会計ソフトで複数事業を管理する方法|所得の分類や事業所得について

最終更新日時:2023/11/02

会計ソフト

会計ソフトで複数事業の管理

複数の事業を運営している事業主の中には、まとめて会計ソフトで事業を管理したい方もいるのではないでしょうか。今回は、会計ソフトで複数事業を管理する方法を紹介します。また、所得の分類や事業所得など、正確に管理するうえで重要となる内容についても解説します。

複数事業を管理している状態とは

複数事業を管理している状態とは、商店を営みながら不動産収入を得たり、飲食業を営みながらWebライターとして活動したりするなど、2つ以上の事業を営みながら会計業務なども管理している状態です。

複数事業を営む場合は、すべての事業所得を合計した金額で確定申告を行います。売上や経費などを事業ごとに把握しなければならないため、事業が増えるごとに管理も難しくなるといえるでしょう。

事業所得の分類について

正確な確定申告や適切な税務対策のためには、事業所得の分類の理解が不可欠です。

ここからは、事業所得に含まれる項目や含まれない項目を解説します。

事業所得に含まれる項目

事業所得は、事業活動を通じて得た総収入金額から、その事業に関連する必要経費を差し引いた金額です。つまり、売上収益や事業関連で受け取った保険金など、1年間の事業活動から生じた総収入金額の各項目が、事業所得に含まれるといえます。

確定申告の際には、事業所得に含まれる項目を正確に把握し、過不足がない金額で申告を行うことが大切です。

事業所得に含まれない項目

事業所得に含まれない項目としては、不動産所得や給与所得、雑所得などがあげられます。ほかにも、私的な収入や事業と関連のない資産の売却益など、プライベートな所得も含まれます。

つまり、所得税法で区分される事業所得以外の所得が、事業所得に含まれない項目です。なお、所得税法の区分は以下の10種類です。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 雑所得
  • 一時所得

複数事業を行っている場合の確定申告

複数の事業を経営する者が確定申告を行う際は、各事業の所得・経費を明確に区分して計上しなければなりません。それぞれの事業からの収入と、事業に関連する経費を綿密に計算し、合計の事業所得を算出します。

個人事業主が複数の事業を営んでいる場合は、まとめて確定申告書を作成します。ただし、管理においては事業ごとに分けた方が分析しやすく、効率的な管理が可能です。

また、異なる業種やビジネスモデルによって、適用される税制や控除項目が異なる場合があります。そのため、正確な確定申告をするには各事業の特性を理解し、適切な税務対応を行いましょう。

複数の事業を管理する際に会計ソフトは必要?

複数事業を営んでいる場合、会計管理や確定申告の手間が増えてしまいます。管理を効率化して事業に集中するためにも、多くの場合で会計ソフトの導入が必要といえるでしょう。

ここからは、会計ソフトが必要・不要になるケースをそれぞれ紹介します。

会計ソフトが必要になる場合

青色申告で確定申告を行う場合は、会計ソフトを導入しましょう。青色申告の最大のメリットである青色申告特別控除額を最大65万円まで増やすには、煩雑な作業が必要な複式簿記での記帳が必要です。

会計ソフトを利用すれば、家計簿アプリのような簡単操作で複式簿記に対応できます。

また、経理処理を効率化したい場合も会計ソフトの導入を検討しましょう。複数業務の経理情報を一元的に管理でき、大幅に経理処理を効率化できます。

青色申告におすすめの会計ソフト8選|ソフトを活用するメリットや選び方

会計ソフトを必要としない場合

事業の規模が小さく、経理処理が単純である場合は、会計ソフトの導入は必ずしも必要ではありません。特に、取引の頻度が低く、複雑な帳簿作成が不要な状況では、手動での帳簿管理でも十分対応可能です。

しかし、事業の成長や複数事業の展開を視野に入れた際は、早い段階での会計ソフトの導入を検討して、業務の効率化を図りましょう。

個人事業主におすすめの会計ソフト12選徹底比較!確定申告・青色申告に便利な選び方

複数の事業を管理する際の会計ソフトを選ぶポイント

ここからは、複数の事業を管理する際の会計ソフトを選ぶポイントを5つ紹介します。

クラウド型・インストール型

会計ソフトは、クラウド型とインストール型の2種類があります。

クラウド型はインターネット経由でソフトを利用する形式で、どのデバイスからでもアクセスできます。初期費用を抑えやすく、アップデートも自動で行われるのが特徴です。

インストール型は、特定のPCにソフトウェアをインストールして利用します。データの管理がオフラインで完結し、カスタマイズの自由度が高い点が魅力です。

自社の状況や運用の便利さ、セキュリティ面での要件に応じて、最適なタイプを選定しましょう。

おすすめのクラウド会計ソフト12選|料金や特徴を徹底比較!

インストール型の会計ソフトおすすめ6選!メリット・デメリットやクラウド型との違い

搭載されている機能の種類

会計ソフトは、基本的な帳簿作成機能から複数事業のデータ分析機能、資金管理や業績予測など、多岐にわたる機能が搭載されているソフトも存在します。さらに、自動仕訳や電子申告対応、多言語対応などの特殊機能を持つものもあります。

このように、会計ソフトごとに搭載されている機能は大きく異なるため、必要な機能の有無で選ぶようにしましょう。必要な機能が揃っていれば、業務効率の向上や正確な経営判断を下す手助けとなります。

会計ソフトの機能一覧!機能を最大限に活用する秘訣も紹介

ソフトの操作性

会計ソフトを選択するうえで、操作性は非常に重要です。直感的なインターフェースやシンプルな操作方法は、日常的な入力作業をスムーズに進める助けとなります。

特に、複数の事業を運営している場合は入力作業が増えて、頻繁に会計ソフトの操作が必要になることもあります。レビューをチェックしたりトライアルを利用したりなどで、操作のしやすさを事前に確認しましょう。

また、定期的なアップデートによる操作性の向上やサポート体制の整備も、長期的な使用において考慮すべきポイントです。

サポート内容

会計ソフトは、サポート内容もよく比較したうえで選びましょう。ソフトに関する問題や疑問が生じた際、迅速かつ適切にサポートを受けられると、業務もスムーズに進行できます。

メールや電話、チャットなどの利用方法や、サポートの対応時間も確認しておきたいポイントです。また、なかにはソフトに関することだけではなく、経理業務の相談もできる会計ソフトもあります。

税理士との共有方法

顧問税理士がいる場合や、確定申告は税理士に依頼する場合は、税理士との共有方法も確認しましょう。

多くの会計ソフトでは、クラウド機能を通じて税理士とのリアルタイムでのデータ共有や、特定のフォーマットでのエクスポート機能が提供されています。また、税理士専用のログインアカウントを設定して、必要な情報のみを限定的にアクセスできるようにするソフトも存在します。

複数事業を運営する場合、税理士との連携を強化するためにも共有方法の確認は必須です。

【2023年最新】おすすめの会計ソフト15選徹底比較|失敗しない選び方とソフトの特徴

複数の事業を管理する際におすすめの会計ソフト

ここからは、複数の事業を管理する際におすすめの会計ソフト3選を紹介します。

やよいの白色・青色申告 オンライン

「やよいの白色・青色申告 オンライン」は、国内で310万人以上のシェアを持つ会計ソフトです。

クラウドベースのサービスであり、どのデバイスからでもアクセスが可能です。特に、初心者から中小企業の経営者まで、直感的な操作性と豊富な機能が評価されています。

白色申告や青色申告をはじめ、多様な税務対応が容易に行えます。さらに、複数の事業のデータ管理も一元的に行えるため、多角的なビジネスを展開する企業にも最適といえるでしょう。

提供元弥生株式会社
初期費用白色申告オンライン:無料

青色申告オンライン:無料

料金プラン

■白色申告オンライン

  • フリープラン:無料
  • ベーシックプラン:10,120円(税込)/月
  • トータルプラン:18,480円(税込)/月

■青色申告オンライン

  • セルフプラン:9,680円(税込)/月
  • ベーシックプラン:15,180円(税込)/月
  • トータルプラン:26,400円(税込)/月
導入実績310万人以上(※2023年9月時点)
機能・特徴確定申告書の作成・e-Tax、インボイス制度・電子帳簿保存法対応、自動取込・自動仕訳、税理士・会計事務所連携、帳票作成、スマホアプリほか
URL公式サイト

マネーフォワード クラウド

「マネーフォワード クラウド」は、クラウド型の会計ソフトとして多くの企業や個人事業主から支持を受けています。

最大の特長は、銀行口座やクレジットカードとの自動連携機能です。これにより、入出金のデータをリアルタイムで取り込み、自動仕訳を行うことが可能で、その結果日々の帳簿入力の手間が大幅に軽減されます。

また、見やすいダッシュボードや多彩なレポート機能を備えており、複数の事業を経営する際の収支分析や、経営判断にも役立ちます。

提供元株式会社マネーフォワード
初期費用
  • 個人向け:無料
  • 小規模~中小企業向け:無料
  • IPO準備・中堅~上場企業向け:要問い合わせ
料金プラン

■個人向け

月額払い

  • パーソナルミニ:1,078円(税込)/月
  • パーソナル:1,408円(税込)/月
  • パーソナルプラス:設定なし

年額払い

  • パーソナルミニ:968円(税込)/月、10,560円(税込)/年
  • パーソナル:1,078円(税込)/月、12,936円(税込)/年
  • パーソナルプラス:3,278円(税込)/月、39,336円(税込)/年

■小規模~中小企業向け

月額払い

  • スモールビジネス:4,378円(税込)/月
  • ビジネス:6,578円(税込)/月

年額払い

  • スモールビジネス:3,278円(税込)/月、39,336円(税込)/年
  • ビジネス:5,478円(税込)/月、65,736円(税込)/年

※料金体系:基本料金+従量課金・オプション

■IPO準備・中堅~上場企業向け

  • 要問い合わせ

※料金体系:初期費用+月額費用+その他オプション

機能・特徴決算書作成、帳票作成、仕訳・記帳の自動化、軽減税率対応、金融機関連携、レジ連携ほか
URL公式サイト

freee会計

「freee会計」は、有料版利用者約33万社以上の実績を誇るクラウド型会計ソフトです。ユーザーフレンドリーなインターフェースと高い操作性が魅力で、経理の専門知識がない方でも容易に帳簿の管理が行えます。

特筆すべきは、多くの銀行やクレジットカード、ECサイトとのデータ連携機能。これにより、自動で取引データを取り込み、効率的な仕訳処理が可能です。

さらに、複数事業のデータも一元的に管理できるため、ビジネスの拡大や多角化にも柔軟に対応します。継続的な機能更新により、常に最新の税制改正にも迅速に対応しています。

提供元freee株式会社
初期費用
  • 個人事業主向けプラン:要問い合わせ
  • 中小規模法人向けプラン:無料
  • 中堅〜大企業向けプラン:要問い合わせ
料金プラン

■個人事業主向けプラン

月払い

  • スターター:1,628円(税込)/月
  • スタンダード:2,948円(税込)/月
  • プレミアム:設定なし

年払い

  • スターター:1,078円(税込)/月、12,936円(税込)/年
  • スタンダード:2,948円(税込)/月、26,136円(税込)/年
  • プレミアム:3,648円(税込)/月、43,780円(税込)/年

■中小規模法人向けプラン

月払い

  • ミニマム:2,948円(税込)/月
  • ベーシック:5,808円(税込)/月
  • プロフェッショナル:52,536円(税込)/月

年払い

  • ミニマム:2,178円(税込)/月、26,136円(税込)/年
  • ベーシック:4,378円(税込)/月、52,536円(税込)/年
  • プロフェッショナル:43,780円(税込)/月、52万5360円(税込)/年

■中堅〜大企業向けプラン

月払い

  • プロフェッショナル:52,536円(税込)/月
  • エンタープライズ:要問い合わせ

年払い

  • プロフェッショナル:43,780円(税込)/月、52万5360円(税込)/年
  • エンタープライズ:要問い合わせ
導入実績有料版利用者約33万社(※2021年12月末時点)
機能・特徴取引登録、受発注管理、レポート機能、法改正対応、自動入力・自動仕訳、決算書作成、月次決算、ツール連携ほか
URL公式サイト

会計ソフトを活用して複数事業を上手に管理しよう

複数の事業を運営する企業にとって、会計ソフトは欠かせないツールです。データの自動取り込み、複数事業の一元管理、税制改正への迅速な対応など、会計ソフトの活用は業務効率化だけではなく、正確な経営判断の基盤にもなります。

会計ソフト選びの際は、事業の規模や特性、将来的な展望を考慮し、最適なものを選定してください。会計ソフトの力を借りて、複数事業の経営をより一層強化していきましょう。

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ビズクロ編集部
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