会計ソフトとは?何ができる?初心者が理解しておくべき機能や種類

最終更新日時:2023/02/14

会計ソフト

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経理業務の効率化ができる会計ソフト。ビジネスシーンで活用されるソフトウェアにはさまざまな種類がありますが、会計ソフトとは具体的に何ができるのか疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、会計ソフトとは何か?メリット・デメリットや機能について解説します。

会計ソフトとは?

会計ソフトとは、決算に必要な帳簿書類の作成を効率化するためのソフトウェアです。取引情報を入力することでお金の流れを一元管理でき、帳簿書類にも自動で反映されます。

転記や集計の際に起こる人的ミスを減らせるほか、簿記の知識に乏しい方のサポートも可能です。また、企業の財務状況も把握できるため、企業経営にも役立てられます。

会計ソフトの種類

会計ソフトには大きく分けてクラウド型・オンプレミス型・インストール型があります。ここでは、それぞれの会計ソフトについて解説します。

クラウド型

クラウド型は、インターネットを経由してクラウド上にデータを保存するタイプの会計ソフトです。一般的に、月額プランでの契約になります。

インターネット環境さえあれば、どこからでもアクセスできる点がメリットです。また、パソコン・スマートフォン・タブレットなど、さまざまなデバイスに対応しているものも多くリアルタイムで情報の共有ができます。

インターネットに接続して使用するため、法改正などのアップデートにも柔軟に対応しています。

オンプレミス型

オンプレミス型は、自社内にサーバーや回線を設置して運用するタイプの会計ソフトを指します。自社でシステムを構築・運用するため、機能の追加や既存システムとの連携など、必要に応じてカスタマイズしやすい点がメリットです。また、自社にサーバーがあるので、セキュリティ面も安心です。

インストール型

インストール型は、パソコンにソフトウェアをインストールして使用するタイプの会計ソフトを指します。インターネット環境がなくても使用できるため、通信障害などの影響を受けず、処理スピードが落ちにくいのがメリットです。

アップデートの際に追加費用がかかる場合もありますが、基本的には買い切り型のものが多く、初期費用のみで導入できます。

会計ソフト購入時の勘定科目は何?ソフトの種類や費用ごとの仕訳例を紹介

会計ソフトに搭載されている基本的な機能

会計ソフトには日々の経理業務に役立つさまざまな機能があります。ここでは、会計ソフトの機能について解説します。

金融機関等との連携

金融機関などと連携し、預金口座やクレジットカードなどによる取引明細の自動取得が可能です。また、自動で仕訳も行うため、金額の入力ミスや勘定項目の選択ミスなどを防げます。

さらに、会計事務所とのアカウント共有もできるので、決算ごとのやりとりを効率的に進められるでしょう。

AIによる自動仕訳

入力履歴などを元にAIが自動で勘定項目の仕訳をする会計ソフトもあります。

また、紙の請求書などをデータで取り込み、自動仕訳できるOCR機能を備えたソフトなら業務をさらに効率化できるでしょう。簿記の知識があまりなく、勘定項目の選定に不安がある方でも安心して利用できます。

財務諸表の作成

多くの会計ソフトには、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書といった財務諸表の作成機能が備わっています。

取引情報から自動で数値を入力できるため、財務諸表の作成に関する業務が効率化できます。

転記作業の自動化により、転記ミスや計算ミスを防げるので、書類の不備が起こりにくくなるでしょう。また、必要に応じて出力もできます。

支払管理

支払管理は会社の資金を適切に把握し、効率的に資産運用するためには欠かせません。会計ソフトでは支払済みの取引や支払予定の取引を管理できる支払管理機能が備わっています。

具体的には、請求書との連携や支払予定日の確認、支払時に必要な振込情報を作成する機能などがあげられます。

権限管理

会計ソフトには、役職などに応じて権限を変更できる権限管理機能も付いています。

例えば、承認作業が必要な場合、管理者と限られた会計担当者のみに承認権限を与えることが可能です。権限管理を活用することで、社内のコンプライアンス強化に役立てられるでしょう。

故障・紛失時のバックアップ

会計ソフトには使用しているデバイスが故障・紛失した時に備えて、登録情報をバックアップする機能が備わっています。

特に、クラウド型の会計ソフトは自動でバックアップを取得するので安心です。しかし、オンプレミス型やインストール型は都度バックアップを取る必要があります。

他システムとの連携

会計ソフトは経費精算システムやPOSシステム・販売管理システム・SFA・CRMなどさまざまなシステムとの連携が可能となっています。

他のシステムと連携することで、日々の経理業務をより効率化できるため、連携してさらなる効率化を目指せます。

しかし、会計ソフトの種類や既存で利用しているシステムによっては連携できないケースもあるので、事前に検討している会計ソフトが既存システムとの連携が可能かチェックしておきましょう。

データの分析

経営判断に役立つ分析機能が搭載された会計ソフトがあります。具体的には、予算実績の比較、損益分岐点の比較、ABC分析、財務諸表の経年比較などがあげられます。

また、分析結果はグラフで表示されるため、決算書では分かりにくい数字をひと目で把握することが可能です。

法改正に伴う変更

会計ソフトは、法改正に合わせて適宜アップデートされます。特に、クラウド型の会計ソフトは、自動でアップデートされるため、法改正に伴う変更にもすぐに対応可能です。

インストール型やオンプレミス型の場合でも、法改正に伴う変更に対応できます。ただし、追加費用がかかる場合や、新たに追加ソフトのインストールが必要になるケースもあるので注意しておきましょう。

会計ソフトを導入するメリット

会計ソフトを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、会計ソフトのメリットについて解説します。

業務効率の向上が見込める

会計ソフトを導入すると、経理業務を効率的に進められるようになります。自動で取引情報の取り込みや仕訳、集計、転記などを行うため、担当者の負担を大幅に削減できるでしょう。また、決算時の財務諸表の作成や出力も自動で行えます。

人為的ミスを防げる

会計ソフトでは金融機関などの連携により、自動で取引情報の入力を行えます。また、入力した情報を元に必要な資料への転記を自動で行うため、入力ミスや転記漏れなどの人為的ミスの防止が可能です。

また、簿記の知識があまりなくても簡単に入力でき、入力情報に矛盾があればアラートを表示します。そのため単純なミスを未然に防ぎ、会計書類の正確性を保てます。

さらに、会計ソフトでは入力履歴が残るため、数字の書き換えができず不正行為の防止にも役立つでしょう。

専門的な知識がない人でも利用できる

多くの会計ソフトは、経理・簿記の知識がない初心者でも簡単に扱える工夫がされています。仕訳入力を補助する機能や取引データの自動取り込み・仕訳機能など、誰でも容易に操作ができるでしょう。

経営状況をリアルタイムで確認できる

多くの会計ソフトでは、キャッシュフローや売上実績といったレポートの自動作成が可能です。また、ダッシュボードやグラフなど、分析結果をひと目で把握できる会計ソフトもあります。

経営状況をリアルタイムで把握できるため、経営判断をスピーディーに行えます。

e-Taxに対応している

e-Taxとは、国税に関する書類の提出・届出・申請などをインターネットを通じて行えるシステムです。

会計ソフトにはe-Taxに対応しているものが多くあります。e-Taxを活用することで、申告に関するコストの削減や税金還付までの期間が短くなるなど、多くのメリットがあります。

会計データを厳重に管理できる

会計ソフトを活用することで、会計データを安全に管理できます。バックアップ機能により、万が一デバイスの破損・紛失が起こった場合でも、会計データの消失を防げるでしょう。

また、多くの会計ソフトではデータの暗号化などセキュリティ対策が講じられているので、会計データを安全に管理できます。

多様な働き方に対応している

クラウド型の会計ソフトの場合、インターネット環境さえあればどこからでもアクセスできます。また、ブラウザからアクセスするため、Windows・MacなどのOSを問わず操作可能です。そのため、テレワークなどの多様な働き方にも柔軟に対応できます。

さらに、スマートフォンやタブレットといったマルチデバイスに対応している会計ソフトなら、移動中などの空いている時間に入力できるので、業務の効率化に役立ちます。

会計ソフトを導入する際のデメリット

会計ソフトの導入にはメリットがある一方で、デメリットもあります。ここでは、会計ソフトのデメリットについて解説します。

導入・維持には費用がかかる

会計ソフトの導入・維持には費用がかかります。種類によって価格帯もさまざまですが、それぞれのメリット・デメリットを比較した上で、自社に合った会計ソフトを選ぶことが大切です。

自社に専用のサーバーを設置するオンプレミス型は高性能ですが、導入費用が高額になる傾向があり、インストール型は初期費用が必要ですが、一度導入すればランニングコストはあまりかかりません。

一方、クラウド型は初期費用を抑えられますが、月額費用がかかります。導入までの期間や事業の規模なども踏まえて、より費用対効果の高い会計ソフトを選ぶといいでしょう。

ソフトによって知識が必要

会計ソフトによっては、簿記・会計の知識や業務経験が必要になります。特に、複雑な操作を必要とする高機能な会計ソフトは、より高度な知識が求められるでしょう。

また、初心者でも扱いやすい会計ソフトでも、簿記・会計の知識があるほうがより効率的に業務が進められます。

会計ソフトの使い方

会計ソフトを導入した後は、どのように使えばいいのでしょうか。ここでは、会計ソフトの使い方について解説します。

事業者の設定

事業者の設定を行います。会社名(もしくは個人名)・事業所の住所・連絡先・業種区分・申告区分(青色申告・白色申告)・消費税の経理方式などの情報を入力します。

データの移行(会計ソフトを保有している場合)

別の会計ソフトを保有している場合はデータを移行することで、新たな会計ソフトでも使えるようにします。Excelなどで管理していた場合でも、会計ソフトによってはデータの移行が可能です。

年度の途中で切り替える場合などデータの移行が難しい場合は、該当する伝票や領収書、請求書などの必要書類を揃えておきましょう。

デフォルト設定

主に使用する勘定項目や集計に使いたい補助科目をあらかじめ設定しておくことで、集計作業が楽になります。

また、自宅兼事務所にしているなど按分が必要な場合や、固定資産を保有している場合もあらかじめ入力しておきましょう。そのほかの基本情報も入力しておくと後から楽になります。

データ・システムの連携設定

口座情報やクレジットカードといった金融機関と連携させたい場合は、あらかじめ設定しておきましょう。

また、給与計算システムや販売管理システム、POSシステムなどの外部システムと連携させておけば業務効率が向上します。ただし、会計ソフトによって連携できるシステムは異なるので注意してください。

仕訳・伝票の作成

データ・システムの連携設定までを終え、会計ソフトを使用できる環境を整備できたら、いよいよ仕訳・伝票の作成です。

基本的には、伝票の作成・仕訳のみを行うと決算に必要な帳簿書類の作成ができるので入力ミスがないようにしましょう。外部システムと連携すると入力作業の効率化もできます。

年度の途中で会計システムを変更する場合、その年度の会計情報をすべて登録することが大切です。データの移行ができている場合は問題ありませんが、手入力で移行する場合は入力ミスや抜け漏れに注意しましょう。

会計ソフト導入時に確認しておくべきポイント

最後に、会計ソフト導入時に確認すべきポイントについて解説します。

事業形態

法人と個人事業主では、決算に必要な書類や勘定項目、対象となる税金などが大きく異なります。

そのため、多くの会計ソフトは法人向けと個人事業主向けで分かれており、それぞれに適した機能を備えています。

事業形態に合わない会計ソフトを選んでしまうと、必要な財務諸表や帳簿を作成できないので、業務形態に適した会計ソフトを選ぶことが大切です。

搭載されている機能

会計ソフトは製品ごとに機能が異なっており、事業規模や業界、業態などにより必要な機能は異なります。そのため、経理業務に必要な機能が十分に備わっているかどうかも確認しましょう。

必要最低限の機能から導入する場合、事業が拡大すると後から機能を拡張する必要が出ることも考えられます。拡張性に優れた会計ソフトを選ぶことがおすすめです。

ソフトの操作性

会計ソフトを選ぶ際は操作性も確認しましょう。特に、簿記や経理の経験が少ない担当者がいる場合、複雑な操作が必要な会計ソフトだと使いこなせない可能性があります。

会計ソフトには簿記の知識不足をカバーしてくれる製品も多くあるので、担当者のスキルやレベルに合ったものを選びましょう。

無料トライアルがあれば実際に試してから本格導入するかを決められます。操作に不安がある場合は、一度試してから選ぶといいでしょう。

ベンダーのサポート体制

ベンダーからのサポート体制が十分かどうかも重要なポイントです。

特に、初めて会計ソフトを導入する場合、導入から運用が定着するまでに疑問点やトラブルが発生することもあります。そのため、導入支援だけではなく運用開始後のサポート体制も整っている会計ソフトを選びましょう。

また、問い合わせに対してレスポンスが早いかも重要な要素です。24時間の電話対応をしていたり、メールやチャットでの問い合わせに対応していたりと迅速な対応してくれる会計ソフトを選びましょう。

OS・モバイル端末の対応状況

会計ソフトはパソコンでの操作が基本ですが、製品によってはMacのみ・Windowsのみに対応している場合があります。

そのため、社内で使用しているOSに対応しているかどうかを確認することも重要です。

また、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に対応しているかも確認しましょう。モバイル端末での操作も可能な場合、移動中などの空いている時間で入力を済ませることができ業務の効率化に繋がります。

トライアル期間の有無

会計ソフトによっては無料のトライアル期間が設けられている製品があります。また、有料プランよりも機能を制限した無料プランが用意されている場合もあるでしょう。

無料のトライアルを一度使うことで、サイト上の説明や評判では分からなかった使用感や自社との相性などが分かります。

どの会計ソフトを選ぶべきか迷う場合は、一度トライアル期間で試してから本格的に導入するかどうかを決めるのがおすすめです。

電子帳簿保存法の対応可否

電子帳簿保存法に対応しているかどうかも重要なポイントで、保存要件を満たせば国税関係書類の電子保存が認められています。

また、2022年1月に施行された改正法により、税務署長の事前承認が不要となったほか、保存要件も緩和されました。そのため、今まで以上に帳簿書類の電子保存がしやすくなっています。

電子帳簿保存法に対応している会計ソフトなら、帳簿書類を紙に出力せずに保管できます。帳簿書類の電子保存は紙の印刷や保管にかかる手間やコストを削減できるほか、保管スペースが不要になるなど多くのメリットがあるので、電子帳簿保存法に対応しているかどうかも確認しましょう。

参照元:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました

会計ソフトの違いを理解し経理業務の効率化を促進させよう

会計ソフトを導入すれば、経理業務を大幅に効率化できます。また金融機関との連携やAIによる自動仕訳などで、人的なミスも減らせるでしょう。

会計ソフトには業態や事業規模、業種などに合わせたさまざまな製品があるため、事業形態に合ったものを選ぶことが大切です。本記事を参考に、それぞれのメリット・デメリットを比較して経理業務を効率化させましょう。

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