ワークアズライフとは?正しい意味やワークライフバランスとの違いについて

最終更新日時:2022/05/26

ワークライフバランス

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ワークアズライフとは、寝ている時間以外のすべてが仕事であり趣味という考え方です。近年、新たな生活スタイル・仕事に対する価値観として注目されています。本記事では、そんなワークアズライフについて、意味やメリットなど詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

ワークアズライフとは?

ワークアズライフは、メディアアーティスト、大学教員、経営者としてマルチに活動する落合陽一氏が提唱した概念です。仕事と生活の密接性に関して、ワークライフバランスとは異なる解釈を行った概念として注目を集めました。

ワークアズライフの正しい意味

ワークアズライフとは、ストレスフリーな人生を実現するために、仕事とプライベートを一体化し、ストレスを適切に管理する考え方です。

従来の睡眠、仕事、生活という3つのサイクルに分けられていたものを、睡眠とそれ以外に再定義することによって、より本質的な改善の実施を目的としています。

これまでは会社に所属することが一般的だったため、仕事や生活を別のものとして切り離すことが当たり前でした。

しかし、海外を中心にジョブ型雇用が進む現在において、仕事と生活を分けて考えることが難しいケースもあり、区別しない選択肢を考慮する必要性が出てきたことが、ワークアズライフが生まれたきっかけとなっています。

ワークライフバランスとの違い

ワークライフバランスは、仕事と生活を明確に区別し、適切なバランスに調整することを目的としています。仕事の負荷を減らし、生活を充実させることで、多様な人生を実現するための考え方です。具体的な手法としては、業務改善や残業削減など、タイムマネジメントに主眼が置かれています。

しかし、近年ではテクノロジーの進歩によって、仕事と生活は線引きしづらい状態になっています。

スマホの着信1つで思考がプライベートから仕事に引き戻されることに加えて、テレワークの推進で自宅が職場化し、仕事と家事に対する場所的な差異が失われるなど、仕事と生活を切り離して考えることが次第に難しくなっているのです。

また、働き方の多様化により、YouTuberやインスタグラマーなど、趣味を仕事にする方も増えています。このような職業の場合、仕事とプライベートを分けられず、ワークライフバランスの考え方を当てはめることができません。

これらのことから、ワークライフバランスの持つタイムマネジメントが現実的でないケースも散見されるようになり、ストレスマネジメントに特化したワークアズライフが注目されるようになりました。

ワークアズライフを実践するメリット

ワークアズライフは、ワークライフバランスとは違ったアプローチで多様な人生の実現を支援しますが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここではワークアズライフの4つのメリットを解説します。

仕事とプライベートの一体化

仕事とプライベートが一体化されることで、時間の考え方に変化が生まれます。仕事とプライベートを別々に認識している場合だと、どうしても仕事にプライベートの時間を奪われているという考えが生まれがちです。

しかし、ワークアズライフにおいて仕事と趣味は同義であるため、仕事とプライベートの区別がなくなり、自然と時間の考え方も変わります。

加えて「やりたくない」「面倒くさい」「辛い」などのマイナス思考が生まれにくいのも特徴です。自分が好きなこと、やりたいと思えることを仕事にできていれば、それだけでストレスが発生しにくい環境を作れています。

ストレスマネジメントの実現

ワークアズライフの本質は、長時間労働よりも肉体的・精神的なストレスに着目し、それを改善することで低ストレスな状態を実現することにあります。そのため、ワークアズライフではいかに1日のストレスを許容範囲内に収めるかという点が重視されます。

現代では副業の促進などにより、収入源を複数つくるという選択肢も生まれています。そのため、収入のために1つの職場で無理して稼ぐ必要はありません。

むしろ、少ない収入でもストレスの少ない環境を複数つくったほうが、総合的にはプラスになると考えられています。

モチベーションのアップ・生産性の向上

ワークアズライフの基準は、ストレスや楽しさの有無です。誰もが時間割に沿って業務を行うのではなく、自分自身のストレスや楽しさの感じ方を基準に仕事を整理し、業務を進めます。

混同されやすいワーカーホリックとの違いは、働かなければいけないという受動的な考え方ではなく、自分が働きたいと思える環境を主体的に作っていくことを基本的な考えとしている点です。

ワークアズライフでは、いつ、どこで、誰と、どのように、何をすればストレスや楽しさを感じるのか、それはなぜなのかを明確にすることで、仕事に打ち込みやすい環境をつくっていきます。

その取り組みがストレスの低減だけでなく、モチベーションや業務効率の向上にもつながります。

離職率の低下

ワークアズライフには仕事と趣味を同義にするうえで、自分自身の楽しさの感じ方に対して、理解を深める工程があります。

自分の中で楽しさが整理されることで、それを疎外するストレス因子が自然と浮かび上がります。そのストレスの源を抜本的に解決していくことで、離職率を下げることができます。

例えば、長期休暇明けに離職率が高まるのは、仕事とプライベートの線引きが明確化されすぎた結果、仕事にやりがいを感じにくくなっていることが原因といわれています。普段は抑えられているストレスであっても、長期休暇で自分を見つめ直す機会を得ることで、嫌なことを避けたいと考えてしまうのです。

だからこそ、企業がワークアズライフを通じて仕事にやりがいを感じてもらえるための支援を行い、ストレスを抑制していくことが重要になります。

ワークアズライフを実践するデメリット

ワークアズライフは個人の考え方や労働環境に影響を与えることで、生産性や離職率の改善につながるというメリットがあります。一方で、デメリットが全くないわけではありません。ここではワークアズライフを実践するデメリットを4つ解説します。

仕事が簡単に見つからない

ワークアズライフを通じて自分自身がやりたいことを見つけた場合でも、それを体現する仕事が見つかりにくいという難点があります。どれほど市場を見渡しても、自分自身の好みにマッチした仕事を見つけるのは容易ではありません。

そのため、ワークアズライフを実現するためには、既存の仕事をいかに自分用にカスタマイズできるか、あるいは新たな仕事を作り出せるかが重要です。会社に所属している場合は、その仕事でいかに利益を生み出せるかなど、会社の存続と自身の考え方が衝突する可能性もあるでしょう。

収入につなげるのが難しい

好きなことを仕事にするのは、一般的な仕事と比較して安定した収入を得ることが難しいとされています。自分の好きなことが、イコール稼げる仕事であるとは限らないのです。

そのため、場合によっては複数の仕事を掛け持ちする、あるいはマネタイズを見直すなど、主体的なアクションが必要となるでしょう。

そもそもやりたい仕事がない

自分自身の好みがマイノリティであればあるほど、仕事を探す難易度は上がっていきます。人によっては市場に好みの仕事が存在せず、新たな仕事を創出するために起業することを選ぶ方もいるでしょう。

しかし、新たな仕事を創出するには、それがビジネスとして成り立つかどうかが問題となってきます。これはブルーオーシャン戦略に通ずるものがあり、未開拓な市場を探すという難易度の高いものです。下準備にも膨大な時間を要するため、ストレスフリーな仕事の実現は、一筋縄ではいかないといえるでしょう。

長時間労働と勘違いされやすい

ワークアズライフは、仕事とプライベートの区別をなくすため、必然的に長時間労働を懸念する声が増えてしまいます。確かに数字だけを見れば、ワークアズライフの導入で労働時間が通常の2倍になると考えることもできます。

しかし、ワークアズライフはストレスマネジメントを重視しているため、労働に対する考え方が異なります。長時間労働の本質的な問題は、心身へのダメージにあり、ワークアズライフはそれを取り除くための概念です。

その部分が認識として抜け落ちてしまっているケースが多いため、ストレスケアに注力している点をアピールすることが大切です。

ワークアズライフを実現する6つの方法

ワークアズライフはまだ歴史が浅いのもあり、成功事例が多くありません。一部では特殊な職業でしか実現できないのではないかという見方もされています。

では、ワークアズライフを実践するうえで、重要なポイントはどこにあるのでしょうか。ここでは主な実践のポイントを6つ解説します。

1.ストレスマネジメントを行う

従来のタイムマネジメントでは、報酬のために働くという考え方であるがゆえに、報酬の満足度を上げるためには長時間労働が必要です。加えて、報酬のために身を犠牲にすることを厭わないため、ストレスを誘発しやすい働き方でもあります。

しかし、ワークアズライフにおいて、報酬は副産物でしかありません。自分自身のストレスをコントロールし、人生全体の負荷を減らすことで、充実した毎日を過ごすことを目的としています。

そのうえでストレスマネジメントでは、仕事を労働時間の長短ではなく、ストレスの有無で分けて考えます。まずは仕事をタスク単位に分解し、どれほどのストレスを感じているかを数値でラベリングしていきましょう。その結果をグラフ化すると、あなたが1日の中でどこにストレスを多く感じているかを把握することができます。

このストレスを感じているレベルが高いところから、優先的に改善していくことで、ストレスの総量を減らしていくのが、ストレスマネジメントの考え方です。

2.自分の生きがいを探す

ストレスマネジメントを通じてストレスの数値を割り出した際、数値の高いものが多い場合、自分自身が本当にやりたいことを実現できていない可能性があります。

もし自分がやりたいことを上手くイメージできない場合は、自分自身がどのような状況下であればストレスを感じにくいのかを特定することが重要です。時間を忘れて没頭してしまうこと、取り組んでいて気分が高まること、今挑戦してみたいことなどが、やりたいことを判断する材料となってくるでしょう。

そのようにして自分の生きがいを探していくことが、ストレスを下げていくための第一歩となります。

3.ジョブクラフティングを実行する

ジョブクラフティングとは、仕事に変化を加えることで、やりがいを感じながら働くための方法論です。仕事における内容、関係性、捉え方に対して主体的に変化を起こすことで、仕事を意義あるものに変えていくことを目的にしています。

仕事の内容においては、全てのタスクを洗い出し、量や手順を再検討していきます。自分自身の強みを活かして、どのようにすれば上手く進められるのか、あるいは苦手な部分をどこまで切り離すかを考え、タスクを整理しましょう。

仕事の関係性においては、人間関係のあり方を見直していきます。顧客をはじめ、同僚や上司など、仕事に関わる多様な人物とのコミュニケーションは、モチベーションにも大きな影響を及ぼします。連絡の方法、頻度、動機など、関わり方を変えることで、これまでと違った一面の発見にもつながるでしょう。

仕事の捉え方においては、仕事に対する意義を再定義します。「マニュアル通りに業務をこなしている」と「少しでもお客様に良い変化を与えられるように働いている」では、仕事に対する熱度が大きく異なるように、いかに仕事を主体的に捉えられるかが重要です。仕事に対するやりがいや幸福を考えてみることで、ストレスの低減にも貢献できるでしょう。

4.報酬よりも学びや教訓を糧にする

AIによる仕事の代替も進む現代では、1つの専門技術だけでは安定性に乏しく、スキルの拡張が課題といわれています。そのため、仕事に対して報酬を過度に意識するのはリスクにつながる可能性があります。

長期的な観点で考えると、未体験のフィールドに身を投じることは、報酬よりも貴重な価値であるともいえます。そのため、報酬を絶対的な条件として捉えるのではなく、幅広い視点から何が自分にとって価値につながるのかを考えるのが大切になるでしょう。

5.自分の能力のポートフォリオを作る

これからの時代は、1つのスキルに特化するのではなく、複数のスキルを組み合わせて新しい価値を創り出すことが重要となります。そのうえで、自分自身がどのようなスキルを持っているのかを可視化する手段として用いられるのが、ポートフォリオです。

ポートフォリオは資産構成とも訳され、自分自身の経験や実績などを通じて、スキルの棚卸しを行います。ポートフォリオの作成は、共通点からストロングポイントを見出すだけでなく、スキルの拡張性を見つけるうえでも効果的です。

同業者と差別化を図るには、これまでの経験に何を加えたほうが良いかという点も、ポートフォリオを通じて把握することができます。

6.他の人と共同で作業する

好き嫌いや得意不得意は千差万別です。ストレスを抱え込まないためには、他の人と共同で作業を進めることが大切になります。

下手に独りで全てを処理しようとせず、ストレスを感じやすい業務は思い切ってアウトソースするのも1つの手段です。自分の嫌いなことや苦手なことは別の方に担当してもらうことで、自分は好きなことや得意なことだけに集中できます。それは結果的にストレスの削減だけでなく、生産性の向上にもつながるでしょう。

ワークアズライフを実現しやすい仕事とは?

ワークアズライフは、仕事と生活の境界線をなくす関係上、生活に密接した仕事のほうが実現しやすいといわれています。農家や研究者のようなフィールドが限定された働き方をする仕事、作家や画家のような日常生活の刺激が作品に反映されるような仕事などが主な例です。

近年ではYouTuberやインスタグラマーなど、動画や写真を通じて、日常生活に役立つ情報やエンターテインメントを発信する仕事も生まれ、ワークアズライフはより身近な存在になりつつあります。

ワークアズライフで新たな生活スタイルの実現へ

本記事ではワークアズライフの考え方をはじめ、導入のメリット・デメリット、実現方法や向いている仕事を解説しました。

現代は価値観の多様性やインフラストラクチャーの発展によって、仕事と生活の線引きは曖昧になっています。スマホの通知1つで意識を変えられるような環境下では、仕事を忘れるということが難しく、仕事と生活を明確に区別するワークライフバランスの考え方が当てはまりません。

だからこそ、仕事と生活を一体化して考えるワークアズライフは、現代の環境に適しているといえるでしょう。ワークアズライフを通じていかにストレスの総量を減らせるかだけでなく、スキルを拡張するために何が足りていないかを理解することで、これからの時代をより柔軟に生きていくことができるのではないでしょうか。

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