ダイバーシティ採用とは?実施するメリットや採用活動のポイントを解説

2022/8/16 2022/08/16

ダイバーシティ

多様な人材が働くオフィス・ダイバーシティ

近年積極的に推進されているダイバーシティ採用。ダイバーシティ実現のために取り入れている企業が増加していますが、果たしてどのようなメリットがあるのでしょうか。本記事では、そんなダイバーシティ採用について、メリットや採用活動のポイントなど詳しく解説していきます。

ダイバーシティ採用とは?

ダイバーシティ採用とは性別・年齢・国籍など、個人が持つ特定の属性に偏見や先入観を持たず、様々な属性を認めて多様な人材を獲得する採用方法です。人材の多様性を重視した採用活動を展開し、新たな発想の創出や組織の活性化を目指します。

かつては、社風や従業員との相性を重視した採用活動を展開する企業がほとんどでした。似たような価値観を持つ人材が集まると、スムーズなコミュニケーションが望めます。

しかし、同じような視点で意見を述べるため、抜本的な組織改革や新たなビジネスモデルの創出につながる斬新な意見が出にくいのが難点です。

そこで、組織内の活性化に向け、様々なポテンシャルを持つ人材を高く評価する、ダイバーシティ採用を重視する企業が増えつつあります。

ダイバーシティ採用の主な種類

ダイバーシティ採用は、デモグラフィー型・タスク型・オピニオン型の3種類が存在します。下記の表に概要や特徴をまとめました。

表:ダイバーシティの比較

デモグラフィー型(表層的ダイバーシティ) タスク型(深層的ダイバーシティ) オピニオン型ダイバーシティ
概要
  • 性別、人種、国籍など、外面的な多様性を認める
  • 能力、経験、パーソナリティなど、後天的な要素を重視する
  • 組織環境の柔軟性や多様性を指す
メリット
  • 企業として取り組みやすい
  • 新たな企業ブランドの創出につながる
  • 組織を活性化しやすい
  • 従業員のモチベーションアップ
  • 意見を自由に主張できる環境を作れれば、ダイバーシティに富んだ組織と証明できる
  • 多彩なアイデアの創出が期待できる
  • スムーズなコミュニケーションが望める
課題
  • 社員の多様化が目的になり、組織の活性化につながっていない
  • 従業員の個性を活かせる職場環境の整備が難しい
  • 組織に馴染めず、退職するケースも多い
  • デモグラフィー型より難易度が高い
  • 成果が出るまで時間が掛かる
  • 組織内の多様性が乏しい場合、デモグラフィー型やタスク型に挑戦できない
  • 互いを尊重する意識や配慮の徹底が必要になる
特徴や事例
  • 男女の雇用機会を均等にする
  • 年功序列制を廃止し、成果重視の評価体制を確立する
  • 外国人の雇用を積極的に行う
  • 多様なバックグラウンドを認め合う企業文化を作る
  • 従業員同士が自由に自らの意見を主張できる環境を指す

組織内で多様な人材を認める文化が形成されない限り、デモグラフィー型やタスク型の実現は、難しくなります。また、オピニオン型やタスク型は目に見えない企業文化の育成を目的としており、達成するまで時間が必要です。

ダイバーシティ採用の具体的な取り組み

ダイバーシティ採用を積極的に推進している企業として、Googleと資生堂の例を紹介します。

<Googleの事例>

Googleの事例は、脳や神経系の個性に注目した「ニューロ・ダイバーシティ」実現に向けた取り組みです。自閉症の方を対象にしたキャリアプログラムを提供しています。

自閉症の方が持つ優れた才能を活かすため、特性に応じた採用プロセスやポジションを用意。ダイバーシティ採用の効率化と優秀なスキルを持つ人材獲得を実現しています。

採用プロセスでは書面面接・対面面接時の時間延長・質問内容の情報提供など、個人に合った柔軟な対応を行っているため、偏見や誤解による人材の取り逃がしを防ぐことが可能です。

また、最大500人の管理職や採用担当者を対象に、自閉症に関する理解向上に向けたトレーニングを実施しています。

Googleはスタンフォード大学と協力しながら、自閉症を抱える方にとって働きやすい職場環境の整備に努めており、今後どのような結果が得られるかに注目が集まっています。

<資生堂の事例>

一方、資生堂の事例は、女性従業員のキャリアアップ支援です。特に女性管理職の育成に注力しており、優秀な女性従業員を対象にリーダーシップやマネジメントスキルを磨くプログラムを用意しています。

また、事業所内保育園の設置・保育料の補助金増額・子どもの看護休暇制度の設立などを行い、仕事と育児を両立可能な環境整備を進めてきました。

さらに、2020年からはハイブリッドワークを導入し、リモートワークとオフィスワークを使い分けられる体制を整え、ワークライフバランス改善や業務のスピードアップを実現しています。

様々な取り組みを行ってきた結果、資生堂国内グループの女性管理職比率は2021年1月時点で34.1%に達し、国内平均の8.9%を大幅に上回りました。また、産休・育休後の職場復帰率も94.1%と高く、優秀な人材の流出防止に成功しています。

ダイバーシティ採用が必要とされている背景

ダイバーシティ採用への注目度が高まっている背景には、以下3点の理由が挙げられます。

  • 慢性的な人材不足
  • グローバル化
  • 働き方の多様化

働き方の多様化や少子高齢化の影響で、慢性的な人材不足に苦しんでいる企業が増えています。優秀な人材を獲得するためには、異なる価値観を認め合う企業文化を作り、働きやすい環境を整備することが重要です。

慢性的な人材不足

労働人口の減少によって、多くの企業が慢性的な人材不足に悩まされています。パーソル研究所の調査では、2025年に505万人、2030年には644万人の労働人口が不足すると算出しています。

労働人口が減っている原因は少子高齢化に加え、労働条件の偏りが挙げられます。給与水準が高く、手厚い福利厚生が望める優良企業へ応募が集中しているのが現状です。

長時間労働や給与の頭打ちが長く続いている現状もあり、魅力的な労働条件を提示している企業に応募が集中するのは、当然の心理でしょう。

結果として、高待遇を保証できる一部の企業で優秀な人材を奪い合う形となり、資金難に苦しむ中小企業は慢性的な人材不足に悩まされる状態が続いています。ダイバーシティ採用の推進によって、人材不足解消に良い影響を与えることが期待されています。

[出典:株式会社パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計 2030」]

グローバル化

日本国内と比べて数十倍の市場規模があるため、売上拡大を目指して海外進出を行う企業が増加しています。現地の文化やニーズに合わせたサービスを展開するためにも、現地の言語を操る従業員が必要です。

また、インバウンド需要や外国人労働者の受け入れに対応するためにも、ダイバーシティ採用の推進が重要なカギとなります。多様な言語・価値観・文化を想定した柔軟な対応ができると、訪日観光客の満足度を高められ、売上拡大や企業認知度向上が望めるでしょう。

そして、様々なバックグラウンドを認め合う企業文化を作れれば、国籍を問わず働きやすい職場環境を確立でき、労働力不足解消や定着率向上につながります。

働き方の多様化

近年はワークライフバランスを重視して育児と仕事の両立を望む人が増えており、企業は多様化する働き方に対応する必要があります。特に在宅勤務やクラウドソーシングの普及もあり、フリーランスへ転身する人がここ数年増加しています。

ランサーズが行った調査によると、2021年時点での国内のフリーランス人口は1,577万人。1,118万人だった2018年時点と比べると、3年で450万人以上増加しています。

フリーランスは場所や時間に囚われない自由な働き方を実現できるだけでなく、人間関係や通勤のストレスからも解放されます。オンライン上で完結できる案件も多く、育児を続けながら働ける点もメリットです。

今後もフリーランス人口の増加が予想されており、企業は人材不足に悩まされるリスクが増大します。ダイバーシティ採用の推進によって、一人ひとりの価値観やライフスタイルに応じた職場環境を用意できれば、優秀な人材の流出を防げるでしょう。

[出典:ランサーズ株式会社「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」]

ダイバーシティ採用を実施するメリット

ダイバーシティ採用の実施で得られるメリットは以下の4点です。

  • 多様な価値観によるアイデアや想像力
  • 優秀な人材の確保
  • 離職率の低下
  • 企業価値の向上

それぞれ内容をみていきましょう。

多様な価値観によるアイデアや想像力

ダイバーシティ採用の導入によって、様々な価値観やライフスタイルを持つ人たちが集まると、新たなアイデアの創出が期待できます。例えば、外国人労働者を積極的に採用した場合、日本人とは異なる視点から商品やサービスに関する意見をもらえるでしょう。

従業員間でのコミュニケーションの質が高まり、新たな商品やビジネスモデルの創出につながる企画の発案なども期待できます。

優秀な人材の確保

ダイバーシティ採用では、従来の採用基準では採用候補に挙がらなかった人材を採用できる可能性があります。結果として、優れたスキルや豊富な知識を持つ人材の取り逃がしを防げます。

例えば、中国への進出を検討している企業を例に出してみましょう。中国語と日本語が堪能な外国人労働者を国内外で採用できれば、現地の人とのスムーズなコミュニケーションが望めます。

また、中国文化や現地のニーズを他の従業員が理解しやすくなり、海外での売上拡大を効率よく実現することが可能です。そして、他の地域へ進出する際にも、成功例のサンプルとして事例を活用でき、どのような準備を進めるべきかを事前に把握できます。

離職率の低下

従業員一人ひとりのライフスタイルや価値観に応じた働き方を実現できると、従業員のモチベーションが高まり、業務効率改善や成果物の品質向上が期待できます。また、エンゲージメントも高まり、早期離職や結婚・出産に伴う女性従業員の退職を防ぐことが可能です。

長く在籍する従業員が増えるほど、仕事で培ってきたノウハウやスキルの伝承が望め、安定した企業経営につなげられます。

企業価値の向上

ダイバーシティ採用の導入によって、人材の多様化や職場環境の整備に注力している印象を与えられると、企業のイメージアップを図れます。「先進的な取り組みを行う企業」とのイメージを印象付けられ、市場での優位性獲得やリピート率向上が期待できます。

また、多様な働き方が望めるホワイト企業との印象も与えられ、学生やビジネスマンから多くの求人応募を獲得できるかもしれません。応募数の増加によって、優秀な人材を獲得できる機会も増加します。

ダイバーシティ採用を実施する際のポイント

ダイバーシティ採用を行う上で重要なポイントは以下の5点です。

  • 無意識の偏見を排除する
  • ダイバーシティへの理解を社員に広める
  • 人事制度を整備する
  • 採用管理システムを導入する
  • 具体的な数値目標を決める

無意識の偏見を排除する

性別・国籍・ライフスタイルなど、様々な属性から連想される無意識の偏見や固定観念は捨てることが重要です。求職者との面接を担当する経営層や管理職が、主観的な感情で合否を判断すると、相手のスキルや経験を正当に評価できなくなります。

優秀な人材を取り逃がすだけでなく、多様性の受容には程遠い結果となります。客観的な評価を下すためにも、事前に採用基準を明確化しておき、求職者が採用基準の各項目をどれだけ満たしているかを合否の判断材料とするとよいでしょう。

ダイバーシティへの理解を社員に広める

ダイバーシティ採用を導入する前に、ダイバーシティの概要やメリットなどを理解する場を設けることが大切です。従業員の合意を得ずにダイバーシティ採用を導入した場合、言語や価値観の違いから、仕事を教える担当者の業務負担が増える結果となります。

従業員からの不満が高まれば、仕事へのモチベーションダウンや離職率向上に発展します。業務効率悪化やエンゲージメント低下を回避するためにも、従業員へダイバーシティ採用に関する説明会などを開催しましょう。

人事制度を整備する

働き方の多様化に対応するためにも、労働時間の長さや雇用形態の違いによって理不尽な格差が生まれないよう、人事制度を整備する必要があります。

成果の質を重視する評価方針を明確化し、就業中での集中力向上や残業時間削減を目指します。併せてフレックスタイム制を導入すれば、従業員が仕事の進捗具合や予定に合わせて労働時間を調整することが可能です。

そして、正社員と短時間勤務労働者が同じ内容の仕事をしている場合、雇用形態の差によって賃金や福利厚生で格差が生まれないよう、同一労働同一賃金の導入を進めましょう。

採用管理システムを導入する

ダイバーシティ採用を効率的に進めるため、採用管理システムを導入するのも一つの選択肢です。採用管理システムは求職者情報・選考スケジュール・担当者からの評価など、採用活動全般に必要な情報を一元管理できるシステムです。

さらに、書類選考・面接・内定者フォローなど、採用業務のタスク管理も行えるため、対応漏れのリスクを最小限に抑えられます。採用管理システムの導入によって採用業務を効率化し、業務負担削減とコア業務へのリソース最大化を実現できます。

具体的な数値目標を決める

採用人数や女性管理職の割合など、達成目標に関して具体的な数値を設定するのも重要なポイントです。数値を設定することで、組織全体が目標をイメージしやすくなります。

例えば、国内企業で外国人労働者の割合を10年後までに50%にすると掲げた場合、どのような採用戦略・人事制度・勤務形態を導入するべきか、準備内容が明確になります。

ダイバーシティ採用で多様な人材が活躍できる環境を

本記事では以下の4点について解説しました。

  • ダイバーシティ採用の概要
  • 必要とされている背景
  • 実施するメリット
  • 成功させるためのポイント

かつてと違い、従業員の企業への帰属意識は薄れており、転職やフリーランスになる人が増えているのが現状です。ダイバーシティ採用を導入すれば、慢性的な人手不足の解消が期待できます。さらに働き方の多様化にも対応しやすくなるでしょう。

初めてのダイバーシティ採用で迷った場合は、本記事で挙げたポイントや成功例を参考に、準備を進めてみてください。

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