CRMマーケティングとは?基本知識から成果を上げる戦略の考え方について

最終更新日時:2022/11/30

CRM(顧客管理システム)

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CRMマーケティングとはCRMツールで収集した顧客情報を元に行う手法です。本記事では、CRMマーケティングの基礎知識やメリット、効果を出すために必要な考え方を紹介します。具体的な手順も解説しているのでぜひ参考にしてください。

CRMマーケティングとは?

CRMとは「Customer relationship management」の略語で、顧客関係管理という意味になります。顧客情報を収集・分析することで顧客を把握し、良好な関係を構築していく手法のことです。CRMツールは顧客管理を行えるシステムで、顧客の個人情報・購買パターン・フォームで共有した内容などを一元管理できます。

CRMマーケティングは、CRMツールを使用して顧客のニーズを把握し、自社製品やサービスの顧客満足度の向上を図ります。

CRMマーケティングが重要な理由

CRMマーケティングが重要視される理由には、市場の変化や消費行動の多様化があげられます。

少子高齢化は、さまざまな業界の市場縮小に影響を与えています。新規顧客獲得の競争は激しくなり、難しくなっているのが現状です。そのため、リピーターとの関係を重視する傾向が強くなりつつあります。

また、インターネットの普及によるデジタル化が進み、顧客のニーズも多様化しています。CRMマーケティングの顧客分析は、リピーターとの関係維持と多様化する新規顧客のニーズ把握を把握するのに効果的です。

CRMマーケティングを行うメリット

ここでは、CRMマーケティングを行うメリットについて説明します。

(1)一人ひとりの顧客にあったマーケティング施策を実施できる

CRMマーケティングを活用すると、顧客が必要とする情報を把握できるため、個々に合ったタイミングでサービスを提供できます。例えば、顧客が購入した商品情報を元に適切なカスタマーサービスを提供すれば、顧客満足度も向上するでしょう。

また、特定の地域に住む人だけにクーポンを配信するなど、顧客の属性に合わせたアプローチも可能です。ニーズに合った情報やサービスを得ることで顧客の評価が上がり、優良顧客として定着する確率も上がります。

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(2)安定した収益を出しやすくなる

マーケティングでは、新規顧客の獲得はリピーターの継続より5倍コストが高いという法則があります。そのため、リピーターに長く自社製品やサービスを利用してもらうことが大切です。

CRMマーケティングで顧客それぞれに合った情報を提供すると、リピーターの信頼や満足度が上がり自社のファンとして定着します。ファンとなった顧客が商品やサービスのよさを口コミなどで伝えるようになり、新規顧客の獲得につながる場合も増えてきます。

顧客との関係を良好に保つと、商品やサービスの継続的な利用だけでなく、新規顧客の獲得にもつながり一石二鳥です。結果として、安定した収益を出しやすくなります。

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CRMマーケティングを行う手順

ここからは、CRMマーケティングを行うための手順について詳しく解説していきます。

(1)顧客情報を収集する

CRMマーケティングは、顧客情報をベースに行います。したがって、顧客情報の収集・整理は重要なポイントです。収集すべきデータについて説明します。

#1: 属性情報

属性情報とは、性質や特徴などに関することを指します。顧客を特定するための情報も属性情報に含まれます。代表的な属性情報は以下のとおりです。

  • 氏名、年齢、住所、電話番号、メールアドレス
  • 勤務先、肩書
  • 学歴、職歴
  • 年収、持ち家の有無、車の有無

#2: 購買データ

いつ、どこで、何を、いくらで、どれだけ、どのように購入したのかなど、商品を購入時の状況を表す情報です。顧客の嗜好性の把握に役立ちます。

#3: 定性データ

顧客からの問い合わせ履歴や、電話でのやりとり、商談でのやり取りなど、顧客の要望関連の情報です。属性情報や購買データと紐付ければ、顧客ごとに合わせた対応ができるようになります。属性情報と購買データ以外の情報を定性情報として取り扱うケースが多いです。

(2)顧客情報の分析を行う

次は収集・整理した顧客情報を分析し、顧客の行動特性を把握します。ここでは、代表的な分析手法について解説します。

#1: RMF分析

RFM分析とは、顧客を、Recency(最新購買日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(累計購買金額)という3つの指標で整理する分析手法です。RFM分析は、顧客のランク付けを行い、売り上げに貢献する見込みが高い顧客に対してアプローチをする際に役立ちます。

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#2 : デシル分析

デシル分析は、全顧客を購入金額の降順に並べ、10個のグループに均等に分けることで、グループごとの購入比率や売上構成比を把握する分析手法です。デシル(Decile)は、ラテン語で10等分を意味します。

デシル分析の結果は、売上に対する貢献度が高い顧客層がわかるため、このグループに対してピンポイントでアプローチを行えます。

#3 : セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、顧客を特定の条件で分類し、分類後の顧客層の全体的な傾向を把握する分析手法です。条件には、年齢、性別、住所など属性情報を使うケースが多く、どのような属性の顧客が購入しているのかなどの傾向がわかります。

自社商品を購入しやすい属性がわかるので、この属性をターゲットしたプロモーションを展開するなどの施策も立てやすくなるのも特徴です。

セグメンテーション分析とは?重要な理由や具体的な方法・成功事例を解説

#4 : CPM分析

CPM(Customer Portfolio Management)分析とは、購買行動・経過日数・頻度・在籍期間を基準として、顧客を「購買が継続している現役(顧客)」と「購買しなくなってしまった離脱(顧客)」など10パターンに分類して、顧客を把握する手法です。

「リピート客が少ない」「リピートしたのに離脱した」など顧客の動きを具体的に把握できるため、現状の問題点や課題の発見にも活用できます。

#5 : CTB分析

CTB分析とは、Category(カテゴリ)・Taste(テイスト)・Brand(ブランド)に分類して、顧客の購買予測をする分析手法です。顧客の好みの傾向がわかるため、商品開発やプロモーションを行う際に役立ちます。

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#6 : LTV分析

LTV(Life Time Value)とは、「顧客生涯価値」と訳され、顧客が生涯を通じて企業にもたらす収益のことを指す言葉です。LTV分析とは、生涯を通じて企業に高い収益性をもたらしてくれる顧客を見極める手法です。

顧客が商品やサービス、またはブランドに対する愛着(顧客ロイヤリティ)が高ければ高いほど、LTVは高くなります。一時点における収益性の高さではなく、長期間にわたって顧客が商品を買い続けてくれるかを評価する際にも利用できます。

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#7 : クラスター分析

クラスター分析とは、データ全体の中から似たもの同士をグループ分けする手法です。クラスターとは、英語で「集団」「群れ」のことで、似ているものが多く集まっている様子を指します。多量に集めたデータを分類別やジャンル別に分け、それぞれの特徴や特性、傾向などを見えやすくしたいときに利用します。

#8 : コホート分析

コホート分析は、ユーザーをグループごとに分類し、その行動や定着率を分析するものです。もともと、コホート(cohort)とは、英語で「仲間」という意味を持っています。

ユーザーを属性や条件でグループ分けをして、その動向を分析します。一定の条件や属性によって分けたそれぞれのグループが、時間の経過に伴い行動にどのような変化が起きるかなどを把握すれば、動向に合った施策を立案できるようになります。

(3)マーケティング戦略を考える

各種の分析手法を使って顧客の特性や嗜好性を把握したら、具体的にどのようにその顧客にアプローチするか、その施策を考えなければなりません。

例えば、ホームページ閲覧数は多いものの、契約には至らないというケースについて考えてみましょう。この場合、サービスに関する情報提供は上手くいっているものの、契約するときに何か問題があるとの仮説を立てます。

実際に契約に至らない理由は、そのサービスについて使い心地がわからないからと考えた場合、無料で利用できる体験版を用意することが改善策として考えられます。CRMツールで集めた情報をさまざまな角度から分析し、具体的な施策を策定していきましょう。

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(4)マーケティングの実行と効果検証

マーケティング施策の実行後は、その施策の効果検証を行います。もし、施策を行った結果が目標に届いていない場合は、施策の内容や仮説が違っていた可能性があります。もう一度、分析に戻り再度アプローチの仕方やターゲット設定の見直しなどを行いましょう。

CRMマーケティングで効果を出すために必要な考え方

ここからは、効果的なCRMマーケティングを行うための大切なポイントについて説明していきます。

(1)データから顧客に合ったアプローチを考える

CRMのデータに基づいて顧客それぞれの嗜好を読み取り、顧客に対して効果的なアプローチを考えます。

従来のマーケティング手法では、顧客のペルソナを考えてアプローチしていました。ペルソナとは、商品やサービスを利用する典型的な人物像のことを言います。しかし、ペルソナは一般的なモデル像であり、個々の顧客のニーズを反映できません。

結果として、ペルソナと実際に商品やサービスを消費する人物とでは、乖離が発生する可能性が高くなります。そこで、CRMツールの顧客情報を活用してペルソナを想定することで、的確なターゲットにアプローチできるようになります。

(2)顧客の不満を減らす

顧客が商品やサービスに感じている不満を解消することも大切です。例えば「サービスの使い方がわかりにくい」などの不満がある場合、電話の問い合わせ情報や問い合わせメールなどの情報を分析すれば、どの部分がわかりにくいのかが明確になるはずです。

顧客の不満を吸い上げ解決していくことも、顧客の企業に対する満足度のアップにつながります。

(3)長期的な視点を持つ

CRMマーケティングは、顧客と良好な関係性をつくる手法です。そのため一度施策を立ててプロモーションを行えば終わりというわけではありません。顧客と継続的にコミュニケーションを取ることで、地道により良い関係を築き上げていくことが大切です。

短期的な成果にこだわり過ぎず、長期的な視点を持って顧客にアプローチしていく姿勢で取り組んでいきましょう。

成果が出るCRMマーケティングを確立すること

CRMマーケティングで成果を出すためには、顧客情報をきちんと整理して分析することが必要となります。分析手法のメリットやデメリットをしっかりと理解したうえで、活用することが大切です。

CRMツールの活用方法もCRMマーケティングの成果に影響します。CRMマーケティングを考えている場合は、自社に合ったCRMツールを導入するようにしましょう。

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