福利厚生がない会社は存在する?デメリットや必要な福利厚生を紹介

最終更新日時:2024/03/04

福利厚生サービス

福利厚生がない会社

自社の「強み」として、ユニークな福利厚生を導入する企業が増えていますが、福利厚生がない会社は存在するのでしょうか。本記事では、福利厚生がない会社は存在するのか、またその場合のリスクやデメリットを紹介します。充実した福利厚生の例とあわせてチェックしてみましょう。

この記事の要約

・福利厚生には、「法定福利厚生」「法定外福利厚生」の2種類があり、法定福利厚生は導入が義務であるため、福利厚生がない企業はない
・福利厚生なしなどと求人情報に記載がある場合は、法定外福利厚生がないという意味

福利厚生がまったくない会社は存在する?

福利厚生とは、従業員が仕事と私生活のバランスを保ちやすくするために会社から提供される、様々なサービスや制度のことです。

福利厚生には法定福利厚生と法定外福利厚生の2つの種類があり、前者は労働者を雇用する企業に対し導入が義務付けられています。法定福利厚生がない雇用は法律違反となるため、福利厚生が全くない会社は存在しません。つまり求人情報に「福利厚生なし」と記載されている場合は、法定福利厚生のみで法定外福利厚生がないという意味です。

ここからは、それぞれの福利厚生について詳しく解説していきます。

法定福利厚生

法定福利厚生とは、法律により義務付けられた最低限の社会保障費用(企業負担)のことです。労働基準法に定められた残業手当制度や有給休暇制度も含まれており、従業員が安心して働くことのできる環境作りの基礎を担っています。

【代表的な法定福利厚生】

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金
  • 時間外手当・残業手当
  • 深夜労働手当
  • 休日出勤手当
  • 年次有給休暇
  • 産前産後休業(休暇)

法定外福利厚生

法定外福利厚生は、上記の法定福利厚生に加え、会社が従業員のために提供する独自のサービスや制度のことです。中でも、慶弔休暇・慶弔見舞金制度は9割前後の企業が導入しているため、法定外福利厚生が全くない企業はほとんどないといっていいでしょう。

その他に代表的な法定外福利厚生では、社員旅行、健康診断以上の医療サービス、社宅や寮の提供、育児支援制度、資格取得のための支援や研修制度などがあります。これらは従業員のモチベーション向上や仕事の満足度を高めることを目的としており、会社と従業員の信頼関係を築く大切な要因です。一般に「福利厚生」というとこの法定外福利厚生を指すことが多く、会社の魅力を高め、優秀な人材の確保や保持に欠かせない役割を果たしています。

[出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」]

福利厚生とは?種類や必要性・導入メリット、企業事例を簡単に解説

国内企業の福利厚生に関する実施状況

国内の多くの企業で採用されている、代表的な法定外福利厚生にはどんなものがあるでしょうか。特に従業員から喜ばれるものとしては、以下のような制度が挙げられます。

【代表的な法定外福利厚生】

  • 慶弔休暇・手当
  • 家賃補助や住宅手当
  • 人間ドック受診の補助
  • 病気休暇制度(有給休暇以外を含む)
  • 勤続年数による表彰
  • 社員旅行の実施

上記の福利厚生は、いずれも4割以上の企業が実施している代表的なものです。慶弔関係や傷病関係など「万一のときの備え」は、雇用する側・される側のどちらにもメリットのある重要な保障といえます。特に心身の健康に関する保障を取り入れる企業は多く、LINEヤフー株式会社やロート製薬株式会社など、その取り組みから「健康経営優良法人」に認定されている企業もあります。

[参照:LINEヤフー株式会社「Zホールディングスグループ健康宣言」]

[参照:ロート製薬株式会社「これまでの取り組み」]

福利厚生がないことによるリスク・デメリット

ここまで様々な福利厚生を紹介してきましたが、法定外福利厚生はあくまで企業が任意に採用する制度です。しかし、福利厚生がないことで、様々なリスクやデメリットがあります。

採用活動が難航する

福利厚生がない会社は、採用難に陥る可能性が非常に高くなります。求職者は、給与だけでなく、働く環境が充実しているか否かを重要な判断基準としているためです。

特に少子化やコロナ禍など様々な問題に直面する現代では、仕事と私生活のバランスや健康面でのサポートを求める人材が少なくありません。そのため、法定以上の福利厚生を提供していない企業は、採用市場で競争力を失うことになります。結果として、優秀な人材の獲得が困難になり、企業の成長にも影響を及ぼす可能性があるでしょう。

離職率が高まる

福利厚生がない環境では、従業員の離職率が高まる傾向にあります。福利厚生は、従業員が安心して長期的に働ける基盤を提供し、職場の満足度や忠誠心を高める重要な要素です。

健康支援や育児支援などの制度がない場合、従業員は自分や家族の将来に不安を感じやすくなります。労働環境への不満が高まれば、より良い条件を提供する他社への転職を検討することもあるでしょう。特に若者の離職率が高く「転職時代」といわれることもある現代では、長く働きたいと思える職場環境を作ることが必要不可欠です。

生産性が低下する

充実した福利厚生は、従業員はもちろん、会社全体としての生産性に直結します。健康でバランスの取れた生活を送るための支援が、仕事の効率性やクオリティ・従業員のモチベーションに影響するためです。

例えば、健康問題への対策やストレス軽減のためのプログラムがなければ、従業員は病気で休むことが多くなり、その結果、プロジェクトの遅延やミスの増加が発生する可能性があります。

また、職場の満足度が低いと、従業員の仕事への熱意が減少し、創造性やイノベーションの欠如につながることもあるでしょう。このように、福利厚生の不足は結果として会社全体の生産性に悪影響を及ぼします。

【中小企業向け】おすすめの福利厚生ランキング|導入手順や事例を解説

福利厚生を充実させるメリット

「健康経営優良法人」などの認定制度があることからも、社会的に労働環境の健全性がいかに重要視されているかがわかります。企業は長い目で将来の運営を見据え、従業員の労働環境をより良く改善していくべきといえるでしょう。

ここでは、福利厚生を充実させることで得られる代表的なメリットを紹介します。

採用時のアピールポイントになる

充実した福利厚生は、優秀な人材を引き付ける強力なツールになります。求職者は単に給与の額だけでなく、働く環境や会社が従業員の幸せにどれだけ配慮しているかを重視しているためです。

健康支援、育児休暇、教育支援などの福利厚生は、会社が従業員の生活を手厚くサポートしている証明であり、求職者にとって魅力的な職場環境をアピールすることができるでしょう。そうすれば、より多くの優秀な人材の獲得につながります。また、企業自体の求心力を高めることで、広告宣伝費や紹介手数料などが削減できる可能性もあります。

節税効果が期待できる

福利厚生は「従業員のためにお金をかける」というイメージが強いかもしれませんが、従業員への健康支援プログラムや研修費用など一部の福利厚生費用は、企業の経費として計上することが可能です。そのため、実は企業側に節税効果が期待できるというメリットもあります。

ただし、福利厚生費として計上するには、「福利厚生規定が整備されていること」「従業員全員に提供されていること」など、いくつかの要件をクリアしなければなりません。福利厚生の運営にかかる費用全てが福利厚生費として認められるものではない点に注意しましょう。

福利厚生を整備する際のポイント

現状、最低限の法定福利厚生しか導入していない企業が、それ以上の福利厚生を整備する際にはどのようなポイントがあるのでしょうか。ここでは、新たに福利厚生を整備する場合に気を付けておきたい点を紹介します。

自社の課題・ニーズにあった福利厚生を選ぶ

福利厚生を整備する際には、自社の課題や従業員のニーズに合わせて選ぶことが大切です。

例えば、若い従業員が多い企業では、キャリアアップの支援や資格取得補助、育児支援などが重要になると考えられます。一方、ベテラン従業員が多い場合は、健康管理や退職後の生活支援が喜ばれるでしょう。また、リモートワークが増えている現在では、在宅勤務のサポートやオンライン健康診断など、新しい働き方に対応した柔軟な支援が求められます。

従業員の満足度を高め、企業文化を強化するためには、従業員の声に耳を傾け、多様なニーズに応える福利厚生を選択することが重要です。

利用状況を分析し改善をする

福利厚生の制度が整っていても、従業員がそれを十分に利用していなければ意味がありません。そのため、定期的に福利厚生の利用状況を分析し、従業員が本当に必要としているサービスが提供されているかを確認することが大切です。

利用率が下がる原因としては、従業員への周知不足や利用しにくいシステム、現場のニーズに合わない支援などが考えられます。利用状況のデータをもとに、従業員にとってより魅力的でアクセスしやすい福利厚生に改善することを心がけましょう。また、フィードバックを積極的に収集し、従業員の声を活かすことも重要です。

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福利厚生が充実している企業

最後に、様々な福利厚生を導入している企業の中から、特にその内容が充実している企業を厳選して紹介していきます。事業内容や従業員構成と福利厚生の内容の関係について、ぜひ参考にしてみてください。

LINEヤフー株式会社

LINEヤフー株式会社は、従業員の健康を重視した福利厚生に力を入れている企業の一例です。

産業医や保健スタッフによる健康管理、社内マッサージルームの設置、各種ドックの費用補助などを取り入れ、安心して働ける環境づくりに注力しています。さらに確定拠出年金制度や、従業員の家族も加入できる共済保険、総合福祉団体定期保険等も完備されており、万一の場合にも手厚い補助があるのがポイントです。

また、LINEヤフー株式会社らしい独自制度として、インターネット利用の補助制度が設けられています。

[参照:LINEヤフー株式会社「福利厚生」]

味の素株式会社

味の素株式会社は、安心・安定して働ける職場環境づくりに尽力している企業のひとつです。

ワークライフバランスの整備を通して、従業員と企業の双方が成長できる好循環の創出を目標に掲げ、短時間勤務制度やフレックスタイム制度、在宅やサテライトオフィスなど自由度の高い働き方による柔軟な職場環境づくりを推進しています。

また産前・産後、育児休暇などに加え「WLB(ワークライフバランス)休暇」という独自の休暇制度があり、従業員の私生活を大切にしていることが伺えます。

[参照:味の素株式会社「働く環境と制度」]

株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは、女性が活躍しやすい職場づくりに力を入れている企業です。

「女性活躍促進制度 macalonパッケージ」というパッケージ化された保障制度で、生理休暇や妊活補助のほか、子どもの急な体調不良に対応する在宅制度、ママ友・パパ友の輪を広げる取り組みなど、様々な角度から家族の生活をサポートしています。

また、会社が部活動を承認・補助する仕組みや定期的なメンタルヘルスケア、リフレッシュ休暇制度も用意されており、楽しくのびのびと働ける職場環境が魅力です。

[参照:サイバーエージェント「働きやすい環境 福利厚生」]

福利厚生を整備し従業員が働きやすい環境をつくろう

福利厚生の整備は、従業員が満足し、長く働きたいと思える職場環境をつくる上で非常に重要です。

福利厚生が充実している会社は、従業員からの信頼を得やすく、まだ見ぬ優秀な人材との出会いにも有利だといえるでしょう。従業員一人ひとりのニーズを丁寧に拾い上げ、定期的なチェックと改善を行うことで、唯一無二の魅力を持つ会社づくりが実現します。

福利厚生を整備することで、従業員と企業の双方が信頼し合い、互いに成長していける職場づくりを目指しましょう。

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