【2024年最新】RPA市場の規模とは?世界・日本それぞれの市場実態を解説
日本国内において市場規模が拡大しているRPA。さまざまな効果が期待できることから、大企業を中心に導入が進んでおり、実際に効果を感じている企業も多いのではないでしょうか。本記事では、最新の世界・日本のRPA市場規模の実態や導入率を詳しく解説します。
目次
日本のRPAの市場規模は?
RPAは、2010年以降金融業を中心に導入され、2015年頃から市場規模の拡大がはじまりました。株式会社矢野経済研究所の国内RPA市場の調査によると、2019年度のRPA市場規模は、事業者売上高ベースで529億7,000万円と急成長し、前年度比56.7%増と利用率も高い水準に達しました。
2020年には、新型コロナウイルスの影響により拡大の勢いはやや緩やかになりましたが、2022年は市場拡大の本格化と普及期への移行が予想されており、国内の市場規模は右肩上がりとなっています。
[出典:株式会社矢野経済研究所「RPA市場に関する調査を実施(2020年)」]
企業規模別のRPA導入率
株式会社MM総研の「RPA国内利用動向調査 2022」によると、年商50億円以上の企業では、社数ベース導入率は45%と半数近い企業で導入が進んでいます。業務プロセス全体の自動化を行う企業が増え、AI-OCRやプロセスマイニングなどのツールを導入する企業も増えている点が特徴です。
一方で、年商50億円未満の導入率は12%に留まっていますが、今後数年で普及期を迎えて拡大傾向にあるとされています。
特に中小企業においては、人員や予算が限られている場合が多いため、効率的に業務をこなす必要があります。そのため、業務を大幅に効率化して人件費の削減も期待できるRPAの導入は、今後さらに進むと考えられているのです。
RPAを導入する際は、特別な知識が不要で簡単に導入できるものを選ぶのがおすすめです。中でも多くの企業で利用されている「RoboTANGO」は、自動化したい業務をパソコン画面上で録画することで、簡単にロボットを作成できます。
ロボットが業務を実行するようになるため、ヒューマンエラーが減り従業員の負担が軽減するほか、一部の業務は完全にロボットに任せられることから人件費の削減も行えます。
サポート体制も整っており、無料で導入前のヒアリングやRPA作成支援を受けたり、専用のヘルプセンターを利用したりすることが可能です。
[出典:株式会社MM総研「RPA国内利用動向調査 2022(2022年9月時点)」]
世界のRPAの市場規模は?
海外企業はトップダウン方式の経営手段が主流のため、全社導入でスタートする企業が多く、RPAの市場規模は日本より大きい傾向にあります。
プレシデンス・リサーチ株式会社の調査によると、世界のRPA市場規模は2023年時点で184億1,000万米ドルですが、2033年には1785億5,000万米ドルに達すると予想されています。今後10年で、10倍程度規模が拡大すると考えられているのです。
また、大手経営コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、2025年までに世界で1億人以上のホワイトカラー労働者の3分の1の業務がRPAに置き換わると予想しています。
[出典:プレシデンス・リサーチ株式会社「Robotic Process Automation Market Size, Report 2024-2033」]
[出典:OFFCOMPANY「RPAの次の本命はハイパーオートメーション。人を中心にした業務自動化の未来」]
▷DX推進にRPAは欠かせない?違いや関係性・活用ポイントを解説!
RPA市場規模が拡大している理由
RPA市場規模の拡大には、金融業界の導入成功による影響やAI連携によるRPAツールの性能向上などの理由が関係していると考えられています。ここからは、RPA市場規模が拡大している6つの理由を解説します。
金融業界の導入成功による影響
金融業界の導入成功による影響が、RPA市場規模が拡大している理由の一つとして考えられます。株式会社MM総研の「RPA国内利用動向調査2020」によると、業種別のRPA導入率は金融業界が59%と最も高くなっています。
金融業界はほかの業種と比べて事務作業が多く、内容も複雑で多岐にわたります。そのため、人為的ミスが発生しやすいという背景がありましたが、RPA導入により課題の改善に成功しています。
金融業界のRPA導入の成功例は、他業種のRPA導入検討に少なからず影響を与えているといえるでしょう。
[出典:株式会社MM総研「RPA国内利用動向調査2020」]
AI連携によるRPAツールの性能向上
一部の高性能なRPAでは、AIとの連携が可能です。
AIと連携できるRPAが登場したことで、より膨大な情報の分析や意識決定の自動化が行われるようになりました。これにより、さまざまな業界で活用されるようになったことがRPA市場規模の拡大の一因と考えられます。
AI連携が可能なRPAは、業務改善や経営戦略にも役立てられる点が魅力です。
働き方の多様化の影響
働き方の多様化の影響も理由の一つにあるでしょう。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、ワークスタイルは大きく変化しています。テレワークを促進している企業も増加しましたが、業務によってはオフィスのパソコンでしか作業できないものもあります。
しかし、クラウド型RPAが導入されていれば、自宅でもブラウザを開くだけで場所や時間を選ばず作業が可能です。そのため、テレワークなどの働き方の多様化にも柔軟に対応できるのです。
▷テレワークとはどんな働き方?日本の現状や導入メリットをわかりやすく解説
労働人口の減少の影響
近年では、少子高齢化により労働人口の減少が進んでいます。新たな人材の確保が難しくなっている中で、人手不足解消のためにRPAのニーズが高まっているのです。
RPAは定型業務を自動化できるため、人の手による作業は不要になります。結果的に余計な人員を割く必要がなくなり、労働人口の減少へも対応できるほか、人件費の削減も可能です。
また、定型業務はRPAに任せて従業員は生産性が高いコア業務に注力できるようになることも、大きなメリットの一つです。
BCP対策のため
BCP(事業継続計画)の対策にも、RPAは力を発揮します。
例えば、パンデミックが起きて出社が難しくなるケースを想定してみましょう。RPAを導入して業務を自動化していれば、出社率を抑制しても業務を継続することが可能です。
このように、万が一の緊急事態発生時でも事業を継続・早期復旧が目指せることから、企業の信頼性も向上するといえるでしょう。
▷BCP(事業継続計画)とは?初心者でもわかる策定の重要性と手順について
DX投資促進税制の後押し
DX投資促進税制の後押しも理由の一つです。令和2年12月に公表された、令和3年度税制改正大綱によって「DX投資促進税制」が創設されました。
これによって、デジタル技術を活用した企業変革を進める観点からのクラウド化などの投資に対して、3%か5%の税額控除、もしくは特別償却(30%)ができる措置がとられます。
RPAの導入も税額控除や特別償却の対象となるため、RPAの導入や活用に注目が集まっているのです。
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RPAを導入することで得られる効果
RPAを導入することで、生産性の向上や人為的ミスの防止など、さまざまな効果が得られます。ここからは、RPAの導入で得られる6つの効果を詳しく解説します。
生産性の向上
RPAの導入で、生産性の向上が期待できます。
RPAを導入すると、日々発生する単純作業や定型作業を自動化でき、業務の効率化が図れます。これにより、会社経営の軸となるコア業務に人員を多く配置できるようになり、生産性の向上につながるのです。
さまざまな業務に取り組むよりも、コア業務に集中することでより高い成果を得やすくなるでしょう。
顧客満足度の向上
RPAの導入により、顧客満足度の向上も期待できます。RPAを導入すると、業務の効率化によって顧客にサービスを提供するスピードの向上が図れます。対応スピードの向上によって、顧客の満足度を高めることが可能です。
さらに、自動化によって人為的ミスが発生しづらくなるため、サービス品質も高まり顧客満足度の向上につながるのです。
人為的ミスの防止
RPAで業務を自動化すると、人為的ミスの防止が可能です。
大量の単純作業や定型作業を人の手で行うと、集中力が切れたり疲れたりしてどうしてもミスが生じてしまいます。しかし、これらの業務をRPAが自動化することにより、入力ミスや計算ミスなどの人為的ミスを大幅に減らすことが可能です。また、作業後のダブルチェックも不要になるため、より業務を効率化できます。
人件費等の費用削減
人件費等の費用削減も実現できます。
RPA導入で作業の自動化などを行えば、今までその作業に従事していた人員の確保が必要なくなります。人員を減らしても業務は進行できるため、余計な人手を割く必要はなくなり人件費の削減につながるのです。
また、繁忙期がある業務では人員を確保するためにスポット増員が不要になる点もメリットです。
人手不足問題の解決
RPAの導入により、人手不足問題の解決が可能です。RPAによって業務を自動化できるようになると、今までその作業に必要だった人員の確保が不要になり、人手不足問題も解決できます。
業績の悪化によって人員整理を余儀なくされた企業はもちろん、少子化による将来的な人手不足問題の解決にも役立つことが期待されています。
業務のブラックボックス化防止
RPAによって作業を自動化する場合、業務に携わるプロセスのマニュアル化が必要になります。マニュアル化した作業はRPAが自動で処理するため業務が属人化することもなくなり、業務のブラックボックス化を防止できます。
また、RPAが行う業務を可視化し、その操作手順などの情報を共有しておけば、RPAによる業務のブラックボックス化も回避できます。
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日本で人気の高いRPAツール
ここからは、日本で人気の高いRPAツールを4つ紹介します。
RoboTANGO
RoboTANGOは、低価格で幅広い機能を利用できるRPAツールです。1つのライセンスを複数のパソコンで共有できるため、費用を抑えて利用できます。また、IT導入補助金も活用できるため、初期費用も抑えられるでしょう。
パソコンやアプリケーション上で行った操作を画面録画して、そのままRPAで自動化できます。特別な専門知識は不要で、初心者の方でも簡単にロボットを作成して運用が可能です。サポート体制も充実しており、導入前のRPA作成支援や導入後の操作講習、WEBセミナーなどを受けられる点も魅力です。
提供元 | スターティアレイズ株式会社 |
初期費用 | 基本プラン:11万円(税込) リモレクライトプラン:16万5,000円(税込) |
料金プラン |
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導入実績 | 600社以上(※2023年9月末時点) |
機能・特徴 | データの入力・転記、データの集計、データの加工・整形、レポートの作成、システムへの登録・処理、ファイル操作、メール送付・通知など |
URL | 公式サイト |
WinActor
WinActorは、8,000社以上の企業で利用されている国産のRPAツールです。Windows端末上のアプリケーションを使用した作業であれば、どのような業務でも自動化できます。利用できるアプリケーションに制限はありません。
操作性が非常に高く、プログラミング知識がない初心者の方でも簡単にロボットが作成できます。特殊な環境構築も不要で、パソコン1台があれば問題なく動作します。30日間の無料トライアルがあるため、お試しで利用したい方も申し込みやすい点がメリットです。
提供元 | エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 8,000社以上(※2023年11月末時点) |
機能・特徴 | フローチャート画面上でのドラッグ&ドロップ・クリック操作で編集、全国にある販売代理店が現場での導入を丁寧にサポート、クライアントPC1台から導入可能など |
URL | 公式サイト |
UiPath
UiPathは、世界的に多くの企業で利用されている人気の高いRPAツールです。世界で4,000社以上が導入しており、日本でも幅広い企業で1,000社以上の導入実績があります。
ロボットの作成に必要なのは、ドラッグ&ドロップの簡単な操作だけです。そのため、特別なスキルや知識は不要で誰でも簡単に業務を自動化できます。
初心者の方にうれしい学習環境も整っており、UiPathアカデミーを利用すれば無料でRPAについて学べる点が特徴です。また、操作するうえでわからないことがあれば、フォーラムで質問したり過去の質問から検索したりできます。海外の製品ですが日本語にも対応しており、利用しやすいといえるでしょう。
提供元 | UiPath Inc. |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
|
導入実績 | 10,800名以上(※2022年7月31日時点) |
機能・特徴 | タスクキャプチャ、オートメーションエクスプレス、自動化オペレーション、スタジオ、統合サービス、オーケストレーター、データサービスなど |
URL | 公式サイト |
BizRobo!
BizRobo!は、中小企業から大手企業まで2,800社以上に導入されているRPAツールです。継続利用率は99.3%と、人気の高さが伺えます。
幅広い業務を実現できるうえに、他システムとの連携機能も優れています。SalesforceやChatwork、Slackや会計freeeなどさまざまなシステムと連携して、業務の効率化が可能です。
誰でも視覚的にロボットを作成しやすいUIを備えており、プログラミング知識なしで簡単に業務を自動化できます。個別伴走サポートもあるため、RPAの推進・社内浸透を後押ししてもらえます。
提供元 | オープン株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 2,800社以上(※2024年4月末時点) |
機能・特徴 | ロボットやユーザーを一元管理、1ライセンスでインストール無制限、ブラウザから簡単にロボットを実行、機械学習機能、充実したサポートなど |
URL | 公式サイト |
RPAを導入する際のポイント
最後に、RPAを導入する際のポイントを4つ紹介します。ポイントを押さえたうえで、自社にあったRPAツールを導入しましょう。
自社に必要な機能が搭載されたツールを選ぶ
RPAツールを選ぶ際は、自社に必要な機能が搭載されたツールを選びましょう。そのためには、導入目的や自動化する業務を明確にする必要があります。
自動化する業務が明確になれば、各ツールでの対応可否がわかるようになります。ツールによっては特定の業務の自動化に特化しているものもあるため、最適なツールが選べるように自社で活用できるツールを選んでみてください。
利用したいツールが決まったら、操作感を確認するためにトライアルを活用するのもおすすめです。
▷【2024年最新】おすすめの無料RPAツール14選比較|フリーソフトのメリット・デメリット
サポート体制が十分なツールを選ぶ
PRAツールは、サポート体制が十分なものを選ぶのがおすすめです。
特に社内にITツールに詳しい人材がいない場合は、万が一の問題発生時に迅速な対応が難しい場合があります。どれだけ機能が優れていても、サポート体制が不十分であれば活用し切れないこともあるでしょう。
電話やメール、チャットなどどのような方法でサポートが受けられるのかを確認しておくことが大切です。また、サポートの対応時間もチェックしておきましょう。ツールによっては、導入支援のサポートが受けられたりWEBセミナーが受けられたりするものもあります。
既存システムと連携できるツールを選ぶ
RPAツールを選ぶ際は、既存システムと連携できるかを確認しましょう。既存システムと連携することで、より多くの業務を自動化して効率化を図れます。
特に自社の既存システムを用いた業務を自動化したい場合は、連携の可否を必ず確認しなければなりません。連携の有無が判断できない場合は、ベンダーのサポートに問い合わせて必ず確認するようにしましょう。
セキュリティ対策を行う
RPAツールを導入する際は、社内の重要な情報が漏えいしないようにセキュリティ対策を行いましょう。
例えば、社内システムを用いた業務を自動化する場合、IDやパスワードを記憶させたり、データベースに接続したりする必要があります。取り扱う業務に重要な情報が含まれている場合、セキュリティ対策が不十分であればデータの改ざんや情報漏えいの恐れがあるため注意が必要です。
導入するRPAツールのセキュリティ対策を確認することはもちろん、社内ネットワークでも十分なセキュリティ対策を行うようにしましょう。
▷【無料あり】クラウド型RPAを比較|オンプレミス型との違いやメリット・デメリット
RPAの市場規模は年々拡大している傾向!導入を検討しよう
RPAは、2010年以降金融業を中心に導入され、2015年頃から市場規模が拡大し、今後も世界的に導入が進んでいくことが予想されます。RPA導入により、日々の業務が効率化されるだけではなく、人材不足問題の解決や税制控除など、さまざまな効果が得られます。
自社の問題を洗い出し、解決策としてRPA導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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