RPAエンジニアの年収はいくら?雇用形態による年収差や高年収を獲得する秘訣
RPAツールと共に需要が高まりつつあるRPAエンジニア。労働力不足等、日本が抱えるさまざまな課題の解決に期待がかかる職種ですが、年収はどのくらいなのか気になる人も多いのではないでしょうか。本記事では、RPAエンジニアの年収相場と、高年収獲得の秘訣を解説します。
目次
RPAエンジニアとは?主な業務内容
そもそもRPAとは、「Robotic Process Automation」の略語で事務作業のような定型業務を自動化するために作られた、ソフトウェア型ロボットやそれに関連する技術・概念を意味します。そして、このRPAの導入やロボット開発を行うのが「RPAエンジニア」です。
SE(システムエンジニア)やPG(プログラマー)は、プログラミング言語を用いてシステム開発を行いますが、RPAエンジニアは専門のツールを利用して開発を行います。SEやPGとは異なり、特定のプログラミングスキルを必要としない点は、RPAエンジニアの大きな特徴です。
ヒアリング
まずは、クライアントの要望についてヒアリングを行います。
普段の業務プロセスを洗い出し、そこからさらに各業務プロセスの手順・所要時間・作業頻度など、細かい部分まで可視化していきます。そして、最終的にはRPAをどの業務範囲に導入するのかを決定するまでがヒアリングです。
ヒアリングでは、クライアントが抱える悩みや課題から、どういったニーズがあるのかを把握しなければなりません。クライアントのニーズを正確に把握できていない場合、後々の工程に影響を及ぼす可能性があるため、クライアントのニーズを引き出すコミュニケーションスキルが必要となります。
設計・開発
次に、ヒアリングの内容をもとにソフトウェア型ロボットの設計・開発を行います。
エラーが出たり途中で止まったりすることがないよう、実際の業務プロセスに合わせて設計・開発を進めていきます。それと同時に、動作シナリオを作成することも大切です。
動作シナリオとは、設計・開発したRPAの動作手順を可視化したもので、簡単にいうとRPAの取扱説明書のようなものです。動作シナリオがあれば、クライアントは要望が反映されていることを認識できますし、RPAの導入もスムーズに進むでしょう。
クライアントにとって分かりやすい動作シナリオを作成することが、RPA導入後の業務効率化や業務負担軽減につながるといっても過言ではありません。そのため、業務プロセスについて正確に把握したうえで、ロボットの設計・開発に正しく反映させるスキルが求められます。
導入・保守・運用
RPAの設計・開発が終われば、実際に導入し、その後も保守・運用業務へと移っていきます。具体的には、RPAにエラーや不具合が出た際の修正対応、クライアントから問い合わせ対応などを行います。
また、クライアント希望で業務プロセスを変更したい場合も、RPAエンジニアによるロボットの修正が必要です。ロボットに修正がくわわれば、それにともない動作シナリオを作り直す必要も出てくるでしょう。
このように、RPAを継続的かつ最適な状態で利用するには、RPAエンジニアによる修正や定期的なメンテナンスが欠かせないのです。
▷RPAエンジニアとは?仕事内容・求められるスキル・将来性などを詳しく解説!
RPAエンジニアの年収の相場
RPAエンジニアの年収は、個々の能力や働く地域によってさまざまです。そのため、ここでは契約形態を基準として、RPAエンジニアの年収相場をみていきましょう。
正社員
RPAエンジニアの正社員として働く場合の平均年収は約546万円です。月給換算すると、約45万円になります。初任給は22万円程度が相場といわれており、全体の年収をみてみると、377万〜1,104万円と給与幅は比較的広いようです。
国税庁の調査によると、日本の平均年収は443万円であるため、RPAエンジニアの平均年収は日本の平均年収より高い傾向がみられます。
出典:求人ボックス 給料ナビ「RPAの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
出典:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」
アルバイト・パート
RPAエンジニアのアルバイト・パートとして働く場合の平均時給は1,195円です。1日の勤務時間を7時間30分として、1か月に20日勤務した場合の月給は17万9,260円、年収に換算すると215万1,120円になります。
マイナビの調査によると、2022年12月度におけるアルバイト・パートの平均時給は1,177円であるため、大きな差はないことが分かります。
出典:求人ボックス 給料ナビ「RPAの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
出典:マイナビ キャリアリサーチLab「2022年12月度 アルバイト・パート平均時給レポート」
派遣社員
RPAエンジニアの派遣社員として働く場合の平均時給は2,095円です。1日の勤務時間を7時間30分として、1か月に20日勤務した場合の月給は31万4,260円、年収に換算すると377万1,120円になります。
RPAエンジニアのアルバイト・パートは平均時給が1,177円のため、アルバイト・パートと派遣社員とでは、平均時給に2倍程度もの差があります。
出典:求人ボックス 給料ナビ「RPAの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
フリーランス
フリーランスのRPAエンジニアとして働く場合、受注する案件数や案件の単価によって年収が異なります。ただ、フリーランスのRPAエンジニアを募集している案件は、単価が高い傾向にあり、月単価は30万~60万円程度といわれています。
また、スキルが高くRPAのコンサルティング業務まで請け負う場合は、月単価が80万~120万円程度と、高年収を目指せるでしょう。月単価が50万円だった場合、年収は600万円になり、正社員の平均年収を超えることも可能です。
▷RPAとAIの違いとは?組み合わせによるDX化の例や主な活用方法
RPAエンジニアが高年収を獲得する秘訣
RPAエンジニアとして高年収を目指すには4つの秘訣があります。
スキルアップをする
RPAエンジニアとして高年収を目指すための最もオーソドックスな方法は、スキルアップすることです。RPAエンジニアとしてスキルアップした場合、任せられる業務内容としては以下が挙げられます。
- RPAやITに関するコンサルティング業務
- プロジェクトリーダー
- マネージャー
RPAエンジニアとして高年収を得ている人材は、上記のようなプロジェクトにおける上流工程を任せられていることがほとんどです。そのため、実務経験を重ね、地道にスキルアップしていく必要があるでしょう。
転職をする
転職することも、RPAエンジニアとして高年収を得るためのひとつの手段です。求人サイトによって異なりますが、RPAエンジニアは50~7,600件ほどの求人が存在しています。そのため、現在の年収より高い年収を提示している企業へ転職することで、確実に年収アップを狙えます。
また、外資系企業におけるRPAエンジニアは、比較的高い年収が設定されているため、高年収を狙う転職先として検討してもよいかもしれません。外資系企業は成果主義的な傾向が強いため、年齢や経験年数に関わらずスキルの高い人材は入社後の年収アップも期待できます。
独立・起業する
RPAの上流工程を担当できるようなスキル・経験があれば、独立後フリーランスとして働いたり起業したりすることで、高年収を目指せます。
独立や起業をすれば正社員や非正規雇用のように時間や場所の縛りがないため、より柔軟に働けて収入アップが期待できます。そのため、スキルのあるRPAエンジニアは独立・起業を検討してみてもよいかもしれません。
講師として活動する
RPAやITに関する講師として活動することも、高年収を狙う手段のひとつです。RPA導入の需要が広がっている現在、RPAエンジニアを目指す人材やRPA導入を検討する企業が増えています。それにともないRPAやITについて指導する講師が求められる機会も増えてくるはずです。
ただ、講師として活動する場合は、現場で働くRPAエンジニアとは違った立場になってきます。そのため、講師として活動し年収アップを目指すのは、人に教えることが好きな人に向いている手段といえます。
▷RPA開発の方法・費用相場|失敗しないための注意点と開発手順
RPAエンジニアが注目される理由
近年、少子高齢化にともなう人手不足・多様な働き方への移行・働き方改革など、さまざまな社会的な課題が挙げられています。そこで注目されているのがRPAです。RPA導入によって業務を自動化できれば、少ない人手でも事業を継続でき、業務時間・費用削減などが実現できます。
このように、業務の自動化を目的として拡大しつつあるのがRPA市場です。RPAエンジニアの求人数は、現在はSEやPGと比較すれば少ないものの、今後増加すると予想されています。
RPAエンジニアに必要なスキル
RPAエンジニアになるためには、どのようなスキルが必要となるのでしょうか。RPAエンジニアに必要とされる主なスキルを4つ紹介します。
ヒアリングスキル
RPAエンジニアは、クライアントが抱える悩みや課題、普段の業務プロセスなどを細かく把握し、設計・開発へと移っていきます。しかし、適切なヒアリングができていないと、クライアントの求めるRPAは実現できません。
そのため、クライアントの課題・業務プロセス・求めることなどを引き出せるような、ヒアリングスキルが必要となります。
システム開発スキル・経験
RPAエンジニアはヒアリングをもとにロボットの設計・開発を行い、保守・運用に移っていきますが、RPAに限らず他のシステム開発も同様の工程で進められます。
そのため、システム開発における一連の流れを把握しているようなスキル・経験があれば、RPAの設計・開発の現場でも即戦力となれるかもしれません。
Access・Excel(VBA)の知識・経験
AccessやExcel(VBA)の考え方はRPAの基礎となる部分です。そのため、AccessやExcel(VBA)の知識・経験があると、RPAエンジニアの業務においても活かすことができます。
例えば、すでにExcel(VBA)を活用した自動化を行っていて、RPA導入で自動化する範囲を広げたいという要望があった場合、VBAの知識があればこれまで業務がどのように自動化されていたのかを把握できます。
これまで自動化されていた業務プロセスを把握できれば、同じ形でRPAに反映できるため、クライアントが求めるRPAを理想に近い形で実現できるかもしれません。
RPAツールスキル・経験
RPAの設計・開発には、RPAツールが使われるため、RPAツールの選定や操作スキル・経験が必要です。ツールもひとつではないため、各ツールの特徴を知ったうえで、最適なツールを選定しなければなりません。代表的なRPAツールには、以下が挙げられます。
- WinActor
- UiPath
- BizRobo!
- Blue Prism
未経験からでもRPAエンジニアは目指せる
RPAエンジニアは、RPAに活かせるスキルや実務経験がなくても目指せる職業です。そこで、未経験からRPAエンジニアを目指す方法について解説します。
IT系の実務経験を積む
RPAに限らずIT系の実務経験を積むことで、RPAに活かせるスキルが身につくため、RPAエンジニアへの第一歩となるでしょう。IT系の実務経験によって身につくスキルには、以下のような内容が挙げられます。
- ヒアリング方法
- システム開発の手順
- 関連する法令の把握
- 業務改善に関するコンサルティング
- 業務改善に携わった実績
上記で挙げたスキルは、どれもRPAエンジニアに役立つものです。IT系の実務経験で培ったスキルは、RPAエンジニアに活かせるだけでなく、優遇される条件としても役立つかもしれません。
RPAについて学ぶ
RPAに関する基礎知識を身につけることはもちろんですが、技術の発展・発達が著しいRPA市場では、常に新しい情報を収集しながら学び続けることが大切です。
また、必須ではありませんが、RPAに関する資格を取得すれば、スキルの裏付けともなり転職時に役立つでしょう。そこで、RPAに関するおすすめの資格を3つ紹介します。
UiPath Certified Professional
UiPath Certified Professionalは、RPAツール「UiPath」に関する資格です。UiPath Certified Professionalは「アソシエイト」と「デベロッパー」の2種類に分かれています。
アソシエイトでは、RPAツール「UiPath」の基本的な使い方や自動化に関する基礎知識が求められます。デベロッパーはアソシエイトより難易度が高く、より専門的な知識が求められるようになり、RPAの技術担当者向けの資格です。
ただ、どちらの資格も受験するには一定の条件をクリアしている必要があります。そのため、自分が条件に満たしているのかを必ず確認しましょう。
RPA技術者検定
RPA技術者検定は、RPAツール「WinActor」に関する資格です。RPA技術者検定には、「アソシエイト」と「エキスパート」の2つの難易度が設けられています。
アソシエイトは、WinActorを活用するための基礎知識が求められます。難易度としては低い傾向がありますが、RPAツールの基本的な使い方を網羅した内容となっているため、ある程度の時間をかけた学習が必要でしょう。
そして、エキスパートは業務を自動化するためのRPA設計・開発など、実践的なスキルが求められ、アソシエイトに比べ難易度が高めに設定されています。
BizRobo!検定
BizRobo!検定は、RPAツール「BizRobo!」に関する資格です。BizRobo!検定は、「DS(Design Studio)検定」と「DA(Device Automation/Desktop Automation)」の2種類に分けられます。
DS検定ではDSにおける基本的な開発スキルを、DA検定ではDAにおける開発スキルを測定するための試験が行われます。
▷RPAの資格とは?試験難易度や試験内容・取得するメリットを紹介!
将来性のあるRPAエンジニアへキャリアアップしよう
RPAエンジニアの平均年収は、正社員で約546万円と、日本の平均年収より高いことが分かりました。業務効率化が求められる現代では、事務作業のような定型業務をRPAによって自動化する動きが増えていることから、今後RPAエンジニアの需要も広がっていくと予想されます。
これからエンジニアとして活躍したいと考えている方や未経験からエンジニアを目指している方は、将来性のあるRPAエンジニアへのキャリアアップも視野に入れてみましょう。
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