RPA導入で失敗する原因とは?事例からわかる絶対に失敗しないコツ
近年、生産性向上が期待できるとして注目を集めているRPA。しかし、多くの企業で導入が増えている一方、失敗してしまう企業も少なくないのが現状です。そこで本記事では、そんなRPA導入で失敗する原因について、失敗事例や対策・コツなどを詳しく解説していきます。
目次
RPA導入でよくある失敗事例とは?
RPA導入の失敗は、大きくわけて4つのケースがあります。
- 導入したものの効果を得られなかった
- 実際に利用する現場で浸透しなかった
- 業務プロセスを可視化しなかった
- 業務停止のリスクが高まった
それぞれの具体的な失敗例をみていきましょう。
ケース1:導入したものの効果を得られなかった
導入したものの効果を得られなかった場合があります。
RPAで作業できるのは、パソコン上でデータ化できる単純な業務です。請求書の処理や電話・メールのサポートなど、一定のルールが決まっている作業でなければ、RPAを活用できません。また、業務自体が人間の判断を必要とする場合も、RPAを活かすのは難しいでしょう。
たとえば、RPAで自動化できる機能の1つにメールの送信があります。一定の決まった文章があれば、RPA導入で生産性を向上させられるでしょう。しかし、顧客からの問い合わせなど、臨機応変な対応が求められるメールへの返信は、RPAでの自動化が困難です。
このようにメールの送信と一言でいっても、作業内容によりRPAが役に立つか否かは変わってきます。
RPAは業務を自動化できる便利なツールですができることは限られており、RPAの概要を理解したうえで導入しなければツールを活かしきれません。結果、効果を得られないばかりか、無駄なコストを消費してしまうでしょう。
ケース2:実際に利用する現場で浸透しなかった
実際に利用する現場で浸透しなかった場合も考えられます。
RPA導入の具体的な目的や得られるメリットを事前に現場に周知しないのは危険です。現場を無視した経営者側の独断は、社員へ不信感を抱かせるリスクがあります。
突然新しいツールを導入されても、実際に使用する現場の社員は混乱する可能性が高いです。また、導入方法を誤れば「RPAで業務が自動化されると自分の仕事が無くなってしまうかもしれない」と、現場の社員に余計な不安を与えてしまいます。
そのため、RPA導入前の経営者側と現場側の意見のすり合わせは必要不可欠です。適切な場所へRPAを導入すれば業務効率は上がりますが、実際に利用する現場への事前周知やフォローを怠れば、うまく浸透させられず導入失敗へとつながります。
ケース3:業務プロセスを可視化しなかった
業務プロセスを可視化しなかった際には、RPA導入失敗の確率が高まります。
RPAを適切に運用するには、業務プロセスの可視化が必要不可欠です。具体的な作業工程が分からなければ、RPAの導入はうまくいきません。
たとえば、RPAができる作業で勤怠管理があります。勤怠の状況は人事以外に、管理職の社員も随時閲覧が必要になるでしょう。いつ・どこで・誰が必要としているか、どのように入力・使用されるかなど、工程がはっきりしていなければRPAで自動化すべき場所が見えてきません。
RPAの導入を失敗しないためにも、業務プロセスの可視化は怠らないようにしましょう。
ケース4:業務停止のリスクが高まった
業務停止のリスクが高まったりする可能性があります。
RPAを導入したばかりの頃は、大半の社員が使い方を知りません。もしこの間にRPAが誤作動を起こしてしまえば、知識が無いため問題に気付くのは困難です。
仮に誤作動がそのまま継続すれば、ツールに負荷がかかってシステムダウンする可能性も否めません。業務全体にRPAを導入していた場合、ツールが正常に動くまで業務停止に陥ります。
RPAはパソコン上で完結する作業で、ルールが決まっていれば自動化が可能です。しかし計画的におこなわなければ、業務停止のリスクを高めてしまう危険性があります。
▷RPAの導入で得られる6つの効果!効果測定方法や主な導入事例
RPA導入で失敗する原因と成功させるための秘訣
RPA導入で失敗する原因と成功させるための秘訣は、主に8つあります。
- RPAを導入する目的を明確にする
- 対象の業務を決めておく
- 非常事態への対応を具体化する
- 自社に合ったRPAツールを選ぶ
- ベンダーのサポートを確認しておく
- 細かく目標設計を行う
- RPA業務を促進する人材を確保する
- 徐々に導入範囲を広げていく
それぞれ詳しく見ていきましょう。
RPAを導入する目的を明確にする
RPAを導入する目的を明確にする必要があります。目的がはっきりしていないとツールを十分に使いこなせません。
バックオフィス業務の生産性を向上させたかったり、人的コストを削減したかったり、各企業によって導入目的は異なります。
RPAはパソコン上のあらゆる業務を自動化できますが、万能ではなく、一定のルールが必要不可欠です。仮に目的を明確にしないまま導入すればRPAを活かしきれず、かえって状況を悪化させてしまう可能性があります。
導入後のミスマッチを防ぐためにも、導入を検討する段階で目的は明確に設定しましょう。
▷RPAできることとは?具体例やできないこと・適した業務を解説!
対象の業務を決めておく
対象の業務を決めておくことが大切です。
対象の業務を洗い出す際は経営者側のみでおこなうのではなく、現場側の意見も取り入れることが大切です。もし経営者側のみで導入を進めてしまえば、現場の理解が得られず、ツールが社員に浸透しないリスクが高まります。
また、業務内容によってはRPAを活かせないものもあります。たとえば人事評価や、お客様からのお問い合わせへの対応など、人の判断を必要とする業務です。
RPAはあくまでルールに則って作業を行います。ルールの記載されたマニュアルがなければ、ツール本来の機能を発揮できません。
RPAの導入によって自動化で手が空いた社員への新たな業務指示や、業務プロセスの再構築など、さまざまな変更が生じます。前もってRPAの対象の業務を決めておけば、事前に導入準備の計画が立てられるでしょう。
▷RPAの導入費用はいくらかかる?費用相場や抑える秘訣・失敗しない選び方
非常事態への対応を具体化する
非常事態への対応を具体化することも、事前に考えておくと安心です。
RPAは人のようにミスをせず、安定した品質で作業をおこないます。とはいえ、ITシステムである以上、エラーや不具合が起こる可能性は排除できません。仮に企業の根幹を担う作業をRPAに任せていた場合、不具合が起きると業務全体に影響が出てしまいます。
RPAを導入する際は、緊急時に使用するマニュアルを用意したり、定期的にバックアップを取っておくなど、万が一に備えた対策方法を事前に具体化しておきましょう。
自社に合ったRPAツールを選ぶ
自社に合ったRPAツールを選ぶことが大切です。
RPAツールは種類が豊富であり、価格もツールのグレードやベンダーによって異なります。たとえ機能が充実していても、自社に必要なければ無駄なコストとなりかねません。また、操作性が高度であれば実際に使用する現場の社員が扱いきれず、ツールが定着しない可能性も考えられます。
提供されている多くのRPAツールには、トライアル期間が設けられています。実際に使ってみないとツールの使用感や相性は分かりません。トライアルを活用すれば、複数のRPAツールとの比較も可能であり、導入に失敗してしまうリスクも回避できます。
RPAツール選定時にはトライアルを活用して、自社にあったツールを見極めましょう。
▷【2023年最新】おすすめのRPAツール比較20選|機能や失敗しない選び方
▷完全無料で使えるRPAツールフリーソフト4選|無料トライアルで使えるツールも紹介
ベンダーのサポートを確認しておく
ベンダーのサポートを確認しておくことも重要になります。
RPAはツールによってプログラミングなど、専門性の高いノウハウが必要です。使い始めのころはノウハウが蓄積されていないため、分からないことやトラブルが発生した際、社内の人間だけで対応するのは困難です。
しかし、ベンダーの手厚いサポートサービスがあれば、安心してRPAツールを導入できます。
導入時の研修や対面でのサポートなど、ベンダーによってサポート内容やタイミングは異なります。導入検討時にはサービス内容やコストと合わせて、サポートの詳細もしっかりと確認しましょう。
細かく目標設計をおこなう
細かく目標設計をおこなうようにしましょう。
RPAツールは導入前に、作業プロセスの洗い出しやツールの選定が必要です。導入までの作業には、時間を要するだけでなくコストも発生します。具体的な目標がないまま導入を進めてしまうと、対費用効果を得られないリスクがつきまとうでしょう。
対費用効果を得るためには、具体的な目標設計が効果的です。たとえば、「有休消化率を〇%向上させる」「人的コストを〇円下げる」など、明確な数値を設定します。具体的な目標設計をすることにより、ツール選定も的確におこなえるでしょう。
RPA業務を促進する人材を確保する
RPA業務を促進する人材を確保するようにしましょう。
RPAツールは専門的なノウハウが必要不可欠です。ベンダーのサポートも役立ちますが、社内にRPAツールに精通した者がいれば、迅速にトラブルを解決できます。
RPAツールに詳しいものがいなければ、ベンダーや外部の有識者の力を借りて社員を育成しましょう。少しずつRPAツールに詳しい社員を増やしていけば、社内で滞りなくRPA業務を運営できる体制が整います。
徐々に導入範囲を広げていく
徐々に導入範囲を広げていくことが肝心です。
RPAツールで多くの業務を自動化すれば、その分リソースが確保され、人的コストの軽減も可能になるでしょう。とはいえ、一気に広い範囲でRPAを導入してしまえば、システムが停止したときのリスクは比例して高まります。
RPAに限らず新しいツールの導入は、現場の社員にとって負担がかかります。ナレッジも蓄積されていないので、予期せぬアクシデントへの対応には時間を要するでしょう。
導入失敗や利益の損失といったリスクを軽減するためにも、RPA導入はスモールスタートが望ましいです。
▷RPAに向いている業務・向いていない業務|選別方法や理由を解説!
RPA導入を失敗しないためのおすすめツール
RPA導入を失敗しないためのおすすめツールを3つ紹介します。
- RoboTANGO
- アシロボ
- batton
RoboTANGO
RoboTANGOは、1ライセンス5万円、最低利用期間1か月から利用できるRPAツールです。繁忙期に限ってライセンスを増やせるため、余計なコスト負担なく導入できます。
ロボシナリオの作成支援や操作レクチャーなど、導入前の段階からサポートが依頼できる「導入支援サービス」もあり、企業に合わせたカスタムが可能です。
提供元 | スターティアレイズ株式会社 |
初期費用 |
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料金プラン |
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機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
アシロボ
アシロボは、中小企業から大企業まで、事業の大きさに関わらず導入可能なRPAツールです。実践で使用できるレベルまでは、マクロが組めれば90分、組めなくても7時間といった短い時間で習得が可能になります。
また、導入サポートやアフターフォローなどはすべて無料で、追加料金はかかりません。さらに官公庁にも導入されており、セキュリティ面も高い信頼を得ています。
提供元 | ディヴォートソリューション株式会社 |
初期費用 | 22万円(税込)、1法人1回限り(追加契約時0円) その他追加料金なし |
料金プラン | 55,000円/月(税込) |
導入企業数 | 450社(2021年6月現在) |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
batton
battonはリピート率97%(※2020年9月~2021年8月までのサービス平均解約率3.2%)のRPAツールです。
RPAに必要なシナリオを作成してくれたり、RPA化が必要な業務を洗い出したりしてもらえるため、ノウハウが無くても気軽に導入できます。また人工知能(AI)を搭載しているので、異なるPCを利用しても設定の変更は不要です。
提供元 | 株式会社batton |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 14万8000円(税込)/月~ |
機能・特長 |
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URL | 公式サイト |
RPA導入の失敗事例から原因や対策を学んでおこう
RPA導入は前準備をしないと、失敗してしまう可能性が高まります。失敗する原因は、経営者側と現場側の意見すり合わせが不十分だったり、業務プロセスの可視化がされていなかったりなど、さまざまです。
導入に失敗しないためには目標を具体的に定め、自社に合ったRPAを選定することが大切です。もちろん、導入後の対応策も検討しておく必要があります。ツールに不具合が起きてしまった際に慌てることがないよう、しっかりと社内の体制を整えておきましょう。
RPA導入は、事前のリサーチと業務の洗い出しが肝心です。失敗事例から原因や対策を学び、自社へ導入するRPAを適切に選定しましょう。
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