業務の属人化を解消する方法は?原因やリスク・標準化する方法を解説

最終更新日時:2023/04/26

ナレッジマネジメントツール

業務属人化の解消

仕事やトラブルへの対応に遅れが出てしまう原因になる業務の属人化。業務の属人化を放置してしまうと、今後業務に支障をきたす様々な問題が発生してしまうかもしれません。そこで本記事では、そんな業務の属人化について、デメリットや原因、解消方法を徹底解説していきます。

業務の属人化とは?

業務の属人化とは、業務の詳細・進行プロセスがわからなくなる「ブラックボックス化」している状態を表す言葉です。業務の前提条件や担当範囲、具体的な手順や判断基準などの情報が、担当者しか把握できていないことを指します。

業務の属人化は、その発生率の高さに対して、組織の潜在的なリスクの高さが問題となっています。仮に属人化した業務に別の担当者が割り当てられた場合、作業内容が分からず、どうしても前任の担当者よりも時間やコストを要してしまうのです。

そのため、担当者が得た業務のナレッジを言語化し、属人化を防ぐための取り組みが重要視されています。

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業務の属人化によるデメリット・リスク

なんとなくネガティブなイメージのある業務属人化ですが、具体的にどのようなデメリットやリスクがあるのでしょうか。ここからは業務の属人化によるデメリットやリスクについて紹介していきます。

  • 業務の効率が低下する
  • 業務品質が不安定になる
  • トラブルへの対応が遅れる
  • 適切な評価が難しくなる

業務の効率が低下する

業務の属人化が起こると、該当の業務は担当する個人に依存してしまうため、業務効率が低下する可能性があります。特に、業務を担当するための知識やスキルが求められる場合には、他の人が代替できないため、業務のスムーズな進行が困難になり、業務効率が低下してしまうのです。

長期間このような状況が続いてしまうと、担当者の不満や業務へのモチベーション低下にもつながりかねません。業務効率が落ちるのはもちろん、担当者の離脱などにつながるリスクもあるため、会社にとっては早急にケアをする必要があります。

業務品質が不安定になる

属人化した業務は、担当者以外の人材が同等の品質を提供できません。業務の処理ロジックが分からないため、処理を間違えた履歴が残っていたり、業務そのものに欠陥が含まれていたりすると、それを引き継いだ人材が適切に判断できない可能性があります。

また、担当者が偏った業務の処理方法を採用していた場合、他の人がそのやり方を理解できず、誤解や混乱を招くこともあるでしょう。

このように業務品質が低下することで、品質に関する不満やクレームが出る可能性があります。それが引き金となって顧客に悪い印象を与えたり、信頼関係に悪影響が出たりすることもあるでしょう。

トラブルへの対応が遅れる

業務の属人化は、トラブルシューティングにも影響を与えます。これは、業務の内容や手順が明確でないために調査や判断に時間がかかったり、業務の担当者がいないために連絡先や関連資料の情報収集が困難であったりなどが要因です。

この結果、トラブルが発生した際に速やかな対応ができないだけでなく、トラブルの発見そのものを見逃してしまうリスクもあります。

適切な評価が難しくなる

属人化した業務は、発生している工数や品質の正当性が判断できません。仮にその業務で優れた成果が生まれていたとしても、業務の効率や品質に問題が生じている可能性もあります。

この場合、担当者の後任や上司が業務の状況を詳しく把握していないと、成果に対する再現性が疑わしい状況となるため、適切な評価が難しくなってしまうのです。特に担当者が退職や異動などで該当業務から離れると、この問題はより顕著になります。

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業務の属人化が起こってしまう原因

業務の属人化は、社内状況や従業員のスキル差など、様々な状況が複雑に絡んで発生します。しかし、大まかに属人化する具体的な原因があるので、しっかりと把握しておきましょう。

  • 戦略的な採用活動ができていない
  • 業務内容を十分に共有されていない
  • 業務の専門性が高い
  • マニュアルが整備されていない
  • 標準化に消極的な従業員がいる

戦略的な採用活動ができていない

業務が属人化してしまう大きな原因としてあげられるのは、業務を引き継ぐ新たな人材を確保できないという点です。計画的に採用をしていれば、リソースが足りていないポジションの採用を積極的に進めてリソースを確保できます。

しかし、必要なポジションでの採用活動が進んでいないと、特定の人物に長期間同じような業務をさせてしまう状況になりかねません。

採用活動は属人化を防ぐだけではなく、企業の新たな可能性を広げる重要な要素となるため、「業務が属人化している」「リソースが足りていない」などの状況を感じたら、なるべく早めに採用活動を進めるようにしましょう。

業務内容を十分に共有されていない

担当者が一人しかいない業務の場合、その担当者だけが全容を把握できていれば、業務は進められます。このような状況だと、業務の手順や判断基準が明確化されていても、担当者しか分からないような情報でまとめられているケースも少なくありません。

したがって、この情報を共有されても、担当者以外の方が内容を正確に読み解くことができず、業務を引き継ぐという選択肢の阻害要因となり、属人化の助長につながります。

業務の専門性が高い

業務の専門性が高いと業務を担当できる人材が限られてしまい、業務の属人化が起こる原因になり得ます。これは、「専門分野に精通した人材でなければ業務の判断が難しい」「業務の処理に対する複雑性が高い」などの理由が挙げられます。

特に近年は、デジタル技術を駆使する業務が増えているため、業務の処理に専門のツールが必要となる場合も珍しくありません。このツールが専門人材向けのものだった場合、操作方法を読み解けない可能性もあるでしょう。

マニュアルが整備されていない

マニュアルが整備されていないと、業務の手順やルールが正確に把握できません。そのため、業務の担当者が不在の場合や、担当者の切り替えがあった場合に問題が生じる可能性があります。

特に業務の専門性が高かったり、人的リソースが限られていたりすると、マニュアルがなければ業務を担当する人材に依存することになり、業務の属人化が進みやすくなるでしょう。

また、業務が複雑化・改善した場合にも、マニュアルが整備されていないと変更内容を反映することが難しくなります。

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標準化に消極的な従業員がいる

業務の標準化に消極的な従業員は、自分専用にカスタマイズした業務のやり方を重視する傾向にあります。そのため、標準化によって自分自身のやり方が改善されそうになり属人化を維持しようとするのです。

また、属人化している業務は、従業員にとって評価の要であることも少なくありません。この場合、業務を標準化すると評価が下がる可能性もあるため、自身の地位を保つために消極的な態度を取ることがあります。

業務を標準化するメリット

業務が属人化することによって様々なリスクがあるため、業務の標準化に向けて様々な取り組みが必要です。ここからは業務を標準化するメリットについて紹介していきます。

業務効率の向上が見込める

業務を標準化することで業務プロセスが明確化され、従業員が同じ手順で業務をおこなえるようになり、業務効率の向上が見込めます。

また、従業員が同じ手順で作業することで、判断ミスやヒューマンエラーの発生を少なくすることにもつながります。

このように、標準化された業務プロセスは、担当者が入れ替わった場合でも、スムーズに引き継ぐことができ、従業員の異動や退職による業務の停滞を回避しやすくなるでしょう。

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業務品質の均一化につながる

業務の標準化が確立されると、業務品質の均一化が期待できます。処理方法に対する明確な基準が定められるため、サービス品質のムラを抑制することにつながるのです。

さらに、標準化された業務プロセスに基づいて、業務品質に対する規定や基準を設けることもできるでしょう。この結果、業務品質への目標が明確になり、さらなる品質の向上につなげるための改善活動がしやすくなります。

また、「自分は忙しいけどあの〇〇さんは暇そうにしている」など従業員の不平不満も解消されるので、仕事へのモチベーションアップにもつながるでしょう。

社内へのノウハウを蓄積できる

業務が標準化されると、その業務を担当する人々が共通の理解を持ち、同じ方法で業務を実行できるようになります。業務の処理方法が統一されることで期待できるのが、組織全体でのノウハウの共有・蓄積です。

誰もが業務の全体像を理解している状態であれば、業務改善に対して、より多角的な視点で意見を集めることができます。その結果、改善の精度を高めることになり、業務の効率・品質を向上させながらノウハウの蓄積につなげていけるのです。

また、業務の担当者が異動や退職した場合でも、業務の標準化が進んでいれば新しい担当者がスムーズに引き継ぎをおこなえます。これにより、企業のリスクマネジメントや事業継続性の確保が図れると同時に、新たな担当者が迅速かつ効果的に業務に参加できるようになるでしょう。

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業務を標準化する具体的な方法

ここでは業務の標準化を進めるための具体的な方法を4つご紹介します。自社の課題と見比べながら一連の流れを把握していきましょう。

業務の可視化

業務の標準化をおこなうには、対象業務の実態を把握する必要があります。そのため、まずは業務の可視化に取り組みましょう。

業務の可視化とは、業務プロセスを明確にすることで、業務の進捗状況や課題を把握する手法です。一般的にはワークフロー図やプロセスマップなどの図式を用います。

用語概要効果代表的な手法
ワークフロー図業務の流れをグラフィカルに表現したもの。業務の内容や手順の把握に有効。
  • 産能大式フローチャート
  • NOMA方式フローチャート
  • データフロー図(DFD)
プロセスマップ業務の全体像をマッピングしたもの。タスク同士のつながりの把握やボトルネックの特定に有効。
  • ビジネスプロセスモデリング(BPMN)
  • 統一モデリング言語(UML)
  • バリューストリームマップ

マニュアルの整備

業務の全容を把握した後は、具体的なルールや注意点をマニュアルに落とし込みます。マニュアルを作成する際は、次の3つのポイントを押さえておくと良いでしょう。

  • 業務マニュアルの対象範囲を定義する
  • 必要な手順やチェックポイントは簡潔に表現する
  • レイアウト設計では必要な情報を視覚的に整理する

できあがったマニュアルは配布前にレビューをおこない、情報の抜け漏れや、わかりにくさ等を確認してもらうことが重要です。

また、マニュアルは常に最新の情報を反映させる必要があり、定期的な見直しが必要です。技術の進歩などでマニュアルの更新を求められるケースも少なくないため、常に最新の情報を提供できるようにしましょう。

マニュアルを電子化するメリット・デメリットは?方法や注意点も解説

権限の分散

業務の標準化を進めるためには、権限の分散が重要な要素となります。具体的には、業務の責任領域を明確に定義し、責任を果たすために必要な権限を与えることが必要です。

しかし、権限の委譲は主体性と責任感を育む一方で、ステップを間違えると「丸投げされている」と認識されるリスクがあります。そのため、まずは難易度の低い業務を切り分け、共同体験を通じて少しずつ主導権を渡していき、最終的な権利委譲へとつなげていきましょう。

ナレッジマネジメントシステムの導入

ナレッジマネジメントシステムは、組織内の知識を蓄積・共有することで、業務の標準化や効率化を進めるための仕組みです。システムの導入にあたっては、以下のようなステップがあります。

  1. 必要な情報や知識を収集・整理する
  2. システムの導入に必要なインフラを構築する
  3. システムの運用方法を決定する
  4. システムの導入を実施する

ナレッジマネジメントシステムは、社内で蓄積された知識やノウハウを共有することで、業務の標準化や品質の向上、組織全体の効率化につながります。

一方で、システムの導入だけでなく、運用ルールや情報の整理・管理など、運用面での取り組みが必要になることも忘れずに考慮しましょう。

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中小企業における業務の属人化解消のポイント

業務の属人化は大企業と比べて、従業員が少ない・業務範囲が不明確な傾向のある中小企業でよくある問題となっています。そこでここからは中小企業にスポットを当てて属人化解消に向けたポイントを紹介していきます。

中小企業が業務の属人化を解消していくには、主に2つのポイントを意識することが大切です。それぞれをくわしく見ていきましょう。

  • 従業員全員の意識改革
  • PDCAサイクルの実行

従業員全員の意識改革

業務の属人化を解消するためには、従業員の協力が欠かせません。従業員は業務を担当している現場で、業務の問題点や改善点を直接的に把握しているため、業務改善のための貴重な情報源となります。

また、従業員が業務改善を自分事化できていなければ、業務改善に対する意識が低くなります。意識改革を促すことで、従業員たちは業務改善に積極的に取り組むようになり、業務の可視化などの改善施策で協力を得やすくなるでしょう。

このように、従業員の協力を得るためには、業務改善の重要性を理解し、共感するようなコミュニケーションを取ることが必要です。従業員の意見や提案を積極的に取り入れるなど、業務改善を主体的に考える機会を作りましょう。

PDCAサイクルの実行

業務の属人化を解消するためには、PDCAサイクルを実行することが重要です。PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのステップで構成されます。

計画段階では、業務の現状把握や課題の洗い出しなどをおこない、改善すべきポイントや目標を設定します。次に実行段階では、設定した目標に向けて業務を実際に実行します。ここで、従業員の協力やトレーニングが重要になるでしょう。

評価段階では、実行結果を評価し、目標に対する達成の度合いを確認します。評価をおこなう際は、定量的な指標と定性的な意見の両軸を考慮することが大切です。

最後の改善段階では、評価結果をもとに改善点を洗い出し、次回以降の計画に反映させるためのアクションを決定します。

このようにPDCAサイクルを繰り返すことで、業務の標準化を進めることができます。また、PDCAサイクルで成功体験を積み上げていくと、従業員の意識改革にもつながり、よりスムーズな業務遂行ができるようになるでしょう。

PDCAとは?サイクルを回す重要性やポイント・失敗する原因を解説

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業務の属人化を防ぐ対策を実施していこう

本記事では業務の属人化によるリスクや原因、属人化の解消に向けた具体的な方法について解説しました。

業務の属人化が起こると、業務の担当者が離職や休職などで不在になった場合、業務の停滞や品質悪化につながる可能性が高まります。

そのため、業務の可視化やマニュアルの整備、権限の分散などを通じて、業務の属人化を防ぐための対策を実施することが重要です。業務の属人化が解消されると、業務担当者の個人的な特性や能力に依存することなく、業務の品質を均一化できるでしょう。

このように、企業として効果的な組織運営をおこなうためにも、業務の属人化のリスクを理解し、解消に向けたアクションを検討してみてください。

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