LTV分析とは?必要性や計算方法・マーケティングへの活用事例を解説

2022/7/29 2022/07/29

CRM(顧客管理システム)

LTVのイラストイメージ

LTVとはライフ・タイム・バリューの略称です。LTV分析を活用すれば、より詳細かつ顧客に寄り添ったマーケティングが可能になります。この記事ではLTVの概要や計算方法、マーケティングへの必要性や活用事例、向上させるコツを紹介します。

LTV分析とは

コスト削減と利益率の向上は、企業経営の根幹にあたる課題のひとつです。市場の構造や消費者心理の変化が激しい近年では、顧客との良好な関係構築を重視する機運が高まっています。その流れを受け、注目されている手法がLTV分析です。

まずはLTV分析という言葉の意味を確認していきましょう。

LTVとはライフタイムバリューの略称

LTVは、「顧客生涯価値」を意味する言葉です。1人の顧客が一生涯の間に企業へもたらす価値を指します。

LTVを用いることで、顧客と収益構造との関係性が明確になります。企業がひとつの商品やサービスに対して費やしているコストの健全性や、顧客ロイヤルティの高さなど、さまざまな視点から企業の経営状況を可視化することが可能です。

売上・頻度・期間など様々な指標で算出可能

LTV分析とは、売上や頻度、期間などの定量測定が可能な指標を用いてLTVを算出・分析し、サービスの貢献度が高い顧客層などを分析・抽出することに強みがある分析手法です。企業の業態や事業内容、課題の内容に応じた指標と算出方法を選択することが重要です。

例えばサブスクリプションサービスであれば、継続率や解約率が大きく関わってきます。一方、継続的な購入が珍しい自動車販売においては、メンテナンスなどの付随サービスの利用頻度や割合などが、企業の収益構造に関わってきます。

このように、自社ビジネスにおける重要な要素を把握することが、LTV分析の第一歩です。

LTV分析の3つの必要性

これまでLTV分析は、購入サイクルが長い商材や高価格帯の商材を扱う業種においては、あまり重要視されてきませんでした。

しかし、インターネットの普及やデジタル技術の進歩などにより、各業界をとりまく状況は一変しています。現在では、業界や業態にかかわらず、LTV分析の活用が求められています。

ここでは、なぜ現在LTV分析が必要とされているのか、その主な理由についてチェックしていきましょう。

(1)低コストで自社の利益を増やせる

LTV分析では、顧客1人当たりがどのくらいの収益を企業にもたらしているかを可視化できます。

企業の収益構造が明確になることで、商品原価や広告費などのコストと売上のバランスが見直せます。収益構造の健全化に取り組んだ結果、無駄なコストが省けるようになり、収益の最大化を図ることが可能です。

(2)自社のホットユーザーがわかる

マーケティングの法則で有名なものに、「1:5の法則」があります。これは、新規顧客獲得にかかるコストは、既存顧客の維持コストの5倍かかるという法則です。この法則から、既存顧客との関係構築が、企業にとって大きなメリットに繋がることがうかがえます。

また、現在では多くの業界において、商品やサービスの需要に対して供給量が上回っている状態です。そのため、新規顧客の獲得に費やしたコストに対して、期待どおりの獲得数が実現できない企業も珍しくありません。先ほど紹介した「1:5」の法則が、「1:8」や「1:10」になるケースも見受けられます。

そのため、企業は既存顧客の維持だけではなく、これまで以上に顧客ロイヤルティを高める必要が生じています。すでにロイヤルティの高い顧客であるホットユーザーを抽出できるLTV分析は、顧客との関係構築に大いに役立つのです。

ホットユーザーが抽出され、その消費動向が可視化されることにより、全体のロイヤルティ底上げに必要なポイントが分析できます。その結果、最適な育成アプローチが既存顧客に対して図れるようになるのです。

(3)マーケティングにおける課題が見つかる

マーケターたちの間でよく使用されるマーケティング用語に、CPAがあります。「Cost Per Action」の略で、1件のアクションに対してかかるコストのことです。マーケターはCPAを念頭にマーケティング戦略を思案し、実行します。

費用対効果の最大化がマーケティングにおける大きな課題であるため、投入費用が適正であるかどうかの検証は常に欠かせません。その検証に必要とされるデータは、LTV分析によって導き出せます。投入費用のコストパフォーマンスの測定を通じて、課題を可視化できるのです。

また、CPAの目標設定もLTV分析の結果から設定できるため、マーケティングにおいてもLTV分析は重要な活動項目といえるでしょう。

具体的なLTV分析の計算方法

ここからは、以下の代表的なLTV算出方法について解説していきます。

(1)平均購買単価×購買頻度×継続購買期間

(2)平均購買単価×購買頻度×継続期間-コスト

(3)年間取引額×収益率×継続年数

(4)平均顧客単価×100/解約率

何をもってLTVと定めるかは、企業の事業内容や、注視したい要素によって異なります。それぞれの計算方法の特徴を把握し、自社に適した算出方法を見つけてみましょう。

(1)平均購買単価×購買頻度×継続購買期間

消耗品や食品など、購入頻度の高い商材において用いられる計算方法です。LTVを算出するうえで、基本ともいえる計算式といわれています。

(2)平均購買単価×購買頻度×継続期間-コスト

(1)で紹介した計算式に加え、かかったコストをマイナスしているため、損益状況がより明確になる計算方法です。コストの内容としては、新規顧客獲得コストや、既存顧客の維持コストが挙げられます。

(3)年間取引額×収益率×継続年数

年間取引額からLTVを算出する方法です。長期契約のBtoBビジネス向けの方法といわれており、取引先ごとに個別のマーケティング対応が必要なケースに有効です。

(4)平均顧客単価×100/解約率

解約率が収益を左右するビジネスで用いられるLTV算出法です。クラウドサービスやフィットネスクラブ、動画配信サービスといったサブスクリプション型ビジネスの顧客理解に活用されます。

LTVを最大化させる方法について

「平均購買単価×購買頻度×継続購買期間」がLTV算出方法の基本である点からもわかるように、単価・頻度・期間の3つの数値を高めることで、LTVの最大化が図れます。

ここからは、これら3つの要素を高める方法を見ていきましょう。

平均購入単価を上げる

顧客が一度に支払う購入額を増やすためには、以下の5つの方法が考えられます。

  • 購入する商品のグレードを上げる
  • 購入数を上げる
  • 商品単価を上げる
  • 商品の種類を増やす
  • 原価を抑える

それぞれの方法について詳しく解説していきます。

#1: アップセル・クロスセルの実施

アップセル、クロスセルとは、どちらも顧客あたりの購入単価の向上を目的とした営業手法です。アップセルは、購入を検討している商品やサービスよりグレードの高いものを提案し、購入してもらう方法です。

商品の買い替えやサービスの契約更新のタイミングに合わせて実施することが多く、効率よく単価アップが図れるメリットがあります。一方クロスセルは、顧客が商品やサービスを購入する際に、関連商品やサービスのセット購入を提案し、購入してもらう方法です。

クロスセルでは、購買数量の増加にともなう売上増加が期待できます。また、顧客側にとっても、セット購入することで再び店舗を訪れる手間が省けるため、双方にメリットがある方法です。ただし、やみくもなアプローチや強引なセールスは、顧客の不信感を招く可能性があるため、注意が必要です。

アップセル、クロスセルを実施する場合は、対象顧客が商品やサービスに購買意欲を持っていることが前提です。グレードアップやセット購入によって得られるメリットを丁寧に説明し、顧客に納得してもらえる提案を心がけましょう。

#2: 商品単価を上げる

商品やサービスの単価を上げることは、シンプルで効果的なアプローチといえます。ただし、アップセルやクロスセル同様に、顧客に対しての丁寧な対応を必要とする点に注意しましょう。

商品やサービスに新しい付加価値を与えるなど、商品単価が上がっても損に感じさせない工夫をすることで、値上げによる客離れを予防できます。説明とフォロー体制をしっかり整え、突然の値上げで顧客を驚かせることのないよう心がけましょう。

#3: 販売商品の種類を増やす

商品の種類を増やす際の注意点は、価格帯のバリエーションです。マーケティング戦略においてよく用いられるものに、「松竹梅の法則」という法則があります。人は3段階の選択肢を与えられた場合、極端な選択肢を避けようとする心理が働き、真ん中のグレードを選ぶ傾向があるのです。

この法則にもとづくと、安価・中程度・高価の3段階の価格帯を用意した場合、中程度の価格帯の商品が最も売れるものと判断できます。そのため、中程度の価格設定が、購買単価の上昇を図るうえで重要です。

商品の種類を増やす際には、同じような価格帯の似ているジャンルの商品に偏らないよう、ラインナップ全体を見て判断するよう意識してみましょう。

#4: 原価管理の徹底・削減

このアプローチは、利益ベースでLTVを算出する場合に有効な手法です。人件費をはじめ、サービスの運用コスト、原料などの仕入れ価格など、商品やサービスにかかる原価を下げることで利益率が上がるため、結果としてLTVの向上に繋がります。

自社へのロイヤリティを向上させる

企業やブランドに対し、既存顧客がどれほど愛着や信頼を抱いているのかは、企業の収益拡大を図るうえで欠かせないポイントです。

企業に対するロイヤリティが高まれば、自然に顧客のリピート率は高まり、解約率は下がります。ここでは、自社へのロイヤリティ向上に効果的な2つのアプローチを見ていきましょう。

#1: 解約時アンケートを活用する

「5:25の法則」は、リピート率向上の施策でよく用いられる法則です。これは、解約率を5%改善すれば、最低でも25%利益が改善するという考えです。先に紹介した「1:5の法則」とあわせて考えてみると、既存顧客の維持がどれほど企業にとってメリットが大きいかがわかります。

また、解約率が下がれば、自ずと平均継続購買期間は伸びていきます。そのため、解約率を下げるためには、解約を選択した顧客の意見に耳を傾けることが重要です。

最近では、Webサイトやアプリを通じて解約や退会申請をおこなう顧客も珍しくありません。そのため、解約申請のタイミングでオンラインアンケートに回答してもらう方法が有効です。

オンラインアンケート以外でも、コールセンターやチャットボットの通話履歴、営業担当へのヒアリングなどから情報収集を図り、解約を引き起こす要因の把握に努めましょう。

#2: 問い合わせ対応を向上させる

商品やサービスに関する問い合わせに対し、迅速かつ丁寧に対応することは、顧客のロイヤリティ向上に大きく貢献します。問い合わせは顧客と企業とを結ぶ大切な窓口であるため、顧客のロイヤリティが高まるかどうかは、担当者の接客にかかっています。

「よくある質問」をWeb上で公開したり、顧客にとって利便性の高い問い合わせ方法を設けたりすることで、カスタマーサポートの品質を高め、安定させることが可能です。ロイヤリティ向上の施策の一環として、導入価値のある取り組みといえるでしょう。

サブスクリプションを取り入れる

平均継続購買期間を伸ばすためには、サブスクリプションサービスの導入が効果的です。一定期間のサービス利用が確約され、安定的に収益が発生するため、LTVの最大化を図りやすいビジネスモデルといえます。

また、オンライン上で顧客と接する機会が多いため、クラウドサービスを活用し、効率的な顧客管理やマーケティング施策を実施できる点が強みです。

LTV向上のマーケティング施策における活用事例

LTV向上がもたらす最大の効果は、顧客との関係強化による収益の拡大にあります。そのため、企業が注力すべき点は、顧客のロイヤリティを高める施策です。商品やサービス以外に何を顧客へ提供できるのかが、成果を左右するポイントとなります。

ここからは、実際に企業がどのようなマーケティング施策を講じてLTV向上に成功したのかを、それぞれの事例を踏まえて確認していきましょう。

(1)カゴメがLTVを28%アップさせた事例

カゴメ株式会社では、CRM(Customer Relationship Management:顧客との関係性管理)の強化を掲げ、EC部門のコールセンター業務の改善に着手しました。

オペレーターに裁量権を与えたことで、顧客に寄り添ったきめ細やかな対応が可能となりました。マニュアルによる画一的な対応から、顧客のニーズに応えられるコールセンターへと生まれ変わった結果、約6割の顧客のLTVが向上したそうです。

(2)北の達人がクロスセル施策を行った事例

株式会社北の達人コーポレーションでは、コロナ禍による減収益からの脱却のため、クロスセルによるLTV向上を図りました。

化粧品販売において、既存顧客へのクロスセル推進を実施すると共に、コールセンターでの対応品質の向上と、解約理由の丁寧なヒアリングを実施。その結果、売上の7割を占める定期購入者に関する顧客満足度・定期購入継続率が改善し、LTVの向上が実現しました。

(3)さくらの森がLTV・CVRを向上させた事例

健康食品や化粧品の通信販売サイト「さくらの森」を運営するサクラフォレスト株式会社では、顧客基盤強化のために、決済方法の拡大を実施しました。

高いユーザビリティと知名度を誇るAmazon Payを導入した結果、商品をカートに入れてから購入するまでのCVR(コンバージョン率)の向上に成功しています。CVRはAmazon Payが最も高く、40%と他の決済方法を約1.3倍上回る結果でした。

LTVもクレジットカードと同程度の高水準です。また、顧客がAmazon Payを利用する割合は、クレジットカードより20%高い結果となりました。

(4)ニコリオが商品開発とクロスセル施策を行った事例

健康食品や化粧品の通信販売サイト「ニコリオ」を運営する株式会社ニコリオでは、クロスセルによるLTV向上を目指し、クロスセル用の商品を開発しました。

学術データを用いてセット購入のメリットを示したことが、顧客の納得感を引き出しています。また、レコメンド機能を導入したことで、クロスセルの自動化も実現。結果として、LTV向上に成功しています。

(5)KIRIN Home Tapがサブスクリプションを取り入れた事例

キリンビール株式会社が提供する、「KIRIN Home Tap」は、サービス開始以来、高い人気を誇るサブスクリプションサービスです。利用者の「家でも新鮮で美味しいビールを飲みたい」というニーズを理解し、実施したマーケティング施策が本サービスです。

季節限定ビールや人気クラフトビールなど、飽きのこないラインナップと特別感を顧客へアピールしながら、サブスクリプション契約の拡大を図りました。サブスクリプションサービスの成功によって、継続的な利用と安定した売上が見込めるようになり、LTVも向上しています。

LTV分析に役立つおすすめツール

顧客との関係性を可視化するためには、多岐にわたるデータが必要です。ここからは、LTV分析に役立つツール3つを見ていきましょう。

CRM(顧客管理システム)

CRMは、顧客に関する基本情報から購買データまでを一元管理できるシステムです。購買行動の傾向や好みを分析することで、ベストなタイミングでプロモーションやアフターフォローを実施できるため、顧客ロイヤリティ向上に大きく貢献します。

また、新商品や新サービスの開発においても、過去の売上動向などから顧客の好みや購入傾向を分析できるため、顧客にとって魅力的な商品づくりが図りやすくなります。このように、顧客管理と商品開発の間で好循環が生まれやすい点も、CRM導入におけるメリットといえるでしょう。

MAツール(マーケティングオートメーション)

MAは、顧客情報をもとにパーソナライズされたマーケティング施策の実行を、自動的かつ効率的に支援するシステムですCRMが顧客情報の一元管理を目的としたシステムであるのに対し、MAは顧客との継続的な関係構築を図ることを目的としたシステムです。

顧客情報の収集・管理から、見込み客の育成と収益化、マーケティング施策の分析など、これまでマーケターの手でおこなわれていた作業を、MAの活用によってシステム化・自動化できます。

チャットボットツール

チャットボットは、ロボットと対話するコミュニケーションツールのことです。AI(人工知能)タイプと、シナリオタイプに分けられます。

AIタイプは、AppleのSiriや、AmazonのAlexaがその代表で、会話を繰り返すごとに学習していくため、高度な情報提供や自然な会話が得意なタイプです。一方シナリオタイプは、定型化された問答に対する素早い応答を得意としています。

情報の蓄積が容易であるため、顧客から問い合わせの多かった内容や、離脱に繋がりそうなクレームの情報収集に最適です。単なる問い合わせ窓口としてだけではなく、LTV分析に必要な情報を集めるツールとしてもチャットボットは役立ちます。

LTVを意識してロイヤリティの高い顧客の増加へ

顧客と経営の関係性を可視化できるLTV分析では、マーケティングにおける課題の発見や、自社のホットユーザーを見つけるのに効果的なアプローチ方法です。

基本的なLTVは「平均購買単価×購買頻度×継続購買期間」で算出可能ですが、企業のビジネスモデルなどに応じて、計算に用いる指標を変えてLTV分析する必要があります。

LTV分析への理解を深め、自社のマーケティングへの活用を図っていきましょう。

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