福利厚生の家賃補助とは?相場や支給条件・住宅手当との違いについて解説

最終更新日時:2024/04/26

福利厚生サービス

福利厚生の家賃補助

福利厚生の中でも人気が高い「家賃補助」。法定外福利厚生のため導入しているかは企業によりますが、費用負担の軽減や企業イメージの向上など従業員と企業双方にメリットがあるようです。本記事では、福利厚生の家賃補助とは何か、家賃補助の相場や支給条件、住宅手当との違いを解説します。

家賃補助とは?

家賃補助とは、賃貸住宅に居住する従業員が支払う家賃の一部を企業が負担する福利厚生の一種です。

福利厚生には、法律で義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が独自に、任意に設定できる「法定外福利厚生」があり、家賃補助は後者に該当します。

そのため、「住宅手当」や「家賃手当」など、企業によって制度の名称が異なるほか、支給条件や金額などもそれぞれ異なります。

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福利厚生の家賃補助と住宅手当の違い

家賃補助とよく似た制度に「住宅手当」があります。どちらも法定外福利厚生に該当し、一般的にはほぼ同じものとして扱われていますが、厳密には支給対象が異なります。

家賃補助はその名のとおり「家賃」を補助する目的のため、支給対象は賃貸住宅に限定するのが一般的です。一方、住宅手当は家賃補助よりも広義で、賃貸住宅のみならず、持ち家の住宅ローンなども含まれます。

家賃補助は福利厚生費として経費計上できる?

家賃補助は福利厚生費として経費計上できるケースがありますが、そのためには規定の条件を満たす必要があります。

家賃補助を福利厚生費として経費計上できる条件は、以下の2つです。

  • 企業が社員寮や社宅として借り上げた物件であること
  • 貸し出している従業員または役員が、家賃の一定額以上を負担していること

なお、従業員や役員が自身の名義で契約している場合は通常どおり課税されるため、支給金額に関わらず福利厚生費として経費計上できません。

[出典:国税庁「No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき」]

[出典:国税庁「No.2600 役員に社宅などを貸したとき」]

家賃補助の平均相場

厚生労働省が公開している「令和2年就労条件総合調査 結果の概況」によると、住宅手当などの平均支給額は17,800円とされています。

ただし、上記はあくまで平均的な相場であり、実際の支給額は企業規模や扶養家族の有無などによって異なるので注意しましょう。

[出典:厚生労働省「令和2年就労条件総合調査 結果の概況」]

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家賃補助の対象を決める際の支給条件例

家賃補助は法定外福利厚生にあたるため、支給条件は企業が自由に設定できます。

これをふまえて、家賃補助の支給条件を決める基準として、一般的に用いられている要素を具体例として紹介します。

勤務地から住宅までの距離

勤務地から住宅までの距離を支給条件に設定している企業があります。

勤務地に近ければ近いほど家賃補助の金額が高くなったり、勤務地から一定距離内に居住した場合のみ支給したりするのが一般的です。

勤務地の近くに住む従業員を優遇する主な理由は以下の2点が挙げられます。

  • 勤務地から遠くなるほど事故などによる労災リスクが高まる
  • 勤務地から遠くなるほど遅延や運休の影響を受けやすく、通勤難に陥り事業継続が困難になるリスクが高まる

住宅が持ち家か賃貸か

居住している住宅が持ち家か賃貸かによって支給条件を変えている企業もあります。

福利厚生において家賃補助は賃貸契約をしている住居に住んでいることが条件です。賃貸住宅の家賃のみを対象とする場合が一般的ですが、住宅ローンも家賃と同義とみなして支給対象とする場合もあり、支給条件は企業によって異なります。

厳密には家賃と住宅ローンは性質がまったく異なるものですが、持ち家か賃貸かだけで支給条件が変わってしまうと、該当する従業員から不満が出る可能性もあるため注意が必要です。

住宅の世帯主か否か

従業員が住宅の世帯主か否かを基準にするケースも多く見られます。

世帯主か否かを支給条件としている場合、支給対象は世帯主に限定するのが一般的です。住宅にかかる費用の支払い方にはさまざまなパターンがあり、何らかの基準を設けなければ判断が困難なケースもあるためです。

具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

  • 同居人と家賃を折半している場合(配偶者・ルームシェアなど)
  • 従業員が世帯主の扶養に入っている場合
  • 実家に住み、世帯主に家賃の名目で支払いを行っている場合

上記のようなケースは、従業員本人が住宅にかかっている費用を支払っているという証明ができないうえ、費用に対する責任を負っている立場とも言えません。社会通念上、家賃補助を支給することが妥当かどうかを判断するうえで、世帯主か否かをひとつの基準にしている場合があります。

雇用形態

雇用形態も支給条件の基準に多く見られる項目です。

正社員のみを支給対象とするのが一般的ですが、中には条件さえ満たしていれば雇用形態に関わらず支給対象としている場合や、業務内容や労働時間などに応じて臨機応変に支給している場合も見受けられます。

勤続年数

勤続年数を支給条件にしているケースもあります。勤続年数が一定期間を超えた時点から支給する、あるいは勤続年数が長くなればなるほど支給金額が増加するといった制度を設けている企業もあります。

単身赴任する従業員

単身赴任する従業員に家賃補助を支給するケースも珍しくありません。

ただし、会社都合や業務上の命令である場合に限られ、本人の希望による単身赴任の場合は支給しないといった制限を設けている場合もあります。また、通常の家賃補助と区別するために、単身赴任手当の中に含めて支給するケースも散見されます。

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福利厚生に家賃補助を導入するメリット

福利厚生に家賃補助を導入するメリットはどのようなものでしょうか。従業員・企業それぞれに得られるメリットについて解説します。

従業員満足度が向上する

家賃補助を導入することで、従業員の満足度向上が図れます。従業員からすると、家賃補助は経済的にも精神的にもプラスになるからです。

生活費の負担が軽減されることで精神的な余裕が生まれるため、業務への意欲向上や生産性の向上が期待できます。また、自社に対する総合的な満足度が向上することで、離職率の低下や人材の定着にもつながるでしょう。

企業イメージが向上する

家賃補助を導入することで、求職者からの企業イメージが向上する可能性があります。

求職者にとって福利厚生は生活に直結する要素のため、充実しているかどうかは非常に重要なポイントです。加えて、「福利厚生が手厚い企業は従業員を大切に扱っている」というポジティブなイメージにもつながります。

企業イメージが向上することで、応募者の増加や内定辞退率の低下、さらには優秀な人材の確保にも期待できるでしょう。

福利厚生を充実させるメリット・デメリット|デメリットを解消する秘訣を解説

家賃補助の福利厚生は企業と従業員の双方にメリットがある

福利厚生の一種である家賃補助。法的な制限のない「法定外福利厚生」のため、企業が自由に制度設計できるのが特徴です。

うまく設計・運用できれば、従業員に金銭的なメリットがあるだけでなく、従業員の満足度向上や企業イメージの向上など、企業側にも大きなメリットが生まれます。

さまざまな面でポジティブな影響が期待できるため、うまく活用して企業の存続や成長に生かしましょう。

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