企業のダイバーシティ推進取り組み事例8選!見本から学ぶ成功の秘訣

記事更新日:2022/07/25

ダイバーシティ

ダイバーシティの取り組み事例

グローバル化や労働人口の減少などに伴い、ダイバーシティを経営に取り入れることの重要性が増しています。しかし、推進方法が分からないという方も多いのが現状です。そこで本記事では、ダイバーシティ経営の取り組み事例を8つ紹介していきます。成功の秘訣も解説するので、参考にしてみてください。

ダイバーシティとは?

ダイバーシティとは、「多様性」や「相違点」などのことで、ビジネスシーンにおいては多様な人材を活かすことをいいます。具体的には、性別、人種、年齢、宗教、職歴、ジェンダーなど、さまざまな属性を持つ多様な人材を認めることです。

ダイバーシティを推進することでこれまで採用してこなかった人材を活用し、組織全体の競争力を高め、成長や発展を目指します。日本でも、多くの企業がダイバーシティの推進に取り組んでいます。

ダイバーシティは、「表層的ダイバーシティ」と「深層的ダイバーシティ」の2種に分けられます。前者は、人種・年齢・障がいなど外面から識別しやすい特性で、後者は宗教・学歴・職歴など、内面的な特性を持ちます。

ダイバーシティが注目されている背景

ダイバーシティは、企業経営において、なぜこれほどまで注目されるようになったのでしょうか。ここでは、その背景について解説します。

労働人口の減少

近年日本では、少子高齢化に伴う労働人口の減少が大きな課題となっています。

これを受けて企業においては、労働者不足により事業の継続が困難になることも考えられるため、ダイバーシティの考え方に基づいて女性や高齢者、さらには外国人といった多様な人材の確保が重要視されています。

ビジネスのグローバル化

近年、ビジネスのグローバル化が急速に進み、日本企業においても事業を通じて国や地域を越えた海外とのやりとりも活発化しています。

また、海外市場のあらゆるニーズに応えられる商品の開発や新規事業の創出などには、海外における多様な価値観が求められます。

そこで、企業各社はグローバル化に対応するためにダイバーシティを推進し、異なる国籍や人種、多様な視点を持つ人材の採用に注力しています。

価値観の多様化

テレワークや副業などに代表されるように、働き方に対する価値観は時代とともに大きく変化しました。また若年層では、企業に対する帰属意識の希薄化やワークライフバランス重視の働き方など、価値観がさらに多様化しています。

企業では、このような働き方に対する多様な価値観を持つ人材を取り込みながら、ダイバーシティ経営を積極的に実践しています。

企業のダイバーシティ推進の取り組み事例8選

各企業は、どのようにダイバーシティの推進に取り組んでいるのでしょうか。ここでは、先行事例を8つ紹介します。

事例1.パナソニックグループ

持ち株会社のパナソニックHDや大手電機メーカーのパナソニック株式会社など8つの事業会社を傘下に持つ「パナソニックグループ」では、挑戦する個人や組織における、成功の実現に向けてダイバーシティを推進しています。

具体的には、女性社員を対象に「キャリアストレッチセミナー」とよばれるマネジメントスキルの向上を目的とした研修を実施したり、短時間勤務で育児や介護と仕事の両立を図るための「ワーク&ライフサポート勤務」を導入したりしています。

これにより、女性管理職の増加や迅速な顧客対応の実現に成功しています。

事例2.株式会社小金井精機製作所

自動車や航空機のエンジン部品を製造している「株式会社小金井精機製作所」では、若手技術者の不足が問題視されていたため、海外における優秀な技術者の採用を実施しました。

長期にわたってベトナムの大学における新卒学生を採用し、異国での労働に配慮して配偶者の採用にも取り組みました。

2016年には、精密加工に従事する社員の約1割をベトナム人技術者が占め、中堅技術者も増えたことにより企業の売上を牽引する存在にまで成長しました。同社ではこの経験を活かし、直近ではロシア人留学生を技術者として採用しています。

事例3.エーザイ株式会社

大手製薬会社である「エーザイ株式会社」では、シェアオフィスやワーケーションなどを活用した働き方の多様化を推進し、社員の意識改革を積極的に行っています。

また、管理職向けにイクボス(同僚や部下の育児や介護などに配慮し理解のある上司)や育児支援に関する研修を実施し、社員一人ひとりが育休や産休を取得しやすい職場の環境づくりを進めています。

事例4.株式会社吉村

日本茶の包装素材メーカーである「株式会社吉村」では、ペットボトル飲料の普及により業績不振に陥っていたため、新商品のパッケージや小売店におけるマーケティングの見直しを実施しました。

ターゲットとなる主婦層のニーズをつかむため「ブランドオーナー」という役職を設置し、ブランドオーナーに社員の業務を分担する裁量を持たせ、子育て中などで短時間勤務の女性スタッフも企画・提案ができる環境を整備しました。

これにより「急須代わりになるワインボトル型のガラス茶器」など、従来の事業形態では生まれることのなかったであろう商品が誕生しました。

事例5.日産自動車株式会社

大手自動車メーカーである「日産自動車株式会社」では、1999年にフランスのルノー社と提携したことをきっかけに、課題であった社内における女性管理職層の拡大に着手しました。

具体的には、「メンター・キャリアアドバイザー」を配置し、管理職候補である女性社員を対象に心理的サポートなどができる体制を整えました。

また、自動車購入におけるキーパーソンの約6割が女性であることに着目し、女性顧客のニーズを商品開発に反映させる取り組みにも注力しています。

結果、女性社員が商品企画責任者となった「ノート」が生まれ、現在では同社の主力車種の一つに成長しています。

事例6.株式会社ZOZO(旧スタートトゥデイ)

インターネットショッピングサイト「ZOZOTOWN」などを運営する「株式会社ZOZO(旧スタートトゥデイ)」では、ワークライフバランスの充実とそれに伴う企業の活性化を狙って「6時間労働制」を実施しました。

顧客対応やシステム構築といった業務の大半を自社で行っている利点を活かして、社内に朝9時から午後3時までの「6時間労働制」を取り入れたことにより、たとえば育児中の女性社員でも時短勤務や早退する必要がなくなりました。

また、6時間労働制で生まれた時間を使って自発的に手話を習っている社員も多く、積極的に雇用している障がい者に対するコミュニケーションやフォロー体制も確立されています。

事例7.コクヨ株式会社

文房具メーカーの「コクヨ株式会社」は、以前から積極的に障がい者を雇用していました。しかし、2003年に「障がい者が意欲的に働ける場」として設立された特例子会社の「コクヨKハート株式会社」では、採用した人材をうまく活用できずにいました。

そこでコクヨ株式会社では、既存事業のノウハウを持つシニア層の社員や、商品開発職の社員を指導担当として「コクヨKハート株式会社」に出向させ、フォロー体制を整備しました。

これによりグループ会社における業務の細分化に成功し、障がい者社員が取り組む業務の選択肢も増加しました。

事例8.株式会社高齢社

人材派遣会社の「株式会社高齢社」は、登録資格のある年齢が60〜75歳で派遣社員は定年なしというユニークな企業です。

同社では、一つの業務を2〜3人で曜日を分けて行う「ワークシェアリング」を推進しており、高齢の登録者における健康面に配慮し、柔軟な働き方を推進しています。

また、派遣先の顧客満足度向上を目的としたマナー研修を社内で実施し、登録者が派遣先で円滑なコミュニケーションを図るための取り組みも進められています。

ダイバーシティ推進の取り組み事例から学ぶ成功の秘訣

ここではこれまでに紹介した取り組み事例から学べる、ダイバーシティ推進における成功の秘訣について解説します。

個々の意見を尊重する

ダイバーシティの推進を成功させるためには、企業は社員一人ひとりの意見を尊重し、積極的に採用することが重要になります。

社員が自分の意見を主張しやすい環境を作るためには、相談フォームの開設やチャットツールの活用といった仕組みを導入するなどの工夫が欠かせません。

多様性への理解を深める

ダイバーシティの推進には、多様性への理解を深めることが必要不可欠です。

企業のトップは、なぜダイバーシティに取り組むのか、目的や狙いなどについて明確なメッセージを発信する必要があります。

繰り返しメッセージを発信することで、経営層のみならず、社員一人ひとりが多様な働き方や人材に対する相互理解を深めることにつながります。

アンコンシャス・バイアスに気づく

個々の社員が、自身に存在するアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見、無意識バイアス)に気づくことは、ダイバーシティ推進における最低条件と言えるでしょう。

ダイバーシティの推進においては、性別や年齢、国籍といった属性ではなく、社員一人ひとりの思想や働き方などに寄り添う姿勢が大切です。

公正な評価制度を設ける

公正な評価制度を設けることで、多様な人材が働きやすい環境を整備できます。

テレワークやワーケーション、サテライトオフィスの活用など多様な働き方に対しても公平・公正な評価ができるように、明確な評価基準や人事制度の設定が望まれます。

客観的で納得感のある評価項目を設定できる、人事評価システムの導入などを検討してみても良いでしょう。

円滑なコミュニケーションを実現する

ダイバーシティ推進には、社内における円滑なコミュニケーションの実現は欠かせません。

縦割りの組織形態を防止するための複数の組織にまたがるプロジェクトや、役職にとらわれない意見交換の場としてオフサイトミーティングを取り入れるなど、組織の円滑なコミュニケーションの実現に向けた取り組みを心がけましょう。

積極的に社内で情報発信や情報共有を行う

ダイバーシティの推進においては、社内で積極的な情報発信や情報の共有をしましょう。

たとえば成果に対して経営陣がフィードバックすれば、それをもとに社員との情報共有ができるため今後の業務改善に活かせます。他にも、社内における表彰制度や広報システムを活用して情報を共有するのも効果的です。

ダイバーシティ推進の取り組み事例を参考に第一歩を

今回は、ダイバーシティの推進に関する企業事例と、そこから学べる成功の秘訣について解説しました。

ビジネスシーンにおけるダイバーシティとは、多様な人材を活かすことをいいます。国内における労働人口の減少やビジネスのグローバル化などにより、日本企業でもダイバーシティの推進が進められています。

企業がダイバーシティ経営を成功させる秘訣は、社員一人ひとりの意見や働き方を尊重し、それらに対応できる勤務形態や公正な評価制度の導入などです。

ダイバーシティの推進に向けて、まずは社内における円滑なコミュニケーションの実現に向けて、経営陣を筆頭に社員一人ひとりの意識改革から始めてみましょう。

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