます。

RPAの導入や運用にもコストはかかりますが、中長期的に見ると人件費を支払い続けることと比較しても、コスト削減の効果は高いといえるでしょう。

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RPAの効果を検証するための効果測定方法

RPAの導入で効果を得られているかを検証するには、効果測定を行いましょう。効果測定には、主に「定量的な測定方法」と「定性的な測定方法」の2種類があります。

ここからは、それぞれの方法を詳しく解説します。

定量的な測定方法

定量的な測定は、数値を用いて効果を測定する方法です。具体的には、RPA導入によって削減できた労働時間や人件費などが該当します。

例えば、RPAの効果を作業時間の変化によって測定する場合、「1件あたりの作業時間×年間あたりの対応件数」という式を用いて、RPA導入前後の「年間作業時間」を算出します。RPA導入前後でどの程度の作業時間が削減できたかを比較することで、RPAの効果を測定可能です。

また、人件費の変化によって測定する場合は「1件あたりの作業時間×年間あたりの対応件数×作業担当者の時給」を計算することで、1年間で削減できた人件費を求められます。

ただし、定量的な測定方法でRPAの効果を測定する際は、RPA導入以前の数値データが必要となるため、作業時間や人件費などを事前に記録しておくことが大切です。

定性的な測定方法

定性的な測定は、数値で表せないような効果を測定する方法です。例えば、「従業員のモチベーションの変化」「労働環境の変化」「成果物の精度の変化」などが挙げられます。

効果を具体的な数値で表せないことから、定量的な測定に比べて効果を把握しにくい点が特徴です。そのため、RPAの導入効果を測定する際は、定量的な測定のみで完結してしまうことも少なくありません。

しかし、RPAの導入効果を正確に測定するには、定量的な効果と定性的な効果の2つの視点から総合的に判断することが大切です。したがって、アンケートやインタビューを実施するなどして、導入前後の定性的な効果を比較できるよう準備しておきましょう。

RPAの導入で得られる効果とは?測定方法や導入事例を解説

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RPAの導入効果が高い業務の特徴

RPAでの自動化には、向いている業務もあれば、不向きな業務もあります。例えば、ルール化されている定型業務や膨大なデータを扱う業務などは、自動化によって大幅に効率化できるため導入効果が高いでしょう。

ここからは、RPAの導入効果が高い業務の特徴を詳しく解説します。

ルール化されている定型業務

請求書の処理や日報の作成など、作業工程がルール化されているような定型業務の自動化は、RPAの得意分野です。定型業務を手作業で行うには時間や手間がかかり、ヒューマンエラーの発生による損失が生まれる可能性もあります。

しかし、RPAは手作業で行うより正確かつ高速に処理できるため、ヒューマンエラーの発生防止や作業時間の削減につながります。よって、作業工程が一定である定型業務にはRPAの導入が向いているでしょう。

膨大なデータを扱う業務

膨大なデータを扱う業務を手作業で行うとなると、莫大な時間がかかり担当者の負担も大きくなってしまいます。しかし、RPAは高速で処理することが可能なため、手作業で行うよりもはるかに業務スピードを向上できます。

また、RPAは休日や夜間における業務処理もできるため、業務時間外でも業務処理を進めることが可能です。このように、RPAは高速な処理が可能なうえ業務時間の制限がないことから、膨大なデータを扱う業務への導入が向いています。

データの収集・分析業務

RPAは、データの収集や分析業務の自動化にも対応しています。

例えば、インターネットに掲載されている競合商品の価格データや、為替相場の変動データなどを自動収集できます。また、RPAに組み込むシナリオによっては、競合商品における価格データの収集から比較表作成までを自動化することも可能です。

このように、定期的に実施しなければならないデータの収集・分析をRPAで自動化することによって、業務効率化や労働負担の軽減につながるでしょう。

複数のシステムをまたぐ業務

RPAは、複数のシステムをまたぐ業務であっても自動化することが可能です。

例えば、エクセルのマクロ機能はエクセル内での業務しか自動化できません。しかし、RPAであればエクセルのデータを社内データベースに転記するといった、複数のシステムをまたいだ業務の自動化が可能です。

一般的に1つのシステム内で完結するような業務は少なく、ほとんどの業務は複数のシステムを横断して処理されます。そのため、複数のシステムをまたぐ業務にRPAを導入すれば、大幅な業務効率化が期待できるでしょう。

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RPAの導入で効果を得るためのポイント

RPAは、導入するだけですぐに効果が得られるわけではありません。効果を得るためには、いくつかのポイントを踏まえておく必要があります。

ここからは、RPAの導入で効果を得るためのポイントを3つ紹介します。

自動化に適した業務を見極める

まずは、自動化に適した業務を見極めましょう。すべての業務がRPAによる自動化に適しているわけではないため、導入前にRPAで自動化する業務を見極める必要があります。

前提として、RPAは事前に業務のルール(シナリオ)を人間が作成し、ロボットはそれに従って業務を自動化します。そのため、条件の分岐が多い場合など明確なルールが作成できない業務は、自動化することが難しいケースが多いです。

基本的には、同じ作業を繰り返す定型業務が自動化に適しているといえます。なお、RPAはパソコン上で動作するため、パソコンを使用しない業務は自動化できない点に注意しましょう。

導入〜運用にかかるコストや時間を把握する

導入前に、導入から運用にかかる費用や時間の見積もりを行いましょう。見積もりを行うことで、導入による費用対効果が得られるかを測ることが可能です。

しかし、見積もりが甘いと、導入前の想定以上にコストや時間がかかる可能性があるため注意が必要です。事前に把握しておくべきコストとしては、主に以下の項目があげられます。

  • ライセンス費用
  • ハードウェアの維持・管理費用
  • システムの保守・運用費用
  • メンテナンス費用 など

RPA導入によって人件費を削減できても、導入や運用に大きなコストがかかってしまっては効果を得ることができません。そのため、まずは導入〜運用にかかるコストや時間を把握して、効果が得られるかどうかを検証しましょう。

別のシステムと連携させる

RPAを別のシステムと連携させることで、さらなる自動化を実現してより効果が得られます。

例えば、RPAと社内の受発注システムを連携させると、受発注の情報をRPAが読み取り、瞬時に情報収集をしたり処理を自動化したりすることが可能です。基本的に定型業務を行うシステムであれば、RPAと連携することで自動化による恩恵を受けられます。

ヒューマンエラーの防止にもつながるため、システム連携によって得られるメリットは大きいといえるでしょう。

RPAで効果が得られた導入事例

ここからは、実際にRPAの導入で効果が得られた3社の導入事例を紹介します。具体的にどのような効果が得られるのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

スカパーJSAT株式会社

宇宙事業やメディア事業を展開するスカパーJSAT株式会社では、定型業務に関する従業員の負荷が大きいことが主な課題でした。定型業務はミスが許されず、担当者の心理的な負担が大きくなっていたのです。

そこで、社内システムとの連携も容易に行えるRPAを導入。結果的に年間で約120時間の業務時間が削減され、従業員は心理的な負担や業務の負荷から解放されました。また、社内でもRPAの認知が広まったことで幅広い業務でRPAによる自動化が進み、年間で約2,300時間もの業務時間の削減が見込まれています。

[出典:株式会社日立ソリューションズ「スカパーJSAT株式会社様」]

株式会社カネミツ

株式会社カネミツは、自動車や農業機械の部品などを開発・製造している会社です。同社では、限られた人員や予算による負荷の分散や、業務の効率化によって人員や予算をより有効活用することを目指していました。

そこで、業務改善プロジェクトを起ち上げて、操作性が高くサポートも充実しているRPAツールを導入。総務・財務・生産管理に関する事務業務や稟議書への回答・業務日程表のメール配信などを自動化し、結果的に5部署で20~30業務の自動化を実現しました。作業時間の削減や負荷軽減の成果が目に見えるようになり、社内のさまざまな業務でRPA化の要望が寄せられています。

[出典:WinActor「WinActor®導入事例【株式会社カネミツ】」]

イワキ株式会社

食品原料、機能性食品原料、化粧品原料の販売などを行うイワキ株式会社では、多忙のため働き方改革が進まないことや、手作業によるデータ入力などで従業員の負担が大きいことが課題でした。属人化している業務もあり、効率的な業務進行が難しい部分もありました。

そこで、RPAを導入して基幹システムへの入力やデータの受け渡しを自動化し、大幅な業務効率化を実現しました。幅広い部署でのRPA導入が検討されていて、社内全体で大幅な業務効率化が見込まれています。

また、ロボット開発のルールを定めて標準化を促進するなど、属人化への対策が行われている点も特徴です。

[出典:株式会社日立ソリューションズ「イワキ株式会社様」]

RPAで得られる効果を把握し、導入を検討しよう

RPAの導入によって、生産性の向上や業務内容の可視化、人手不足の解消などさまざまな効果が得られます。また、RPAには向いている業務と向いていない業務がありますが、導入効果が高い業務の特徴を理解しておけば、自動化をスムーズに進められます。

自社が抱える課題やRPA導入の目的を明確にしたうえで、最適な活用方法を見極めることが大切です。まずはRPAの導入で得られる効果を把握して、自社での活用方法を検討していきましょう。

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