人事データベースで必須のデータ項目とは?設計のポイントも解説

最終更新日時:2022/12/23

人事管理システム

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より効果のある企業戦略の実行や最適な人事管理の実現には、人事データベースによるデータ分析や可視化が必須です。本記事では、そんな人事データベースについて、必須のデータ項目や設計のポイントなど詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

人事データベースとは?

人事データベースとは、社員情報をはじめとする人事情報を集約・可視化したものです。社員の基本情報から、スキル・経験・性格検査・人事評価など、あらゆる情報を管理できます。

人事情報は増えれば増えるほど管理が困難になるため、社内のデータ活用や管理の効率化を目的として、人事データベースを社内に構築する企業が増えつつあります。

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人事データベースを設計する重要項目

社内に人事データベースを設計する上で重要な項目について解説します。

人事戦略のための情報収集・分析

少子高齢化にともなって労働人口が減少傾向にあるため、各企業において優秀な人材の確保が困難になっています。そのため、人事戦略によって、限りある人材を有効活用しなければなりません。

社内の人材を適材適所に配置するために立案する人事戦略は、社員一人ひとりの情報を収集・分析することが大切です。人事データベースでは、莫大な人事情報を一元的に管理できます。したがって、人事戦略を立案する際のデータ共有や社員の検索が簡単に行えるようになるでしょう。

タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、社員一人ひとりのスキル・経験・特性などの情報をもとに、最適な配置や育成を行うことにより、社員や組織としてのパフォーマンスを最大化させるためのマネジメントです。

ただ、適切なタレントマネジメントを行うには、人事情報の管理および可視化が大切です。そのため、莫大な人事情報を一元管理し可視化する人事データベースが注目されています。

人事データベースには社員の基本情報だけでなく、スキル・経験・特性などの詳細な情報まで含まれます。こういった情報から社員の得意不得意を分析・把握できるため、社員それぞれに適した育成や配置が実現できるのです。

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働き方の改革

人事データベースでは、社員の勤怠情報や実績なども管理可能なため、社員がどのような働き方をしているのかを可視化できます。長時間労働をしている社員がいれば、その原因を探り対処することで、長時間労働を抑制できるでしょう。

このように、社員の働き方を把握できれば、社員それぞれの課題を発見でき、働き方改革につながります。

社員のマスタ管理

人事データベースは社員のマスタ管理として活用できます。これまでは、社員情報をマスタ管理する場合、基幹システムの導入が必要でした。

しかし、基幹システムの導入には莫大なコストがかかるうえ、「社員情報を管理するためだけに導入するのは難しい」と導入を諦める企業も多かったようです。

ただ、人事データベースはクラウド型のサービスが多く存在し、比較的低コストで導入できます。人事データベースは社員IDや氏名をもとに、社員ごとのあらゆる情報を管理できることから、社員のマスタ管理ツールとして導入する企業も増えつつあります。

人事データベースの項目を設計することによる3つの効果

人事データベースを設計することで得られる3つの効果を紹介します。

1.人事業務の効率化

人事データベースは人事情報を一元管理できるため、人事業務の効率化につながります。

紙やExcelで管理されている人事情報は、変更があった際にすべての資料で変更・再作成が必要になり、どのデータが最新のものなのか分かりにくいという課題がありました。

しかし、人事データベースであれば、データベース上で情報を変更・更新するのみで、瞬時に情報を共有できるうえ、常に最新の状態を保てます。

そのため、人事情報の変更・更新にかかっていた時間や手間を省き、人事業務の効率化を実現できるでしょう。

2.人事データの可視化

人事データベースでは、人事情報を一元管理することで社員に関するあらゆるデータが可視化されます。

配置換えや異動を行う際、社員それぞれのスキルや実績を見極めたうえでの判断が必要です。ただ、各社員の情報が載った資料を収集し、まとめられた人事情報に目を通すには時間と手間がかかります。

その反面、人事データベースであればすでに情報が一元管理されているため、情報収集の手間が省け、詳細な条件で検索すれば最適な人材を抽出することも可能です。

また、人事データベースのなかでも勤怠管理機能が備わっているものであれば、勤務状況も把握できます。そのため、働き方における問題点や非効率なプロセスの早期発見につながるでしょう。

このように、人事データベースによって社員情報が可視化されることで、人材活用の最適化や働き方改革の実現が期待できます。

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3.最適な人事戦略の実行

人事データベースは、社員や組織のパフォーマンスを最大化させるために必要な人事戦略の立案に役立ちます。

人事戦略を立案する際は、社員一人ひとりの基本情報からスキルや特性といった詳細な情報をもとに分析することが大切です。

人事データベースがあれば情報をいちから収集する必要がなく、可視化された情報から社員を分析できるため、最適な人事戦略を立案・実行できるでしょう。

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人事データベースを設計する際に必須のデータ項目

人事データベースを設計する際に必須のデータ項目を1つずつみていきましょう。

1.基本属性

1つ目は「基本属性」です。基本属性には、以下のような情報が挙げられます。

  • 氏名
  • 年齢
  • 性別
  • 生年月日
  • 家族構成
  • 学歴
  • 入社日
  • 所属
  • 役職

基本属性には社員の基本的な個人情報から社内におけるポジションなどの情報まで含まれ、基本属性は人事データベースの基盤となります。

定期的に更新し、正確に把握しておきましょう。

2.実績・職歴

2つ目は「実績・職歴」です。入社後の実績にくわえて入社前の職歴も記録しましょう。

  • 所属歴
  • 成果や賞罰
  • 研修などの受講歴
  • 経歴やキャリア

実績や職歴の情報は、「実績のある社員がどのような経歴を持っているのか」「○○業務に向いている人材はどのような経歴があるのか」など、人材を研究する際に役立つでしょう。

3.勤怠

3つ目は「勤怠」に関する情報です。社員の働き方を可視化するうえで必要となります。

  • 始業および終業時間
  • 遅刻・早退・欠勤
  • 残業時間
  • 有給取得日と日数
  • 月労働時間

勤怠に関する情報は、生産性向上に向けた施策の立案や離職者や休職者の傾向分析に役立ちます。

働き方改革が求められている現代でも、勤怠に関する情報は社員の働き方を最適化するのに重要な情報です。

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4.人事評価

4つ目は「人事評価」に関する情報です。社員がこれまで受けてきた人事評価の情報を記録します。

  • 評価内容
  • 評価時期
  • 評価者名

人事評価に関する情報は評価内容にくわえ、評価時期や評価者名も記録することが大切です。

評価基準は評価者によって異なります。そのため、誰がどのような評価をしているかを記録していくことで、評価の癖や傾向を分析でき、結果として公平な評価につながるでしょう。

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5.スキル・資格

5つ目は「スキル・資格」です。人材配置や人材育成に役立ちます。

  • スキル
  • スキルのレベル
  • 保有資格
  • 語学力

上記のようなスキル・資格が可視化されることで、適した業務を割り振ったり、実績のある社員が保有しているスキル・資格情報から人材育成に活かしたりすることができます。

このように、スキル・資格情報が人材の有効活用や最適な人材配置につながるでしょう。

6.マインド情報

6つ目は「マインド情報」です。社員のモチベーションや考え方に関する情報を記録します。

  • 面接履歴
  • 適性検査の結果
  • キャリア志向
  • 性格や趣味

社員のマインド情報を把握することで、社員のモチベーションに関する課題をいち早く発見できます。そのため、社員のモチベーション低下や離職の防止につながるでしょう。

7.職務内容

7つ目は「職務内容」です。社員が現在担当している職務に関する情報を記録します。

  • 担当商材
  • クライアント
  • 目標やノルマ
  • 進捗状況や目標達成度

職務内容が可視化されれば、業務効率の課題を発見したり社員の生産性を計ったりできます。

8.行動データ

8つ目は「行動データ」です。会議での発言時間や、ウェアラブル端末で計測した心拍数などの情報が挙げられます。

社員の行動データは、能力と行動の関連性を分析したり、実績のある社員の行動傾向をつかみ、人材育成に活用したりすることができます。

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人事データベースをの項目を設計する際の6つのポイント

人事データベースを設計する際に意識したい6つのポイントを紹介します。

1.設計の目的を明確にする

人事データベースを設計する目的を明確にしましょう。目的が明確になっていることで、人事データベースをどのように活用していくかをイメージできます。

また、明確な目的がなければ、記録する項目が曖昧になってしまうかもしれません。例えば、働き方の最適化を目的にする場合、社員一人ひとりの勤怠情報を詳しく把握する必要があります。

人材育成を目的にするのであれば、実績のある社員の経歴やスキル・行動データを分析する必要があるでしょう。

目的によって重要となる項目は異なるため、設計の目的をあらかじめ明確にしておくことが大切です。

2.可能な限りデータを集める

人事データベースを設計する際は、できる限り多くのデータを集めましょう。人事データベースは情報が多ければ多いほど活用の幅が増え、目的達成に近づきます。情報が正確なものなのかを見極めながら集めることが大切です。

ただ、過去に遡ってあらゆる情報を集めるには時間や手間がかかります。

社内の人材だけでは人事データベースの設計が難しいと判断した場合、業務委託や専門業者などに情報の入力を委託するという方法も検討するとよいでしょう。

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3.拡張性を考慮しておく

人事データベースに記録する情報は、設計後も変更や追加など更新し続けるものです。そのため、情報を更新しやすい拡張性の高いものを設計しましょう。

特に、データベースの容量には注意が必要です。変更や追加が簡単にできても、容量が足りなくなればそれ以上の更新作業はできません。最悪の場合、人事データベースをいちから設計し直すことになる場合もあります。

このように、更新作業のしやすさや容量などの拡張性を考慮したデータベースを設計しましょう。

4.運用ルールを事前に決めておく

人事データベースの運用ルールを決めておく必要があり、人事データベースには外部に漏れてはいけない情報が多く含まれています。

明確な運用ルールがなければ、操作ミスで人事データベースに不具合が起きたり、重要な情報が消えてしまったりするなどの問題が起こるかもしれません。

ちょっとした操作ミスが情報漏洩といった大きな問題に発展する可能性も考えられます。

こういったリスクを回避するためにも、「データの変更・追加方法」「アクセス方法」「更新頻度」など、運用ルールをあらかじめ決めておくことが大切です。

5.スモールスタートを意識する

人事データベースはスモールスタートを意識しましょう。全社規模での導入を検討している場合でも、まずは一部の部署やチームでデータベースを設計することが大切です。

人事データベースを設計するには時間がかかり、活用するにもコツをつかまなければなりません。急に全社規模の人事データベースを設計しようとしても、設計や更新作業に時間をとられ、なかなか活用に至らないというケースは多くみられます。

そのため、まずは部署やチームなどの小さい規模で人事データベースの設計・運用のコツを把握したうえで、徐々に規模を拡大していきましょう。

6.項目ごとに権限を設定しておく

人事情報を可視化できるというメリットがある人事データベースですが、連絡先や住所、適性検査の結果や評価履歴など、社内全体で共有すべきでない情報も含まれます。

そのため、項目ごとに閲覧や更新の権限を設定しましょう。アクセス権限を設定することで、情報の悪用や漏洩の防止につながります。

人事データベースの活用事例

人事評価や異動歴などの管理をExcelで行う企業は少なくありません。ただ、Excelでの管理は明確な運用ルールが設けられていなかったり、情報が散在しやすく更新作業が複雑な傾向があります。

こういった課題を解決すべく、人事データベースを設計・導入した企業では、人事情報の一元管理を実現できました。

情報が散在することなく必要な情報を必要なタイミングですぐに抽出・参照できるため、業務効率化にもつながったようです。

また、人事データベースには項目ごとの権限設定が可能なため、情報漏洩や悪用といったトラブル防止の対策ともなりました。

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人事データベースを設計して業務をデータ化しよう

人事データベースは、人事に関するあらゆる情報をデータ化し、人事情報の一元管理が可能です。

細かく記録された情報から必要な情報だけを抽出することもできるため、人材の分析が重要な人事戦略の最適化にも役立ちます。

自社の目的を明確にしたうえで、必要な項目を洗い出し、活用しやすい人事データベースを設計しましょう。

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