RPAシナリオとは?作り方・作成手順の流れや理解しておきたい考え方

最終更新日時:2023/03/22

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RPAシナリオとは

業務の自動化に欠かせないRPAシナリオ。RPA導入ステップの中でも難易度が高く、どのように作成し進めれば良いのか、わからない人も多いのではないでしょうか。本記事では、そもそもRPAシナリオとは何か?作り方・作成の手順や理解しておきたい考え方を詳しく解説します。

RPAのシナリオとは?

RPAのシナリオとは、ロボットによって業務を自動化するRPA(Robotic Process Automation)の作業手順のことを指します。シナリオを作成する際は、「ノード」と呼ばれる操作の単位をロボットに記録させ、RPAを動かします。

また、RPAシナリオには、簡易型と開発型の2種類があり、それぞれ異なった作成方法を採用しています。2つでどのような違があるのかここから紹介していきます。

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簡易型

簡易型は、プログラミングの知識がなくても作成できるシナリオです。パソコンの操作を記録させてシナリオ作成ができるため、現場の業務担当者でも解説動画などを見るだけで簡単に扱うことが可能となっています。

また、ベンダーによっては、eラーニングや研修などにも対応しているので、しっかりとシナリオ作成を学びたいといった方にもおすすめです。

開発型

開発型は、ドラッグアンドドロップを使用してデフォルト動作の機能を組み合わせてシナリオを作成します。

デフォルト動作に含まれない部分に関しては、プログラミングでの組み込みが必要になってくるため、専門知識がない方には難しいでしょう。、特に複雑なシナリオを作成する場合には、公開してあるAPI(Application Programing Interface)を活用した方がスピーディーです。

プログラミングの知識があるエンジニアなら開発型でのシナリオ作成でも問題ありませんが、専門知識がない人だと簡易型がおすすめです。

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RPAシナリオの作り方

RPAシナリオの作り方を解説します。乱雑な業務を自動化するには、シナリオの設計・作成・実装などの工程が必要です。

シナリオの設計

シナリオ設計は、業務フローを整理して実装するまでの準備として必ず必要となる工程です。

RPAは、これまでの書類作成やメール内容の転記作業などの事務作業を効率化してくれますが、AIのように学習機能があるわけではありません。

そのため、業務フローの詳細を把握し、綿密に方向性を練らなければいざRPAシナリオを導入してもうまく使いこなすのは困難です。ここからはシステム設計を工程順に分けて解説します。

業務フローの可視化

システムの設計で最初にやるべきことは、業務フローの可視化(人が操作する行為一つひとつのこと)です。フローをリストアップし、その業務には何のデータを使用しているのか、処理の判断は何をもとにしているのかなど、全てを明確化しなければなりません。

業務担当者とシナリオ作成者が異なる場合、業務フローの可視化が正しくされていないと、お互いに認識が噛み合わない可能性があります。

お互いが求めていたものと異なるシナリオが完成してしまうリスクを避けるためにも、業務フローの可視化をする際には、業務担当者・シナリオ作成者のどちらも同席しましょう。

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自動化範囲と手順を予測

業務フローの可視化により、リストアップされた業務の中から、どうしても人がおこなわなければならない作業がないか、どこまで自動化できるのかを予測しましょう。

使用しているツールやソフト以外にも、Webサイトや業務内で1度だけ開いているファイルなど、見落としがちな部分も忘れずに当たりをつけてください。

また、例外で使用するフォーマットがあったり、ファイルやソフトが動かない場合だったりなど、イレギュラーなフローも想定しておくと、より自動化が進み効率化が図れます。

不要工程の洗い出し

不要な工程を洗い出し、より最適化した業務へ改善することも重要です慣習でなんとなく継続していたり、非効率なのは分かっていても、修正する時間や余裕がなくそのままになっていたりする業務は少なからずあるものです。

そのような業務で不要とされるものを見直していくと、さらに効果的な方法が見つかるケースもあります。

柔軟に業務フローを変更していかなければ、業界で残り続けることも従業員の確保もいずれ難しくなってしまうのでより効率化した内容にすることが大切です。

方向性の決定

可視化した業務フローから不要工程を洗い出したら、実装するための方向性を決めましょう。

自動化範囲のなかにも一部は人が処理・一部は自動化という作業もあるため、「この範囲内はどこからどこまでを自動化する」などとさらに明確に決めていきます。

また、エラーが発生した場合に、そのデータをスキップして次のデータ処理へ移行するなど、イレギュラーなフローに対しての方向性も決めておくとよりスムーズです。

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シナリオの作成

シナリオ作成の手順を間違えてしまうと、実装後にエラーが発生し、業務がストップしてしまい、会社全体の業務に支障が出るケースがあります。

そのため、これまでに定めた方向性や可視化したフローを厳密に確認しましょう。シナリオの作成例として、Excelで見積書を作成する場合の作成手順を記載します。

  1. Excelをひらく
  2. 見積書フォーマットをひらく
  3. 宛先・件名・商品・金額等の入力
  4. 名前を付けて保存
  5. 印刷

シナリオ作成の手順が正しいか、ミスのないように確認しながらおこないましょう。

シナリオの実装

RPAの作業の処理単位を「ノード」といいます。実装前に書き出したシナリオの手順をさらにノードごとに分けて設定していきます。この際に注意しておくべきなのが、RPAはあいまいな指示では動作せず、明瞭な指示でなければ正しく処理してくれないという点です。

宛先や件名、商品などの入力をどこの欄に入れるのか、どのボタンをクリックして次の動作に移るのかなど、全てに指示出しする必要があります。

その際に、メンテナンスや、追加でノードを作成したい時のために、ノードに名前を設定したり、コメントを入れたりしておくと、今後の運用が楽になっていきます。

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シナリオのテスト

シナリオを実装したら、正しく動作するかテストしましょう。テストを省いて運用開始してしまうと、実装前には気が付かなかった処理や動作に気付くことができます。

また、いきなりの運用により、確認不足でシナリオが正しく動作せず、業務に遅延や支障が起こるリスクが高くなってしまうのです。

テストは4つの工程でおこなわれます。

単体テスト

単体テストとは、一つひとつの動作が設計どおりになっているか確認する作業です。

たとえば「Excelをひらく」という動作では、一つの手順内でおこなわれる操作にエラーがないかを細かくテストし、想定していた動作ができるようになるまで調整を加えましょう。

結合テスト

結合テストとは、最初から最後までの動作が、スムーズに連携するかどうかを確認する作業です。状況に応じて変動する動作や、繰り返しおこなう作業がしっかり機能しているかを確かめましょう。

本番データテスト

結合テストが完了したら、実際のデータを投入し本番データテストをおこないます。実際のデータを使用すると、結合テストまでに発見できなかったエラーや、イレギュラーなパターンを見つけられるのです。

特定のデータに対して、必要なノードが足りずに別処理をおこなっているのを発見し、シナリオの修正をすることも少なくありません。そのため、修正したら再度テストを実施という行為を繰り返し、シナリオの精度を高めていきましょう。

耐久テスト

耐久テストは、実装したRPAシナリオを長時間動作させたり、処理量を増やしたりして、どのくらいの負荷に耐えられるかを確かめるテストです。

この時に、処理量を通常業務の2〜3倍にすると、待機処理が不十分であることが判明するケースや通常よりも負荷をかけることで、これまでの3つのテストでは発生しなかったエラーが起こる可能性もあります。

夜間や休憩中などで、気づかないうちにシナリオが停止してしまうといったリスクを把握でき、都度修正を入れられるので、問題がないかしっかり確認しましょう。

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シナリオの保守・運用

テストに合格したシナリオは、正しく保守・運用する必要があります。RPAシナリオには一般的にパスワードが必要ですが、そのパスワードが変更された時にログイン処理でエラーが起こるケースも考えられます。

エラーによってシナリオが途中停止してしまい、利用できなってしまうと、シナリオが内部で保持しているパスワードを更新する作業が必要になります。

また、Webサイトから情報を取得するシナリオの場合、Webサイトの構成が変わってしまうので、シナリオ修正が必要です。そういった事態にならないために、適切な保守・運用には、エラー発生時の解消手順や運用手順を明確にマニュアル化しましょう。

全てをマニュアル化すると、業務担当者が変わった時やエラー発生時でもすぐに再稼働でき、遅延する時間を短縮できます。

そして、常に最適なシナリオを保持するには定期的なメンテナンスも必要でメンテナンス作業をおこなうと、エラー発生の確率が格段に下がり、スムーズに動くシナリオとなります。

RPAシナリオの作成をスムーズに行うためのポイント

RPAシナリオ作成をスムーズに行うためのポイントは、以下の5つに注意して進めていきましょう。

シナリオの目的を明確にする

RPAシナリオの作成には何の業務を自動化するかによって作成手順も変わるため、シナリオを作成する前の事前準備が最も重要です。

目的が明確になっていない状態でシナリオを作成しても、どの程度の効果があったのかを可視化できず、そもそも効果が得られるのかという点も曖昧になります。

自社のどの業務がボトルネックとなっているのか、どのように効率化していく必要があるのか課題を明確にしてからシナリオを作成しましょう。

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ショートカットキーを活用する

以下のようなショートカットキーを活用すると、よりスムーズにシナリオ作成が可能です。

  • Ctrl+A→全て選択
  • Ctrl+C→指定した範囲内のコピー
  • Ctrl+X→指定した範囲を切り取り
  • Ctrl+V→コピー・切り取りしたものをペースト
  • Ctrl+S→上書き保存
  • F6〜F10→入力文字をひらがな・半角全角カタカナ・半角全角英数字に変換
  • F11→ページを全画面表示
  • F12→名前を付けて保存

他にも便利なショートカットが豊富にあるので、有効活用してください。

実行するための環境をつくる

社内システムやソフトウェアのメンテナンスが頻繁におこなわれると、業務の手順などが変更され、RPAシナリオも都度変更しなければならないケースがあります。

すると、業務の自動化がスムーズにできず、さらに手間がかかってしまう可能性があるのです。また、古いシステムを使用している場合は自動化が困難なケースもあるので、しっかり確認しておきましょう。

費用を抑えるためスモールスタートを心がける

RPAシナリオを初めて導入する場合、いきなり大きな自動化を図ると、どこかで不具合が発生してしまい社内全体に影響する可能性があります。

不具合が生じるとスムーズな運用ができなくなってしまうため、大規模なスタートではなくなるべく小さな規模からスモールスタートで始めましょう。スモールスタートで始めれば、改良しつつ進めることができたり、大きな失敗につながらなかったりと様々なリスクヘッジにつながります。

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サンプルシナリオを活用する

「どのようにシナリオを組み立てれば良いのかわからない」と悩んでいるから方にはWeb上で公開されているサンプルシナリオの活用もおすすめです。

汎用性の高いシナリオのサンプルが公開されているので、導入しやすいのはもちろん参考としてカスタマイズして利用することもできます。

専門業者へ作成代行依頼をする

RPAのシナリオ作成にどうしても時間が取れなかったり、どの業務を自動化できるのか不明瞭だったりする場合は、専門業者へ依頼するのも良いでしょう。

担当者の負担も軽減され、高レベルなものを提供してくれるので、RPAシステムが社内に浸透しやすくなる傾向もあります。

外部に依頼することによって、シナリオ作成にあたっての負担がかからず、自社で作成するのと比べて高品質なシナリオを提供してくれます。社内にノウハウがない場合は外部にアウトソーシングするのが無難です。なお、外部業者の利用にあたっては費用がかかります。どの程度の費用がかかるのかという点もしっかりとチェックしておきましょう。

第3者の意見を取り入れる

業務担当者だけがチェックすると、普段の作業で不要な部分を見落としてしまう懸念があります。

また、効率化できる要素を見落としてしまい、業務手順の最適化が遠のいてしまう可能性も考えられるため、第3者の意見を必ず取り入れるようにしましょう。

RPAシナリオの作成に大切な考え方

RPAシナリオを作成する場合は、自動化したい業務を明確に把握し、確実に無駄なく業務フローに落とし込むことが重要です。RPAで自動化する業務によって、シナリオを作成する手順も変動します。

自動化したい業務を洗い出せば、そもそも自動化できない業務のシナリオを作成する事態を未然に防げます。そのうえで、業務フローにシナリオをどのように反映させるかを考えることが非常に大切です。

適切なシナリオを作成しRPAを浸透させよう

RPAシナリオは業務を自動化させ、生産性を上げるうえで必要なものです。シナリオを作成する上では、現在の業務フローを可視化したうえで、どこを自動化したいかを考えましょう。

シナリオを作成できたらテストを実施して正しく動作しているか確認し、その後の効果測定までおこなって見るとどの程度の効果が得られたのかがわかります。RPAシナリオを作成し、RPAを社内に浸透させ、会社全体の業務効率化を図ってみてください。

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