人事評価面談とは?面談の目的や進め方のポイント・質問事項について

最終更新日時:2024/03/18

人事評価システム

人事評価面談

部下の成長を促すきっかけとなる、「人事評価面談」。上司と部下の信頼関係を構築する機会でもありますが、納得感の高い面談を実施するにはどうすればよいのでしょうか。本記事では、人事評価面談とは何か、面談の目的や進め方のポイント、具体的な質問事項の例などについて解説します。

人事評価面談とは?

人事評価面談とは、企業において、上司(評価者)が部下(被評価者)の業績や能力を一定の期間ごとに評価し、面談を行う制度のことを指します。四半期または半期に一度のサイクルで行われることが一般的です。

人事評価面談は単に上司が部下を評価するだけでなく、面談を通じて相互の意思疎通を図り、部下のモチベーション向上や適切な人材育成につなげることも目的です。つまり、会社と従業員の「Win-Win」の関係を構築するために欠かせない重要な機会といえるのです。

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人事評価面談の目的とは?

人事評価面談は、会社と従業員の相互理解を深め、Win-Winの関係を築くための機会だと説明しました。ここではそれらの目的について個別に見ていきましょう。

人事考課

人事評価面談は、従業員一人ひとりの実際の業績や能力を適切に評価し、最終的な判断をするための重要な材料となります。部下からの話を聞くことで、これまで見えていなかった側面に気づくことがあるかもしれません。また、思い違いや認識の違いを正す機会や、個別の事情について深く理解する機会ともなるでしょう。

このように、上司は面談を通じて部下の実態をより詳しく把握し、公平な昇給・昇格の人事考課につなげることができるのです。

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人材育成

面談では、上司と部下が評価期間の成果と課題を振り返り、次の期間に向けて努力すべきことや目標を共有します。部下の中には自分の強み・弱みを的確に把握できていない人もいるかもしれません。そのような部下に対し上司が客観的な意見を伝えることで、新たな気づきを得るきっかけにもなるでしょう。この際、改善点だけでなく、良かった点を積極的に伸ばすよう促すことも重要です。

また、会社として今後期待することを伝えることで、どのように成長していくべきかという道筋を部下に示すこともできるでしょう。

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動機形成(モチベーション管理)

面談の場では、部下が前向きに仕事に取り組めるようにモチベーションを向上させることも重要です。数字ばかりを追い求めていては、仕事に対する意欲ややりがいを失ってしまうかもしれません。

これを防ぐために、成果や自己成長など、部下のモチベーション向上につながるポイントを見極めて話題とします。「この上司は自分のことを理解してくれている」と思ってもらうことができれば、部下との信頼関係が深まり、仕事に熱心に取り組んでくれるでしょう。

人事評価面談の進め方のポイント

人事評価面談をスムーズに進めるためには、事前の準備から終了後のフォローアップまで、さまざまなポイントに気をつける必要があります。ここでは具体的に8つのポイントを見ていきましょう。

評価や質問事項を事前にまとめる

面談の場で手間取ることなく話ができるよう、上司は事前に評価の内容や質問事項をまとめておきましょう。面談中に考え込んでしまうと時間をロスするだけでなく、部下に不信感を持たれてしまいかねません。

部下の実績や課題をしっかり把握し、具体的な指摘ができるように準備しましょう。

落ち着いて話せる面談場所・時間を確保する

部下が面談に集中できるよう、周りに人がいない落ち着いた場所で面談を行うようにしましょう。面談時間も余裕を持って、30分から1時間程度確保することをおすすめします。時間に余裕がないと表面的な内容で終わってしまい、上司も部下も伝えたいことを伝えられなくなってしまいます。

アイスブレイクを取り気軽に話せる環境をつくる

人事評価面談は部下の本音を引き出すよい機会です。そのため、部下の緊張を和らげるために面談の冒頭や途中でアイスブレイクを取り入れ、気軽に話せる環境をつくりましょう。うまくリラックスできれば、建設的な対話につながります。

人事評価面談の目的を共有する

上司と部下の間で人事評価面談を行う目的が一致していないと、部下が評価に納得せず、モチベーションの低下を招く恐れがあります。これを防ぐために、面談冒頭で目的を共有し、認識を合わせることが重要です。

この面談は何のために行い、何を目指すためのものであるのかを明確にしてから本題に入るようにしましょう。

部下の自己評価は否定せずに耳を傾ける

評価結果の確認は、まず部下の自己評価を聞くところから始めましょう。この際、部下の自己評価を内容を否定することなく丁寧に耳を傾けることで、部下の率直な気持ちを引き出すことができます。上司は本人が捉えている部下の姿をしっかり把握し、適切なフィードバックにつなげる必要があるのです。

ポジティブなフィードバックをする

課題や否定的な評価ばかりでは、前向きに受け入れることは誰にとっても難しいでしょう。評価を伝える際は、今後の期待など、ポジティブな点を中心に据えることが大切です。

ネガティブな点についても「ダメだったこと」として指摘するのではなく、これから改善できる伸びしろであることを建設的に伝えるようにするとよいでしょう。

課題と解決策を共有する

部下が抱える課題と、その解決策を共有することも大切です。話を聞いていくうちに、上司が考えていた課題と部下自身が行き詰まりを感じている部分が異なっているとわかるかもしれません。

課題に対する解決策は、上司が一方的に提案・指示するのではなく、部下自身が導き出せるようサポートに徹しましょう。課題や解決策に自分で気づくことができれば、モチベーションの源にもなります。

今後の目標・ビジョンを考える

最後に、面談で得られた課題や解決策を基に、部下の今後の目標やキャリアビジョンを一緒に考えましょう。会社として求めることと部下本人が目指したいことの方向性が一致するビジョンであれば、部下のモチベーションが向上し、生産性アップにもつながります。

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人事評価面談の質問事項例

人事評価面談では、流れに沿って適切な質問を投げかけることが大切です。以下は、面談で使える質問事項の例をまとめた表です。

人事評価面談の質問事項例

質問項目質問例¥
自己評価
  • この期間の自分の業績をどう評価しますか?
  • 自分の長所と短所は何だと思いますか?
目標達成度
  • 目標をどの程度達成できたと考えていますか?
  • 目標は自分の能力に合っていたと思いますか?
  • 達成できなかった理由は何だと思いますか?
業務への取り組み姿勢
  • 仕事に対してどのような姿勢で取り組みましたか?
  • 目標達成に向けてどのような努力や工夫をしましたか?
  • ワークライフバランスは取れていますか?
コミュニケーション能力
  • チームメンバーや同僚との信頼関係は構築できましたか?
  • 社内の人間関係で困っていることはないですか?
  • コミュニケーションに課題はありませんでしたか?
能力開発
  • スキルアップの機会はありますか?
  • 今後伸ばしたい能力は何ですか?
今後の目標・ビジョン
  • 次の目標は何ですか?長期的には何を目指しますか?
  • 会社に対する要望や期待はありますか?

このように、自己評価に始まり目標達成度、業務への取り組み姿勢、コミュニケーション能力、能力開発、さらには今後のビジョンまで幅広く質問することで、部下の実態をつぶさに把握できます。適切な質問を用意し、じっくりと本音を引き出すことを心がけましょう。

人事評価面談の質問方法

人事評価面談では、どのように質問を投げかけるかが何より重要です。部下の本音を引き出し、建設的な対話とするために、2つの方法を見てみましょう。

オープンクエスチョン

部下の具体的な考えを引き出すために、「はい」「いいえ」で終わってしまう閉鎖的な質問ではなく、オープンクエスチョンを活用しましょう。

オープンクエスチョンの例としては、下記などがあげられます。

  • この期間の業績をどう評価しますか?
  • 仕事に対してどのような姿勢で取り組みましたか?
  • 同僚との信頼関係で気になる点はありますか?

などが挙げられます。

このような質問は一言で答えらえるものではなく、自分の言葉で述べる形になるため、部下の率直な考えを知ることができるのです。

肯定質問

部下の話を引き出すには、否定的な質問よりも肯定的な質問を心がけましょう。

肯定的な質問の例としては、下記などがあげられます。

  • 目標を達成するためにどのような工夫をしましたか?
  • どのようにスキルアップを図りましたか?
  • 今後の目標や会社への要望はありますか?

「どうして実行しないのですか?」などの否定的な質問よりも、このような肯定的な質問の方が前向きな対話を促すことができることは容易に想像できるでしょう。部下をリラックスさせるためにも、肯定的な質問を積極的に取り入れるのがおすすめです。

人事評価面談では、このようなオープンクエスチョンと肯定質問を上手に組み合わせることで、建設的な対話の実現を目指しましょう。

人事評価面談にありがちな失敗

人事評価面談は、本来の目的を達成できずに終わってしまうことも少なくありません。ここでは、面談でよくある失敗例とその理由を確認しましょう。

話し合いが十分できていない

面談時間に余裕がなく、しっかりと話し合えずに終わってしまうことは、よくある失敗の一例でしょう。時間に追われてしまっては、上司も部下も十分に話せず、建設的な対話に至る前に終了してしまいます。一人当たりの面談に、少なくとも30分から1時間は確保するようにしましょう。

部下が評価に納得していない

外的要因や個別の事情が考慮されていない一方的な評価や、評価者による主観が強く入った評価では、従業員は不公平だと感じて納得できないでしょう。評価の透明性が損なわれるだけでなく、モチベーション低下を招くおそれもあります。

評価の際には、客観性と公平性を保てているかをしっかりと確認する必要があるのです。

モチベーション向上につながらない

面談する上司が否定的で高圧的な言動を取ると、部下のモチベーションを削いでしまいかねません。そうなっては、せっかくの面談の場が台無しです。

ただ単に原因を追究したり課題を指摘したりするのではなく、前向きなアドバイスとともに部下に対する期待を伝えることが大切です。

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人事評価面談によるメリットを最大化させるポイント

人事評価面談は、会社と従業員の相互理解を深めるための重要な機会です。この機会のメリットを最大限に引き出すためのポイントを確認しましょう。

上司・部下間のコミュニケーションを強化する

人事評価面談の機会だけでは、適切な評価は難しいでしょう。面談以外にも、日常的に上司が部下の働きぶりや仕事への取り組み姿勢をチェックする機会を設けることが大切です。部下のことを常に気にかけて把握することで、面談時に的確な指摘やアドバイスができるようになります。

評価者と被評価者がコミュニケーションを密に取ることで、お互いに対する信頼感を養うことにもつながるでしょう。そうすると考えの食い違いも生じにくくなり、建設的な対話を行えるようになります。

適切な目標を設定する

部下のモチベーションを維持し、業績アップを狙うには、適切な目標設定が欠かせません。目標が高すぎれば、部下は挫折感を覚えてしまいます。一方で低すぎる目標では、成長の機会を逃してしまいます。

部下の努力だけでは変えられない外的要因があれば、それを踏まえて無理のない目標にする必要も出てくるでしょう。上司と部下がしっかり話し合い、個人の能力に合わせつつ、程よい緊張感や挑戦心を持てる目標を設定することが肝心です。

部下の成長につながる人事評価面談を実施しよう

人事評価面談は部下の成長につながる重要な機会であり、上司は質問などを入念に準備し、部下の本音を引き出せるように働きかけるのが重要です。また、評価については公平性と透明性が重要です。上司と部下の建設的な対話を通じて、会社全体の活性化につなげましょう。

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