労務でありがちなトラブルとは?事例や対応方法・予防策を紹介

2023/12/04 2023/12/04

労務管理システム

労務トラブル

労働環境の変化から、社員の労務に関するトラブルが目立つようになりました。対策をとるためには、実際にどのようなトラブルが起こるのか把握しておかなくてはなりません。今回は、労務管理でありがちなトラブルについて、対応方法から予防策や事例を紹介します。

労務トラブルの実態について

厚生労働省の「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」の調査結果によると、2022年度の総合労働相談件数は124万8368件で、15年連続で年間100万件を超えている状況です。

総合労働相談件数の内訳は「法制度の問い合わせ」が86万1,096件、「労働基準法等の違反の疑いがあるもの」が18万8515件、「民事上の個別労働紛争相談」が27万2185件となっています。

民事上の個別労働紛争相談の最多は「いじめ・嫌がらせ」の件数が69,932件で、11年連続トップです。

[出典:厚生労働省「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」]

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労務リスクの種類とは?リスクの回避方法やトラブル事例

労務におこりがちなトラブル事例

労務トラブルは労働基準法をはじめとする法律関連だけではなく、倫理観や情報伝達の仕方を起因とするものなどさまざまです。

ここでは、労務トラブルで起こりやすい事象を、5つのカテゴリに分けて解説します。

労働時間に関わるトラブル

労働時間において起こりやすいトラブルは、残業や休日出勤による過重労働です。労働基準法では1日8時間・週40時間という法定労働時間が定められています。

これ以上の労働時間を社員に求める場合、36協定の締結が必要です。36協定を締結することにより、時間外労働の上限を月45時間・年360時間に引き上げることができます。

残業や休日労働が常態化すると社員の疲労が蓄積し、健康被害や過労死などの重大なトラブルにつながりかねません。一方で、勤務時間の記録と実態が乖離しており、サービス残業が横行しているケースもあり得ます。

これらの問題を解決するためには、企業が労務管理を適正化し、長時間労働の原因の特定と対策の実施を行うことが重要です。

ハラスメントに関わるトラブル

法律で禁止されているハラスメントは、パワーハラスメント(パワハラ)、セクシャルハラスメント(セクハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)/パタニティハラスメント(パタハラ)がありますが、これ以外にも数多くのハラスメントが存在します。

  • モラルハラスメント(モラハラ)
  • ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)
  • テクノロジーハラスメント(テクハラ)
  • エイジハラスメント(エイハラ)
  • リモートワークハラスメント(リモハラ)

ハラスメントは職場の権力関係だけでなく、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が原因で発生することも珍しくありません。

社員の心身に大きなダメージをもたらすことからも、ハラスメントの予防と対策を積極的に行うことが重要です。

アンコンシャス・バイアスとは?意味や職場での具体的な事例について解説

情報漏洩に関わるトラブル

社員が機密情報や個人情報などを外部に持ち出すことで起こる情報漏洩も、労務トラブルの一種です。

昨今はSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)の重要性が高まっていることから、企業は顧客に関する個人情報や行動履歴を記録しています。

これらの情報を社員が外部に持ち出すことは、企業の信用問題に発展する重大な問題です。

情報漏洩に関わるトラブルは退職した社員だけでなく、在職中の社員が在宅勤務を目的に自宅のデバイスに情報を転送する、外部委託先の情報管理ルールが整備されていないなど、さまざまな事象が考えられます。

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報酬に関わるトラブル

給与・残業代の未払いに加えて、支払いの遅延や減額なども報酬関連で起こりうるトラブルです。

報酬の未払い・遅配・減額は社員の生活に大きな影響を与えるため、社員による訴訟や労働基準監督署による是正勧告・行政処分のリスクがあります。

これらのトラブルを防ぐためには、報酬に関する制度や規定の適切な運用に加えて、社員との密なコミュニケーションで不満や疑問を早期に解消することが重要です。

労災に関わるトラブル

就労中の事故によるケガ・精神疾患・過労死などが起きた場合、労災認定をめぐるトラブルが発生しやすくなります。具体的には企業側が労災申請を怠る、社員と企業の主張が食い違うなどが考えられるでしょう。

なお、労災トラブルは社員や遺族からの損害賠償請求や訴訟に発展する可能性もあり、慎重かつ適切な対応が必要です。労災認定には労働基準監督署の調査プロセスがあるため、企業としての見解を伝えつつも、発生した事象に対して真摯に向き合うことが求められます。

解雇に関わるトラブル

日本では客観的に合理性のある理由がない限り、社員の解雇ができません。この合理的な理由という部分で、労務トラブルが起きやすい傾向があります。

仮に社員の言動に問題があったとしても、社員の認識や事情、企業の損失などのさまざまな内容を考慮して解雇の妥当性を判断しなければなりません。この点において企業側の説明が不十分であった場合、労働組合との対立や訴訟に発展する可能性も出てくるでしょう。

したがって、社員の落ち度を理由に解雇を通知する場合でも、慎重に判断することが大切です。

解雇の方法・種類について|流れや解雇する際に理解しておくべき事項

労務トラブルへの対応方法

労務トラブルは、対応を誤ると争いが長期化・肥大化するリスクを秘めています。だからこそ、適切な手順で対応を進めることが重要です。

ここからは、労務トラブルへの対応方法を2つ紹介します。

関係者にヒアリングをする

労務トラブルが発生した際は、事態を正確に把握するために関係各所にヒアリングを行いましょう。具体的にはトラブルの内容・原因・結果を時系列順に確認し、全体像を把握していきます。

このときに当事者である社員に加え、上司や関係部署などの意見も収集することで、より多角的な視点から事態を把握することができます。ヒアリングを行う際は、先入観や感情論での質問は避けて、事実に基づいて客観的な判断材料を得ることが重要です。

専門家・第三者機関に相談する

どれほど事実に基づいた情報収集を行ったとしても、当事者同士での話し合いでは意見の衝突などが起きてしまうこともあるでしょう。

だからこそ、労務トラブルを円満に解決するには、弁護士などの専門家や第三者機関(労働基準監督署、労働委員会、労政事務所など)の協力が欠かせません。

専門家や第三者機関が中立的な立場で仲裁を行うことで、現実的な落としどころを見つけやすく、早期解決が見込めるでしょう。専門家や第三者機関の協力を得ても事態が解決しない場合は、訴訟・民事調停・労働審判での解決となります。

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労務トラブルを防止するための対策

労務トラブルを防止するためには、発生原因となる社員の健康状態や労働環境を改善するための対策を実施することが有効です。ここからは、労務トラブルを防止するための対策を4つ紹介します。

労働災害防止に向けた働きかけをする

企業には、社員の安全衛生を確保するために必要な措置を講じる法的な義務があります。この安全配慮義務の遂行が、労働災害の防止に有力な手段です。

  • 労働時間の適切な管理による過重労働の防止
  • 業務を安全に遂行するためのガイドライン整備
  • 安全性を考慮したツールや機器の選別・メンテナンス
  • 危険性を伴う作業に対する注意喚起の表示や保護装置の設置

これらの取り組みを通じて社員の健康維持と安全管理を両立することで、労働災害の防止につなげられます。

雇用契約書・就業規則を整備する

雇用契約書や就業規則は、社員の権利や義務を明確にする文書です。

これらは社員の日頃の意識を醸成するだけではなく、不祥事に対する処分を下す際の根拠としても活用されます。そのため、文書に不備や不適切な内容が含まれていた場合、社員の不満やクレームが生まれるリスクが高まります。

したがって、雇用契約書や就業規則の内容を定期的に見直し、整備後は適切に周知することが大切です。

トラブルに関する証拠の改ざん・隠蔽をしない

労務トラブルは発生時だけではなく、その後の対応にも是非が問われます。この点において、証拠の改ざん・隠蔽は労務トラブルを解決するどころか、逆に悪化させる可能性が高いです。

証拠の改ざん・隠蔽は当事者の社員との信頼関係を崩壊させ、労務トラブルが長期化・肥大化するだけではなく、法的制裁を受けるリスクがあります。

労務トラブルが発生した際は当事者の社員と真摯に向き合い、専門家や第三者機関の支援を受けながら、円満な解決を目指しましょう。

労務管理システムを活用する

労務トラブルを防止するためには、社員の状態や労働環境を適切に可視化しなければなりません。しかし、勤怠管理・給与計算などの業務をすべて手作業で行うと、膨大な時間とコストが必要です。

この打開策として、労務管理システムを活用することにより効率的なデータの収集・分析ができるだけではなく、ミスや漏れの防止も期待できます。

さらにデータの収集・分析にかかる時間が短縮されれば、安全衛生管理をこれまで以上に入念に行うこともできるでしょう。

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おすすめの労務管理システム

昨今の労務管理システムは業務特化型のクラウドシステムが主流であるため、どこに重きを置くかによって選ぶべきシステムが変わってきます。

ここでは数ある労務管理システムのなかから、特におすすめの5つのシステムを紹介します。

SmartHR

SmartHRは、労務手続きに必要な人事データを集約し、タレントマネジメントにも転用できるクラウド型の労務管理システムです。

人事・労務管理とタレントマネジメントという複数の領域をカバーできるため、人事部の業務効率化に加えて組織の課題発見にも役立てられます。入社手続きや雇用契約、年末調整など業務を効率化する多くの機能が揃っています。

提供元株式会社SmartHR
初期費用無料
料金プラン
  • HRストラテジープラン
  • 人事・労務エッセンシャルプラン
  • タレントマネジメントプラン
  • 労務管理プラン
  • ¥0プラン

※各プランの価格は要問い合わせ

導入企業数

登録社数60,000社以上

※2023年11月時点

機能・特長
  • 入社手続き、雇用契約
  • 文書配布
  • 年末調整
  • マイナンバー管理
  • 外部連携サービスほか
URL公式サイト

クラウドハウス労務

クラウドハウス労務は、従業員数100名〜数万名規模の企業向けに開発されたセミオーダー型のクラウドシステムです。

条件にマッチしたテンプレートの設計などの柔軟なカスタマイズができ、ワークフローが複雑な大手企業の運用にも適応できる点を強みとしています。

毎月10個前後の機能アップデート(追加・改善)を行っており、導入企業からの機能要望も積極的に受け付けているのも魅力のひとつです。

提供元株式会社Techouse
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
機能・特長
  • 入社手続き自動化
  • 雇用契約の電子化
  • 社員情報の一元管理
  • 人事データの活用ほか
URL/td>公式サイト

freee人事労務

freee人事労務は、勤怠管理と給与計算をベースに、賃金の未払い問題の解消に役立つ機能を搭載したクラウド型の労務管理システムです。

勤務時間の集計から給与計算・明細発行、給与の振込までをシステム上で一貫して対応できるため、情報の転記ミスを防げることが強みとなっています。

また、最新の法令や税制に対応しており、給与計算・労務管理における情報収集コストの削減にも貢献できるのが、freee人事労務の特長です。

提供元freee株式会社
初期費用無料
料金プラン
  • ミニマム:月払い2,860円/月(税込)、年払い2,200円/月(税込)
  • スターター:月払い4,290円/月(税込)、年払い3,300円/月(税込)
  • スタンダード:月払い5,720円/月(税込)、年払い4,400円/月(税込)
  • アドバンス:月払い7,865円/月(税込)、年払い6,050円/月(税込)

※各プラン最小5名分の契約(1名追加ごとに別途料金が発生)

機能・特長
  • 勤怠管理
  • 給与計算
  • 法定帳簿含む書類の作成
  • 入退社手続き
  • 年末調整ほか
URL公式サイト

ジョブカン労務HR

ジョブカン労務HRは、入退社手続きや年末調整の業務効率化に強みをもつクラウド型の労務管理システムです。

帳票の自動作成に加え、アンケート形式での年末調整の情報収集など、人事部だけでなく社員の手続きの負担軽減にも貢献する機能を複数搭載しています。

また、同社が提供するジョブカンシリーズを特別料金で利用でき、勤怠管理や給与計算などの領域ごとに必要なシステムだけを導入できるのが特長です。

提供元株式会社DONUTS
初期費用無料
料金プラン

◼︎中小企業向け

  • 無料プラン:無料/月(5名まで)
  • 有料プラン:1ユーザーあたり400円/月(ユーザー数無制限)

※最低利用金額は2,200円(税込)から、有料プランは電子契約機能あり(別途契約200円/1件。1送信(1件)あたりの従量課金制)

◼︎大規模企業向け:要問い合わせ

導入企業数

20万社以上(シリーズ累計)

※2023年11月時点

機能・特長
  • 従業員情報管理
  • 各種労務手続き
  • 年末調整
  • ストレスチェック機能
  • 書類作成・電子契約機能ほか
URL公式サイト

オフィスステーション労務

オフィスステーション労務は、労務手続きの柔軟性に強みをもつクラウド型の労務管理システムで、110種類という豊富な帳票に対応し、あらゆるイベントに対応できるのが特長です。

また、強固な情報セキュリティポリシーを定める企業の活用を想定し、データの暗号化や不正アクセス防止、バックアップデータの35世代保存などのセキュリティ対策にも力を入れています。

提供元株式会社エフアンドエム
初期費用登録料11万円(税込)
料金プラン

◼︎月額利用料

  • 1名あたり440円/月(税込)

※従業員数が10名以下の場合、月額利用料は一律4,400円(税込)。

◼︎年額利用料

  • 100名:528,000円(税込)
  • 500名:2,640,000円(税込)
  • 1,000名:5,280,000円
導入企業数

35,000社超

※2023年10月末時点

機能・特長
  • 人事手続き
  • 労務手続き
  • 他社システム連携
  • データ分析ほか
URL公式サイト

環境を整備して労務トラブルを防ごう

労務トラブルは年間100万件以上の相談が寄せられるほど、深刻な社会問題となっています。

労務領域は人事部が兼務していることが多く、業務負担的にも注意が適切に行き届いていない可能性もあるでしょう。その場合は労務管理システムによる業務効率化を実行し、労務改善に割ける時間を捻出することが重要です。

本記事を参考に、労務トラブルの傾向や対応方法・予防策を理解し、現場改善にお役立てください。

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