DX人材に必要なスキルや知識とは?育成方法やマインドセットも解説

最終更新日時:2023/04/05

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DX人材とは

生産性の向上や効率化をなど、業務に改革をもたらすDXの必要性が高まる中で、DX推進に注力する企業が増加しています。一方で「DX人材」は不足傾向にあるのではないでしょうか。本記事では、DX人材として必要なスキルや知識を解説し、さらには、社内でDX人材を育てる方法もご紹介いたします。ぜひ参考にしてみてください。

福本大一

監修者 福本大一 Chatwork株式会社 DXソリューション推進部|マネージャー 大学卒業後、toC領域のWEBメディア事業で起業。事業グロースに向けたSEO戦略から営業・運用広告に従事し、約2年間の経営を経て事業譲渡。2021年3月からChatworkに入社し、カスタマーマーケティングやアライアンスを経験した後、メディア事業・運用広告事業の責任者としてミッションを遂行する。現在は、DXソリューション推進部のマネージャーとして新規事業領域のセールス・マーケティング・アライアンス・メディア事業を統括。

DX人材とは?

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は人によって様々な解釈があるものの、経済産業省のDXを推進するためのガイドラインによると、「DX」は、以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

[引用:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0」より]

さらに、前述のガイドラインには、「DX人材」についても、以下3点の記載があります。

・DX推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材

・各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取組をリードする人材

・その実行を担っていく人材

[参考:経済産業省の同ガイドラインより]

これらの経済産業省が発表した概念をまとめると、「DX人材」とは、急激に変化する世の中にデジタルやデータを活用して対応し、企業のあり方や業務内容に変革をもたらしながら企業の競争力を高められる人材を指していると考えられるでしょう。

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2025年の崖について

2018年、経済産業省は『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』を発表しました。このレポートでは、既存システムのDXが実現されなかったり、DX推進のための経営変革が行われなかったりした場合、2025年以降年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘しています。

これが、いわゆる「2025年の崖」です。

なぜ「2025年の崖」が考えられるようになったのか。その背景には、IT人材の不足や、システムの維持管理費がIT予算の9割を超え、技術的負担が大きくなったことなどが挙げられます。

今後、この「2025年の崖」問題を解決していくには、システムの刷新をはじめ、新たなデジタル技術の開発やビジネスモデルの創出が重要と考えられているのです。

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DX推進ではビジネスの変革が必要

DXを推進するにあたって、変革するべきは人材だけでなく、ITの進化に伴うビジネスの変革も必要になります。

DXの推進を実行できる人材の確保が重要であることは確かですが、「企業の優位性」を確立するには、それだけでは不完全といえます。

例えば、DVDレンタルなどのコンテンツビジネスを思い浮かべてみてください。十数年前までは、DVDを借りて返却する際には、ユーザーが店舗まで出向く必要がありました。

それが、ネットでの貸し借りが可能になり、店舗に出向く必要がなくなった時代を経て、現在は、動画配信サービスによって、これらのコンテンツを視聴するのが主流になりつつあります。

このように社会の変化とユーザーのニーズに応え続けるためには、ITの進化に伴うビジネスモデルそのものの変革が求められるのです。そして、DX本来の目的も、単に業務をデジタル化することではなく、デジタル技術を活用し、ビジネスモデルを創出することにあります。

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DX人材が注目されている理由

DX人材が注目されている理由は、既出の「2025年の崖」問題、そして、社会の変化に伴う新たなビジネスモデルの必要性を感じている企業が増加していることなどが関係しています。

さらには、人材不足によりデジタル技術を用いて業務の効率化を図らなければ、企業活動を続けられないといった、深刻な社会背景も影響し、よりDX人材が注目されるようになりました。

①DXが広く認知されるようなった

DX人材が注目されるようになったひとつ目の理由には、多くの企業において、既存ビジネスモデルからの脱却や業務の効率化が急務となっている現状が挙げられるでしょう。

企業がこれらの課題に直面したことで、それらの解決策となり得るDXの重要性が高まり、DXの認知度も上がったのだと考えられます。

このことからDXの重要性は、企業において理解されているものの、DXを推進できる人材やノウハウが社内で不足しているため、実際には、DXの推進に至っていない企業が多いことが伺えます。

②DX専門部署の設置や人材採用が活発に

DX人材が注目されるようになった理由のふたつ目には、各組織でDXに関する専門部署の設置や人材の公募がスタートしたことが挙げられます。

前述の通り、多くの企業がDXの必要性を感じつつ、知識や人材の不足により、DX推進が実行できていない現状にある中では、まずそれらを専門に進める組織が必要となってきます。

特に、組織の規模が大きくなるほど組織体制やビジネスモデルを変革することは容易ではありません。そのため、企業がDXの推進を担える人材を新たに公募したり、専門部署を設置したりすることは、ある意味、当然の流れといえるでしょう。

このようなDXを進める際の体制づくりにおける背景から、DX人材がより注目されるようになったのです。

③世界的なパンデミックの進行

昨今の新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックに伴い、仕事や日常における生活様式は、大きな変更を余儀なくされました。

テレワークを導入する企業が急増し、日常生活においても、あらゆる業界においてオンラインによるサービスを求める声が急増したのです。

このような状況下においては、これまで業務やサービスのデジタル化の必要性を感じていなかった企業や業界までもがデジタル化への動きを見せるようになり、同時にDX人材への関心度と必要性も高まっていきました。

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DX人材が不足している背景

DX人材が不足している背景には、以下の3つの要因が関係しています。

  • 労働人口の減少
  • 急増したDX人材の需要に供給が追いついていない
  • これまでDX人材を育成してこなかった企業が多い

まず、DX人材に限らず、そもそもの労働人口が減少していることが挙げられます。

なかでも、特にDXのカギとなる「先端IT技術」の知識と経験を持つ人材については、少子高齢化の影響が大きく、絶対数が少ないため常に枯渇している状況にあります

さらには、もとより社会のデジタル化が進められていた中で、新型コロナウイルスの感染拡大がそれらの動きに拍車をかけ、DX人材の需要に供給が追いつかなくなったこともDX人材が不足している原因のひとつといえるでしょう。

加えて、ITに携わらない企業のほとんどが、これまでDX人材の育成をしてきませんでした。システム開発は、「ベンダー企業におまかせ」の企業が多く、社内にデジタルに強い人材を置く必要がなかったのです。主にこれらの背景から、DX人材が不足するようになったと考えられます。

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DX推進を担う8つの職種

各組織でDXを推進する際に職種を分けることで効率よく進めることが可能になります。DX推進を担う職種には以下の8つが挙げられます。

  • プロデューサー
  • ビジネスデザイナー
  • アーキテクト
  • データサイエンティスト/AIエンジニア
  • UXデザイナー
  • エンジニア/プログラマー
  • PM(プロジェクトマネージャー)
  • PdM(プロダクトマネージャー)

それぞれの職種の役割の詳細について解説します。

①プロデューサー

DXにおけるプロデューサーとは、組織の特徴を理解した上でDX事業を統括し、DXに関する取り組みをリードする役割を指します。DXにおける、いわば「指揮官」であるため最高デジタル責任者(CDO)といった役職に業務が含まれる場合もあります。このプロデューサーに必要な能力は、主に以下の3つです。

  • ビジネス戦略やプロセスの構築能力
  • デジタル活用能力
  • 社内調整力

プロデューサーは、デジタルに関することだけではなく、事業全体を俯瞰的に見ることのできる知識や経験が必要になります。

②ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーは、具体的なビジネスモデルやプロセスを構築する役割を指します。基本的にはプロデューサーのもとで働き、プロデューサーから示された大きな方向性に沿って、実際に必要な業務を具体化していくことになるでしょう。

ビジネスデザイナーを担うには以下の3つの能力が必要です。

  • 企画力
  • 言語化能力
  • ファシリテーション能力

ビジネスデザイナーは企画を進める際、多くの関係者を巻き込みながら行うことになります。そのため、一部の人にしか理解できない専門用語で話すような人には不向きといえるかもしれません。

DXを推進するための企画の意図、それぞれに割り振られた業務の意味などは、関係者全員に伝わる言葉で共有することが大切です。従って、ビジネスデザイナーには、企画を説明するための言語化能力や、議論を円滑に進める、ファシリテーション能力が必要となります。

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③アーキテクト

アーキテクトは、自組織のビジネスにデジタル技術を用いて実際にシステムを設計する役割を指します。システムを設計する際、基本的にはビジネスデザイナーが作成した企画書の方向性に従いますが、アーキテクトは企画書の内容をより具体的にしながら設計を進めます。

実際に「現場のデジタル化」を行う、アーキテクトに必要な能力は以下の2つです。

  • アーキテクチャ設計能力
  • 標準化能力

能力のひとつである「アーキテクチャ」とは「構造」を意味しています。

一般的にはイメージのつきにくい、この「アーキテクチャ(構造)」ですが、普段使用するスマートフォンに当てはめて考えてみましょう。

多くの人が使用している「アプリ」は、アプリ単体のシステムが動作しているのではなく、インターネットというネットワークに、スマートフォンというコンピューターから、iOSやAndroidといったオペレーションシステムを通して操作する、といった複数の「構造」を経て使っていることになります。

このようにアーキテクトは、ユーザーにリーチする部分の設計にも関わるため、各階層のシステムを理解するのはもちろんのこと、ビジネスを理解した上で構造を設計する必要があります。

そして、設計書の汎用性を高めるための標準化能力もアーキテクトには重要です。システムの開発には、時間と労力、そして、費用が発生します。

そのため、プロジェクトごとにシステムを開発するのは、非効率であり、かつ費用の面から見ても現実的ではありません。アーキテクトには、既存のビジネスを理解し、ひとつのシステムの汎用性を見極める能力も必要となるのです。

④データサイエンティスト/AIエンジニア

データサイエンティスト/AIエンジニアは、DXにより集計されたデータの解析をする業務を担います。DXによって集計されたデータがどんなに有効な内容であってもそのまま放置しては意味がありません。集計したデータを解析して改善していくことが重要で、その業務をデータサイエンティスト/AIエンジニアが行います。

データサイエンティスト/AIエンジニアに必要な能力は以下の3つです。

  • ビジネス構造の知見
  • 統計学的知識と経験
  • プログラミングスキル

データ解析においては、事業に活用できるデータの収集という前提をなくして、膨大なデータを解析したところで役に立たない可能性もあります。データを解析する目的と事業の理解は、ある意味セットであり、自社のビジネス構造に関する知見が必須となります。

また、膨大なデータの解析を自動化するためのプログラミングスキルも必要となるでしょう。プログラミングにより自動化することで、効率良く、かつ正確にデータの解析が可能になります。

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⑤UXデザイナー

UXデザイナーは、ユーザーとの接点となる、プロダクトのデザインを担当しています。ユーザーがプロダクトに感じる「使い勝手」や「プロダクトの満足度」に大きく影響する役割を担っているため、とても重要なポジションといえるでしょう。

UXデザイナーに必要な能力は以下の3つです。

  • デザイン力
  • テクノロジー情報収集能力
  • 言語化能力

UXデザイナーには、ユーザーが「使いやすい」「また使いたい」と思えるようなデザイン開発力が必要になることはもちろんですが、デザインする媒体がテクノロジーであるため、日々進化するテクノロジーに関する情報を収集する能力も必要になります。

また、UXデザイナーも、多くの関係者とのコミュニケーションを必要とする役割のため、自身の言動に対し、周囲からの共感を促すための言語化能力も重要です。

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⑥エンジニア/プログラマー

エンジニア/プログラマーは、広義では、システムの実装やインフラ環境を構築する人材となります。

ただし、DXはIT企業に限ったものではないため、DXの分野においては、上記に加えて、バックオフィス業務のデジタル化をはじめ、店舗や生産、物流などの現場のデジタルシステムの構築が業務に含まれることになるでしょう。

そのため、DXにおいてエンジニアやプログラマーの役割をこなすには、ソフトウェアとハードウェア両方の知識と経験、そして、それぞれの現場の状況にも精通していることが求められます。

それらを踏まえて、DXを推進するエンジニアやプログラマーには、以下の4つの能力が必要になります。

  • プロジェクトマネージメント力
  • 要件定義・設計力
  • エンジニアリング力
  • 調整能力

エンジニアやプログラマーは現場での業務が多くなるため、プロジェクトマネージメント力や人材や部品等の調整能力が重要です。また、デジタルシステムを構築する際、実現可能にするための要件定義力や設計力も必要になるでしょう。

⑦PM

PMとはプロジェクトマネージャーのことを指し、DX全体のプロジェクトの責任者となります。PMは、やるべきことの範囲や期日、プロジェクトのステータスなどを常に把握し、期日までにゴール達成できるように各担当者に指示を出すことが大切です。

PMは以下の3つの能力が必要になります。

  • マネジメントスキル
  • コミュニケーションスキル
  • 問題解決スキル

プロジェクトを進める上で問題が発生した場合、まずはその問題の原因を突き止め、解決策を見出し、実行に移すために必要なリソースを整えなくてはなりません。

これらの一連の業務を円滑に進めることもPMが担うべき役割となります。そのため、PMには常にプロジェクトやチームメンバーの状況など、全体を俯瞰して見るためのスキルが求められます。

⑧PdM

プロダクトマネージャーの略称であるPdMとは、DXを進める上で開発する「プロダクト」に関する責任者的な立場になります。

PdMは、開発プロダクトがユーザーのニーズを満たし、継続的に使用してもらうための具体的な方向性を示さなければなりません。

つまり、プロダクトの「ビジネスとしての優位性」「デザイン(UX)」「製品化」のすべての領域に関わり、それぞれをつなぐ役割もPdMが果たすことになるのです。

PdMに求められる能力は以下の3つと言われています。

  • アイデア力
  • コミュニケーション能力
  • マネジメント能力

アイデア力はもちろんですが、異なる領域の部署をまとめ上げるコミュニケーション能力やチームのマネジメント能力も欠かせないスキルであるといえるでしょう。

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DX人材の平均年収

DX人材と一口に言っても様々な職種があり、職種ごとにも年収に差があります。しかし、他の職種と比べても年収のレンジが高く、中には年収1000万円を超える求人があるのも事実です。

基本的な年収も600〜700万円と高い傾向があり、経歴やスキル、これまでの実績によってはさらなる年収アップも見込めます。DX人材の年収が平均して高いのには、需要が高いという点とDX人材自体が少ないというのが要因としてあげられます。

代わりが効かない人材だからこそ、平均年収が高くなり、経験やスキルがあればさらなる高年収を目指せるのです。

DX人材を目指す上で必要なスキル

DX人材になるには以下の5つのスキルが必要になります。

  • IT全般に関する基礎知識
  • 先進技術やデジタルトレンドに関する知見
  • プロジェクトマネジメント能力
  • UIやUXに関する知識
  • データサイエンス領域の知見

DX人材を目指す方はもちろんですが、社内でDX人材の育成を試みている方もDX人材になるためのスキルは把握しておかなければなりません。以下にそれぞれを解説していきます。

①IT全般に関する幅広い知識

DX人材になる上で、IT全般に関する幅広い知識は最低限身に付けておくべきといえます。

DXとは、デジタル技術を用いて業務や組織、そして、ビジネスモデルに変革を与えるものです。デジタル技術を自社の事業に落とし込み、どう活用できるのかを考える上では、ITに関する基礎知識や仕組みの理解は、必要不可欠であるといえます。

具体的には、Webやアプリケーションなどに関する基本的な知識と仕組みの理解が必要です。

②先進技術やデジタルトレンドに関する知見

DX人材になるためには、先進IT技術やデジタルトレンドに関する知見も必要です。ユーザーのニーズは、社会の変化に伴って変化します。そのため、企業の優位性を継続的に保つためには、企業や製品、サービスも変化し続けるユーザーのニーズとともに変化しなければならないのです。

新しいものを生み出すためには、絶え間なく変化する先進技術やデジタルトレンドに関する知見も常にアップデートし続ける必要があります。

③プロジェクトマネジメント能力

DX人材になるためには、プロジェクトマネジメント能力が必要になります。DXはチームで推進していくため、自分一人がデジタルやデータに関する知見を持っているだけでは、プロジェクトは成り立ちません。

DXプロジェクトを推進し、成功させるためにも、予算や納期、人材の管理、組織内外とのコニュニケーションなどのプロジェクトマネジメント能力を身に付けておくことが大切です。

④UIやUXに関する知識

DX人材になるには、UIやUXに関する知識も必要になります。

DXには、本来「デジタル化による業務の改革」と「新たなビジネスモデルの創出」の2つの目的がありますが、この新たなビジネスモデルは、当然ながら、ユーザーに選ばれ、使われてこそ、その価値が認められることになります。

そのため、製品やサービスのDXによる変革を進めるにあたっては、実際にデザインをする職種ではない場合でも、ユーザー視点での思考や、UIやUXに関する知識が必要になるでしょう。

⑤データサイエンス領域の知見

DX人材になるためにはデータサイエンス領域の知見も必要です。DXプロジェクトに参画した場合、どの職種でもデータを取り扱うことになります。

データサイエンティストと同様の専門的知識が求められる訳ではありませんが、データサイエンス領域の知識が全くない状態だと、解析されたデータをどう読み取ればいいのかすら分からないといったこともあります。

データを読み取り、データを活用するために、データサイエンス領域に関する基礎知識は持っておいた方が良いでしょう。

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DX人材のスキルマップとは?

DX人材のスキルマップは、業務を進める上でのスキルや知見、経歴などを記録して見える化するためのものです。どのようなスキルがあってどのようなスキルが身についていないのかがわかるので、スキルアップ・スキル管理する際に役立ちます。

チーム間でスキルマップを共有することによって、効率的な運用やスキル向上にもつながります。なお、スキルマップを活用する際には経済産業省が定めているデジタルスキル標準を参考にしてみましょう。

DXを推進する上で必要となるスキルがまとまって記載されているので、利用しやすいのがポイントです。なお、スキルマップを作成する際には下記のような手順で進めてみてください。

  1. スキルの項目・基準を定める
  2. マニュアルを作成する
  3. スキルの評価をおこなう

DX人材を目指すなら資格取得がおすすめ

DX人材を目指す上では業務に関連した資格を取得しておくことによって、一定以上の知識やスキルなどが証明でき、人材としての市場価値をアップさせることも可能です。

ここからはDX人材におすすめの資格を3つ紹介していきます。

DX検定

DX検定は日本イノベーション融合協会ITBT委員会実施している資格であり、IT全般やDXに関する様々な知識・技能を身につけられます。DXに関する知識をリテラシー直という形で点数化してDXのレベルを測定できます。

高得点を出すことによって、DXに理解があることを証明できるので、実務にはもちろん転職活動でも役に立つ機会があるでしょう。DX検定が発行しているシラバスやeラーニングを活用して予習ができ、高額な教材費がかからないのもおすすめのポイントです。

ITコーディネータ試験

ITコーディネーター試験は、IT経営を実現する人材を育成する目的で作られた資格であり、経済産業省から資格取得の促進が行われ、近年では非常に注目を集めています。資格を取得することによって、会社経営者に対しての助言やコンサル業務などの仕事ができます。

 受験資格は不問で誰でも試験を受けることができ、難関資格でもないため、勉強に専念しなくても仕事をしながら試験の受験が可能です。セミナーや対策講座なども実施されているため、興味のある人はぜひ受講してみてください。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施している試験であり、試験範囲が広くて難易度が高い難関資格と言われています。試験に合格することによって、プロジェクトマネージャーとしてのスキルや知見があることを客観的に示せます。

転職に有利になる、年収アップにつながるという点はもちろん、国家資格(弁護士試験・中小企業診断士試験など)の試験科目が一部免除になるのもポイントです。

DX人材に必要なマインドセット

DX人材になるためには能力やスキルだけでなくマインドセットも重要になります。特に重要になるマインドセットは以下の4つです。

  • 挑戦心
  • 課題設定力
  • 求心力
  • 好奇心

それぞれについて詳しく解説します。

①挑戦心

DX人材になるためのマインドセットとして、まず「挑戦心」が求められます。DXにおいては、取り組みのほとんどが、「新しい挑戦」となることは珍しくありません。

この挑戦心には行動力も含まれており、着想したアイデアを企画・実行し、やり遂げることが重要となるのです。つまり、DX人材になるためには、新しいことに対する挑戦心を持ち続け、やり遂げるまで仮説・検証を繰り返すことが必要になります。

②課題設定力

DX人材における課題設定力とは、「テクノロジーによって、解決すべき課題を見つけ出す力」と解釈することができます。

DX人材に求められるスキルや能力は、実際のところ、企業それぞれの取り組みによって変わってきます。しかし、共有して必要なスキルや姿勢と言えるのが、この課題を見つけ出すマインドです。

「ITによって、企業の何を変えるべきなのか」が可視化されてこそ、初めてテクノロジーを企業活動に有効に活用できるようになるのです。

③求心力

企業の風土や事業自体を変えていくDXは、当然ながら1人で行えるものではありません。実際に、DXを推進するのであれば多くの部署や人の協力が必要となるでしょう。

そのため、DXを指揮する立場の人間が主体性を持って、関わる人たちを引率するのはもちろんですが、それらの関係者が「一体」となって目標へと進むことも重要です。ミッションやDX後に得られるビジョンが、チームの「求心力」となるように共有していかなければなりません。

④追求心

DX人材になるには、物事を深掘りできる「追求心」も忘れてはいけません。これは課題設定力に通じる部分でもあります。

表面的な結果だけに目を向けるのではなく、「なぜその事業形態となっているのか」「ニーズの背景には何が影響しているのか」といった、多角的な視点で物事を掘り下げられる思考力がDXにおいては重要となります。

また、これらの過程では、現状の課題の追求だけでなく、求められるであろう「未来の在り方」に目を向けることも、企業の優位性を継続していく上で大切です。

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DX人材の育成方法

DX人材は、組織内で育成することも可能です。DX人材の育成を実現する方法には、以下の4つが挙げられます。

  • DXに向いている人材かどうかを見極める
  • DX人材が育つ環境を整える
  • DX推進への予算・投資を惜しまない
  • 経営陣もコミットして一緒に進める

①DXに向いている人材かどうかを見極める

DX人材を育成するには、まずその人がDXに向いているかどうかを見極めることが大切です。ここまで述べてきた、ITに関して知見や経験、新しいことへの探究心を備えているのはもちろんのこと、それらに加えて、固定概念にとらわれることなく変化に柔軟に対応できるような人材がDX人材には向いています。

素養や素質を備えていない人材をDX人材として配置し、結局、無駄骨に終わってしまうことのないよう、まずはDXに向いている人材かどうかの見極めを、時間をかけて慎重に行うようにしましょう。

②DX人材が育つ環境を整える

DX人材を育成するためには、DX人材が育つ環境を整えることも重要です。先進技術の勉強会の実施や、OJTの充実といった人材育成のプログラムを構築したり、学習意欲のある社員に対しては、学習や資格取得の支援を行うのも良いでしょう。

なかには、政府の助成金が得られるケースもあるため、そのような制度を利用しつつ環境整備を進めることで、企業の負担も軽減することができます。

③DX推進への予算・投資を惜しまない

DX人材を育成するためには、DX推進への予算・投資を惜しまないことも大切です。DXを進める際、AIやIoTなどのデジタル技術を導入することになるため、多額の予算が必要になります。

しかし、予算が確保できない場合、できることが限られてしまいDXの推進に失敗してしまう恐れがあります。

失敗を防ぐためにも予算・投資は惜しまないことが大切です。また、システムや環境だけでなく、DX人材育成のための研修や資格取得などの学習機会への投資も重要になります。

④経営陣もコミットして一緒に進める

DX人材を育成する際、経営陣もコミットして一緒に進めることで効果が増します。DXは、単なる業務改革ではなく、企業が将来生き残っていけるのかにも影響を与える、重要な経営戦略であることがほとんどです。

しかし実際は、担当者に任せっきりにするケースが多く、これらを原因にした「現場」と「経営側」の温度差が、DX推進にブレーキをかけることが多いのも事実です。

そのような状況では、人材の育成も実現しないでしょう。そのため、DXにかかわる社員だけでなく、経営陣がDXの方向性を理解し、同じ目線で取り組み、また、DXによる新しいチャレンジを評価する仕組みも併せて構築しておくことで、DXが円滑に実行され、結果的に人材を育てる風土も醸成されていくのです。

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DX人材を育成する3つメリット

DX人材を育成することには以下の3つのメリットがあります。

  • 現場の運用に合ったシステムを判断できる
  • システム連携による業務効率化の実現
  • 新たなビジネスチャンスの創出につながる

①自社に合ったシステムを判断できる

DX人材を育成することのメリットには、事業に合ったシステムを判断できるということが挙げられます。DXにおける「課題の特定」と「システムの導入や変更」は、一度ではなく、試行錯誤を繰り返しながら何度も繰り返されることがあります。

試行錯誤を繰り返すことで、業務に必要とされる機能が判断できるようになり、生産性の向上に、より効果的なシステムを導入できるようになるからです。

このような方法でのシステムのブラッシュアップを、業務に精通していない外部の人間が実行するのは困難といえます。そのため、DX人材を社内で育成することで、現場の運用に「最適」なシステムが構築できるというメリットがあるのです。

②システム連携による業務効率化の実現

DX人材を育成することで、システム連携による業務効率化の実現が可能になるというメリットも得られるでしょう。社内でDX人材を育成すると、システムに関して企画や開発、導入まで一気通貫で担えるようになります。

③新たなビジネスチャンスの創出につながる

繰り返しとなりますが、DXの本来の目的のひとつには「新たなビジネスチャンスの創出」があります。DXによる新たなビジネスモデルのアイデアが、次々と社内から生まれるような環境が作れれば、企業がビジネスや社会の変化に取り残されていくような事態を避けられる可能性は高まります。

DX人材を育成することは、新しいモノや新しいビジネスを生み出す可能性を少しずつ広げていくことにつながるのです。

DX推進にシステムの内製化は必要?メリット・デメリットや進め方を解説

DX人材が早急に必要な場合の対処法

事業の拡大に伴い、DX人材が早急に必要な企業もあるのではないでしょうか?

DX人材を確保する際、社内の育成には多くのメリットがありますが、時間がかかるというデメリットも存在します。ここでは、早急に人材を確保する方法や対策についてお伝えします。

①知見のあるDX人材を中途採用する

DX人材が早急に必要な場合の対処法の一つに、知見のあるDX人材を中途採用する方法があります。すでにDXに関する知識や経験がある方を中途採用した場合、特に近しい業界であれば、即戦力として見込めるのも強みです。

しかし、DX人材が不足している昨今、知見のあるDX人材を見つけるのが難しく、さらに高単価である可能性が高くなっています。中途採用を試みている場合は、予算を確保した上で探すことをおすすめします。

②アウトソーシングを活用する

DX人材が不足している際にも、早急にDX推進に取り掛かることのできる対処法には、DXに強い人材を持つ派遣会社より、派遣で人材を確保する方法も挙げられるでしょう。また、特にデジタル化を急務とする業務においては、業務委託や外注、コンサルティングを導入するといった方法も有効です。

DX人材をアウトソーシングする場合、中途採用に比べて人材を見つけやすかったり、低単価で契約したりすることが可能です。また、プロジェクトが完了次第契約を終了させることもできるため、予算を確保しやすいといった利点もあるでしょう。

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DX人材の育成が事業成長の鍵になる

DX人材を育成することは自社のDXが推進されるだけでなく、新しいビジネスチャンスを創出できるなど、事業を成長させる鍵となります。DX人材の育成は時間がかかりますが、必要なスキルやマインドセットを把握しておくことで、効率的に育成できるでしょう。

今後は、ますますDX人材への需要が高まることが予想されています。そのため、業界を問わず、早い段階からDX人材の育成に注力していくことが大切です。

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人事評価システム

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