ナレッジトランスファー(KT)とは?意味や推進する方法・必要なツールを解説

最終更新日時:2023/02/20

ナレッジマネジメントツール

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個人に蓄積された知識を組織内で共有する仕組みのナレッジトランスファー。推進する場合は適切な環境作りが必要となりますが、果たして成功した際のメリットとは一体何なのでしょうか。本記事では、そんなナレッジトランスファーについて詳しく解説していきます。

ナレッジトランスファー(KT)とは?意味を紹介

ナレッジトランスファー(knowledge transfer)とは、「知識の移転」を意味する言葉で、特定の知識を持つ人が、知識を求める別の人に伝授することを表します。

ナレッジトランスファーを導入することで、個人が有する知識を社内で共有でき、組織全体のスキルの底上げに繋がります。

頭文字をとって「KT」もしくは「ナレトラ」と略されるのが一般的です。

スキルトランスファーとの違い

スキルトランスファーとの違いは、はっきりとしたものはなく、組織によって、どちらの言葉を使用するかが異なります。

スキルトランスファー(skill transfer)は、「技術の移転」を意味しており、特定の技術・業務を引き継ぐことを表します。同時に知識を共有することになるため、ナレッジトランスファーとほとんど同じ意味で使われ、「スキトラ」と略されることもあります。

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ナレッジトランスファーを推進するメリット

ナレッジトランスファーを推進するメリットとしては、下記の2つがあります。

  • 従業員のスキルアップが見込めて企業競争力を向上できる
  • 業務に関連するノウハウやナレッジを蓄積できる

従業員のスキルアップが見込めて企業競争力を向上できる

従業員のスキルアップが見込めて企業競争力を向上できることがメリットです。

特定の個人のみが有するノウハウや経験を組織内で共有・活用することは、組織全体のスキル向上、業務の効率化、生産性向上などにつながります。

業務に関連するノウハウやナレッジを蓄積できる

業務に関連するノウハウやナレッジを蓄積できるのもメリットです。ナレッジトランスファーによって、膨大なノウハウや経験を形式知化していくことは、企業にとって大切な資産となるはずです。

属人的な知識や技術を社内で供給できる状態にしておけば、業務の仕組み化にも役立ちます。

また、ナレッジの共有によって得た知識・技術をしっかりと身につけることで、スキル向上や視野拡大が期待できます。

ナレッジトランスファーの対象ナレッジ

ナレッジトランスファーの対象ナレッジは、「暗黙知」「形式知」の2つあります。

暗黙知

暗黙知とは、経験や勘、直感など言語化できないもの、または言語化しても意味が分からないものなど個人の主観的な知識を指します。

製造方法や機械の操作など、操作方法は伝えることが可能でも、実際に練習したり、試行錯誤をおこなったりしないとスキルが身につかない知識が暗黙知です。

また、経験的知識とも呼ばれており、知識より技術のような特徴があります。

ナレッジトランスファーで暗黙知を共有・移転できれば、企業の抱える人材がさらに優秀になるだけでなく、一人ひとりの生産性向上が期待できるでしょう。

形式知

形式知とは、文章や計算式などで簡単に共有・移転できる知識を指し、明示的知識とも呼ばれています。

経験をもとにする暗黙知とは反対に、口頭やマニュアルなどで第三者に伝えられるのが形式知です。製造の手順や操作方法などを、文章や図でマニュアルとして伝えられるため、多くの企業がナレッジトランスファーを実現しています。

比較的伝えにくい暗黙知を形式知に置き換えようと試みる企業が多いのも事実です。

自動車学校を例にすると、教官が指導して運転するのが暗黙知で、教材を使用し道路交通法を暗記するのが形式知です。

【最新】ナレッジマネジメントの成功事例8選!事例から学ぶ成功ポイント

ナレッジトランスファーを推進する方法

ナレッジトランスファーを推進する方法については、研究者のナンシー・ディクソン氏が下記5つの分類を提唱しています。

  • 連続移転
  • 戦略移転
  • 近接移転
  • 遠隔移転
  • 専門知移転

連続移転

連続移転はあるチームが特定の状況でおこなった業務から得た知識を、次に同一のチームが異なる状況で同じような業務をおこなうときに活用する方法です。

連続移転を成功させるポイントとして、下記2点が推奨されています。

  • チーム全員が参加するミーティングを定期的に開催する
  • お互いに批判しない

ミーティングは、業務から得た経験を漏れなく収集するためにも、全員参加が望ましいです。また、業務上の失敗から情報が得られる可能性もあるため、批判によって話しにくい環境をつくりだすことは避けるべきでしょう。

戦略移転

戦略移転はまれにしか発生しない事業的規模の業務経験から得た暗黙知・形式知を、ほかのチームで再利用する方法です。

M&Aのように、大規模かつ今後起こるかわからない戦略的業務が対象となります。いざ必要となった時にナレッジがあれば、業務が円滑に遂行できるだけでなく、組織の未来にもよい影響を与える可能性があるでしょう。

また、戦略移転を成功させるには、スペシャリストがリアルタイムで知識の収集・解釈・変換をおこなうことが推奨されています。

近接移転

近接移転はひんぱんに繰り返しおこなう定型的業務から得た形式知を、似たような業務を担当する別のチームに移転し活用する方法です。

「近接」は、地理的な距離ではなく、状況が類似していることを意味します。

移転するのは「形式知」のため、情報共有ツールやデータベースなどでの移転が代表的な方法です。

すべての情報を移転しようとすると、不必要な情報で溢れかえってしまう恐れがあるため、まずは状況をモニターし、移転するナレッジと利用者の範囲を定めることが重要です。

遠隔移転

遠隔移転はひんぱんに繰り返しおこなう非定型的業務から得た暗黙知を似たような業務を担当する別のチームに移転し、活用する方法です。

ナレッジを別のチームに移転する点では「近接移転」と同じですが、フローが確立していない業務を扱うため「暗黙知」が移転の対象となります。

移転方法は、ナレッジを持つメンバーが、チーム間を移動しながら意見交換をおこなうというものです。双方のチーム間で情報を提供しあうことで、新しいナレッジの発見に繋がる可能性があるためです。また、近年は、ナレッジトランスファーに適したマネジメントツールが開発されています。

必ずしも物理的な移動が必須というわけではなく、状況や業務によっては、共有ツールを使用する方法も提唱されています。

専門知移転

専門知移転はスペシャリストのみが有する専門的な知識を、チームや個人間で移転する方法です。移転対象となるのは、形式知かつ専門性の高い情報であり、近接移転と同じく、情報共有ツールなどのITサービスを活用することが望ましいとされています。

もともと、ナンシー・ディクソン氏の著書では「電子フォーラム」などの活用を推奨していましたが、該当の著書は2000年代前半に出版されたものです。

近年では少し古い方法と捉えられるため、ITツールの活用が適しているとされています。

また、専門知移転を成功させるには、議論や質疑応答など、活発な双方向の情報提供が必要となるため、さまざまなメンバーを集めたコミュニティーを形成することがポイントです。

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ナレッジトランスファーを推進する際のポイント

ナレッジトランスファーを推進する際のポイントは、主に下記5つがあげられます。

  • ナレッジを移転しやすい環境を整備する
  • 移転したナレッジへのアクセス性を高める
  • 経営層や推進者が積極的に進めていく
  • 担当者やナレッジ共有の範囲を決める
  • 心理的・時間的コストを削減する

ナレッジを移転しやすい環境を整備する

ナレッジを移転しやすい環境を整備することが大切です。環境が整っていない組織では、社員がどのように移転を進めるべきかわからず、消極的な対応になってしまいます。

その結果、移転がうまく進行できず、失敗に終わってしまう可能性があるのです。これらを防ぐためにも、下記3点を遂行しましょう。

  • 社員がすべきことを手順書で示す
  • 移転頻度や担当者を定めるなどルール設定をおこなう
  • 情報共有ツールを導入する

スムーズに移転をおこなうためにも、まずは下準備が大切です。

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移転したナレッジへのアクセス性を高める

移転したナレッジへのアクセス性を高めることが望ましいです。

ナレッジは蓄積するだけでなく、必要な時に活用できなければ意味がありません。ナレッジが埋もれないよう適切に管理でき、検索機能などを備えたツールの導入を検討してみましょう。

経営層や推進者が積極的に進めていく

経営層や推進者が積極的に進めていくことを意識しましょう。

トップ層が推進していくことで、ナレッジトランスファーの文化が組織の中に浸透しやすくなります。社員一人ひとりに重要性が伝わるため、モチベーション高く遂行してもらえる可能性が高まります。

担当者やナレッジ共有の範囲を決める

担当者やナレッジ共有の範囲を決めるようにしましょう。

担当者が積極的に推し進めることで、時間と共に風化することを防ぎ、スムーズに進行させることが可能です。

また、担当者はナレッジトランスファーの効果を検証し、現場で必要とされる情報かを見極める役割も担っています。

心理的・時間的コストを削減する

心理的・時間的コストを削減することが大切です。ナレッジを持つ社員にとっては、通常の業務と並行しながら移転をおこなう必要があり、心理的な負担が大きくかかる可能性があります。

トップ層が積極的に推進して、気軽にナレッジの共有ができる環境をつくりあげましょう。

また、ナレッジトランスファーは一朝一夕で終わるプロジェクトではありません。一つひとつの共有が効率的におこなえるよう、テンプレート化することも重要です。

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ナレッジトランスファーに必要なおすすめツール

ナレッジトランスファーに必要なおすすめツールを、下記3つご紹介します。

  • Stock
  • Notion
  • flouu

Stock

Stockは、シンプルで使いやすい情報共有ツールで、タスク管理機能も兼ね備えているのが特徴です。

「チャットで流れてしまう」「ファイル管理だと面倒」なチームの情報が簡単にストック可能で、ITツールに慣れていない方も安心の使いやすさです。

国際的なセキュリティ基準に準拠しているため、安全性の面でも優れています。

提供元株式会社Stock
初期費用要問い合わせ
料金プラン

月払い

■ビジネスプラン

  • フリープラン:0円
  • ビジネス5:3,278円(税込)/月
  • ビジネス10:6,578円(税込)/月
  • ビジネス20:12,980円(税込)/月
  • ビジネス30~:19,580円(税込)~/月

■ エンタープライズプラン

  • フリープラン:0円
  • エンタープライズ5:6,380円(税込)/月
  • エンタープライズ10:12,980円(税込)/月
  • エンタープライズ20:25,080円(税込)/月
  • エンタープライズ30~:37,180円(税込)~/月

年払い

■ビジネスプラン

  • フリープラン:0円
  • ビジネス5:2,728円(税込)/月
  • ビジネス10:5,478円(税込)/月
  • ビジネス20:10,780円(税込)/月
  • ビジネス30~:16,280円(税込)~/月

■エンタープライズプラン

  • フリープラン:0円
  • エンタープライズ5:5,280円(税込)/月
  • エンタープライズ10:10,780円(税込)/月
  • エンタープライズ20:21,780円(税込)/月
  • エンタープライズ30~:32,780円(税込)~/月
機能・特長
  • チームの情報をストック
  • チームのタスク管理
  • メンバー間でのメッセージのやり取り
  • 説明なしでも使いこなせるほどシンプル
URL公式サイト

Notion

Notionは、単純なメモアプリではなく、多機能を備えた万能なツールです。

メモの作成やタスク管理はもちろん、プロジェクト管理、Wikiの作成、議事録管理などさまざまな業務に活用できます。

すべての情報がリアルタイムで同期されるため、複数人で同時編集できるのもポイントです。

提供元Notion Labs Inc.
初期費用要問い合わせ
料金プラン年払い
  • フリー:無料
  • プラス:8ドル/月
  • ビジネス:15ドル/月
  • エンタープライズ:要問い合わせ

月払い

  • フリー:無料
  • プラス:10ドル/月
  • ビジネス:18ドル/月
  • エンタープライズ:要問い合わせ
機能・特長
  • 日常業務から知識の管理
  • ワークフローの構築
  • 既存テンプレートの無料活用
  • さまざまな情報を1つにまとめられる万能ツール
URL公式サイト

flouu

flouuは、特にコミュニケーション機能に優れた情報共有ツールです。

ドキュメント単位でチャット機能を搭載しており、記録した情報を見ながらリアルタイムでやり取りが可能。

強力な検索機能を搭載しているため、必要なナレッジへとスピーディにアクセスできます。

提供元プライズ株式会社
初期費用無料
料金プラン
  • 基本料金:1ユーザーあたり550円/30日
  • セキュリティオプション:1ユーザーあたり550円/30日
  • OCRオプション:1ユーザーあたり220円/30日 ※14日間の無料お試し期間あり
機能・特長作業・コミュニケーション・ナレッジ活用を効率化するための多機能を搭載
URL公式サイト

ナレッジトランスファーを推進して競争力を高めよう

ナレッジトランスファーは「知識の移転」を意味し、個人が持つ知識を組織全体に共有する仕組みを指します。ナレッジ移転を推進することで、企業の競争力アップや、社員のキャリア形成にも大きく貢献します。

ナレッジトランスファーを進めるには、暗黙知・形式知ごとに適した方法を採用することが大切です。また、ナレッジを共有しやすい環境を整備したり、蓄積したナレッジを適切に管理したりできるよう、ツールの導入も検討してみましょう。

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