CRMの機能一覧!導入してできることをわかりやすく解説!

最終更新日時:2022/12/07

CRM(顧客管理システム)

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CRMは、顧客情報の管理や分析、マーケティングに役立つツールです。しかし、導入後に実際に何ができるのか、機能を理解していないとツールを最大限に活用できません。この記事では、CRMの機能一覧と導入メリット・デメリット、さらにシステム選びのポイントを解説しています。

CRM(顧客管理システム)とは

CRM(顧客管理システム)は、「Customer Relationship Management」の略語で、企業や店舗の顧客情報を一元管理できるシステムです。導入することで、顧客の連絡先・購入履歴・コミュニケーション履歴・取引の進捗状況などを管理できるメリットがあります。

収集したデータをもとに商品やサービスの向上を図ることで、顧客とより良好な関係を構築できるようになります。CRMは顧客情報を一元管理するだけではなく、課題解決や顧客ニーズの把握ができるため、売上の向上や業務効率化にもつなげられるツールです。

CRMの導入目的について

CRMを導入する際には、目的を明確にしておく必要があります。ここでは、一般的にあげられる3つの導入目的について確認していきましょう。

(1)顧客情報の管理を一元化

CRM導入の最大の目的は、顧客情報を一元管理することです。従来、多くの企業では同じ顧客であっても、部署ごとにバラバラに管理されているケースがほとんどでした。そのため、情報の社内共有が難しく、営業活動や顧客対応に最大限活かすことができていなかったのです。

CRMで顧客情報を一元管理することで、営業の進捗、購入履歴、問い合わせやクレームの有無などを、すべての部署で確認できます。これにより、効率的な営業アプローチや顧客対応が可能になるのです。

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(2)顧客情報を分析・セグメント別の情報発信

CRMは、顧客の情報を管理するだけではなく、情報を分析し、セグメント(共通する顧客層の集団)を作成することができます。マーケティングを行う上で重要なのは、顧客のニーズや生活スタイルに合った情報を発信することです。

CRMは顧客の細かな情報を分析できるため、作成したセグメントに合った情報発信を行う基礎を構築してくれます。CRM導入の目的として、より有効なマーケティング手法のためのデータ分析という役割をあげることもできるでしょう。

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(3)顧客満足度の向上

顧客満足度の向上は、企業にとって重要なミッションです。CRMは顧客のあらゆる情報を蓄積し、一元管理することで、個々の顧客に合ったアプローチやサポートが可能になります。

顧客ニーズを細かく把握できるため、最適なタイミングで顧客が求める情報を提供できます。また、問い合わせやクレームの履歴をすぐに確認できるため、的確でスムーズな対応が実現するのです。その結果、顧客満足度の向上につながります。

CRMの機能一覧を解説

CRMには、さまざまな機能が搭載されています。代表的な8つの機能についてくわしく解説します。

(1)顧客管理

CRMのベースとなる機能が、顧客管理です。主に次のような情報が管理できます。

  • 住所
  • 氏名
  • 所属
  • メールアドレス
  • 電話番号
  • 購入履歴
  • 問い合わせ履歴
  • 商談の進捗状況

CRMの顧客管理機能は、一元管理できることが大きなメリットです。部署を問わず全社が対象となり、各担当者のアクションを履歴として残せます。

(2)メール配信

CRMでは、蓄積した顧客データをもとに、マーケティングに有効なメールを配信できる機能があります。例えば、次のようなメールの配信が自動で行えます。

  • オートメール:誕生日などの日付を起点にする
  • リターゲティングメール:購入や登録後にアクションのない顧客をピックアップする
  • ステップメール:一定の期間を設定し購入を促進する

CRMのメール配信機能は、顧客のデータベースが基礎となっています。多くの顧客情報を蓄積することで、より有効なメールマーケティングが可能になり、業務の効率化や売上げの向上につなげられるでしょう。

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(3)問い合わせ管理

CRMは、企業に寄せられるメール・WEBフォームからの問い合わせを管理し、カテゴリーごとに分析できる機能もあります。対応履歴などもCRM内に蓄積され、どのような対応をしたのか可視化できるので、情報の共有にも役立ちます。

対応中の顧客情報だけではなく、同様の問い合わせへの過去の対処方法なども確認できるので、スムーズな対応につながるのです。特に、一般消費者からの問い合わせ件数が多いBtoC企業にとっては、CRM導入の大きなメリットになります。

(4)外部システム連携

CRMは、単体で利用することも可能ですが、以下のような外部システムと連携できます。

  • CTI(Computer Telephony Integration)
  • MA(Marketing Automation)
  • SFA(Sales Force Automation)
  • Gmailなどのメールアカウント
  • SNS

コールセンターなどで使用されるCTIとの連携ができれば、顧客とのコンタクト履歴がすぐに確認できます。また、MAやSFAなどと連携ができれば、より効率的なマーケティング活動や営業活動が可能になるでしょう。

(5)営業推進管理

CRMには、営業推進管理の機能も搭載されています。この機能により、見込み顧客としての商談開始から成約までのプロセスの可視化が可能です。

営業推進管理によって、日々の営業活動だけではなく、引き継ぎなどもスムーズに行うことができるため、顧客への影響を最小限に抑えられます。属人化しがちな営業活動を管理し、最適なタイミングでアプローチができる手助けをしてくれる便利な機能です。

(6)ファイル共有

ファイル共有とは、メールなどに添付されたファイルを、CRM内で閲覧・共有できる機能のことです。重要な書類などを手元に置くことがなくなるため、紛失や情報漏洩などのリスクを回避することができます。CRMのファイル共有機能は、機密情報の管理に適しています。

(7)顧客属性・行動分析

CRMは蓄積したデータをもとに、顧客の属性や行動分析を行うことができます。CRMを導入している企業は、より有効なマーケティングを行うために、この機能を活用していることがほとんどです。

購買・消費など行動に関する分析や、レポートができるため、次にどんな顧客を対象に、どのようなアクションを起こすのがベストなのかが明確になります。顧客属性や行動分析の機能や種類は、CRMがどのような機能に特化しているのかによって違いがあります。

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(8)見込み顧客の検索・抽出

CRMの活用によって、蓄積した見込み顧客のデータを検索・抽出することが可能です。商談の開始時期や前回からのスパン、購入履歴など、複雑な条件を設定して、該当する顧客情報を検索できます。CRMの種類によっては、検索結果をCSVファイル形式で出力し、他のツールで利用できるものもあります。

CRM導入のメリット

CRM導入のメリットは、企業側だけではなく、顧客側にも存在します。企業側・顧客側に分けてメリットを確認していきましょう。

(1)企業側のメリット

企業側におけるCRMの導入メリットについて、5つのポイントに絞って解説します。

#1: 顧客情報の管理効率化

CRM導入による最大のメリットは、顧客情報の効率的な管理が行えることです。CRMは顧客情報を一元管理できるため、さまざまな方法で入手した個人情報や企業情報が、会社全体としての顧客リストになります。

またフェーズごとの進捗状況やプロセスも可視化され、情報共有できることで、最適なアプローチが行えるのです。

#2: 営業の効率化促進

CRMには、オンプレミス型とクラウド型の2種類があり、クラウド型の場合は、モバイルでも利用が可能です。外出先で利用できれば、入力のために帰社をする必要がないため、外回りが多い営業担当者の業務効率が向上します。

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#3: 顧客フォローのクオリティ向上

売上拡大のためには新規顧客の獲得も重要ですが、既存顧客をどれだけ優良顧客にするかという点にも着目しなければいけません。CRMはアプローチの履歴だけではなく、顧客の行動履歴もデータとして蓄積します。

データを分析することで、最適なタイミングでのアプローチが可能になります。また、既存顧客を適切にフォローすることで、顧客満足度が向上し、良好な関係を構築できます。それにより、取引の継続やアップセル・クロスセルにつなげられる可能性もあるでしょう。

#4: 部門間の情報共有

CRMは営業部門だけで使うのではなく、他の部門とも情報共有を行うことでより大きな効果を得られます。例えばマーケティング部門との共有により、確度の高い見込み顧客の抽出につなげられます。

また顧客ニーズの分析を行うことで新商品の開発に役立てられるケースもあるでしょう。他にもPR部門やカスタマーサポート部門との連携を強化することで、情報発信や顧客対応の品質向上が期待できます。

#5: 顧客の育成

顧客の育成とは、見込み顧客として登録された顧客に対し、さまざまなアプローチを行って自社の顧客として獲得していく活動のことです。CRMでは営業の進捗状況のデータ収集や、メール配信機能などによる適切なアプローチができます。

見込み顧客の育成は「リードナーチャリング」とも呼ばれ、有効なマーケティング手法として多くの企業が実践しています。CRMを活用して自社の顧客へ育成することは、売上拡大の観点から見て、非常に大きなメリットといえるでしょう。

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(2)顧客側のメリット

次に、CRMによる顧客側のメリットについて確認していきましょう。

#1: 必要な情報のみを受け取り可能

インターネットの普及により、多くの情報が得られる一方で、不要な情報も氾濫しています。そのため、情報の受け手は内容の真偽を見極めて取捨選択することが、ストレスになるケースもあるでしょう。

CRMの導入により、企業側は、顧客のニーズに合わせた情報が提供できます。顧客側は、必要な情報だけを最適なタイミングで受け取ることができるのです。

#2: 担当からの的確な提案

CRMによる顧客行動の分析機能で、企業側はより正確に顧客のニーズが把握できるようになります。そのため、顧客側は従来の営業のように、的外れなアプローチや、興味のない提案などをされる機会が軽減するのです。

自身が望まない営業をかけられることは、大きなストレスになります。CRMにより、それらのストレスから解放されるというメリットが期待できます。

CRM導入のデメリット

CRMには、メリットだけでなくデメリットもあります。導入を成功させるためにも、事前にデメリットを理解しておく必要があるでしょう。

(1)即効性のなさ

CRMは、導入後すぐに営業効率が上がり、売上げが向上するというものではありません。データを蓄積し、分析・解析をしてマーケティングや顧客対応に活用するまでには、一定の時間がかかります。

そのため、導入してから数ヶ月は効果が感じられない時期が続くでしょう。即効性がないことを理解した上で、長期的な視野をもって導入を検討することが重要です。

(2)導入・運用コスト

CRMを導入して運用するためには、初期費用やランニングコストがかかります。ツールによって異なりますが、初期費用として数十万円かかるケースがあることも理解しておきましょう。

また、運用には最低限の知識やスキルが求められるため、人材の確保や教育などが必要になるケースがあります。自社の予算や人的リソースを考慮した上で、導入を検討しましょう。

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CRM導入の際の選び方

自社に適したCRMを選ぶには、確認すべきポイントが6つあります。導入が失敗に終わらないためにも、必ずチェックしておきましょう。

(1)自社の導入目的に合った機能がついているか

自社の導入目的に合った機能が網羅されているかどうかは、CRM選定時の重要なポイントです。何のためにCRMを導入するのかを、全社で明確にしておく必要があります。CRMは機能がシンプルなものから多機能なものまで、さまざまなツールが存在します。

高価なツールでも、使いこなせない不要な機能が多い場合には、コストパフォーマンスが悪くなります。導入後の活用を考慮し、目的に合った機能が搭載されているツールを選定することが大切です。

(2)社員にとっての使い勝手は良いか

実際にCRMを使用する社員にとっての使い勝手の良さは、運用を成功させる大きなポイントです。使い方が難しかったり、煩雑だったりすると、現場にとっては入力業務が負担になり、十分に活用できません。

現場にしっかりとCRMを定着させるためには、トライアル期間などを活用して、実際に社員に運用させることが重要です。現場の意見をできる限り反映させることも大事です。

(3)導入・運用コストは予算の範囲内か

予算の範囲内で導入や運用ができるかの確認も重要です。CRMの初期費用や料金体系は、サービスによって異なります。オンプレミス型とクラウド型でも費用が異なるため、自社の状況を考慮して判断しなくてはなりません。

CRMは導入コストが高額になるサービスもあるため、比較検討の段階で、予算を明確に打ち出しましょう。不要な機能やオプションなどがないか、ランニングコストも含めて選択することが大切です。

(4)セキュリティ対策は取られているか

CRMのセキュリティ対策は非常に重要です。顧客の個人情報を管理するため、十分なセキュリティ対策が取られているかをチェックしましょう。

特にクラウド型は、オンライン上で情報を管理するため、注意が必要です。プライバシーマークを取得しているかなどが確認のポイントになります。情報漏洩に対して組織的に取り組んでいるベンダーを選択しましょう。

(5)導入後のサポート体制は充実しているか

導入後のサポート体制の充実は、運用面において必ずチェックしたいポイントです。CRMの運用が軌道に乗るまでは、トラブルが起きやすく、サポートが必要になるケースが少なくありません。

CRMは専門的知識が求められることもあり、社内の担当者だけではトラブルに対応できない可能性もあります。チャット・電話・メールのサポートだけではなく、専任の担当者が対応してくれるサービスを選ぶことも検討しましょう。

(6)既存システムとの連携はできるか

自社が既に導入しているシステムとの連携の可否も、導入前にチェックすべきポイントです。名刺管理システム・MAツール・スケジューラーなど、外部システムとの連携ができないと、活用範囲が制限されてしまう可能性があります。

営業活動や顧客対応は、複数のツールをまたいで行うケースもあります。情報の一元管理というCRMの利点を最大限に活かし、業務効率を向上させるためにも連携できるシステムの事前チェックは必須です。既存システムはもちろん、今後導入予定のあるシステムも含めて確認しましょう。

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CRMの機能を活用して顧客サービスの向上へ

CRMにはさまざまな機能があり、売上や業務効率の向上、顧客との良好な関係構築が図れます。しかし、自社の戦略に合った機能が備わっていなければ、想定した成果は得られません。

自社に合ったツールを選ぶには、ここでお伝えしたCRMの機能を理解した上で、必要なものを整理する必要があります。そうすれば、最適なツールを導入でき、運用もスムーズに行えるはずです。CRMの機能を最大限に活用して、顧客サービスの向上を実現させましょう。

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