CRM活用の成功事例8選を紹介!活用ポイントや導入時の注意点を解説
CRMの導入を検討する際には、他社の成功事例を学ぶことが重要です。CRMによって自社のどのような課題が解決できるかなどを事前に把握しておきましょう。本記事では、CRMを活用して成功した企業の事例を8つ、活用ポイントや導入時の注意点、おすすめのCRMツールを紹介しています。
目次
CRM活用に成功した事例8選
近年、スマートフォンやSNSの普及によって、顧客行動の変化や顧客ニーズの多様化が急速に進んでいます。企業はそうした変化に対応するために、さまざまなデータを活用したマーケティング戦略を駆使して、売上や利益につなげていく必要があります。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によって、業務効率化や生産性向上を図り、新たなビジネスモデルを創出することも求められています。
そのような中、顧客接点の強化を図るために注目されているツールがCRMです。CRMはCustomer Relationship Managementの略で、顧客との関係をより良好なものにするためのシステムです。また新規顧客の開拓にも活用でき、マーケティング業務や営業業務の効率化や成約率向上がのぞめます。
まずは、すでにCRMを活用して成果をあげている8つの企業の事例を解説します。
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▷CRM導入前後でよくある課題とは?失敗しないための解決策も解説
(1)ソウルドアウト株式会社
ソウルドアウト株式会社は中小企業やベンチャー企業のデジタルマーケティングやDXなどを支援している企業です。
同社ではプッシュ型の営業スタイルを取り入れていたものの、効率が悪く、営業担当者の業務負担が増していたそうです。負担は精神的な疲労にもつながっていたため、改善策を講じたいと考え、CRMの導入に踏み切りました。
CRMを導入することで見込み顧客の掘り出しや顧客整理が効率化し、営業活動を大きく改善することに成功しました。具体的には、訪問可能な見込み顧客数がツール導入前の3件から152件へ大きく増加しただけでなく、新規顧客の客単価が2倍に上がるなど大きな導入効果を得たといいます。
(2)レバレジーズ株式会社
レバレジーズ株式会社は人材紹介サービスを展開する企業です。同社では解決すべき業務課題として、「社内でのコミュニケーションミスの削減」「顧客情報や営業活動にかかる管理工数の削減」を掲げていました。
課題解決のためにCRMを導入したことで、営業メンバーが顧客情報を円滑に共有できるようになり、同一の見込み顧客にアプローチするミスが減りました。
また営業メンバーのタスク状況や進捗状況が可視化されたことでマネージャーの業務負担も軽減し、各メンバーの作業効率も向上したといいます。
さらに、顧客との過去のやりとりをもとにより深いコミュニケーションが取れるようになりました。ツールの導入で、顧客との関係強化につなげられた点もメリットの一つとして挙げられるでしょう。
(3)株式会社メディアリンクス
株式会社メディアリンクス(旧:株式会社メディアグローバルリンクス)は放送や通信系機器の開発・販売を行う企業です。同社は、日々の商談や受注などを行う営業部と経理部などの部署間をつなぐためのCRMを採用しました。
もともと部署間のコミュニケーション不足や利益に対する意識付けを課題に挙げられていました。CRMを導入し基幹システムと連携することで、部署間での情報共有を進めながら、受注見込から損益予測への転換も図れました。
(4)日産自動車株式会社
日産自動車株式会社はCRMを導入して、顧客情報を収集・活用することで、来店客に最適な提案が行えるような仕組み作りを目指しました。
同社ではCRMを活用したシステムを販売店に設置しました。顧客は属性や好みなどを入力することで自分に合った商品が自動的に提案されるサービスが受けられます。
これにより顧客体験の向上につながったといいます。また収集したビッグデータは製品開発にも生かされています。
(5)フィリップス社
フィリップス社はオランダに本社を置く「照明・医療・消費者ライフスタイル」の3つの分野において製品・サービスを展開する企業です。同社は押し売りをしたくないという想いから、CRMを導入して顧客心理を把握することに注力しました。
その結果、CRMで自動的に情報収集し、社員がデータをもとにした顧客ニーズの分析が行えるようになりました。つまり、押し売りではなく顧客が欲しいものを買ってもらうという、「顧客中心主義」のスタイルを追求することに成功したのです。
(6)株式会社ナノ・ユニバース
株式会社ナノ・ユニバースは衣料品全般の企画・製造・販売をする企業です。同社は顧客情報とポイント情報を統合し、会員情報を一元管理するためにCRMを導入しました。
導入後、ポイントサービスの質向上に効果が表れ、顧客の利便性が高まりました。またポイントの活用がしやすくなったことにより顧客満足度も高まり、売上の向上にもつながったといいます。
さらに顧客情報の一元化によって、ECと実店舗における顧客の行動分析も行えるようになったため、より効果的なマーケティング施策が打てるようになりました。
(7)株式会社コナカ
株式会社コナカは紳士服量販店などを展開する企業です。同社はメルマガ登録者への定期フォロー業務を効率化させるためにCRMを導入しました。
導入の結果、メールの開封率が平均36.04%から40.78%へ大幅に改善しました。さらに購入後のフォローメールを送るようにしたことで、リピーターの増加にもつなげました。
(8)NHNテラコス株式会社
NHNテラコス株式会社はゲーム事業やコミックサービスを提供するNHNの子会社です。同社は営業力不足が原因で新規開拓ができない点に課題を感じていたといいます。
そこで営業力の改善を図るためにCRMを導入しました。結果、営業プロセスをルール化し、その他部門からのサポートも可能となり、営業力の強化へつなげました。
また業務効率化によって、通常1ヵ月かかっていた業務を1週間に短縮し、より多くの受注につなげることもできたため売上拡大も図れました。
アドレサブル広告の成功事例2選
アドレサブル広告とはアドレス(Address)を特定できる広告のことを意味します。その目的は企業が持つデータをもとにより多くの顧客を特定し、最適な広告を配信していくことを狙いとします。
つまり、CRMに蓄積されている自社だけが持っている顧客データをマーケティング施策に利活用できる方法です。これにより顧客の行動履歴や購買履歴を使った精度の高い施策が可能になります。また、自社だけが保有するデータを使うため、他社よりも優位な施策が打てる可能性もあります。
さらに、顧客をセグメント分けした上で、最適なアプローチが可能になります。例えば、休眠顧客に対して再度購入を促す広告を配信することで、顧客の掘り起こしにつなげることもできるでしょう。
以下、アドレサブル広告の成功事例を2つ紹介していきましょう。
(1)VINTORTE
VINTORTEは京都生まれのナチュラルコスメブランドの展開とEC事業での販売を行う企業です。
EC事業での新規顧客獲得に向けてFacebook広告などを活用していたものの費用対効果が低かったため、アドレサブル広告を使用することを決めました。
その結果、採用前よりCPA(デジタル広告における顧客獲得単価)は10分の1に改善できました。さらにリターゲティング広告の配信ボリュームが400%、リターゲティング経由の獲得数は220%の増加となるなど、大きな効果につなげました。
(2)株式会社伊藤久右衛門
株式会社伊藤久右衛門は、京都発祥の宇治に本社を置くお茶屋です。同社はシーズナブル商材の売り上げ拡大を目指すためアドレサブル広告を導入しました。
CRMデータを使ったアドレサブル広告によって、購入履歴のある顧客への広告配信と、シーズナブル商材を購入したことがある顧客の嗜好や属性が似ているユーザーに対しての広告拡張配信を実施しました。
その結果、バレンタインや母の日などのシーズナブル商材の売り上げを大きく向上させることに成功しました。
成功事例から学ぶCRMの活用ポイント
ここでは、先に取り上げた成功事例などをもとに、CRMの活用ポイントを7つ解説していきます。
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(1)パーソナライズされた情報の配信
CRMを導入することでさまざまなデータが収集・蓄積できるようになります。そのデータをもとに顧客に合ったアプローチやコンテンツを展開することが可能になるでしょう。
前述したアドレサブル広告などを使えば、自社が保有する顧客データを活用した広告の配信やコンテンツの表示、メルマガを届けることができます。顧客を適切にセグメンテーションすれば、見込み顧客・優良顧客・休眠顧客など、顧客特性に合わせた最適な情報の配信が可能になります。
CRMを使ってデータを整理・分析し、パーソナライズされた情報の配信を心がけることで売上に直結する施策が実行できるはずです。
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(2)CRMでのコンテンツ強化
CRMを活用することで、見込み顧客へリーチするための施策の強化につなげることもできます。例えば、自社製品やサービスに興味を持っているユーザーに対して、ブログやダウンロードコンテンツで情報を提供することで製品・サービスへの理解を深めてもらえるでしょう。
さらに繰り返し自社サイトに訪れてもらえるようにコンテンツの充実化を図ることで、より確度の高い顧客へと成長させることも期待できます。CRMはナーチャリング(顧客育成)を効果的に行う際にも効果を発揮するでしょう。
(3)顧客の問い合わせ管理によりコミュニケーション精度の向上
CRMは顧客情報を一元管理できるため、他部署との連携や顧客とのコミュニケーション精度の向上にも役立ちます。
情報が社内に散在していると、別部署の担当者が同じタイミングでアプローチをかけてしまうという問題が起こるリスクがあります。また過去の商談履歴がわからないと、提案内容が重複して非効率な営業になってしまう可能性もあります。
CRMによってデータを一元管理できれば、顧客の状況やニーズにあった提案が可能になります。さらに問い合わせ内容を蓄積し、分析することで隠れたニーズを掘り起こすこともできるでしょう。そうすることで、顧客が抱えている潜在的な問題を発見し、新たな提案につなげることもできます。
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(4)部門間連携の強化
CRMを全社で有効活用できれば、部門間の連携強化にも効果を発揮します。営業からの情報をいち早く経理など別の部門へ連絡できれば、業務のスピードアップにも寄与するでしょう。
またカスタマーセンターやPR部門などとも問合せ履歴を共有すれば、素早い対応や的確な情報発信によって、顧客満足度の向上につなげられます。
(5)顧客への適切な商品提案
CRMを導入することで、顧客の求めているものや傾向を掴むことができます。顧客属性はもちろん、好きな色や形、デザインなどの嗜好やニーズをビッグデータとして蓄積できます。
そうしたデータを製品開発に役立てることで、顧客が本当に求めているものを提案できるようになります。CRMを活用すればデータのタイムリーな活用もできるため、急速に変化する顧客ニーズへの対応も可能になるでしょう。
(6)ポイントの活用
CRMを導入することで顧客情報とポイント情報を統合することができます。また、顧客情報を一元管理することで適切なポイントサービスを訴求することもできるでしょう。
例えば、期日を決めて、それまでに購入すればポイント2倍などポイント率を増加させるアプローチが可能になります。顧客がポイント管理しやすい仕組みを構築できれば、さらなる売上アップにもつながり、顧客体験の向上にも貢献するでしょう。
(7)マーケティングの管理
CRMの導入で見込み顧客の管理が適切に行えるようになります。企業によっては、展示会やセミナー、Webサイトから入手したリードを活用できないままにしているケースも多いかもしれません。
原因としてはマーケティングや営業のリソース不足が考えられます。CRMを使えば、確度の高い見込み顧客の選別が可能になるので、少ないリソースで的確なマーケティング施策が可能になります。
リードを管理することで見込み顧客の取りこぼしを減らし、受注率を増やすこともできるでしょう。
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CRMを導入するときの注意点
CRMは便利なツールですが、利用する際には注意すべきポイントがあります。ここでは4つの視点から、CRMを導入するときの注意点を解説します。
(1)十分な顧客データを保持しているか
CRMは顧客との関係強化を図るのに最適なツールですが、効果を上げるためにはある程度の時間が必要になります。顧客を分析する際には、多くのデータが必要になります。顧客情報がなければ施策に生かせないので、まずはデータの収集を考えなくてはいけません。
データの収集方法には、Webサイトを使ったコンテンツマーケティング、広告、セミナー、展示会、SNS、DMなどさまざまな手段が考えられます。コストや手間などを考えた上で、自社に合った方法で顧客データを集めましょう。
(2)CRMの運用担当を決める
CRMは導入することが目的ではなく、活用し定着までつなげなければ意味がありません。定着化を促進するためには、運用担当者を置くことがおすすめです。
導入後は使用方法や運用ルールについて、わからない点が多く出てくるものです。運用担当者は問い合わせの窓口となり、ユーザーが抱える不明点や疑問点を解消する役割を担います。
また、導入前や導入直後に講習会や研修会などを開催して、スムーズに利用を開始できるように環境を整えることも大事です。運用担当は負荷が大きくなるケースも多いことから、単独ではなく運用チームを作る方がうまくいくでしょう。
(3)社員にCRM導入の目的を共有する
CRMを導入するにあたって、経営層から社員へ、導入目的や効果について説明する必要があります。全社で意識を統一することで、定着につながります。
売上向上なのか、顧客満足度の向上なのか、業務効率化なのか、など目的を明確化させましょう。目的や意義がわからないと、従業員は積極的にデータ入力をしない可能性があります。
CRMの強みはデータをリアルタイムで共有できることです。データ入力が習慣化されず、古い情報のままではCRMを導入したところで良い結果を出すことができないでしょう。
(4)運用におけるルールを作成する
CRMは、営業やマーケティング部門だけでなく、経理やカスタマー部門など、あらゆる部署で利用されます。また、従業員の多くが入力に協力することも不可欠です。
よって運用にあたってのルールを明確に定め、共有することが必要になります。いつ、誰が、どのようにデータを入力するかを決めておくことで、データの分析や利用がスムーズに行えるようになるでしょう。
マーケティングに活用可能なおすすめCRM5選
ここでは、CRMを使ったマーケティングを行うのにおすすめのツールを5つ解説します。
- HubSpot
- b→dash
- GENIEE SFA/CRM
- Microsoft Dynamics 365
- ZOHO CRM
▷【最新2022年】無料で使えるおすすめCRM15選比較!有料版との違いも解説
(1)HubSpot
HubSpotはマーケティング、コンテンツ管理、顧客情報の管理、カスタマーサービスなどのツールが使えるCRMプラットフォームです。無料ツールもあるので、導入コストを抑えたいユーザーにおすすめの製品といえます。
チーム全体でデータ共有を行うことで、業務効率向上や効果的なマーケティング施策の実行が期待できます。
提供元 | HubSpot |
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初期費用 | 無料ツール有 |
料金プラン |
※他に、セールス、カスタマーサービスなどの有料ツール有 |
機能・特徴 | Eメールマーケティング、ランディングページ、ウェブチャット、ソーシャルメディア、キャンペーン管理、チームの階層化など |
URL | 公式サイト |
(2)b→dash
b→dashはデータマーケティングツールで業界シェアNo.1(同社HPより)を誇り、データの取り込み、加工、統合、抽出が簡単にできるクラウドシステムとして人気を得ています。マーケティングで直面している課題に応じて、最適なツールを選べるのも特徴の一つです。
提供元 | 株式会社データX |
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初期費用 | 50万円 ※オンボーディングプログラム導入費用として |
料金プラン | Marketing Cloud for web、Marketing Cloud for app、Analytics Cloud、Site Management、b→dash CDP:すべて要相談 |
導入実績 | 600社以上 |
機能・特徴 | メール配信、シナリオ配信、データ連携、KPI改善、レポート作成、ウェブサイトの最適化など |
URL | 公式サイト |
(3)GENIEE SFA/CRM
GENIEE SFA/CRM(旧ちきゅう)は低価格で利用でき、直感的に使いやすいツールとして定評があります。導入後、短期間で運用が開始できる点や継続率99%を実現している点も、同ツールの特徴に挙げられます。
提供元 | 株式会社ジーニー |
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初期費用 | 要見積り |
料金プラン | ※15日間無料トライアルあり
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機能・特徴 | 顧客管理、商談管理、名刺管理、グラフ作成、外部ツール連携、レポート機能など |
URL | 公式サイト |
(4)Microsoft Dynamics 365
Microsoft Dynamics 365はカスタマイズがしやすく、ユーザーごとに最適な環境で運用できる点に特徴があります。生産性向上やコストカットが期待できるツールとして、主にグローバル企業で活用されています。
提供元 | 日本マイクロソフト株式会社 |
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初期費用 | 要問合せ |
料金プラン | Marketing:16万3070円~(テナントごとの月額) |
機能・特徴 | コンテンツの設計、予測、分析、顧客データの保護など |
URL | 公式サイト |
(5)ZOHO CRM
ZOHO CRMは見込み顧客の獲得から商談、受注、既存顧客との関係構築まで、事業の収益につながるビジネスを一元管理できるツールです。SFAの機能もあるため、営業効率の改善などにも寄与するでしょう。
提供元 | ゾーホージャパン株式会社 |
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初期費用 | 無料 |
料金プラン |
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導入実績 | 約25万社 |
機能・特徴 | キャンペーン管理、レポート分析、SNSマーケティングなど |
URL | 公式サイト |
成功事例からCRMの有効な活用法を学ぶ
今回はCRMを導入し、成功した事例を紹介しました。CRMを導入する際の注意点を押さえた上で運営すれば、大きな成果へつながることが期待できます。
導入前には企業がどのような課題や問題を抱え、それを解決するために何が必要なのかをしっかりと検討する必要があります。
そして自社に合ったITツールを活用することで企業に大きな変革を与えることができるでしょう。CRMに興味がある方は一度、自社に合うツールの特徴や機能などを検証することをおすすめします。
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