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CRMとERPの違いとは?機能や導入メリットを比較!選び方も解説!

2023/01/25 2023/02/02

CRM(顧客管理システム)

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CRMとERPの字面は似ていますが、具体的にどのような点が違うのでしょうか。本記事では、CRM・ERPそれぞれの役割や機能、導入メリットを比較します。自社に合ったツールの選び方も掲載しているので、導入の際はぜひ本記事を参考にしてください。

CRMとは?

CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の略称であり、顧客関係管理を意味する言葉です。

具体的には顧客の情報を一元的に管理し、適切なアクションの土台を形成することで、顧客との関係を良好な状態に保ちながら、LTV(顧客生涯価値/Life Time Value)を高めていくための手法を指します。

CRMが台頭した背景には、あらゆる産業でのコモディティ化が挙げられます。かつては成熟した市場が少なく、機能・品質などでの差別化が成り立っていました。しかし、現代では技術が飛躍的に向上し、エンドユーザーが製品の機能的な違いを体感できないレベルにまで至っています。

これによって市場での価格競争が激化し、その打開策として生まれたのがサブスクリプション・ビジネスです。サブスクリプションという定期的な課金でサービスを提供するスタイルが生まれて以降、ビジネスシーンでは顧客との関係をいかに安定化させるかが重要視されています。その関係性を保つうえで注目されているのがCRMです。

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(1)CRMの役割

CRMの役割は、顧客と信頼関係を構築し、その関係性を維持・強化することです。信頼関係の構築手段として、CRMは顧客データを統合管理し、データの全体像を捉えることで分析を効率化します。このデータ分析によって顧客の潜在的なニーズが明らかになり、提案すべきソリューションを決めていきます。

そして、ソリューションによって顧客の抱える課題が解決されていく度に、顧客のエンゲージメントは高まっていきます。エンゲージメントが向上することで、アップセルやクロスセルの機会が生まれ、着実にLTV(顧客生涯価値/Life Time Value)を上げていくことができるのです。

つまり、CRMは単なる顧客理解を深めるためのツールではなく、データを適切に収集・分析することでオペレーションを高度化し、戦略的に利益を上げていくことが本来の役割といえるでしょう。

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(2)CRMの主な機能

顧客との関係を構築するための幅広い機能を持つCRMについて、ここでは主な機能を4つご紹介します。

#1: 顧客情報管理

1つ目は顧客情報管理です。社名や連絡先などの基本情報から、取引・商談の状況、Web上の行動履歴、カスタマーサポートへの問い合わせ履歴など、あらゆる情報を管理します。

データの取得はオフライン/オンラインという場所だけでなく、部門単位でシステム自体が異なる場合も少なくありません。しかし、CRMでは点在するデータを集約し、一元的に管理できるという特徴があります。

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#2: 顧客分析

2つ目は顧客分析です。顧客分析はCRMのデータの一元管理を活かし、既存顧客の属性や購買行動を分析することで、売上拡大の糸口を見つけていきます。

「顧客がどのようなプロセスを経て購買に至っているのか」「購買行動における共通点はどこにあるのか」「マーケティングやセールスでどのような変化が生まれているのか」など、顧客の状況を分析し、今後のアプローチに向けた仮説を立て、施策の立案に役立てるために活用されます。

#3: プロモーション管理

3つ目はプロモーション管理です。顧客分析で導き出した仮説を検証するために、セール情報などのキャンペーンを作成し、メルマガ・DMを通じて優良顧客に配信します。

配信したメルマガ・DMは、開封率やクリック率などの結果を可視化できるため、施策の効果を振り返ることも可能です。プロモーション結果は顧客分析を通じて、次の仮説検証を実施するための情報として活用されます。

#4: 問い合わせ管理

4つ目は問い合わせ管理です。問い合わせの内容や回答などの履歴を可視化することで、問い合わせの傾向や対応状況を把握することができます。

問い合わせの状況が把握できることで、対応の漏れや重複を防止するだけでなく、FAQの作成によってリソースの削減も可能です。

(3)CRMの導入メリット

CRMはSaaS(Software as a Service)などのクラウドサービスを通じて導入することが一般的です。そのうえで、CRMの導入には主に2つのメリットがあります。

#1: 顧客に合わせたアプローチができる

1つ目は、顧客に合わせたアプローチができる点です。CRMは顧客の情報を統合的に管理し、属性や行動の特徴に沿ってラベリングを行うだけでなく、顧客分析を経てネクストアクションの最適化を実現できます。

顧客の問題意識レベルに加えて、自社の製品・サービスに対する興味関心度がどの段階にいるかを特定することで、次のステップに進めるための施策を個別に実行できるのが、CRMのメリットです。

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#2: 社内共有が円滑になる

2つ目は、社内共有が円滑になる点です。現在は市場ニーズの多様化によって営業活動が細かく分かれ、営業企画、マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセスなど、営業部門内の複数のチームとの連携が重要視されています。そのうえでCRMによる情報の一元管理は、社内での共有を円滑化し、連携の強化につながるでしょう。

CRMを通じて、顧客の状態がリアルタイムで反映されることで、顧客に関与するメンバー全員が常に最新の情報をもとにアクションを設計することができます。

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ERPとは?

ERPとは、Enterprise Resource Planning(エンタープライズ・リソース・プランニング)の略称であり、企業(Enterprise)の資源(Resource)を効率化するための計画(Planning)を意味することから、企業資源計画と訳される言葉です。 

具体的にいうと、ERPはヒト・モノ・カネ・情報という企業資源を有効活用するための統合データベースとして、複数の業務システムの情報を共通化し、効率的な管理体制の実現を支援します。この情報の共通化を実行するため、事業活動に必要な機能を備えた統合型ソフトウェアをERPパッケージと呼びます。

(1)ERPの役割

ERPの役割を一言で表すなら、経営の効率化です。ERPでは経営戦略に必要な情報をタイムリーに収集でき、経営層が部門ごとの状況を正確に把握し、経営資源を有効活用するための判断が素早くできるようになります。

特に近年はVUCA(Volatility/変動性、Uncertainty/不確実性、Complexity/複雑性、Ambiguity/曖昧性)という変化の激しい時代に突入したことで、変化に対して柔軟かつスピーディな経営が求められます。このことからも、ERPによる全体最適化の重要度が高まっているようです。

(2)ERPの主な機能

ERPは統合基幹業務システムの側面を持ち、多種多様な機能が搭載される傾向にあります。ここではERPの主な機能を4つご紹介します。

#1: 販売・購買管理

1つ目は販売・購買管理です。具体的には自社の製品・サービスの販売や、在庫・出荷の状況を可視化するための機能を指します。他にも見積書や請求書の作成、受注管理、予実管理、仕入れ管理など、販売・購買に関わる一連の業務を自動化できます。

#2: 生産管理

2つ目は生産管理です。製造業に欠かせない機能で、生産計画、資材所要計画(Material Requirements Planning)、人員配置、原価管理、設備管理など、製造工程における一連の作業を支援するための機能を指します。他にも製品における歩留まりの管理、工程単位での進捗状況の可視化なども可能です。

#3: 財務管理

3つ目は財務管理です。賃借対照表や損益計算書といった決算書をはじめ、総勘定元帳、財務諸表などの各種書類の作成を支援する機能を指します。他にも固定資産管理、与信管理などの機能を搭載しているケースもあります。

#4: 輸出入管理

4つ目は輸出入管理です。貿易に特化した機能で、輸出入における受発注管理、貿易帳票の作成、為替管理などが含まれます。貿易業界向けのERPでは、三国間貿易(輸入業者・輸出業者の間に仲介業者が入る貿易形態)にも対応できるものが多く、より複雑なプロセスを可視化・効率化できます。

(3)ERPの導入メリット

経営の効率化を目的に導入されるERPには、主に3つの導入メリットがあります。

#1: 企業のデータを一元管理できる

1つ目は、企業のデータを一元管理できる点です。部門ごとで使用している業務システムをERPに置き換えることで、点在するデータを集約できるだけでなく、データフォーマットを統一できます。これによってデータの不整合が起きにくくなり、データの転記によるミスが減少し、結果的に経営管理の工数削減に貢献できるでしょう。

#2: セキュリティを一元管理できる

2つ目は、セキュリティを一元管理できる点です。社内で活用するシステムをERPに集約すれば、システムのセキュリティ管理も一元化することができます。

近年はシステム同士の連携度が高まっているものの、複数のシステムの活用はセキュリティ管理を複雑化させます。そのため、ERPの機能で事足りる場合は、システムをERPに置き換えたほうが、結果的に強固なセキュリティを実現できるでしょう。

#3: リアルタイムなデータで適切な経営判断ができる

3つ目は、リアルタイムなデータで適切な経営判断ができる点です。これまでは部門ごとのデータが経営層のもとに出揃うまでにタイムラグがありました。しかし、ERPでは全ての部門のデータが集約されているため、経営状況をリアルタイムに確認できます。これによって経営戦略の軌道修正を迅速に行うことができるでしょう。

CRMとERPの違い

CRMとERPは、データの収集範囲が異なるため、必然的に役割も変わってきます。CRMは顧客との関係性に重きを置いているため、顧客の属性や行動履歴などの情報を中心に集め、顧客満足度の向上に役立てられます。

対してERPは経営資源の最適化に重きを置いているため、ヒト・モノ・カネ・情報に関する全ての動きを管理し、組織としてのパフォーマンスを改善するために役立てられます。

そのため、データの用途で考えると、CRMは直接的な利益を生み出すフロントオフィス・ERPは組織としての機能強化によって関節的な利益に寄与するバックオフィスの属性を持っているといえるでしょう。

CRMとERPの比較表

 CRMERP
役割顧客との信頼関係の構築・維持・強化経営資源の最適化による組織力の向上
主な機能
  • 顧客情報管理
  • 顧客分析
  • プロモーション管理
  • 問い合わせ管理
  • 販売・購買管理
  • 生産管理
  • 財務管理
  • 輸出入管理
導入メリット
  • 顧客に合わせたアプローチ
  • 社内共有の円滑化
  • 企業データの一元管理
  • セキュリティ対策の一元化
  • リアルタイムなデータ収集による経営判断の迅速化

CRMとERPはどちらを選べば良い?

CRMとERPはデータの収集目的が異なるため、システム導入によるメリットも同じではありません。そのため、抱える課題感や経営方針によって、どちらのシステムを選ぶかも変わってくるでしょう。

CRMは、LTV(顧客生涯価値/Life Time Value)の向上を目的に、既存顧客との関係性を見直し、アップセル/クロスセルを通じて顧客単価の改善を目指す企業に適しています。対してERPは、組織全体のパフォーマンスの向上を目的に、経営資源の流れを適切に管理し、経営状況の可視化・分析を通じて組織改善を目指す企業に適しています。

自社に合ったCRM・ERPの選び方

自社に合ったCRM・ERPを選ぶには、いくつか押さえるべきポイントがあります。ここではそれぞれの選定ポイントについて解説します。

(1)CRMの場合

CRMにおける主な選定ポイントは、利用形態・サポート体制・トライアル・互換性の4つです。

#1: クラウド型かオンプレミス型か

1つ目はシステムの利用形態です。具体的にはオンライン上で提供されているCRMサービスをインターネット経由で利用するクラウド型と、社内でCRMシステムを構築・運用するオンプレミス型という2種類の利用形態があります。

クラウド型は導入のしやすさとランニングコストの調整が柔軟にできる反面、汎用的なサービスとして展開されるため、ニッチな機能や独自の制約があるといったデメリットを抱えています。一方でオンプレミス型は独自の機能や堅牢なセキュリティを構築できる反面、コストの増加やシステムのレガシー化につながりやすいデメリットを抱えています。

 クラウド型オンプレミス型
イニシャルコスト低コスト高コスト
ランニングコスト月額定額(従量課金制のサービスもあり)システム運用費や人件費が発生
インフラ調達期間即日数週間〜数ヵ月
カスタマイズ性サービスに依存自由
システム連携サービスに依存可能
セキュリティ対策ベンダーが実施自社内で実施
メンテナンス/障害対応ベンダーが実施自社内で実施
バージョンアップベンダーが実施自社内で実施

#2: サポート体制が手厚いか

2つ目はサポート体制の充実度です。CRMは複数の部門のメンバーがアクセスするため、手厚いサポート体制の有無はシステムの定着にも影響を与えます。サポートの期間や内容はベンダーによって異なるため、事前に確認してサービスを選択しましょう。

#3: 無料トライアルで試せるか

3つ目は無料トライアルの有無です。サービス資料では良く見えたとしても、実際に扱ってみると操作感や仕様がイメージと異なることもあるでしょう。そのため、CRMを使って実現したいことがどこまで叶うのか、操作性に違和感はないかなどをトライアル期間で試すことが重要です。

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#4: 連携したいツールと互換性があるか

4つ目は既存ツールとの互換性です。CRMは顧客データに加えて、行動や購買に関するデータも扱うため、SFA(営業支援システム)・MA(マーケティングオートメーション)ツール・CMS(コンテンツ管理)ツール・SCM(サプライチェーンマネジメント)システムなどとの連携によってシナジーを発揮します。そのため、自社が扱うシステムとCRMが連携できるかどうかを事前に確認しましょう。

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(2)ERPの場合

ERPにおける主な選定ポイントは、業務適合性、利用形態、使い勝手の3つです。

#1: 自社業務に適しているか

1つ目は業務との適性です。具体的にはERPが提供できるソリューションと、ERPでカバーしたい自社の業務領域や求める変化がどこまで合致するかを確認します。特にERPは提供できる機能が多いため、どこまでの機能が必要かを精査することが重要です。

#2: サブスクリプション型かオンプレミス型か

2つ目は利用形態です。ERPはCRMと同様に、サブスクリプション型(クラウド型)とオンプレミス型の利用形態があります。サブスクリプション型(クラウド型)は求める機能が標準搭載分で完結している場合や、メンテナンスやバージョンアップに人的リソースを割けない場合に有効です。一方で独自の機能を搭載したい場合や、独自のシステムを利用している場合はオンプレミス型のほうが適しているでしょう。

#3: 現場の人も使いやすいか

3つ目は使い勝手です。ERPはCRMと比べても利用するメンバーが多いため、現場のITリテラシーに合ったシステム選定が重要です。どれほど優れた機能を搭載していても、従業員が扱えなければ意味がありません。そのため、デモ画面などでERPのユーザビリティを確認して、現場のメンバーにも扱いやすいシステムを選びましょう。

CRMとERPの特徴を把握し、自社に合ったツールを選ぼう

本記事では、CRMとERPの役割や機能、それぞれのメリットや選び方について解説しました。

CRMやERPの導入は企業を大きく変革する一方で、ミスマッチなツールを導入した場合のリスクも大きいのが特徴です。顧客との信頼関係や企業としての組織力を改善していくためにも、CRMやERPで実現したいことや必要な機能を整理し、従業員のITリテラシーやユーザビリティなども確認しながら、自社に合ったツールを導入していきましょう。

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ビズクロ編集部
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