ワールドカフェとは?やり方やメリット・デメリット、実践例を解説

最終更新日時:2023/06/15

ダイバーシティ

ワールドカフェとは

目標や方針を決める際には、会議が重要です。会議と聞くと堅苦しい印象ですが、リラックスした空間で話し合うワールドカフェという手法もあります。本記事では、ワールドカフェとはどのような手法か、メリットから進め方や実践事例まで分かりやすく解説します。

ワールドカフェとは?

ワールドカフェとは、カフェにいるかのようなリラックスした空間で会議を行うことです。堅苦しい雰囲気を払拭することで発言しやすい雰囲気を醸成し、創造的かつ画期的なアイデアを生み出せる手法として活用されています。

なお、カフェのようなオープンな空間を演出することが大切です。テーブルも1つではなく複数用意し、テーブルごとに4人程度の少人数で話し合います。コーヒーやおやつを食べながら実施することで、リラックスした空気を作り出せます。

また、年齢や役職に関係なく誰もが発言しやすく、相手の意見を聞きやすい空間であることもワールドカフェが持つ特徴といえます。

ワールドカフェの由来

ワールドカフェは、1995年にアメリカのアニータ・ブラウン氏とデイビッド・アイザックス氏によって提唱されたものです。

ある日、2人は複数人の経営者を招待し、「知的資本」について中庭で会議を行う予定でしたが、雨が降ってきたため室内開催に変更しました。

雰囲気づくりに悩んだ結果、「全員が集まるまでは、コーヒーでも飲んで待ってもらおう」とカフェのような空間を用意したところ、アイデアが広がり、意見が活発化しました。このことがきっかけとなり、ワールドカフェという手法が生まれたのです。

ワールドカフェの目的

ワールドカフェは対話やコミュニケーションの手法の1つといっても、課題を解決することが目的ではありません。ワールドカフェの最大の目的は、新たな気づきを得ることです。これには、知識や参加者同士の理解を深めることも含まれています。

ワールドカフェでは各テーブルに少人数で集まるため、全員での意思疎通が図りやすく、発言が増えることも期待できます。結果として、コミュニケーションの活発化と多彩なアイデアの創出などが期待できるのです。

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ワールドカフェを行うメリット

ワールドカフェを実施することで得られるメリットを3つご紹介します。

話し合いの中で発言しやすい

少人数で集まり話し合うため、発言がしやすく、1人あたりの発言機会が増えるでしょう。一般的な会議では参加者全員が発言することはほとんどありません。なぜなら、堅苦しい雰囲気の中、大人数の前で発言するというプレッシャーを感じる人もいるためです。

ワールドカフェならば全体の参加者が増えても、グループを増やせば少人数で集まることができるため、発言のしやすさが低下する恐れもほとんどないといえます。

複数の意見をシェアできる

ワールドカフェでは、各グループが少人数で話し合いを行い、その後ラウンドごとに定期的にメンバーを入れ替えます。そのため、様々な参加者の多様な意見が1つのテーブルに集まってきます。

結果として、参加者全員と意見をシェアしているような効果を発揮できるのです。

事前準備が不要で手軽に行える

ワールドカフェは資料やプレゼンの準備を行う必要がなく、実施までに時間や手間はかかりません。

アイデアを出しをラフに行ったり、話し合いをしたりする場なので会場や飲食物を用意しておくだけで手軽に実施することができます。

そのため、開催する側にとっての負担がなく、最低限の準備だけをしておくだけで済むのは大きなメリットと言えるでしょう。

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ワールドカフェにより生じるデメリット

手軽に話し合いができて意見を出しやすいなど、様々なメリットのあるワールドカフェですが、一方でデメリットがあるのも事実です。

意見がまとまりにくい

ワールドカフェでは知識や理解を深め、価値観の共有を意識することが目的であるため、結論をまとめる・意見がまとめるなどが困難な傾向があります。

そのため、結論までしっかりとまとめたいのであればワールドカフェでアイデア出しをした後に、別途本会議の時間を設けるようにしましょう。

テーマから脱線しやすい

リラックスできる空間かつ自由に発言できる雰囲気があることから、設定されたテーマから脱線しやすく、何をテーマに話せばよいか分からなくなることもあるでしょう。

そのため、各グループにホストを設け、参加者の発言をチェックすることも大切です。テーマからずれそうになった場合は、その都度軌道修正を行いましょう。

ワールドカフェの進め方

ワールドカフェには、明確なマニュアルがあるわけではありません。ただし、全体の流れを把握しなければ、効果的なワールドカフェを実施できない可能性があります。そこで、ワールドカフェの進め方について、一般的な流れを解説します。

話し合いの目的を確認する

まず、ワールドカフェを実施する目的を明確にしましょう。ワールドカフェは結論を求めず、アイデアを出し合うことや知識・理解を深めることが目的ということを再確認することが大切です。

また、話し合うテーマがなければ円滑に話が進みません。ワールドカフェを実施する際は、必ず全体で話すテーマを設定しましょう。

話し合うための会場を手配する

ワールドカフェは、参加者たちがリラックスできるカフェのような空間づくりを心がけましょう。また、少人数のグループを複数作り、定期的にメンバーを入れ替えることから、会場は参加人数に対し余裕を持った広さがあるとよいでしょう。

空間づくりや参加人数を考慮しつつ、会場選びは慎重に行う必要があります。

メンバーを集める

メンバーを集める際、役職や部署に関係なくメンバーを集めることが重要です。多様なメンバーを集めることで、より多くの意見を共有できるでしょう。

なお、話し合うためには最低でも4名以上のメンバーを集めることが必須です。

実際に会話を行う

目的・会場・メンバーが揃ったら、実際に対話を行いましょう。様々な意見を全体で共有するためにも、定期的にグループメンバーを入れ替えることが大切です。複数回メンバーを入れ替えたら、最初のグループに戻り、各グループで得た意見を共有します。

司会進行役やタイムキーパーを設定しておくと、効率よく話し合いを進められるかもしれません。また、話し手が目印として持つ、「トーキングオブジェクト」を用意するのも効果的です。誰が話しているかが明確になり、聞き手もしっかりと傾聴できるようになるでしょう。

全体で情報を共有する

ワールドカフェでの話し合いが完了したら、グループごとに参加者の意見や発言を全体で共有しましょう。グループ内の意見やアイデアを共有することにより、新たな発見につながります。

なお、発表する際に緊張してしまう参加者もいるため、緊張しないような和やかな雰囲氣作りが大切です。

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ワールドカフェを行う際の注意点

ワールドカフェを行う際、以下の3点に注意しましょう。

適した人数で行う

ワールドカフェでは、各グループの人数に注意しなければなりません。1つのグループの理想は4人、最大でも5人までにしましょう。6人以上になると、1人あたりの発言の機会が減ったり発言時間が短くなったりするなど、なかなか発言できない参加者は消化不良で終わってしまいます。

そのため、適切な人数でグループを構成し、参加者全員が発言したい内容を最後まで話せる場を作るように意識しましょう。

全体で目的の認識を合わせる

ワールドカフェ自体の目的や、実施する際のテーマを全体で共有しておくことが重要です。定期的にグループメンバーを入れ替えるため、目的やテーマの認識にずれがあると、何を話せばよいか分からなくなる参加者が出てくる可能性も考えられます。

また、ワールドカフェの目的を理解していない参加者は、結論を出す方向に議論を進めていくかもしれません。そのため、アイデアを出すことや知識や理解を深めること、価値観の共有など、ワールドカフェの目的を事前に全体で再確認しておきましょう。

リラックスできる空間をつくる

ワールドカフェは一般的な会議とは異なり、リラックスした空間で話し合うことが重視されます。そのため、参加者が気軽に意見を交換できる空間とはどのようなものかを考えて会場を準備しましょう。

例としては、「会場をカフェ風に装飾する」「各テーブルに飲み物やお菓子を準備する」などが挙げられます。

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ワールドカフェを実践した事例

実際にワールドカフェを実施した自治体や企業をいくつかご紹介します。

自治体の事例

まずは自治体におけるワールドカフェの実践例について紹介していきます。

北海道函館市

北海道函館市では、「市職員ワールドカフェ」を開催し、函館市の未来について話し合いました。各テーブルには白い模造紙とカラフルなペンを準備し、模造紙の真ん中に「未来の函館」と記載し、函館市の特徴や自分たちにできることなどを書き出していきました。

千葉県柏市

千葉県柏市では「柏市職員ワールドカフェ」として407名もの参加者を集め、将来のまちづくりについてのワールドカフェを開催しました。まちづくりという大きなテーマから、健康・福祉や子育て、環境、防犯など、様々な側面からの意見が出たそうです。

神奈川県横浜市

神奈川県横浜市では職員だけでなく、地域住民も参加する大規模なワールドカフェ「イマジン・ヨコハマ」が開催されました。目的としては、「横浜市への愛着を深める」「地域活動への参加促進」「横浜市の魅力発信」などが挙げられます。

イマジン・ヨコハマには約500人もの参加者が集まりました。その後、このイベントをきっかけとして、自発的にワールドカフェを開催する動きも生まれたそうです。

企業の事例

次に企業におけるワールドカフェの事例について紹介していきます。

日立グループ

日立グループでは、社員がさまざまな価値を自由に生み出すことを目的としてワールドカフェを開催しました。グローバル化や顧客の多様化に対応するためにも、社内の多様化も浸透させていかなければならないと考えたのです。

社内だけでなく、関西電力・コベルコシステム・りそなホールディングスの3社と合同でワールドカフェを開催することもありました。そして、ワールドカフェによって社員同士の理解が深まり、社内の風通しがよくなったことから、課題解決力や柔軟性が向上したという効果が出ています。

パナソニック電工

パナソニック電工(現パナソニック)インフォメーションシステムズでは、コスト削減をテーマにワールドカフェを開催しました。このワールドカフェで特徴的だったのは、話し合う際には「成果」という言葉を使用させなかったことです。そのかわり「楽しく」という言葉を使うようにしたことで、発想の自由度を高めました。

ワールドカフェとはリラックスした空間で話し合う手法

ワールドカフェは、参加者が発言しやすく、新たなアイデアが生まれやすい話し合いの手法といえます。話し合いを行う際、会議のような堅苦しい雰囲気では発言しにくい社員もいるかもしれません。

そのため、結論を求めず、様々な意見交換を目的とする場合は、ワールドカフェを活用するとよいでしょう。

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