【初心者向け】予算計画の立て方をわかりやすく手順別に解説!

記事更新日:2022/09/24

予算管理システム

予算計画・予算管理のイラストイメージ

予算計画を立てる部門へ異動になった、または起業して予算計画を自分で立てなければならない。そんな方は、予算計画を失敗しないためにも、まずはその目的を理解しておくと良いでしょう。そこでここでは予算計画の目的とメリットのほか、立て方・管理・実行の手順、初心者向けの予算計画入門書を紹介しています。

初心者が理解しておくべき予算計画の目的とメリット

会社の利益は、売上高から経費を差し引いて算出します。予算とは、この会社の利益を達成するためには、いくらの売上高が必要なのか、そして、その売上高を達成するためにはいくら経費がかかるのかを、あらかじめ決めておくものです。

そのため予算計画とは、決められた期限内に達成すべき「売上高」と「経費」の数値的な目標を設定することを指し、会社を運営していく上で非常に重要な役割を持っています。

まずは予算計画の目的とメリットから確認していきましょう。

(1)目標を明確にして各部門へ共有できる

予算計画は、具体的な数値目標のため、目標が明確になるだけでなく、各部門へ共有する際に、認識の齟齬が生じることもありません。

漠然とした定性的な目標では、何をもって「目標達成」とするのか、個人やチームによって基準が食い違ってしまうことがあります。また、そのような曖昧さでは、社内全体に目標への高い意識を浸透させるのは困難でしょう。

予算計画による「具体的な目標」に向け行動することで、一体感が生まれ企業の成長へとつながるのです。

(2)予実管理に使用する目標値になる

予算計画は、予算と実績を照らし合わせながら進捗状況を確認する予実管理の際にも役立ちます。

予算計画通りに業績が上がっていない場合は、課題の早期発見・対策が可能となり、順調に推移しているようであれば、実績が可視化されることで社員のモチベーションの向上も期待できます。

ただし、予算と実績が大きく乖離している場合は、予算計画自体が現実的ではない可能性が高いです。早急な目標値の見直しを検討しましょう。

(3)差異分析を行い経営方針の決定の指標になる

予実管理によって、予算と実績の差異を分析することで課題や改善案がわかり今後の経営方針の指標となるものがみえてきます。

そのため、予算計画は事業年度でまとめて1つの目標値を立てるのではなく、半期、四半期、月間など、細かく目標値を割り振り、その都度、差異分析を行うようにします。

計画を立てたら、その後は目標値をただむしゃらに目指す!ではなく、予算と実績を把握し、差異が生じ始めたら課題や原因はどこにあるのかを、しっかりと振り返って軌道修正を図ることが大切です。

予算計画の立て方は2種類

予算計画の立て方には、トップダウンとボトムアップの2種類とそれらを組み合わせた3通りの方法があります。ここでは、それぞれの方法を具体的に解説します。

(1)トップダウンで予算を立てる

トップダウンとはマネジメント層のみで話し合って予算計画を決定する方法で、上意下達方式とも呼ばれます。この方法のメリットは、予算管理会議に参加する人数が少ないため意思決定が早く、迅速に対応できるところです。

また、経営方針に沿った挑戦的な目標を掲げられるところも特徴ですが、現場の声が届かないため、現実と乖離した目標になる、あるいは、社員が目標に対してモチベーションを維持しづらいといった課題が生じる可能性があります。

(2)ボトムアップで予算を立てる

ボトムアップとは、実際に業務を担当する各部門が予算案を出し、それらを取りまとめて予算計画を調整する方法で、下意上達方式とも呼ばれます。

この方法は、大企業や現場の意見が重視されるような業界でよく採用され、現場の状況を理解した達成率の高い予算管理が立てられるのがメリットです。しかし、デメリットとして予算管理に関わる人が増えるため、最終決定までに時間がかかる点が挙げられます。

(3)トップダウンとボトムアップを組み合わせて予算を立てる

それぞれメリットとデメリットが存在する、トップダウンとボトムアップの方法ですが、両方を組み合わせて良いところ取りをするやり方もあります。一般的にも、経営陣と各部門の意見を擦り合わせて決定するこの”いいところどり”の方法を採用している会社が多いでしょう。

この方法は、挑戦的な理想値と実現可能な目標値をすり合わせて計画するため、予算管理の精度としては一番高いといえますが、意思決定の速さは、どうしてもトップダウンに劣ります。手間や時間が懸念される場合は、予算管理システムの活用なども検討すると良いでしょう。

【種類別】予算計画の立て方

予算の種類は大きく分けて、利益・売上・原価・経費の4つに分かれています。ここでは、それぞれの予算計画の立て方を初心者でもわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

(1)利益予算の場合

利益とは、売上から原価と経費を引いて残った数字を指し、売上に対する利益の割合(利益率)の高さは、会社の業績の良し悪しを判断する一つの基準となります。

利益予算は、前期以前の損益計算書や財務諸表から分析した結果をもとに、予算のシミュレーションを実施し決定します。売上が上昇していても利益率が上がっていなければ成長しているとはいえませんので、非常に重要な予算計画です。

(2)売上予算の場合

売上とは、企業が提供する製品およびサービスが売れた金額のことを指し、いわば会社の「収入源」です。

売上予算はこれまでの売上実績をもとに販売数や成長率、競合他社などの市場状況を分析し、利益予算を達成できる数値を原価や経費を考慮した上で算出しなければいけません。売上予算に大きな誤差が出ると、予算管理全体の精度が低くなるので注意しましょう。

(3)原価予算の場合

原価には製造・仕入れの2種類ありますが、どちらも商品およびサービス作成時に必要な費用のことです。

算出方法は、前期の原価率に販売目標数をかけるのが一般的ですが、材料や仕入れ値は変動する可能性もあるので、それも考慮して予算を立てます。また、売上が多くなるほど原価も増加するので、少なくとも年に一度は削減できるところがないか見直しが必要です。

(4)経費予算の場合

経費とは、原価以外にかかる、商品・サービスを製造・提供する上で必要となるコストや、売上を上げるための活動に必要なコストです。

そのため、人件費やオフィスの賃料、交通費、広告費などの費用は、経費予算にて計画します。外的要因を受けにくい費用のため、4つの中でも比較的、予算計画が立てやすく、実行後の予実管理もしやすい特徴があります。

予算計画を立てる大まかな流れ

予算計画の詳しい手順を解説する前に、大まかな流れを把握しておきましょう。

(1)経営会議での予算目標の明示

まずは、予算編成に必要なデータを集め、それをもとに経営会議で決定した予算目標を各部門へ共有します。

このとき、予算の立て方としてトップダウンや組み合わせ方式を採用する場合は、詳細まで決めますが、ボトムアップ方式の場合は大まかな項目を決定することが一般的です。

(2)経営会議で決定した目標に対して各部門が予算を決定

次に経営会議で決定した目標に対して、各部門で実行可能な数値の範囲内かチェックし、予算を確定します。トップダウンの場合、明らかに実行不可能な予算は経営層に申し立てをしますが、明確な理由がないかぎりは却下されるでしょう。

組み合わせやボトムアップ方式の場合は、過去データをもとに目標を達成するための各予算の目標値などの詳細を決定していきます。

(3)予算編成部門で各部門の予算を集計・調整

最後に、予算編成部門が経営層および各部門の予算を取りまとめて、内容をすり合わせ、決定していきます。予算が最終決定したあとは、予算を達成するためにどういう施策を講じるべきかなど、各チームと個人の具体的な行動計画へと落とし込んでいきます。

予算計画の立て方と実行手順を1ステップごとに解説

前章では、大まかな流れを説明しましたが、ここではもう少し詳しく予算の立て方と実行手順を6つのステップに分けて解説していきます。

(1)前期以前のデータの分析

的確な予算計画を立てるための準備として、前期以前の実績を分析します。過去数年の達成率などを鑑みた上で、実行可能、かつ、できるだけ高い目標値を設定するようにしましょう。

目標値の設定には、過去数年の実績だけでなく、市場動向、季節による需要の変化なども踏まえた上で予算を計画する必要があります。

(2)経営会議での全体的な予算目標の決定

分析結果をもとに、予算の目安や傾向などが把握できたら、経営会議を開き、会社全体の予算目標や方向性を決定します。

このとき、トップダウン方式の場合は部門ごとの予算も決定しますが、それ以外の方式の場合、大まかな予算目標と会社としての方向性を決定し各部署に通達します。

(3)各部署で予算を設定

経営会議で決定した「大枠の目標」に向け、各部署で達成するための予算を計画します。

このときも、各部署内でさらに過去数年の実績を分析し、実現可能かつビジネスとして達成すべき理想としての目標値をすり合わせつつ、予算を立てていきます。また予算を達成するための実行計画についても、この段階で策定しましょう。

(4)予算編成部門による最終調整・経営陣の承認

予算編成部門において、経営会議で決定した会社全体の予算と、各部署またはグループ会社で作成した予算案を取りまとめ最終調整に入ります。最終調整の段階では、主に以下のチェックを行います。

  • 各部署の予算案は経営方針に沿ったものであるか
  • 具体的な実行方法が決まっているか

予算編成部門による最終調整が終了し、経営陣の承認を得たら予算編成は最終決定となります。

(5)各部署に予算実行計画を共有

最終決定した予算と実行計画を各部署に共有します。予算計画の実行は社内全体で取り組むことが重要なので、役職者だけではなく全従業員と共有することが目標達成には欠かせません。また、具体的な事項計画がわかることで、当事者意識が芽生え社員のモチベーションも上昇していくでしょう。

(6)計画に基づいた業務と予実管理

最終決定した実行計画に基づいた業務と定期的な予実管理は必ず徹底しましょう。予算は、予測の難しい気候変動や市場変化といった外的要因によって、実行途中に変更せざるを得ないケースも発生します。

また、そのような外的要因などの問題がなくとも、実績と予算に大きな乖離が見られる場合は、予算計画が現実的ではなかった可能性もあります。

もちろん当初より精度の高い予算計画を立てることが重要ですが、定期的な予実管理により進捗状況を確認し、軌道修正が図れる体制を整えておくことも大切です。

予算計画を実行する方法

予算計画の実行は、主にエクセルなどのオフィスソフトや予算管理システムなどを使って行います。

(1)エクセルを使用して月次比較を行う

予算と実績の月次比較や月次分析に、エクセルを使用している会社は多いのではないでしょうか。

エクセルを使用する場合、まずは予算管理表を用意しますが、このような管理表は、インターネット上で多くの無料テンプレートが提供されています。その点は、ビジネスの定番ソフトともいえるエクセルを使用するメリットといえるでしょう。

そのため、そのようなテンプレートを自社仕様にカスタマイズして利用することで、作成の手間を省くことができます。また、関数を設定しておくことで、数値をグラフ化し、進捗状況を視覚的に確認しやすくすることも可能です。

(2)予算管理システムを利用して自動で計算・分析を行う

より予算管理の手間を省きたいのであれば、予算管理システムを利用する方法もあります。予算管理システムには、予算の作成と編成、予実管理、データ集計・分析、分析結果による自動レポート作成など、予算計画と実行に必要な機能が搭載されています。

月次、四半期、半期などの実績が自動計算され、その分析も自動で行われるため、予算計画や予算管理の手間を大幅に軽減・効率化することも可能です。

予算計画を立てる際の5つの注意点

予算計画は、会社経営において重要かつ必須の業務でありながら、その一方で、失敗に終わるケースも少なくありません。

ここでは、予算計画を成功させる上で重要な5つの注意点を確認しておきましょう。

(1)予算目標の具体的な根拠を示す

予算管理における、根拠のない曖昧な数値や、現実離れした理想による目標設定は、必ずといっていいほど計画の破綻を招きます。必ず過去の実績と市場動向を踏まえた上で、的確な数値を設定することが重要です。

(2)季節的な要素を考慮して作成する

展開する事業が季節的な要因の影響を受けやすい商品・サービスであれば、そのような外的要因も考慮する必要があるでしょう。例えば、猛暑が続けば、暑さ対策グッズやかき氷などの冷菓はよく売れるでしょう。

しかし、冷夏となればこのような商品は著しく売上が落ち込んでしまいます。売上は、需要によって変化するものであり、「昨年と同様」とは限らないことを認識しておく必要があります。

(3)各部門で正しいデータを入力するようルールを明確にする

当たり前ではありますが、予算計画には、過去の実績による的確な分析、予実管理による進捗の把握、どちらにおいても正しいデータが必要です。

そのため、数値の入力や分析の方法などは、全社的にルールを明確にしましょう。このようなルールがない場合、正しいデータによる分析ができず、精度の高い予算が立てられないなど、負のループに陥ります。

最低限、記録しておくべきデータ項目と期間、数値の取り方、管理するための書式や方法などは、ルールを定めておくことが大切です。

(4)予算計画を実施するためのフローを作っておく

計画実行後の、進捗確認、分析、改善のフローと体制を整えておくことも重要です。予算計画は立てて終わり!ではありまません。目標を達成することにその真価があることを忘れずに、実績が計画通りでない場合は、原因の追及と改善に取り組める準備をしておきましょう。

(5)効率的に予算計画を立て実行するシステムを利用する

予算計画はエクセルでもできますが、工数を最小限に効率的にしたいのであれば予算管理システムを導入しましょう。

予算管理システムは、初期費用やランニングコストなどを理由に導入をためらう企業もありますが、予算管理のみならず戦略経営に役立つ機能も搭載されていることから、コスト以上の導入メリットや費用対効果を得られるケースも少なくありません。

初心者必読!予算計画を初めて立てる人が読みたい入門書

最後に、予算計画初心者におすすめの入門的な内容の書籍をいくつか紹介します。

予算編成部門に配属され右も左もわからないという人は、入門書で事前に勉強しておくのもおすすめです。ぜひ参考にしてください。

(1)すぐに解決!予算作成

書籍名 著者 定価 出版社
すぐに解決!予算作成

30分で読める!予算作りの秘訣が分かる!

リチャード・テンプラー著 有賀裕子訳 1,100円 ダイヤモンド社

予算編成部門に参画したばかりで、予算を立てる目的から計画策定から予算を磨く、つまり精度を上げていくまでの流れを知りたい人におすすめの入門書です。初めてでも、時間がなくても的確な予算が立てられるノウハウを「短時間」で学ぶことができます。

(2)要求・作成・審議が1冊でわかる 予算の見方・つくり方

書籍名 著者 定価 出版社
要求・作成・審議が1冊でわかる 予算の見方・つくり方<令和4年版> 地方自治予算制度研究会 8,580円 学陽書房

予算計画の立て方のほかに予算の見方や細かい項目ごとの計上方法が書いてあるので、予算管理の知識がまったくない初心者の人におすすめの入門書です。実例を示しながら具体的に解説してあるので、概要はわかったけど実際の書き方がわからないという悩みも解決できるでしょう。

(3)経営計画策定・実行の教科書

書籍名 著者 定価 出版社
経営計画策定・実行の教科書 内海 康文 1,980円 あさ出版

予算管理の書き方ではなく、予算管理する上で非常に重要な経営マインドが学べる著書です。経営経験豊富な著者の実体験を交え、どのように実行していくと企業が成長していくのかがわかりやすく解説されています。

正しい予算計画のもと予算達成を実現を目指すこと

予算は、前年や前期よりも高い目標で事業成長を目指しつつ、社員のモチベーションともなるような絶妙なバランスでの設定が重要です。

しかしながら、経営の行方を左右することもある重要な業務の一つであるため、初めて予算計画を立てる際には、その判断基準に悩んでしまうことも多いでしょう。

ここでご紹介した注意点に留意しつつ、労力をかけて作った予算計画が実行されない、現実的ではなかったなどの無駄な徒労とならないよう、実際に計画を実行する現場社員との連携や、システムの活用など視野に入れながら、正しい予算計画と実行できる体制を実現してください。

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