ワークライフバランスを実現するための取り組みとは?具体例や注意点も解説
仕事と仕事以外の生活の両立を目的に生まれた「ワーク・ライフ・バランス」。しかし、理想的なバランスは個人によって異なることから、ワーク・ライフ・バランスの実現には、さまざまな課題も存在します。そこで、ワーク・ライフ・バランスを実現するための取り組みについて、企業の成功事例などの具体策を交えてご紹介します。
目次
そもそもワーク・ライフ・バランスとは?
ワーク・ライフ・バランスを実現するための取り組みの前に、そもそもワーク・ライフ・バランスとは一体なにを意味しているのか、について改めて確認しておきましょう。
ワーク・ライフ・バランスとは、仕事と仕事以外の生活バランスが、本人が望む理想的な状態にあり、かつ仕事においては、本人のスキルが十分に発揮されている状態を指します。
仕事以外の生活、つまりプライベートを優先できる働き方として解釈されがちですが、決してそうとは限りません。ライフスタイルやライフプランに応じて、本人が生き方を選択できる状態であり、仕事においては、あくまでも責任を果たすことが前提となることを認識しておく必要があります。
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ワーク・ライフ・バランスを実現するための取り組みとは?
ワーク・ライフ・バランスが選択できる状態を実現するには、自社の課題に合った雇用形態や勤務形態の導入のほか、休暇・支援などの福利厚生制度の見直しなどが求められます。
さらには、いくら制度を整えても利用しやすい環境や社内風土が形成されていなければ、実際に活用されることはありません。そのため、組織や意識の改革に向けた取り組みも必要となるでしょう。
これらの施策を、順を追って段階的に実施することで、ワーク・ライフ・バランスが実現するのです。
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ワーク・ライフ・バランスの実現が重要とされる理由
ワーク・ライフ・バランスの実現が重要とされている理由には、主に以下の3つが挙げられます。
長時間労働の課題解消
長時間の残業や休日出勤などの過重労働は、労働者の心身に大きな負担を与えます。そのような課題を解消するため、政府は働き方改革を推進し、さらにワーク・ライフ・バランスの実現が重要視されるようになりました。
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少子高齢化による人材不足への対策
日本は、1970年に「高齢化社会」になり、 その後は1994年に「高齢社会」、2007年には「超高齢社会」へと突入したと言われています。
このような社会背景から、生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の減少は、年々深刻化しており、就労意欲のある働き手の活躍の場を広げる仕組みづくりが急務とされました。
そこでワーク・ライフ・バランスの実現が、出産や子育て、介護や自身の療養など、なんらかの事情により仕事と生活の両立が困難となる働き手の就労を支える手段としても注目されるようになったのです。
男女共同参画の推進
女性の社会進出が進み、「男性」「女性」などの性別にとらわれず、個人のスキルや適性を発揮できる組織体制や社会の構築が望まれるようになったのもワーク・ライフ・バランスの必要性が高まった要因の一つと言えます。
「男性は外で働き、女性は家庭を守る」といった考え方は、ある意味、前時代的となりつつあり、性別に関係なく安心して働くことのできるワーク・ライフ・バランスが求められていると言えるでしょう。
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ワーク・ライフ・バランス実現を目指す国の取り組み
ワーク・ライフ・バランス実現を目指す企業の取り組みをご紹介する前に、それらを支援する国の取り組みについて、いくつかご紹介します。
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章
ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、その行動指針となるのが、政労使の合意のもと2007年に策定された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」です。
本憲章では、ワーク・ライフ・バランスが実現した社会を以下のように定義しています。
「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」
[引用:内閣府「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」より]
上記をはじめ、この憲章で示された定義や目標が、あらゆる施策の行動指針となっているのです。
その具体的な施策についても、いくつかご紹介しましょう。
専門家による無料支援
主に中小企業が、社会保険労務士・中小企業診断士などの専門家から、育休復帰や仕事と介護の両立に向けた組織の仕組みづくりや経営の支援を無料で受けられる制度です。
同制度には、「育休復帰支援プラン」と「介護支援プラン」があるため、社内制度の整備を検討しているが、何から手をついたらいいかわからない、国の制度を活用したいが、要件などが複雑で困っている、などの課題を抱える事業主の方は、一度相談してみるとよいでしょう。
働き方改革推進支援助成金
働き方改革に取り組む企業に対する各種支援制度も、ワーク・ライフ・バランスの向上に貢献する取り組みの過程で活用できるものが数多くあります。
働き方・休み方改善コンサルタント、テレワークの推進、特別な休暇制度の普及など、さまざまですが、なかでも労働時間の短縮などに取り組む企業を支援するための働き方改革推進支援助成金は、積極的に活用したい制度の一つと言えるでしょう。
※働き方改革推進支援助成金について、「労働時間短縮・年休促進支援コース」は、現在、新規申請を停止中です(2022年11月24日時点)。
▷ワークライフバランスの問題点とは?現状の日本の課題と改善策について
ワーク・ライフ・バランス実現の企業メリットは?
働き手が働き方や生き方を選べる取り組みとして、従業員側のメリットが注目されがちなワーク・ライフ・バランスですが、実は、企業にとっても多くのメリットがあります。
それぞれを詳しくみていきましょう。
離職率の低下
仕事と仕事以外の生活を両立できるようになることで、出産・育児・介護などのライフステージの変化に伴う離職を防ぐことができます。
また、ワーク・ライフ・バランスが維持しやすい働き方の一つである、テレワークの導入が推進され、オフィス出社が必須でなくなれば、パートナーの転勤などによる離職も防げるようになるでしょう。柔軟な働き方は、就労意欲のある人材の離職を防止する有効な策となるのです。
業務効率・売上の向上
ワーク・ライフ・バランスの実現は、仕事と生活のバランスが本人の望む状態であり、かつ、仕事への責任が果たせている状態を目指すものです。
このような状況下では、自然と仕事へのモチベーションも高まるでしょう。高い意欲のもと、能動的に業務にあたることで、業務効率や売上などの成果の向上も期待できるようになります。
採用活動時に優位
テレワークが普及し、転職市場における求職者の約6割が「テレワークが選択できるかどうか」が、応募の意向に影響するとしたアンケート結果も出ています。
そのため、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた、柔軟な働き方の導入は、採用活動にも好影響を与えると考えられます。人材の流出を防ぐだけでなく、新たな人材の確保にも有利に働く要素となり得るのです。
企業イメージアップ
ワーク・ライフ・バランスを実現することは、「人」を大切にする企業として、世間からのイメージアップも期待できるでしょう。
企業イメージの向上は、優秀な人材を確保しやすくなるほか、企業のイメージが、そのまま商品・サービスに対する好意的な印象として影響を及ぼすことも多いため、売上の向上も見込めます。
ワーク・ライフ・バランス実現の個人メリットは?
続いて、ワーク・ライフ・バランス実現によって得られる、個人、つまり働き手のメリットについても確認していきましょう。
健康の維持
ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、長時間の残業や休日出勤などの過酷な労働環境が改善されることにより、心身の健康維持が期待できます。
十分な休息が取れることによる疲労の回復だけでなく、また、家族やプライベートの時間が充実することにより、精神的なストレスも軽減されるようになります。
健やかな心身の状態は、仕事への意欲向上にもつながるでしょう。
地域コミュニティへの参加
時間的な余裕が生まれることにより、地域コミュニティへの積極的な参加も可能になります。
特にお子さんのいるご家庭などは、登下校の見守りや子ども会などによる、地域とのつながりが必要不可欠となります。
このような地域コミュニティへの参加は、地域活性化にも大きく貢献するだけでなく、自分自身が暮らす地域社会をより良くするためにも重要な活動と言えるでしょう。
家族と過ごす時間が増える
家族と過ごす時間が増えるのも、ワーク・ライフ・バランス実現の大きなメリットです。
共働き世帯においては、家事や育児を分担できるだけでなく、家族による団らんの時間は、ストレスの軽減や安らぎを得ることによるリフレッシュにもなります。
時間を有効に使えるようになる
自宅でのテレワークでは、通勤時間が不要となることから、その分の時間をスキルアップや趣味の時間にあてるなど、有効に使うことができます。
キャリアアップにつなげたり、あるいは、趣味を充実させてリフレッシュしたりなど、生き方が選べる点は、まさにワーク・ライフ・バランス実現のメリットであり、目的とも言えるでしょう。
▷【解説】ワークライフバランス実現に向けて個人が実践すべきこと
ワーク・ライフ・バランス実現に向け企業ができる取り組みは?
ワーク・ライフ・バランスの重要性は理解できていても、企業として、どのような取り組みから始めるべきなのか、わからないといったケースも多いのではないでしょうか。
そこでここからは、実際に企業ができる取り組みをご紹介します。
休暇制度の充実
育児・介護の休業取得を促進するのはもちろんのこと、子の学校行事参加休暇、看護休暇のほか、一定の長期間勤続者に与えられる長期休暇を指す「サバティカル休暇」など、自社の環境に合った独自の休暇制度を取り入れるのも良いでしょう。
このような休暇制度の充実は、従業員と企業の信頼関係を意味する企業エンゲージメントの向上にもつながります。
福利厚生の充実・改善
社内保育所の設置や、スキルアップを望む従業員への支援制度などの福利厚生の充実もワーク・ライフ・バランスの実現に役立ちます。
ただし、支援制度が子育て中の従業員のみに偏ってしまうことのないよう、全従業員が対象となる制度も検討するなど、不公平感が生まれないような工夫も必要です。
多様な働き方の提供
テレワークやフレックスタイム制度、時間勤務など、勤務形態や雇用形態など、多様な働き方が選べる環境を提供することも効果的な取り組みとなるでしょう。
また、「多様な働き方」には、場所や時間、雇用形態だけでなく、複業を認めるなど、さまざまな内容があることを理解しておきましょう。
長時間労働の是正
長時間の残業などが常態化しているようであれば、それらを是正するための取り組みも必要です。
労働時間の短縮に向けては、システム・ITの導入による業務の自動化など、これまでのやり方を一度ゼロベースで見直す視点も大切です。
生産性向上に向けた業務改善
生産性向上は、業務のIT化のほかにも、マニュアルによる業務の標準化や、集中して作業をする時間を設けるといったタイムマネジメントの工夫によっても改善が可能です。
特に、マニュアルが「単なる引き継ぎ書」となってしまっているケースでは、ハイパフォーマンスな従業員のノウハウ共有にマニュアルを活用することで、チーム全体の生産性が上がることもあります。ナレッジ共有としてのマニュアル運用を、一度検討してみるのも良いでしょう。
徹底的な「ムダ」の削減
単なる習慣となっている会議や打ち合わせ、資料作成がないかも、一度見直してみましょう。
会議や資料は、その後、その内容が活用されていないのであれば、単に時間を費やすだけの業務かもしれません。時には、今までの習慣となっていた制度や会議を削減するといった判断も必要です。
評価制度の見直し
テレワークの導入や休暇制度の新設など、働き方を大きく刷新した場合は評価制度の見直しも必要となるでしょう。
評価に対する不信感や不満は、労使間の信頼関係にも悪影響を及ぼします。評価基準や評価方法を従業員にオープンにすることで透明性を保ちつつ、特定の従業員を有利または不利に扱うことのないよう、公平性を維持するようにしましょう。
マネジメント層の積極的な参加
ワーク・ライフ・バランスの実現は、マネジメント層の積極的な参加が必要不可欠となります。
特に、長時間労働が常態化してしまっている組織においては、「定時退社」に対して従業員が罪悪感を抱いてしまうケースもあります。そのような企業では、まずマネジメント層が率先して、ワーク・ライフ・バランス向上に取り組むことが求められます。
マネジメント層が自ら定時に帰宅し、休暇を取得したりするなど、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて行動することが重要です。
業界レベルでの取り組み呼びかけ
ワーク・ライフ・バランス実現に向けた取り組みは、そもそも長時間労働や休日出勤が多い業種など、業界によっても「取り組みやすさ」や「取り組む必要性への意識」に違いが見られます。
そのような業界では、業界紙で推進を呼びかける、経営者を対象とした研修会を行うなど、自社だけでなく、業界全体の取り組みも必要となるでしょう。
個人でできる取り組みは?
続いて、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた、個人ができる取り組みについてもご紹介していきましょう。
業務の優先順位と作業時間の可視化
業務効率化による労働時間の短縮は、最初に行うべき個人における工夫と言えるでしょう。
まずは自身が抱えるタスクを洗い出し、それぞれの作業時間と優先順位を見える化します。そのうえで、1日のタイムスケジュールを作成してみましょう。1日で何にどれくらいの時間を費やしているのかを把握することが、業務改善の機会につながります。
不要な業務の削減
業務を可視化し、優先順位をつける過程では、業務の要不要も線引きしやすくなります。
既存の業務は、必ずしも「必要な業務」とは限りません。その業務が必要不可欠であり、生産性や成果につながる業務なのかどうかを、改めて見極めるようにしましょう。
業務環境の見直し
業務の要不要だけでなく、業務フローなどによっては、自分以外、もしくは、他部署で担当した方が生産性が高い業務もあるかもしれません。
業務をフロー全体で捉えて、最適化することも視野に入れつつ、業務の棚卸しをしてみると良いでしょう。
働き方を改めて考えてみる
人生には、仕事優先の時期もあれば、家族中心を望む時期もあるなど、ライフスタイルやライフステージ、個人の価値観などによって、理想のワーク・ライフ・バランスも変化するのではないでしょうか。
一度、ワーク・ライフ・バランスを人生全体で捉えたうえで、自分にとっての理想の働き方やキャリアパスを考えてみることも大切です。
ワーク・ライフ・バランス実現をかなえた企業の事例
ここからは、独自の施策によって、ワーク・ライフ・バランスを実現した企業の事例をご紹介していきます。
自社に必要な取り組みを考える際の参考として、ぜひお役立てください。
働き方改革|株式会社ライフィ
株式会社ライフィは約60社の生命保険、損害保険、少額短期保険を取り扱う保険代理店です。
同社では、社員の意見を集める「気づきBOX」の設置や選べる出勤時間制度などにより、現場の声に耳を傾けるとともに、「必要な制度」の整備を行いました。
そのほかにも、新入社員でも初年度から20日間の有給休暇を付与するなどの取り組みを実施。その結果、社員の声をもとにしたワーク・ライフ・バランスを実現し、2018年度には「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」の大賞を受賞しいます。
多様な勤務形態の導入|アクトインディ株式会社
アクトインディ株式会社は、「子どもたちの未来を拓く」というビジョンのもと、親子で間伐材を利用した机作り体験や子どもの就業体験の企画・運営などを行っている会社です。
同社は、「毎日家族と過ごせる働き方がしたい」という社員の声をもとに、フレックスタイム制やテレワークなど、多様な勤務形態を導入しました。
また、書籍手当やお出かけ手当といった、家族との時間に役立つさまざまな手当を用意するなど、仕事と家庭を両立しやすい環境を整備するだけでなく、プライベートの充実をサポートするような制度により、従業員のワーク・ライフ・バランス向上を支援しています。
育児・介護への支援|社会福祉法人あいのわ福祉会
社会福祉法人あいのわ福祉会は、重度の身体障害者を対象にした福祉サービスを展開する企業です。
同社では、不繰越(前々年度)分の年次有給休暇を、最大60日を限度に保存する「特別保存休暇制度」を導入。この制度は、実際に本人の傷病や育児・介護などの理由がある場合に使用されており、子育て中や介護中の従業員が働き続けられる職場の構築に役立っています。
また、ワーク・ライフ・バランスに関するガイドブック配布による意識改革も行い、これらの取り組みは、育休からの復職率が3年連続100%を達成するなどの実績につながっています。
コミュニケーションの活発化|株式会社ウィルド
ITコンサルティングやWEBシステムの開発などを行う株式会社ウィルドでは、社内のコミュニケーションの活発化を図るために、社長と社員が食事をしながら面談をするといった取り組みを実施し、従業員が悩みや不満などを経営者に伝えやすい環境を構築しました。
また、アニバーサリー休暇など、年次有給休暇とは別の有給休暇を設けて、取得を促進することで、休暇を推奨する組織であることを社員に伝える、組織の意識改革にも成功しています。
こういった施策に対して、社員からは「ライフの時間を大切にしてくれるので、メリハリをつけて仕事に取り組める」といった声があがっています。
テレワークの導入|TRIPORT株式会社
TRIPORT株式会社は、「クラウド社労士コモン」や「クラウド人事労務コモン」など、企業の業務フローを改善するクラウドシステムを提供しています。
同社は、創業以来事業が急成長するとともに、人材の確保に課題を抱えていました。そこで、人材採用の可能性を広げるために、場所や時間に縛られずに働けるテレワークを導入したのです。さらに、1日4〜6時間勤務の「短時間正社員」などの雇用形態を設けることで、働き方の自由度が上がる施策を実施しました。
業務の割り振り|株式会社NITTOH
建設業を主軸の事業とする株式会社NITTOHは、女性の割合は15%程度が平均とされる建設業界において、会社全体の約3割が女性社員という企業です。
同社では、女性ならではの視点や細やかな仕事ぶりは必要不可欠な戦力であるとする社内風土が醸成されており、妊娠がわかった時点で、当該社員の負担ができる限り軽減されるよう業務の割り振り・引継ぎをおこなう助け合いの体制を構築するほか、看護休暇や短期時間制度の導入などにより従業員のワーク・ライフ・バランスを支援しています。
導入中の休暇制度は、取得率100%を達成していることも特筆すべき点と言えるでしょう。
勤務時間の把握・管理を徹底|日東工業株式会社
日東工業株式会社は、電気機械器具の製造・販売や、発電・売電事業などを展開しています。
同社では、時間外労働の削減を達成するため、まずは全社員の勤務時間の把握と管理の徹底を実施しました。時間外労働が月45時間・2ヶ月で140時間を超えた社員に対しては、所属部課長や産業医との面談を設定し、勤務実態の調査を行っています。
また、育児のための短時間勤務制度の適用範囲を法律上の義務である3歳未満から9歳へと大幅に引き上げたことで、復職率100%を達成。そのほかにも、フリーバカンス休暇やリフレッシュ休暇など、独自の休暇制度も導入し、休暇の取得を促進しました。
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ワーク・ライフ・バランス実現の注意点
最後に1点、組織のワーク・ライフ・バランス実現を推進する際に陥りやすい問題点をお伝えしておきます。
現場の実態を無視したうえでの「定時退社の強要」などによる残業時間の削減は、仕事の持ち帰りや無申告での残業、休日出勤を助長してしまう可能性があります。
このような状況は、ワーク・ライフ・バランスが向上するどころか、逆に仕事への意欲やエンゲージメントの低下を招く結果となってしまいます。
取り組む際には、必ず実態を把握したうえで、適切な段階を踏んで実行に移すようにしましょう。
企業・個人にあったワーク・ライフ・バランスを叶えよう
理想的なワーク・ライフ・バランスが個人によって異なるように、企業が実行すべき取り組みや必要な施策も、事業内容や組織の状況など、さまざまな要因により異なります。
まずは、社員の声に耳を傾け、現場の課題を把握したうえで、自社に合った働き方改革やワーク・ライフ・バランスを推進していきましょう。
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