RPAとチャットボットの違いとは?連携して活用する効果やメリット
業務自動化などの課題解決には、RPAやチャットボットが役立ちます。この2つは「同じようなもの」と受け取られがちですが、技術的には異なるもの。ただ、異なる技術を組み合わせての連携が可能です。この記事では、RPAとチャットボットの違い、連携による効果について解説します。
目次
RPAとチャットボットの特徴と違い
RPAとチャットボットは、どちらも特定の業務を自動化するシステムです。「自動化」という点は同じですが、それぞれ異なる特徴を持っています。
RPAの特徴
RPAは、ソフトウェアロボットを使って業務を自動化できるツールです。決められたルールに従って処理する定型業務の自動化に適しており、3つの種類があります。
デスクトップ型
デスクトップ型は、RPAをパソコンにインストールして使用します。パソコン1台で管理できるため、導入コストが抑えられ、個人の作業内容に合わせて細かい調節がしやすいことがメリットです。
サーバー型
サーバー型はRPAを自社のサーバーにインストールして使用するタイプです。サーバーを構築する必要がなく、ライセンス料も低いため導入に向けたハードルが低いのが特徴です。
また、パソコン1台でRPAに関する作業が完結するので、個人・業務単位など使用用途に応じて管理できます。
クラウド型
ベンダーが管理するインターネット上のサーバーで稼働するのがクラウド型RPAです。ソフトウェアのインストールが不要であり、サーバー環境を整える必要もありません。そのため、技術的に不安を抱えている企業にもおすすめです。
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チャットボットの特徴
チャットボットは、主にWeb上に設置し、音声やテキストを用いながらユーザーとの会話を自動で行うシステムです。
コールセンターやヘルプデスクなど、有人で対応していた業務に自動対応できるため、業務の効率化に役立ちます。ユーザーの問いにリアルタイムで応答できるので、顧客満足度が高まることもメリットといってよいでしょう。
チャットボットの種類は、次の2つです。
ルールベース型
ルールベース型は、あらかじめシナリオを用意し、そのシナリオのとおりに回答するタイプで、「シナリオ型」とも呼ばれています。向いているのは「よくある質問」への回答のように、定型文で対応できる業務です。
機械学習型
機械学習型は、AIを搭載したチャットボットです。蓄積した会話ログをAIが分析・学習しながら対応できるため、シナリオ型にはない複雑な会話もできます。
マニュアル化しにくいECサイト上での接客や、予約代行サービスなどに適したタイプです。
RPAとチャットボットの違い
RPA・チャットボットは業務の効率化をするという点では同じではあるものの、RPAは定型業務の自動化・チャットボットは会話の自動化と得意な領域が異なります。
RPAはパソコン上で発生する「交通費精算」「受注案件の登録」などができ、チャットボットは「ヘルプデスク」「カスタマーサポート」などに適しています。
活用場面に明確な違いがあるのでしっかりと理解しておきましょう。
RPA・チャットボットに注目が集まる背景
近年、RPAやチャットボットを導入する企業が増えています。これらの技術に注目が集まるのはなぜでしょうか。ここでは、RPAやチャットボットに注目が集まる背景について解説します。
人材不足の問題
少子高齢化の日本では、1995年をピークに人口が減少を続けています。中でも働き手となる若年層の減少は著しく、社会的にも経済的にも人材不足にどう対処するかが喫緊の課題です。
慢性的な人材不足を解決するために、RPAやチャットボットが注目されるようになりました。自動化できる業務を任せれば、少ない人数でも業務を回すことが可能です。また、コア業務に社内リソースを充てることもできるようになります。
働き方改革の影響
国を挙げての働き方改革の推進により、長時間労働の是正や残業時間の短縮が求められるようになりました。企業にとっては、業務のあり方を根本的に考え直す課題が与えられたともいえます。
そこで、業務効率化につながるRPAやチャットボットの導入が検討されるようになりました。自動化できる部分は自動化し、働き方改革に対応しようという動きです。
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DXの活発化
DXは「デジタルトランスフォーメーション」といい、デジタル技術により、人々の生活をより良いものにするという意味の言葉です。企業目線でいうと、事業や利益の拡大につながる変革を目指すと言い換えてもよいでしょう。
つまり、RPAやチャットボットに注目が集まっている背景には、国がDXを推進している事情もあるのです。
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RPAとチャットボットは連携できる
RPAとチャットボットは異なるシステムですが、連携が可能です。それぞれの特徴を生かして連携させれば、さらに業務の効率化がはかれます。ここでは、RPAとチャットボットの連携可能な業務を紹介していきます。
申し込みの自動化
RPAとチャットボットを連携させれば、入力項目が多く、正確な対応を必要とする業務を自動化することができます。
例えば、チャットボットで会話を進めながら必要情報を入力してもらい、その情報をRPAが受け取ってカードを発行するという流れにすれば、申し込みからカード発行までの自動化が可能です。
ECサイトの作業支援
ECサイトでも、まずチャットボットに接客をしてもらい、その後の注文処理はRPAへという連携ができます。商品に対するユーザーの問い合わせをチャットボットに任せれば、24時間対応が可能です。スピーディーな対応は、購入率のアップや顧客満足度の向上にも貢献してくれるでしょう。
人材採用業務の効率化
人手を取られがちな人材採用業務も、チャットボットとRPAを導入することで効率化がはかれます。たとえばチャットボットでは、応募者と事務的な面談をしたり、その後の日程を調節したりといったことが可能です。
チャットボットが集めた情報の整理や集約をRPAに引き継げば、採用候補者の絞り込みなど、本来なら人手が必要なことも、自動的な処理ができます。
顧客からの問い合わせ対応
チャットボットとRPAを連携させることで、顧客からの問い合わせ対応も可能です。例えば、チャットボットが顧客と会話をし、その内容をRPAが分析、自動対応できるか、社員対応が必要かを判断して振り分ければ、対応の時短にもつながります。
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RPAとチャットボットの連携による効果
RPAとチャットボットは連携できることがわかりましたが、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。RPAとチャットボットの連携による効果を見ていきましょう。
業務の効率化が見込める
RPAとチャットボットの連携は、自動化できるさまざまな業務への対応を可能にします。24時間365日、正確にスピーディーに処理することはもちろん、社内リソースをコア業務に充てることもできるようになります。結果として業務の効率化が実現できれば、生産性の向上にもつながるでしょう。
人為的なミスを防止できる
RPAとチャットボットは、ルールやシナリオを正確に設定すれば、指示通りに業務を遂行します。これも連携の大きな効果です。
人が作業をする上では、入力ミスや転記ミスなどのヒューマンエラーが発生してしまうものの、RPAとチャットボットを連携することで、初歩的なヒューマンエラーを防ぐことができます。
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顧客満足度の向上が期待できる
RPAとチャットボットにより、顧客対応、その後の情報処理を自動的に迅速に行えることは、顧客満足度の向上に期待できるといってよいでしょう。もうひとつ、チャットボットは設定したシナリオにそって応答するので、担当者によって対応に差が出ることなく、顧客対応に一定の質を保つことも効果といえます。
問い合わせ対応の負担を減らせる
コールセンターなどで人が問い合わせに対応する場合、内容によってはかなりの時間を取られてしまいます。しかし、チャットボットとRPAを活用して自動化できる部分は自動化し、人が対応したほうがよい案件のみ回ってくるようにすれば、社内リソースの負担が大きく軽減します。
サービス内容の改善に活用できる
会話による情報収集はチャットボット、分類と分析はRPAの得意分野です。チャットボットが集めた情報をRPAに渡し、それを分類・分析すれば、さらなるサービスの改善に生かせます。新商品アイデアに結びつくこともあるでしょう。どちらも、企業成長のためには欠かせない要素です。
RPAとチャットボットの違いを理解して上手に活用しよう
RPAとチャットボットは業務を自動化できるツールですが、それぞれ得意分野が異なります。両方の特性を理解し、適切な場面で活用して、業務の自動化を目指しましょう。
また、RPAとチャットボットは、連携して活用することもできます。どう使えばそれぞれの良さを最大限に生かせるかを考えながら、業務の効率化を実現してください。
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