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スタートアップの資金調達方法!事例やラウンド・成長フェーズ別に紹介

2024/05/29 2024/07/23

ファクタリング・資金調達

スタートアップの資金調達

経済の成長や雇用の創出に大きな役割を果たしている「スタートアップ」。スタートアップ企業は政府によっても後押しされていますが、実際にスタートアップ企業が成長し発展するためには各フェーズに合わせた資金調達が重要です。本記事では、スタートアップの資金調達方法について詳しく解説します。

資金調達とは?

資金調達とは、企業が新しい事業やプロジェクト、または日常的な運営資金のために必要な資金を外部から集めることを指します。特にスタートアップにとっては、資金調達がうまくいくかどうかは、事業の成功を左右するといえるでしょう。

資金を調達する方法は多岐にわたり、具体的には銀行からの借り入れ、投資家からの出資、またはクラウドファンディングなどが挙げられます。企業は資金調達のプロセスを経ることで、成長のためのステップを踏み出すことができるのです。

つまり、資金調達の方法や注意点を理解することは、事業を拡大し、新しい機会を探求するために欠かせないといえます。

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スタートアップの資金調達方法とは?

スタートアップが成長を加速するための資金調達には、さまざまな方法が存在します。ここでは、具体的にどのような方法があるのかを紹介します。

アセットファイナンス

アセットファイナンスとは、企業が所有する有形・無形の資産を資金化する方法です。

この方法では、機械や設備、不動産などを有形資産として担保に使用できます。無形資産としては、売掛債権や金融資産、知的財産権などが対象となります。

アセットファイナンスの大きなメリットは、資産を活用しながら資金を確保できる点にあります。ほかの資金調達手段に比べて比較的低い金利での借り入れが可能であり、キャッシュフローの管理も容易になるのです。

具体的な例として、製造業の企業が新しい生産ラインを設置するために、既存の機械を担保にローンを組むケースが挙げられます。

スタートアップが大がかりな有形資産を持っていることはまれですが、将来的にキャッシュフローを生む権利を持っていれば利用できる点も魅力といえるでしょう。

デットファイナンス

デットファイナンスとは、銀行などの金融機関から資金を借り入れる方法で、スタートアップが外部から直接的に資金を調達する一般的な手段です。

この方法のメリットは、株式を譲渡せずに必要な資金を確保できることです。株式を譲渡すると経営権が弱くなってしまうため、株式譲渡を避けつつ資金を得ることは重要だといえます。

一方のデメリットとしては、返済の義務があり、特に利息が負担になる可能性があることが挙げられます。また、金融機関からの借り入れ以外に、自己資金をあてる場合もデットファイナンスに該当します。具体的には、創業者本人の資金を活用する場合や、家族・友人などから資金提供を受ける場合です。

なお、スタートアップの資金調達には、創業間もないタイミングや先行投資を重ねているスタートアップでも活用ができるFlexCapitalがおすすめです。最短30分で審査が完結し、2週間で審査結果がわかります。

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エクイティファイナンス

エクイティファイナンスとは、企業が新しい株式を発行し、投資家から資金を調達する方法です。

この資金調達の形式のメリットは、調達した資金を返済する必要がなく、資金繰りに柔軟性を持たせられる点です。資金を提供する投資家側は、企業の成長に伴って利益を得るチャンスがあります。

一方のデメリットは、株式を発行することによって経営権が弱まる可能性があることです。エクイティファイナンスの具体的な例として、スタートアップが新技術の開発資金を得るためにベンチャーキャピタルから資金を調達し、その代わりに一定の株式を譲渡するケースが挙げられるでしょう。

公的機関の助成金・補助金

公的機関の助成金や補助金とは、政府や地方自治体が特定の業界やイノベーションを支援するために提供する資金のことを指します。これらの方法で調達された資金は返済不要のため、受け取った資金を事業の発展や研究開発に積極的に活用できることが大きなメリットです。

一方で、申請から実際の資金受取までに審査時間がかかる場合や、後日申請となるために立替払いをする必要がある場合もあります。また、資金提供の対象が細かく定められている場合は、自社が条件に当てはまるのかをしっかりと確認しなければなりません。

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資金調達におけるラウンド|おすすめの調達方法

資金調達におけるラウンドとは、スタートアップが行う一連の資金調達を成長段階によって区別するための指標です。ここでは、各ラウンドでどのような資金調達方法が推奨されるのかを紹介していきます。

シード

シード期とは、スタートアップが事業アイデアを形にし、初期の製品開発や市場調査を行う段階です。この時期はアイデアや製品が構想段階にあるため、まだ収益の見通しを立てることは難しく、大きな額をまとめて調達することはできないでしょう。そこで、少額を幅広い方法で集める方法が適しています。

このフェーズの具体的な資金調達先は以下のとおりです。

  • 日本政策金融公庫
  • 自治体の制度融資
  • クラウドファンディング
  • 個人投資家エンジェル投資家
  • 助成金・補助金

これらの資金調達先からうまく資金を集めることで、スタートアップは立ち上げの時期を乗り越え、次のステップへと進むための土台を築くことができるのです。

アーリー

アーリー期とは、プロトタイプとなる製品やサービスの開発を終え、市場への導入を始めている段階です。この時期は顧客からのフィードバックを得ながら製品やサービスを改良していくため、シード期に引き続き、開発費が必要となります。

このフェーズの主な資金調達先は以下のとおりです。

  • ベンチャーキャピタル
  • クラウドファンディング

スタートアップの将来性を見込んだベンチャーキャピタルからの資金提供を得られる可能性が考えられます。一方で、事業の展望が見えてきたとはいえ、まだ大きな資金を調達するのが難しい時期であるため、シード期と同様の資金調達方法も引き続き利用可能です。

シリーズA

シリーズA期とは、スタートアップが市場での実績を確立し、事業を本格的に展開していく段階です。製品やサービスはまだ完璧とはいえず、引き続きの改良が必要ですが、この段階になると営業や広告にも資金を投入したいところです。

このフェーズの主な資金調達先は以下のとおりです。

  • ベンチャーキャピタル
  • 他企業からの出資

シリーズA期に必要な資金調達額は1~5億円程度です。そのため、個人投資家やクラウドファンディングなどでの資金調達は現実的ではなくなります。そこで、まとまった額が見込めるベンチャーキャピタルや他企業が資金調達先の候補となります。

ただし、提供を受ける資金の額によっては議決権に影響が及ぶ可能性があるため、金額や調達先については慎重に検討する必要があるでしょう。

シリーズB

シリーズB期とは、製品やサービスを安定的に供給できるようになり、事業が軌道に乗り始めている段階です。競合企業も現れてくる頃でしょう。この段階においても、市場での競争力を高めるために更なる改良が必要なほか、営業や広告にもさらに注力する必要があります。

このフェーズの主な資金調達先は以下のとおりです。

  • 大手ベンチャーキャピタル
  • 民間銀行

シリーズA期までは、融資といえば自治体の制度融資でしたが、シリーズB期では銀行からの融資が選択肢に入ります。この段階になると自治体の制度融資の上限金額では必要な資金を賄えないでしょう。

銀行融資は貸し倒れのリスクをすべて銀行が負うため、経営の安定性と実績を認められるかがカギとなります。

シリーズC

シリーズC期とは、最初に開発した製品やサービスが安定的に利益を上げ、次の製品・サービスの開発に取り組む段階です。ここまで成長することができれば、上場を目指すという選択肢も出てくるでしょう。

このフェーズでの主な資金調達先は以下のとおりです。

  • ベンチャーキャピタル
  • 証券会社・保険会社
  • 民間銀行

シリーズC期は、スタートアップがすでに十分な実績を積んでいる段階であり、株式の売却によって利益を得たい機関投資家の関心を集めることができるでしょう。資金調達額も増え、この段階では数十億円単位の資金を得ることもあります。

シリーズD〜F

シリーズDからF期にかけては既に市場での地位を確立している状態であり、事業の拡大や重要な買収だけでなく、場合によっては海外展開も視野に入るでしょう。またはIPO(株式公開)への準備のための資金も必要となります。

このフェーズの主な資金調達先は以下のとおりです。

  • プライベート・エクイティ・ファンド
  • ベンチャーキャピタル
  • コーポレート・ベンチャーキャピタル

この段階での資金調達はさらに多額となるため、数か月から半年程度の時間がかかることが一般的です。シリーズD期まで成長するとIPOを目指す企業が多い一方、M&Aを行う企業も増えつつあります。企業の基盤が安定したことで、今後どのように舵を切るのかに違いが現れる段階でもあるのです。

スタートアップが資金調達する際の注意点

スタートアップが資金を調達する際には、投資家からの出資と金融機関からの融資という2つの主要な方法があります。ここでは、それぞれに注意すべきポイントを紹介します。

投資家による出資|経営権を奪われる可能性がある

投資家からの出資を受ける場合、スタートアップは資金を得る代わりに株式を譲渡します。この株式の譲渡比率が高くなると、投資家が企業の株式の大部分を保有することになり、経営上の重要な決定に強い影響力を持つようになるのです。

特に、スタートアップのラウンドが進むにつれ、創業者の持ち株比率が下がり、経営権が投資家に移行するリスクが高まります。これを避けるためには、資金調達の際にどの程度の株式を譲渡するか、またそれが長期的にどのように影響するかを慎重に検討する必要があるでしょう。

投資家による出資|投資家から不利な条件を提示される可能性がある

投資家から出資を受ける際に不利な条件が提示される可能性がある点にも注意が必要です。投資家が創業者に不利な条件を提示する主な理由は、投資リスクの管理です。

スタートアップへの投資はリスクが高いため、投資家はリスクを最小限に抑えるために、優先株の提供や高い利率の転換権付きデット、または厳しい業績目標を設定することがあるのです。こうした条件は、企業の将来の柔軟性や利益配分に大きな影響を与える可能性があります。

また、投資契約における複雑な条項が、のちに創業者や現経営陣にとって不利に働くことも考えられます。資金調達を行う際には、提案された条件を十分に理解し、必要に応じて法的なアドバイスを求めることが重要でしょう。

金融機関による融資|審査を通過しなければ融資は受けられない

金融機関からの融資を受ける際、スタートアップは厳しい審査プロセスを通過する必要があります。具体的には、企業の財務状況、ビジネスモデルの持続可能性、市場での競争力、経営陣の経験や能力などが評価項目です。

金融機関はリスクを避けるために、これらの項目について徹底的に調査を行います。審査を通過するためには、健全な財務報告書を提出し、事業計画に説得力を持たせる必要があるでしょう。また、過去の実績や将来の成長見込みを明確にすることも、融資承認の助けとなります。

金融機関による融資|資金調達までに時間がかかる

金融機関からの融資を受ける際は、資金が手元に届くまでに時間がかかることが一般的です。なぜなら、融資の申請から審査、承認、そして実際の入金までのプロセスを経なければならないためです。

また、申請に際して詳細なビジネスプランや財務諸表、過去の業績記録、そして未来の収益予測などを求められる場合が多く、これらの資料の準備にも相当な時間が必要です。その後も、金融機関はリスクを慎重に評価するため、審査プロセス自体が長引くことがあります。

こうした理由から、急ぎの資金が必要な場合はほかの資金調達方法を検討すべきといえるでしょう。

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スタートアップの資金調達事例

ここでは、スタートアップ企業が資金調達に成功した事例を紹介していきます。

スマートニュース株式会社

スマートニュース株式会社はスマートフォンアプリやインターネットサービスの開発・運営を行っており、2021年にシリーズF期として251億円の資金調達契約を行いました。この資金調達額は、国内スタートアップの1ラウンドあたりのエクイティ調達としては過去最大級となりました。

この資金調達が成功した背景には、国内外の多くの投資家からの関心を集めたことがあるでしょう。特に、これまで「シェアと検索」が主であったデジタルメディアを「興味関心に基づく発見」という形に進化させた点が評価されたのです。

スマートニュースは日本国内で圧倒的なエンゲージメントを得ているだけでなく、アメリカ市場にも進出しており、さらなるグローバル化に期待を寄せられているといえます。

[参照元:SmartNews「スマートニュース、過去最大級のエクイティ調達となる251億円の資金調達を実施し、時価総額は2,100億円以上へ」]

株式会社SmartHR

株式会社SmartHRは、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供しているスタートアップです。人事・労務分野の業務効率化を支援するこのソフトは、昨今のテレワークの普及とともに各社での導入が進みました。

今後のさらなるサービス充実のために採用強化やマーケティング活動にも継続投資を行うことを決定し、シリーズD期として約156億円の資金調達を実施。市場全体だけでなく、大企業の中でも圧倒的なシェアを獲得している点などが評価されたことが勝因となりました。今後はアジアをはじめ、グローバル展開も期待されています。

[参照元:株式会社SmartHR「クラウド人事労務ソフトを提供するSmartHR、約156億円のシリーズD資金調達を実施」]

株式会社Spiber

株式会社Spiberは、合成タンパク質に基づく新素材を開発している企業です。特に持続可能なウェルビーイングに貢献することを目指し、社会・経済システムを前進させるための開発を行っています。

2021年には、世界有数の投資家や株式会社海外需要開拓支援機構から総額244億円の資金調達を行ったことに加え、「事業価値証券化」と呼ばれる資金調達方法を用いて100億円の調達を行い、総額344億円の資金を得ることになりました。

この資金調達に関連し、大口投資家であるカーライルとクールジャパン機構から1名ずつの取締役を受け入れ、グローバルな展開を目指すとともに、IPOに向けての準備を進めることになったのです。

[参照元:株式会社Spiber「グローバルな量産・販売網の強化に向け344億円を調達」]

株式会社TBM

株式会社TBMは、石灰石ベースの新素材「LIMEX」をはじめ、環境に優しい素材やサービスを開発している企業です。

TBMは韓国大手財閥SKグループによるSK Japan Investment Inc.と135億円の資本提携に合意しました。また、SKグループの化学素材大手企業SKCとも共同開発や事業化推進を行うジョイントベンチャー設立の契約を締結。

持続可能な新素材の製品開発において協業することで、世界のプラスチック問題だけでなく、地域別の環境素材のニーズにも対応していくことを目指しています。

[参照元:株式会社TBM「プラスチックや紙を代替する新素材LIMEXを開発するTBMは、韓国のSKグループと135億円の資本業務提携を合意」]

自社のラウンドに適した資金調達を選択しよう

スタートアップは、成長する各段階で適切な資金調達方法を選ぶことが重要です。ただし、投資家による出資の場合も、金融機関による出資の場合もそれぞれ注意点があることを考慮する必要があります。各ラウンドにおいては、その時点での企業の成熟度と市場環境を考慮し、最も効果的な資金調達戦略を選択することが、更なる成長のカギとなるでしょう。

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