ワークライフバランス(WLB)とは?正しい定義・メリット・事例を解説

2022/07/29 2022/07/29
ワークライフバランス

仕事と生活の調和を目指す「ワークライフバランス」。テレワークやフレックスタイム制度、短時間勤務といったさまざまなワークスタイルが浸透する昨今、本記事では、どのようにワークライフバランスに向けた取り組みを行っているのかについて解説しています。働き方改革が推進され、ますます注目されるワークライフバランスについて、正しい定義や考え方を理解しておきましょう。

ワークライフバランスとは?

「ワークライフバランス」をひと言で表すと、「仕事と生活を調和させること」です。少子高齢化や労働力人口の減少など、時代が変化する中で、これまでの働き方では社会や組織が持続できなくなることが懸念されています。

仕事は生活を支え、生きがいをもたらします。同時に充実した私生活も、潤いのある暮らしのためには欠かすことができません。そして仕事と生活は相反するものではなく、やりがいのある仕事があってこそ、日々の暮らしも生き生きとするものです。

企業はフレックスタイム制やテレワーク、育児・介護に従事する人のための時短制度などを導入することでワークライフバランスの実現を目指しています。仕事とプライベートの双方を充実させることで好循環を生むライフワークバランス。

理想のライフスタイルでもあるライフワークバランスについて、その定義や歴史、そして背景も含めて見ていきましょう。

ワークライフバランスの定義

政府による「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」は、ワークライフバランスについて「老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自ら希望するバランスで展開できる状態である」と述べています。

また、内閣府では「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」の中で「仕事と生活の調和が実現した社会の姿」として具体的に、以下のような社会を目指すべきであるとしています。

(1)就労による経済的自立が可能な社会
経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。

(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。

(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。

[出典:内閣府「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」]

ワークライフバランスの歴史

最近よく耳にするようになった「ワークライフバランス」について、新しい考え方だと思う方も少なくないでしょうが、思いのほか歴史は古く、1980年代後半のアメリカでは既にワークライフバランスという言葉が使われていました。

当時のアメリカも、現在の日本と同じように女性の社会進出が進み、仕事と生活の両立が大きな課題とされていました。そして、女性のための保育支援が中心となり、ワークライフバランスの前身となる「ワーク・ファミリー・バランス」が発案されたのです。

また、1990年代には子どものいない男女も対象となってさまざまな取り組みが本格化。その内容も広がりを見せました。

ワークライフバランスに注目が集まる背景

ここからは、ワークライフバランスに注目が集まる背景について解説していきます。働き方の多様化やダイバーシティの推進、そして少子高齢化などの問題もある昨今、ワークライフバランスの背景を知ることで、より具体的な取り組みに活かすことができるでしょう。

働き方の多様化やダイバーシティの推進

働き方改革が進められる中、ワークスタイルの多様化やダイバーシティの推進がされています。時間外労働の削減やテレワーク化の加速などさまざまな働き方が浸透し、年齢、性別、人種などによって人を判断しない「ダイバーシティ」の考え方も重視されるようになってきました。

ひと昔前までは「30歳を超えたら結婚」「管理職は男性」などといったステレオタイプの価値観がありました。しかし昨今では、働き方の多様化やダイバーシティの考えが取り入れられ、ワークライフバランスの推進につながっています。

少子化・高齢化問題への対策

ワークライフバランスに注目が集まる背景のひとつが、「少子化、高齢化問題への対策」の加速です。これまでにも解説してきたように、ワークライフバランスという考え方の起源は女性の社会進出です。

そして現在も、女性が仕事と子育てを両立する難しさや少子化が問題になっており、ワークライフバランスはこの悪循環に歯止めをかける有効な手段であるとも考えられています。

また、時短勤務など多様な働き方を可能にすることで、介護を担う労働者も働き続けることができるなど、高齢化問題への対策にもなり、ワークライフバランスが注目されているのです。

ワークライフバランスを実現する目的やメリット

内閣府の発表によれば、ワークライフバランスの実現によって次のことが可能になるとされています。

  • 就労による経済的自立ができること
  • 健康で豊かな生活のための時間が確保できること
  • 多様な働き方・生き方が選択できること

ここからは、ワークライフバランスを実現する目的やメリットをわかりやすく解説していきます。

個人に合わせた多様な働き方の実現

ワークライフバランスを実現する1つ目の目的が、「個人に合わせた多様な働き方を実現する」というものです。最近では、ワークライフバランスを整えるために、短時間勤務やフレックス制度、テレワークなど多様な働き方を採用している企業が少なくありません。

このような取り組みを企業が取り入れることにより、一人ひとりが希望する多様な働き方を実現させるのです。

自己実現のしやすい環境の整備

自己実現のしやすさも、ワークライフバランスを整えることで実行できる目的の1つです。働き方と同様、自己実現の意味合いもビジネスパーソンによってさまざまです。

ワークライフバランスが整うことで「自己啓発に充てたい」「ボランティア活動に参加したい」「趣味に費やしたい」など、仕事以外の取り組みに注力できることも魅力です。

女性社員の定着化

女性社員の定着化も、国や企業がワークライフバランスを推進する目的です。出産や育児、介護など担うことが多い女性のほうが、仕事を続けにくい状況に立たされがちです。結婚や出産といったライフイベントに対応できるワークライフバランスの実現が、女性の働き方の鍵となります。

ワークライフバランスを整えることで、働きたいと考える女性が能力を十分に発揮できる環境が整備され、女性社員の定着や活躍につながるでしょう。

従業員のモチベーションの向上

従業員のモチベーションアップに寄与することもワークライフバランスを実現するメリットです。モチベーションを向上させる理由はさまざまですが、ワークライフバランスを整えることで、「働く理由を明確にできる」ことは事実です。

企業が子育てや介護など、働く人の置かれた状況を考慮することで従業員のモチベーションはアップし、仕事の充実にもつながるでしょう。このような好循環の中でワークライフバランスが実現するのです。

生産性の向上へつながる

ワークライフバランスは、生産性を高めることにも直結しています。ワークライフバランスの実現によって従業員のモチベーションが向上すると、会社への貢献度や生産性の向上を見込めるようになります。さらに、離職する人も少なくなるでしょう。

離職率の低下による採用コストや育成コストの削減も、生産性向上が見込める理由の1つです。従業員が生み出す価値を高めつつ、不要なコストの削減を見込めることも、ワークライフバランスのメリットとなるのです。

優秀な人材の確保や離職率の低下

ワークライフバランスを整えることは、優秀な人材の確保や離職率の低下にもつながると考えられています。

短時間勤務やフレックス制度を採用することで、「子育てに積極的に関わりたい」「プライベートな時間にビジネススキルを身に付けたい」など従業員の希望を実現することができるようになります。

充足感のある私生活によって仕事にもやりがいを持つことができれば、ワークライフバランスの好循環が期待できます。ワークライフバランスを整えることで業務が改善され、働きやすい環境の構築につながれば、優秀な人材の雇用や離職率の低下にも直結するのです。

ワークライフバランスの実現に向けた取り組み事例

ここからはさまざまな企業が取り組んでいるワークライフバランスの事例を紹介していきます。取り組みそのものだけでなく、狙いや効果も理解することで、質の高いワークライフバランスが実現するでしょう。

育児・介護などの両立支援

ワークライフバランスの実現に向けた1つ目の取り組みが、育児や介護の両立支援です。「女性向けの制度」という印象を与えがちな育児や介護の支援ですが、男性社員の育児休業取得率も高まっています。

ワークライフバランスの実現に向け、育児や介護との両立を支援する企業が増えています。結果として、育児や介護に携わりながら働き続けられる環境が確保され、仕事と私生活の好循環につながっているのです。

テレワーク制度

テレワーク制度の導入も、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みの1つです。新型コロナウイルス感染症への対策と認識されているテレワーク制度ですが、働き方をより柔軟にする仕組みでもあります。

通勤時間の削減や場所を選ばないワークスタイルを可能とするなど、テレワークの導入によってワークライフバランスが大きく推進。時間や場所に制約のある従業員が働き続けられるケースが急増しています。

フレックスタイム制

また、テレワーク制度と同様に、従業員の時間や場所などの制限を解消するフレックスタイム制。フレックスタイム制とは、始業時間と終業時間を労働者自身が自由に設定できる制度で
す。

勤務時間が一定でないワークスタイルは生産性を低下させるように思うかもしれませんが、従業員にワークスタイルの決定権を持たせることで、逆に生産性が高まっているケースも少なくありません。

意見箱の設置

意見箱の設置により、企業全体でワークライフバランスの推進に取り組んでいる企業もあります。無記名でワークライフバランスについて投函できる意見箱を設置することで、経営者が従業員の率直な意見に向き合い、取り組みの改善につなげています。

また、従業員の当事者意識を高めることも、意見箱を設置する目的の1つとなっています。従業員が意見を述べることによって「意見を出す以上は一人前の仕事をする」といった従業員の意識の変化を期待できるのです。

長時間労働の削減

日本ではこれまで長時間労働が当たり前とされ、経済成長はこの労働時間によって支えられてきた側面がありましたが、働き方改革によって時間外労働に制限がされるようになりました。

企業は働き方を調整する必要性に迫られ、ワークライフバランスの整備とともに、労働時間を削減する取り組みが継続されています。そこで、業務のデジタル化やテレワークの導入などを行うことによって、いかに長時間労働を削減できるかが重視されているのです。

クラウド化

ワークライフバランスを推進するための6つ目の事例がクラウド化です。クラウド化は業務効率化の手段のひとつと認識されていますが、ワークライフバランスを推進する際にも不可欠なものとなります。

社内システムをクラウド化することで、時間や場所にとらわれず仕事をすることが可能となるためです。テレワーク時はクラウド経由で社内システムにアクセスできるなど、クラウド化がワークライフバランスを大きく推進します。

ワークライフバランスの実現を妨げる現状の課題

これまで解説してきたように、多くの企業がワークライフバランスの必要性を理解し始めています。しかし、ワークライフバランスの実現を妨げる課題も存在します。ここからはこれらの課題について詳しく説明していきます。

生産性が低下するリスクが払拭できない

ワークライフバランスの実現を妨げている1つ目の課題が、「生産性が低下するリスクが払拭できない」というものです。国や企業がワークライフバランスの必要性を感じている背景には、日本に根付いている長時間労働を土台とした経済成長があります。

「日本人は働き者」とよくいわれますが、残業時間の長さや休日の少なさは日本を象徴しているといえるでしょう。そしてこのような経済構造が定着しているため、多くの企業がワークライフバランスの改善によって、生産性が低下するリスクに直面しているのです。

変化を恐れる日本企業の文化

変化を恐れる日本企業が多いことも、ワークライフバランスの実現を遅らせている要因といえるでしょう。昨今では「新しい価値観を受け入れる」「風通しの良さに重きを置く」企業が増えていることも事実ですが、事業者にとって生産性の定義を変化させることは容易ではありません。

長時間労働が必要な業種、業界の企業が、「すぐに労働時間を減らして生産性を高めよ」と急展開することはできないのです。このような課題がワークライフバランスの実現を妨げています。

社内改革に必要な人材の不足

また、ワークライフバランスを整える上で、社内改革に必要な人材が不足していることも課題の1つと考えられています。先ほども触れたように、ワークライフバランスの推進には、これまでのルールや規則を見直す姿勢が求められます。

そして、これまでのルールや規則の見直しには、主導する人材が必要不可欠です。しかし、「社内に適切な人材がいない」「外部から招く余裕がない」といった企業も多く、ワークライフバランスが広がらない要因と考えられています。

ワークライフバランスはもう古い?新しい考え方

本記事から「ワークライフバランスの必要性や実現方法を学ぼう」としている方もいるかもしれませんが、一部ではすでに新たな考え方が取り入れられはじめています。

その考え方が「ワークライフマネジメント」と「ワークライフインテグレーション」です。ビジネスパーソンが持つ価値観の多様化に合わせ、事業者は一歩進んだ考え方についても事前に理解しておきましょう。

ワークライフバランスの欠点とは?

企業によって捉え方は異なりますが、ワークライフバランスには次のような欠点があるとされています。

  • 導入の手法がわかりにくい:日本の企業にはそもそも8時間を基本とする規則があり、ワークライフバランスが逆行した考え方と捉えられる。クリアすべき問題が多く、導入手順の整理から始めなければならない。
  • 経営陣と方針を合わせられない:経営者がワークライフバランスの推進をCSR活動や福利厚生の一環と捉えている。「人事部で管轄すべき」という風潮から、経営者と従業員の間に考え方の違いがある。
  • リスクやコストへの対応:ワークライフバランスを推進する必要性こそ理解しているものの、導入に必要な時間や金銭面のコストが大きいと判断される。また、人員の配置換えなどの変化から、一時的に生産性が低下するリスクもある。

ワークライフマネジメント

ワークライフバランスの先を行く、1つ目の考え方がワークライフマネジメントです。ワークライフマネジメントとは、仕事とプライベートのバランスを自らマネジメントすることを意味します。

「明確な違いがわからない」と感じられた方も多いと思いますが、ワークライフマネジメントは、ビジネスパーソン一人ひとりが主体となっている点に、ワークライフバランスとの違いがあります。

国や企業が取り組むべき事柄と考えられるワークライフバランスに対して、ワークライフマネジメントは、従業員が取り組むべき事柄と解釈されるのです。この考え方によってすべての課題が解消されるわけではありませんが、当事者意識によって解決できる課題が多いことも事実です。

ワークライフインテグレーション

一般に、ワークライフバランスやワークライフマネジメントは、「仕事は仕事で頑張り、生活は生活で楽しむ」と、仕事と生活を分けて考えます。

一方で、ワークライフインテグレーションは、仕事と私生活を分けず、柔軟かつ高い次元で融合させ、これらの相乗効果でクオリティを高めることを目的としているのです。

仕事とプライベートのバランスを調整するワークライフバランスの考え方から、一歩前進したスタイルといえるでしょう。

ワークライフインテグレーションが普及することで、働き方の選択肢の拡大や労働者のスキルアップが見込めるものと考えられています。

ワークライフバランスの実現は日本における重要課題

働き方改革や人手不足など労働環境の課題が山積する中、ワークライフバランスを整えることで生産性が下がるのではないかと懸念される人もいるかもしれません。

しかし、働く人の仕事とプライベートの充実を図るワークライフバランスの実現は、既存の従業員のパフォーマンスを高め、会社の将来にもつながる取り組みといえるでしょう。

ワークライフマネジメントやワークライフインテグレーションなど、新しいスタイルも生まれています。現代が急速な変化を迎えている時期であることを念頭に置き、「時代の流れに合わせた考え方」を理解して、自社に合った改革を進めましょう。

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