イクボスとは?イクボス宣言・イクボス10ヵ条や現状の問題点について

2022/7/25 2022/07/25

ワークライフバランス

イクボスのイメージ

イクボスは、ワークライフバランスを重視する働き方が進む中で生まれた言葉です。そして、あらゆる社会の変化を機に、徐々にその認知度を高めているイクボスとは、どのような意味を持つのでしょうか。本記事では、イクボスの概要からイクボス宣言やイクボス10ヵ条についてなど、現状や問題点を徹底解説します。

イクボスとは?

「イクボス」とは、働き方改革だけでなく、男女平等や女性の社会進出が進む現代社会の変化などを背景に生まれた言葉です。

具体的には、「育児」と「ボス」を組み合わせた造語で、部下や同僚のワークライフバランス(仕事と生活の調和)の向上を目指し、社員のキャリア形成までを支援する上司のことをいいます。そのため、イクボスの定義に、性別や年代といった制限はありません。

組織として成果を出しながら、自らも仕事とプライベートを楽しむボス(経営者や管理職)を意味しており、まさに「時代が求めるリーダー像」とも例えることができるでしょう。

イクボス10ヵ条まとめ

組織において、イクボスプロジェクトを推進するのであれば、まずは行動指針である「イクボス10ヵ条」を知る必要があります。

イクボス10ヵ条とは、NPOファザーリング・ジャパンによって作成された10つの条件であり、そのうちの過半数の条件を満たしていることが「イクボス」の証とされています。

[引用:イクボスドットコム「イクボスとは?」より]

1.理解

現代の子育て事情を理解し、部下がライフ(育児)に時間を割くことに、理解を示していること

職場の上司は、現代の子育て事情を「理解」して、スタッフや部下の育児状況を把握したうえで適切な指示や行動を取る必要があります。

2.ダイバーシティ

ライフに時間を割いている部下を、差別(冷遇)せず、ダイバーシティな経営をしていること

次は「ダイバーシティ」です。イクボスはスタッフや部下が、育児などの個人の事情を優先することに対し、差別(冷遇)せず、受け入れる姿勢と受け入れられる組織文化の醸成に貢献しなければなりません。

3.知識

ライフのための社内制度(育休制度など)や法律(労基法など)を、知っていること

10ヵ条の3つ目は「知識」です。イクボスは組織の活動を推進する前に育休制度の仕組みや法律(労基法)の基礎知識を身につけておく必要があります。

4.組織浸透

管轄している組織(例えば部長なら部)全体に、ライフを軽視せず積極的に時間を割くことを推奨し広めていること

イクボスプロジェクトを組織内に浸透させるため、管理するチーム全体への周知や認知活動を軽視せず、自らも積極的にプライベートの時間を割くことが推奨されています。

5.配慮

家族を伴う転勤や単身赴任など、部下のライフに「大きく」影響を及ぼす人事については、最大限の配慮をしていること

スタッフや部下への人事の配慮は、特に重要です。育児中の家族を伴う転勤や単身赴任など、日常生活や環境変化に影響が大きい場合、最大限の配慮をしなければいけません。

6.業務

育休取得者などが出ても、組織内の業務が滞りなく進むために、組織内の情報共有作り、チームワークの醸成、モバイルやクラウド化など、可能な手段を講じていること

育休者が出ても業務が滞らない組織作りをしておくことは、育児休暇などの取得を促進するうえでは重要な取り組みとなります。

業務を属人化させないことのほか、必要に応じてテレワークなどの柔軟な働き方ができる環境を整え、復帰しやすい組織を作ることも大切です。

7.時間捻出

部下がライフの時間を取りやすいよう、会議の削減、書類の削減、意思決定の迅速化、裁量型体制などを進めていること

上司やリーダーは、スタッフや部下が育児と仕事の両立がしやすいように余裕を持って時間を捻出しましょう。具体的には、会議の削減や書類のデジタル化、権限委譲による意思決定の迅速化などがあります。

8.提言

ボスからみた上司や人事部などに対し、部下のライフを重視した経営をするよう、提言していること

イクボスを広めるためには、社内全体の取り組みが必要です。そのため、人事や経営層への提言を積極的に行う必要もあるでしょう。また、組織内や社内全体への提言も大事だといえます。

9.有言実行

イクボスのいる組織や企業は、業績も向上するということを実証し、社会に広める努力をしていること。

イクボスプロジェクトを進めるうえでは「宣言」だけではなく有言実行が重要です。業績の向上を実証し、いかにして育児を推奨する努力をしているかが、肝になります。

10.隗より始めよ

ボス自ら、ワークライフバランスを重視し、人生を楽しんでいること。

隗より始めよとは「大事を成し遂げるには、まず身近なことからはじめよ」といった意味をもつ慣用句です。上司自ら率先してワークライフバランスを重視した人生を楽しむことが重要です。

イクボスプロジェクトの内容

ここでは、イクボスの認知度向上と浸透を目的とした活動として、プロジェクトの内容を4つお伝えします。

イクボス宣言

イクボス宣言とは、企業のトップや幹部自らが「イクボスを目指すこと」を宣言することです。

ただし、イクボスは厚生労働省で推奨されている取り組みではあるものの、公的な認定制度はなく、宣言方法や内容、宣言書のフォーマットにも決まりはありません。

「イクボス宣言」の一例としては、以下のような内容が挙げられます。

  • 私は、効率的に業務を遂行し早く帰る部下の仕事を評価します。
  • 私は、緊急時を除き、土日・定時以降に仕事の連絡をしません。
  • 私は、率先して早く退社します。
  • 私は、「社員一人ひとり」の異なるWLBを応援します。
  • 私は、部下のどんな相談にも親身になって応じます。

これらのイクボス宣言は、あくまで意思表示であって、当然ながら行動が伴っていなければ意味がありません。掲げるだけにとどまってしまい、実践されていなければ、イクボス制度の本来の意義が失われてしまうことに注意しましょう。

イクボス検定

イクボスには、NPO法人ファザーリング・ジャパンによる簡単な検定もあります。

組織におけるボスの在り方やダイバーシティに関する正しい認識などの再確認にも活用できる、こちらの試験は、WEB上で数分で実施することができます。

組織において「イクボスの理解」を深めるための一つのツールとして有効に活用してみるのも良いでしょう。

[出典:NPO法人ファザーリング・ジャパン「イクボス検定 模擬試験」]

イクボス企業同盟

イクボス企業同盟とは、NPO法人ファザーリング・ジャパンが主宰する活動に賛同することで加盟できます。

参加企業は、ワークライフバランスを通じた社員のモチベーションアップや成功方法、勉強会の結果を発信し合い情報共有を行います。

イクボスを新しい「マネージメントスタイル」として捉え、企業間で協力して新時代の理想の上司を育成するためのモデルケースやノウハウ、アイデアを出し合い、意識改革を促進する活動が行われています。

公式メディアへの展開

同法人が運営するポータルサイト「イクボスドットコム」では、イクボスに関する情報発信はもちろん「イクボス宣言」を実践した企業の事例や、インタビューなどを掲載しています。

そのほかにも、YouTubeにて「イクボスドットコム公式チャンネル」を開設し、各団体のイクボス宣言やイクボス企業同盟の活動をわかりやすく伝えるほか、ラジオ番組「イクボスTODAY」を運営するなど、あらゆるメディアを通して、イクボスの認知を広める活動が行われています。

イクボスを導入するメリット

次に、イクボスを導入するメリットについて、お伝えしていきます。

より良い職場環境の構築

イクボスに取り組むことで、社員のライフステージの変化にも対応することのできる、働きやすい職場が実現し、より良い職場環境の構築ができます。

例えば、育児との両立が必要なスタッフへの在宅勤務や時短勤務の導入は、社員の職場や業務への満足度を向上させるだけでなく、社員の離職を防ぐといったプラスの効果があるといえるでしょう。

そのほかにも、イクボスプロジェクトは「10ヵ条」による行動指針が確立しているため、職場環境の見直しも取り組みやすいといえます。

仕事の効率化

イクボスの取り組みとして、業務時間を短縮した結果、著しく生産性が落ちてしまうようでは、事業による利益が求められる企業として、制度の運用を続けることは不可能です。

イクボスへの取り組みは、あくまで「組織として上げるべき成果」をクリアしていることが前提です。そのため、一人ひとりが「仕事の効率化」に対する課題感を持てる組織文化を醸成し、かつPDCAサイクルを回し続けて、常に「業務の最適化」が図れるチームを作り上げる必要があります。

採用コストの削減

イクボスの取り組みが社員に認知され「イクボス効果」が現れることで、社員満足度も上がり安定した組織運営が実現します。

離職率が低下すれば、採用や教育にかかるコストを削減することも可能です。

企業イメージの向上

イクボスへの取り組みが社会へと浸透することは、企業のイメージアップにもつながります。

社員のワークライフバランスを重視する企業イメージは、現代社会において、大きなブランド力となるはずです。採用の促進や社会的信頼度の向上など、決して小さくない副次的な効果をもたらすでしょう。

イクボスが抱える現状の問題点

組織における「イクボスプロジェクト」が進まない原因としては、社内の雰囲気が「障壁」となってしまう点が多く挙げられるでしょう。

先にもお伝えしたように、例えば育児休暇の取得を促進するのであれば、休暇取得による欠員が出ても業務が滞ったり、業務量に無理が生じることのない組織体制を構築しておくことが求められます。

つまり、このような組織でなければ「育児休暇」を好意的に受け止められる組織文化は醸成されません。

また、「長時間労働こそが、会社への貢献」といった意識が蔓延しているのであれば、上司が自ら仕事の効率化を実践し、短時間で結果を出す仕組みとお手本を示す必要があります。

イクボス成功事例の共通点は、企業のトップやマネジメント層が強く「コミットメント」して活動を進めていることにあります。

特に、イクボスの取り組みが「育児休暇の取得を対象とする社員のための施策」だけに終わってしまうと、必要のない社員にとっては、ただの「他人ごと」になってしまいます。

マネジメント層が旗振り役となり、社員一人ひとりが「自分自身のための改革」であることを意識できる、平等な取り組みとして推進する必要があるでしょう。

イクボスを導入する手順

続いて、育児時間を尊重する社員と企業側にとって「メリット」の多いイクボス制度を導入する際の手順についてもご説明します。

適切な順番にて導入を進めることで、施策を実践した際の混乱を最小限に抑えることができるでしょう。

イクボスの認知を広げる

「イクボス宣言」後のファーストアクションとしては、認知の促進が挙げられます。前章でもご説明したように、組織における理解不足は推進の「障壁」となってしまいがちです。まずはイクボスの目的と意義を「知ってもらう」ことからスタートしましょう。

このような情報発信は、トップが率先して行うことでその効果を高めることができます。なぜ「イクボス」を導入するのか、目的を明確に提示し、多くのメリットについてもしっかりと周知することで社員の理解も得やすくなり、組織内での計画と目標達成へのスピードも上がるはずです。

休暇などの制度を増やす

イクボスに関連する組織の制度を整理することも欠かせません。具体的には、以下のような制度の見直しが求められるでしょう。

  • 有給休暇取得の促進
  • そのほかの休暇制度の見直し
  • テレワークなどの柔軟な勤務形態の導入
  • 男女を問わない育休制度利用の推進
  • フレックスタイム制の導入

また、イクボスの制度や取り組みを、単に育児に関する制度の拡充や休暇の取得を目指すものではなく広く「ワークライフバランス」を向上させるための取り組みとして捉えつつ、制度を見直すことも大切です。

職場の雰囲気を作る

社内の雰囲気づくりは、イクボスの取り組みの明暗を分ける、ある意味でもっとも重要なフェーズといえるでしょう。

ここでも大切なのは「理解」です。育児の状況は、個人の家庭環境によっても大きく異なります。また、プライベートを重視したい意向を持つ社員は、育児の有無に関わらず存在するはずです。

仕事観や価値観の違いを理解し、そのうえで、どちらかが良い悪いを判断するのではなく、それぞれのベストな働き方が「主張でき、実行できる」組織の雰囲気を作ることが重要なのです。

イクボスとは厚生労働省も奨励する注目の活動

「働き方改革」の重要性が示されるようになって数年が経ったとはいえ、現状はまだまだワークライフバランスの難しさに悩む労働者が多いのが現実です。

当事者となってみて、改めて育休取得に対する風当たりを実感したという声や、職場復帰のハードルの高さに不安を抱えているといったケースも少なくありません。

厚生労働省も推奨する「イクボス」は、職場スタッフや部下、同僚の育児に「理解」のある上司を目指すこととされていますが、それらの取り組みが、業務効率や業務プロセスを見直すきっかけになることもあります。

「イクボス」の導入を機会に、組織の在り方を見直してみてはいかがでしょうか。

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