予実管理とは?目的・必要性・やり方や効率的な管理方法を解説!
予実管理とは予算と実績を管理することです。企業の安定した経営や課題点の発見に欠かせませんが、効率的な管理方法がわからない方もいるでしょう。この記事では、予実管理の概要と目的、必要性を解説します。さらに、基本的なやり方や効率的に予実管理を行う方法やシステムも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
予実管理とは企業の予算と実績の管理
予実管理は予算実績管理のことで、事前に設定した予算と実績に差異が発生していないかを管理します。
予実に差異が発生していれば原因を究明し、目標を達成するための改善策を検討しなければなりません。
定期的に予実管理を行うことで、いち早く差異に気づけるため、課題の早期発見やスピーディーな改善につながります。
予実管理は適切な経営管理につながるとして、多くの企業で実施されています。
▷予算管理とは?目的や基本の手順から効率化するコツ・分析方法を解説
予実管理の目的とは?
予実管理の目的には以下3つが挙げられます。
- 自社の経営の問題点・改善点を見つけるため
- 経営状況を可視化するため
- 適切なフィードバックを行うため
(1)自社の経営の問題点・改善点を見つけるため
予実管理によって自社の経営における問題点や改善点を発見できます。
予実管理では予算と実績を比較する際、売上だけでなく原価・利益・新規顧客獲得数・リピート率・経費などさまざまな数値に分けた比較も可能です。
そのため、どの部分の数値が経営の課題となっているのかを明確に把握できます。
例えば、「売上は上がっているのに赤字になる」といった場合、予実管理によって原価の高騰や経費の上昇といった原因が明らかになるでしょう。
このように、予実管理は多角的に課題を発見・分析できることから、経営における問題点・改善点の発見を目的として実行されています。
(2)経営状況を可視化するため
予実管理によって経営状況を可視化できます。
そのため、「予算目標を達成できそうにない」というざっくりとした分析ではなく、「リピート率が〇%下がっているため売上が減少傾向にある」というように、経営状況を具体的な数値で把握できるでしょう。
また、予算に対して実績がともなっているのか、達成度・進捗状況はどうなのかなど、予実管理を行うたびに把握できるため、課題の早期発見にもつながります。
(3)適切なフィードバックを行うため
予実管理によって経営状況や課題が可視化されるため、その都度適切なフィードバックを行えるようになります。
予算を設定したのみで実績を確認しなければ、目標に対して順調なのか未達になりそうなのかが分からず、正確なフィードバックができません。
目標に向けて状況に応じた的確なフィードバックができれば、不足する部分を早い段階で改善できるため、目標達成への軌道修正も可能となります。
▷予算管理システム導入のメリット・デメリットをそれぞれ徹底解説!
予算管理の必要性
予算管理の必要性は2つあります。
- 事業の成功・失敗の原因を究明して次に活かすため
- 業績予想開示に必要になるため
(1)事業の成功・失敗の原因を究明して次に活かすため
事業を成功させるには、失敗の原因を解消して成功要因を継続することが大切です。
この際、予実管理では自社の状況を数値で把握できるため、成功要因や失敗の原因を具体的に発見できます。
そのため、失敗の原因を解消する的確な改善策の立案や継続すべき成功要因の明確化には、予実管理が欠かせないのです。
(2)業績予想開示に必要になるため
上場企業の場合、投資家への業績予想開示が求められることや、証券取引所へ予算実績比較表を提出することがあります。
企業は業績の見通しを正確に予測し、情報を提供しなければなりません。
定期的に予実管理を行っておけば、一から情報を収集する手間がなくなり、データをもとにスムーズな作成が可能となるため、業績予想開示が必要となる企業にとっての予算管理は必要不可欠です。
▷予算管理の企業における意義や重要性とは?具体的な効果も合わせて解説
予実管理のやり方
予算管理の手順を紹介します。
- 予算目標の設定
- 月次で予実を確認・分析
- 予実に差異がある場合は軌道修正
(1)予算目標の設定
まずは、予算目標を設定します。予算が決まっていなければ、実績との差異を比較できず、どこに課題があるのかを把握できません。
予算目標は現実的な数値にすることが大切です。高すぎる目標は社員の負担を増やすだけでなく、「達成できるわけがない」といったマインドになるため目標として成り立ちません。
そのため、前年度の実績データをもとに、現実的に達成できる目標を設定しましょう。
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(2)月次で予実を確認・分析
予算目標を設定後は、月ごとに予算と実績を確認・分析しましょう。
目標に向けて事業活動を行っていく際、目標通りに進まず差異が発生してしまうことは珍しくありません。そのため、月次で予実差異を確認し、その都度分析していち早く改善へとつなげましょう。
予実を分析する際は、売上だけでなく原価・利益・新規顧客獲得数・リピート率など、KPIごとに数値を比較し、具体的な原因を発見することが大切です。
(3)予実に差異がある場合は軌道修正
予実に差異が発生した場合は、早い段階で軌道修正を行いましょう。予実の分析で明らかになった原因を解消するには、どのような改善策が効果的かを検討します。
改善策は各部門で立案し、実行に関しては経営陣の意思決定を待ちましょう。
予算の改善や再編成は、企業全体での予算をもとに判断しなければならないためです。経営陣からの承認が出れば、改善策を実施し、目標達成を目指しましょう。
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予実を効率的に管理する方法
予実管理を効率的に管理する方法には以下の3つが挙げられます。
- 予実管理システムを導入する
- 予算管理システムを利用する
- 予実管理機能がついたSFAを利用する
(1)予実管理システムを導入する
予実管理システムは、予算と実績の管理に特化したシステムです。あらかじめ設定した予算を記録しておき、実績を入力していくことで、予実の状況を把握できます。
自動的に図や表にまとめてくれるものもあるため、視覚情報として予実の状況を把握できるでしょう。システムの種類によっては、予算の編成や計画の機能が備わっているものもあります。
(2)予算管理システムを利用する
予算管理システムは、予算の編成から実績の管理・分析まで、予算管理における一連の業務を一元的に管理できるシステムです。
システムの種類によっては、シミュレーション機能が備わっており、立案した予算計画をもとにシミュレーションを行うことで、その予算計画に実効性があるのかを確認できます。
シミュレーションは複数の条件で実行できることから、最適な予算計画の策定に役立つでしょう。
予算管理システムは予実管理システムに比べ、カバーできる業務領域が広いことから、バックオフィス業務を全体的に効率化させたい場合におすすめです。
(3)予実管理機能がついたSFAを利用する
SFAは営業支援システムのことで、営業活動における情報管理や業務プロセスの自動化などを支援します。
本来、営業支援を目的とするSFAのなかには予実管理機能が備わっているシステムもあります。そうしたSFAを導入することで予実管理の効率化を実現できるでしょう。
SFAは顧客や案件ごとに商談履歴・受注件数・受注金額などの管理ができるため、予実管理との相性はよいといえます。受注確率や見込み金額の設定も可能なため、予算の予測にも役立つでしょう。
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おすすめの予実・予算管理システム
おすすめの予実・予算管理システムを5つ紹介します。
(1)Loglass
Loglassは、アナログ運用の多かった経営管理領域におけるデータを一元化してくれる経営管理クラウドです。
予算・見込データや実績データが一元的に管理でき、常に最新の情報が反映されます。そのため、一から情報収集することなくすぐに分析作業へ入れるでしょう。
提供元 | 株式会社ログラス |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 | 予算策定、見込み更新、予実管理、管理会計、組織再編、経営分析など |
URL | 公式サイト |
(2)Manageboard
Manageboardは、予算管理フローをノーコードで実現できる予算管理プラットフォームです。変化の大きい経営環境でも、柔軟かつ計画的な経営の実現を支援してくれます。
システム上に収集されたデータをもとに多軸分析や詳細計画が可能なため、変化し続ける顧客ニーズにも柔軟に対応できるでしょう。
提供元 | 株式会社ナレッジラボ |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 4,700社以上 |
機能・特徴 | タグによる多軸分析、詳細計画、カスタムレポート、ユーザー権限のカスタマイズ、PL/BS/CF連動、会計ソフトとの連携など |
URL | 公式サイト |
(3)Workday Adaptive Planning
Workday Adaptive Planningは、海外での導入実績が豊富な経営管理ソフトウェアです。企業全体の財務やワークフォースの管理から、データを活用した分析もできるため、継続的かつ効果的なプランニングの実現が期待できます。
提供元 | ワークデイ株式会社 |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 9,000社以上 |
機能・特徴 | ファイナンシャルプランニング、ワークフォースプランニング、セールスプランニング、オペレーションプランニングなど |
URL | 公式サイト |
(4)Jedox
Jedoxは、企業活動に必要なあらゆる数値の管理に対応した業務データ管理プラットフォームです。業種や職種にかかわらず幅広い企業で活用できる特徴があります。
また、同ツールはカスタマイズの自由度が高いため、自社に適したプラットフォームを構築できるでしょう。
提供元 | 株式会社KSKアナリティクス |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
機能・特徴 | インメモリDB(データベース内蔵型)、自動配賦機能、データ連携機能(ETL機能)、データ加工機能、スケジュール機能、データ閲覧権限設定が可能、データドリブン経営の実現、データの変更履歴に対応、Jedox Excel アドインなど |
URL | 公式サイト |
(5)DIGGLE
DIGGLEは、属人的なExcel業務を解消する予実管理クラウドです。これまでExcel作業が必要だった予実データの入力や分析、次のアクション策定などを効率化します。
また、編成した予算をもとに予算消化状況を可視化できるため、課題の早期発見や予算の再編成も迅速に行えるでしょう。
提供元 | DIGGLE株式会社 |
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初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
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機能・特徴 | 予実突合、見込管理、ドリルダウン分析、スナップショット分析、予算策定、予算ID機能など |
URL | 公式サイト |
適切な予実管理で自社の経営の安定を図りましょう!
予実管理はさまざまな要因を数値として管理するだけでなく、分析によって課題発見や予算の最適化にも役立ちます。
予実管理の方法はさまざまであることから、自社に適した方法を見極めることが大切です。適切な予実管理を行い、経営の安定につなげていきましょう。
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